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● ゲティスバーグの謎 ●





――「胴体部」がどこに眠っていて、誰がどのように発見したのか?「ジャイロを呼び戻したら2人とも死ぬ」とか「捨てなくてはならないハメに陥ってしまう」とか、H・Pの言葉の真意は何だったのか?けっこう疑問点が残ってます。――
コミックス感想15巻の中で、私はアクセル・RO戦についてこう記述しました。『シビル・ウォー』の能力自体はすでに自分なりに解釈してますが、戦いが始まる際の人物の行動に謎が多い。ならば、その疑問点や謎に納得のいく答えを出してみようじゃあないかと。今回はそーゆーテーマです。作中で描写されていない部分なので、所詮は私の自己満足に過ぎないんですけど、納得は全てに優先するのです。



最初に、このアクセル戦での疑問点を箇条書きにしてみましょう。

1ジャイロ達に発見される直前、H・Pの身に何が起こったのか?
2H・Pは何故、ゲティスバーグのゴミ捨て場に逃げ込んだのか?
3誰がどうやって「胴体部」を見付けたのか?何故、ゴミ捨て場に「胴体部」があったのか?
4何故、大統領が所持していたはずの「右腕部」もゴミ捨て場にあったのか?
5H・Pのジョニィに対する忠告の真意は?

ざっと、こんなトコでしょうか。これらの謎について、どうにか理由を考えてみたいと思います。
(長文を読むのがめんどい方は、最後に答えをまとめてますんで、そちらだけ見ても良いです。)



14までの疑問点を考えるって事は、つまり作中で描かれる以前のストーリーを想像するって事になりますね。なるべく無理のないように。


まず、理由が明らかなのは4。大統領の狙いは、大統領自身が発言している通り「遺体」を総取りする事です。大切な「右腕」をあえて手放す事が、「遺体」の総取りに繋がるという確信と希望があったからこその行動だったのでしょう。奇しくも、シュガーが語っていた「全てをあえて差し出した者が、最後には真の全てを得る」を、敵である大統領も実行していたのです。「心臓」と「両耳」をH・Pに奪われ、「両脚」をジャイロ達に取られた今、もはや躊躇している猶予もない。アクセルに「右腕」を託すという大胆な決断に踏み切ったのです。
それでは何故、「右腕」を手放す事が「遺体」総取りに繋がるのか?これは恐らく、「遺体」同士が引き合う力を利用しようとしたのでしょう。「脊椎」が「左腕」や「右眼」と引き合い、空間移動現象を起こしたように。「右眼」を使って「心臓」を抜き取ったように。大統領は自分に残された「右腕」をエサとして、「遺体」を持つ者達を引き付けようと、そして、どこかに眠る「胴体」をも発見・入手しようと試みたのです。ヨセフの地図で「胴体」がゲティスバーグ付近にあると知っているであろう大統領は、そこにアクセルを向かわせたのでしょう。
とは言え、もちろんアクセルを完璧に信頼しての決断ではありません。むしろアクセルは踏み台です。下手すりゃブラックモアみたく横取りしようなどと企みかねませんからね。大統領は大統領でゲティスバーグに待機し、アクセルの様子をも部下にこっそり監視させていたと思われます。ジャイロ達がコースをかすかに外れた事も迅速に報告が来てましたし、所々に偵察用の部下を配置していたのかも。そして、アクセルとジャイロ達がゴミ捨て場に入った報告を受け、いよいよ大統領自身が乗り込んだのです。あとはコミックスを見ての通り。


3については推理の材料が乏しいので、何とも言えません。ただ少なくとも、清められて蘇るまでのアクセルは「遺体」に選ばれてすらいなかった様子でした。「遺体」が自分の肉体に入っていく事に驚いて感激してたくらいですからね。
そんなアクセルが「胴体」を発見するよりは、複数部の「遺体」を体内に宿しているH・Pが発見したっていう方が説得力はあるかと思います。ゲティスバーグ近郊で、H・Pが「遺体」の引力ゆえに「胴体」を見付け、何らかの試練も乗り超え、無事にGETしたという事にしときましょう。その後、アクセルに襲撃されたと。これは1の疑問にも関わって来ますね。


次に2の疑問について。ある意味、これが最も不思議で不可解な点です。作中での描写だけを見ると、何かから逃げるようにゲティスバーグの町に走り、目的があるかのようにゴミ捨て場の館へ入っていきました。ところが実際は、H・Pの発言を信じるならば、彼女自身、来るのは初めての場所だったのです。じゃあ、どうしてあの場所へ?たまたま逃げ込んだ先が、あのゴミ捨て場だったのでしょうか?
そうなのかもしれません。しかし、私は別の可能性も考えました。それは、先にも繰り返し述べた「遺体」同士の引力。H・Pは自分でも気付かぬうち、自然とあの場所へと引き付けられていたとすればどうでしょう?ゴミ捨て場に「右腕」を置いたまま、アクセルはH・Pを襲撃し、彼女をあそこに逃げ込ませたのです。だとしたら、あのゴミ捨て場はアクセルにとって有利な場所であると推測できます。あの場所でなら勝てるという絶対の自信がなければ、大統領から託された「右腕」を安置など出来ませんから。『シビル・ウォー』は古い建物ゴミが多い室内でこそ、最大限にスタンドのパワーを発揮できる特性があるのかも。能力の性質上、「過去」「捨てられた物」が多い場所の方が強くなりそうなイメージはあります。アクセルは事前に、あのゴミ捨て場を自分のフィールドとして選んでいたのです。


続いて1の疑問。先程も触れた通り、H・Pはゲティスバーグ近郊で「胴体」を手に入れ、その後、アクセルに襲われたものとして考えます。
アクセルはゲティスバーグとは縁深い男。彼の犯した「罪」によって、この町には悲劇が訪れたのですから。自分の「罪」を誰かにおっかぶせて清めたいと願うアクセルは、「罪」の原点であるゲティスバーグに配置されたのかもしれません。「罪」の意識が強い程、おっかぶせる「罪」の力もより強力になるのでしょう。リンゴォも自身の修行のために果樹園に配置されていたワケですし、彼がゲティスバーグ在住の刺客だとしてもそう不思議な事ではありません。
アクセルは大統領から命令と「右腕」を託されると、かつての自分のように見張りでもして、H・Pやジャイロ達が来る時を虎視眈々と狙っていたのでしょう。そして、最初に見付かったのがH・P。もし『シビル・ウォー』が建物内じゃないと発動できない(もしくは、屋外で発動するとパワーが著しく弱くなる)能力だとすると、あの晩、H・Pが泊まるはずだった宿(あるいは、どっかの小屋とか?)で襲ったのかもしれません。H・Pはそこで「捨てたもの」の攻撃を受け、水が弱点という事を教えられた末に脱出!そして「右腕」の引力に引かれるまま、ゲティスバーグのゴミ捨て場に知らず知らずのうちに逃げ込んでしまったのです。大統領やアクセルの思惑通り、ジャイロ達も「遺体」に引き寄せられて、H・Pを発見。まんまとおびき出されてしまいます。そして彼女を追い、同じようにアクセルの独壇場へ案内されてしまったと。
H・Pが逃げ回り、ジャイロ達がそれを追跡している時、当然アクセルもゴミ捨て場へと向かわねばなりません。でも、特に当てもなく逃走するH・Pとは違い、アクセルは真っ直ぐに向かって行ったため、結果的には先回りする事が出来たのです。


最後に5ですが、これはそう難しくありませんでした。ゴミ捨て場に逃げ込んだH・Pに、先回りしたアクセルの更なる攻撃。弟の記憶に襲われ、心を折られそうな彼女。シスター服に身を包んで神に祈り、とうとう「遺体」まで全て差し出して許しを乞います。そこへジャイロ達が乱入!流れとしては、こんな感じでしょう。
ここでついにH・Pの心は折られてしまうワケですが、ジョニィにあれこれ忠告をしています。「ジャイロを呼び戻したら2人とも死ぬ」「絶対に捨ててはいけない」「わたしやジャイロを助けに行ったら、必ず捨てなくてはならないハメに陥る」などと、今イチ抽象的なアドバイス。でも、あくまで彼女の真意はジョニィを逃がす事であり、つまりは「遺体」を敵の手に渡さない事なのです。「早く逃げるのよ」とも言ってますし。
要するに、敵が自分やジャイロに構っている隙に、「両脚」(と「脊椎」の一部)を持っているジョニィだけは逃がさなくてはという意味なんですね。意訳するならば、先のアドバイスは「2人で戦っても一網打尽にされるだけ」「絶対に「遺体」を手放してはいけない」「わたし達に構っていたら、必ず心を折られて「遺体」を奪われる事になる」ってトコでしょうか。捨ててしまった「過去」からは誰も逃れられないのだから、この敵と戦う事は考えず、この場からとにかく逃げろと。
それでも逃げる事なく立ち向かい、見事に敵を打ち破り、ジャイロとH・Pを救い出したジョニィ。彼の心がいかに生長したのかが、より実感できます。



疑問点の答えをまとめると、次のようになります。

1宿かどっかでアクセルの襲撃を受け、ゲティスバーグの町へ逃走。
2アクセルがゴミ捨て場に「右腕部」を置いていたため、「遺体」同士の引力で引き付けられた。
3「遺体」の引力ゆえか、H・Pが発見。弟の記憶に襲われて、「遺体」を差し出して許しを乞うた。
4「遺体」の引力を利用して「遺体」を総取りするため、アクセルに託した。
5この敵とは戦おうとするな。「遺体」を取られる前に逃げろ。

結局、ほとんど「遺体」の引力でこじつけられてしまいましたけど……。でも、私にはこれが精一杯でございます。まあ、自分なりにはけっこう納得しました。
「いや、それは違うんじゃね?」「もっといい案あるよ!」「こんなんどう?」という方がいらっしゃいましたら、ぜひ掲示板とかに書き込んで教えてください!




(2008年5月9日)




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