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飛呂彦の夏。原画展
~ ジョジョファンの青い珊瑚礁 ~






<2018年 8月24日(金)>の続き
原画展を堪能した後は、グッズの購入です。欲しい物はHPで事前にチェック済み。とは言え、私はあんまりグッズに執着がない人なので、複製原画と図録さえゲットできればとりあえずOKです。

今回の複製原画は、これまでと違って種類も豊富!東京展・大阪展のキー・ビジュアルの他、「岸辺露伴は動かない」2巻、「ジョジョ」41巻・56巻、8部「ジョジョリオン」1巻のカバーイラストもあります。さらに、「ジョジョの奇妙な名言集」カバーイラスト2つを組み合わせたプレミアム・カラーアートに加え、ラフ画が印刷されたドローイング・アートという物も初登場。このドローイング・アートは、1・3・5・8部と、8部連載スタート直後に新聞にも掲載された歴代8人のジョジョの集合ラフ画の計5種類。価格帯も色々で、自分の経済状況に合わせた買い物が可能になりました。
私は結局、東京展キー・ビジュアルと、ジョルノのドローイング・アートの2点を購入。「全部買わねーのかよ」と思われるかもしれませんが、全部買ったら50万近く掛かるんで、そこはさすがに吟味の必要があります。っていうか、本気で欲しけりゃ50万でも出しますけど、正直そんなに心が動かなかったんですよね。その原画展のために描き下ろされた作品か、よっぽどお気に入りの絵じゃないと、どうやら「迷わず買う」ってとこまでは行かないらしい。これは自分でも発見でした。
ちなみに、大阪展のキー・ビジュアルは大阪に行って買います。東京の物は東京で、大阪の物は大阪で。その方が想い出や愛着も深まりそうですから。

その他のグッズは、まず予定通り図録をゲット!あとは、記念メダルに根付ストラップコンプリートセット、定助・仗世文・吉良のミニ・フィギュア、それとオマケに缶バッジを2つだけ。友人へのお土産として、『キラークイーン』の御朱印帳と、『ピストルズ』のチャームも。まぁ、そんな程度です。



グッズ売り場




購入したグッズ



当然、グッズ売り場も大混雑でしたが、購入システムがなかなかうまい事できてたので、思っていたよりスムーズに買えました。
最初に見本を直にチェックして、欲しい物を決める。注文用紙を受け取り、列に並びながら記入。途中、注文用紙を係員に渡し、半券を受け取る。半券のカラーごとに異なる列に並び、その間に裏方で店員が注文の商品をまとめる。レジに着いたら半券を渡し、レジ係は同じナンバーの注文用紙の商品を持って来て会計。
……要は、待ってる間に商品を準備してくれるので、余計な時間を掛けずに済むって事です。それでもだいぶ待ちましたけど、間違いがないように1つ1つ確認しているのだから仕方ない。良いシステムですよ。





1回目の「ジョジョ展」、これにて無事終了!別にゆっくりしていたつもりも無いのに、すでに3時間以上経過していました。もうヤベーくらいクッタクタです。
そこで休憩がてら向かったのが、「メルセデス・ミー」。「ジョジョ展」とのコラボで、「メルセデス・ミー 東京(六本木)」が特別仕様にモデル・チェンジしているのです。しかも、施設内のカフェやレストランではコラボメニューもいただけちゃうと言う。重い荷物は美術館のコインロッカーに預け、いざ「メルセデス」へ。いつの間にか天気も回復しており、外はカンカン照りの猛暑。しかし、ちょっと歩けば着く距離にありました。
まず、外からでも目に付くのが、何と言ってもジョジョ仕様のウィンドウ・ラッピング。歴代ジョジョ8人が窓にデッカく写っており、見間違いようもなく「ジョジョ」です。光の反射やら逆光やらで見にくいけど、写真も撮って来ましたよ。



メルセデス・ミー


ジョナサン&ジョセフ


ジョルノ&徐倫


ジョニィ&定助


承太郎&仗助



店内には「ドドドカー」が展示されています。ベンツ C-Classの車体いっぱいに「ドドド」の擬音が描かれた、随分とまた高級な痛車。
この企画を知った時は、ぶっちゃけ「何じゃ、そりゃ」「安易だな~」としか思えませんでした(笑)。どうせやるなら、もっとこう……「走る荒木美術館」とでも言わんばかりの、荒木先生の絵の美しさを前面に押し出したデザインにすりゃいいのに。でも、実際に目の前にすると、意外にもカッコ良く見えちゃいました。ちょっと変則なゼブラ柄っぽくてオシャレ……か・も?



店内へ


ドドドカー




後ろから




背景も凝ってる




ミニ・ドドドカーまで





せっかく来たのだから、コラボメニューも注文しました。今日は1Fの「DOWNSTAIRS COFFEE」にて、「オラオラ・ラテ」「エメラルド・スプラッシュ・ソーダ」!飲み物オンリーだとキツいので、シフォンケーキも一緒に。どれも美味しくいただきました。オリジナル・コースターもゲットです。
それにしても、お店は大繁盛。ほぼジョジョファンで埋め尽くされております。店員さんも戸惑ったろうなぁ。本来、「ジョジョ」とは何の関係も接点も無いのにな(笑)。お疲れ様です。



大賑わい


コラボメニュー



中からだと


ジョジョ達が


よく見えるよ




コースター




裏側





コラボメニューで体力回復した後は、本屋で「UOMO」10月号を購入。表紙は荒木先生描き下ろしのブチャラティです!しかも、先生のインタビューまで載ってるんだから、もちろん買いでしょ。国立新美術館に戻って、まったりと読んでました。そして夕方4時過ぎ、2回目の「ジョジョ展」に参戦ッ!

今回は荒木先生の音声ガイドの内容をメモってみました。「会場内での写真・ビデオ撮影、録音、模写ならびに鉛筆以外の筆記用具の使用はご遠慮ください」「会場内での携帯電話の通話はご遠慮ください」という注意事項はありますが、「スマホのメモ機能を使っちゃダメ」とはどこにも書いていないので問題無し!実際、係員さんの目の前でメモっても、別に何も言われませんでしたし。
ただし、音声ガイドリストには「ナレーションの無断転載禁止」と書かれているので、メモった内容をそのまんまガッツリ書くワケにもいかなそう。残念ですが、ここには要点だけをサラッと書く事にしましょう。



いざ出陣


ガイドリスト



1. ウェルカムメッセージ
最初の荒木先生からのごあいさつの所にて。「原画にはライブ的な魅力があるので、それを体験していただけたら幸せです。」といった内容。基本、ごあいさつの文面とほぼ一緒ではあるけれど、やっぱり先生自らの声と言葉で聞くと全然違います。ハートが一発で鷲掴み!


2. 【 宿命の星 因縁の血 】
CHAPTER2は、主人公とラスボス(ライバル)についての展示です。「ジョジョ」が1つの血統の物語となった理由として、先祖の因縁で行動しなければいけない事が一番恐ろしい事と考えた」と先生からのコメント。
そして、主人公と言えば、初代のジョナサンの死はインパクト強烈でした。先生は、「たとえ死ぬとしても、仲間や子孫に何かを遺していけるのは敗北じゃない。ジョナサンの結末は編集部でも賛否両論だったけど、勇気を持って描いた。」と語っています。そう、「死」は決して終わりではないし、絶望なんかでもありません。自分の正義や信念を貫く事、大切な何かを追い求める事、誰かのために命を燃やす事。そんな風に生き、死ねたなら、紛れもなく幸福だし、その心は未来に繋がっていくのです。







3. 週刊少年ジャンプ 1989年 第36号
「ジョジョ」を代表し、象徴するかの如き男:空条承太郎。彼はクリント・イーストウッドのイメージで描かれているって事は、ファンならば周知の事実でしょう。さらに、「決めポーズはダーティハリーがマグナムを構えている時のイメージで、アゴのちょっと傾けた角度とか、手と顔の距離感に苦労した。」とも、先生は教えてくれました。
また……、当時、先生はエメラルド・グリーンが大好きで、「「なんてキレイな色なんだ!」と思って塗ってたのが想い出」らしいです。







4. 主人公とライバルの条件
常に孤独、それが荒木先生の思うヒーローの条件です。そして、主人公のみならず、悪役についても語ってくれています。「悪役は自由で、描いていて楽しい。「本来はこっちが正しいんじゃないか」っても思ったり。」との事。どこまでも利己的で、何が何でも生き抜こうとする姿勢。確かに「生物」としては、この上なく正しいと言えるかもしれません。
しかし、「ジョジョ」を30年描き続けてきた実感として、最終的に勝つのは正義だと思う。時間は掛かるけど認められていく、それがヒーロー。」と、先生は断言してくれました。


5. 【 スタンド使いはひかれ合う 】
ここはCHAPTER3のコンセプト解説オンリーで、荒木先生のコメントは無し。


6. 超能力を表現するには
波紋やスタンドという、独特の超能力表現が登場する「ジョジョ」。3部開始前、編集者から「波紋に代わる新しいアイディアが無いとダメだよ」と言われ、苦心の末に編み出したものがスタンド……という話は有名ですよね。
「絵というのは、目に見えないものを描けるアイテム。人間の悲しみや怒りも描ける。絵の面白さはそこ。」と語る先生が印象的でした。


7. ジャンプコミックス 第37巻 カバー用イラスト(1994年)
仗助は荒木先生の大のお気に入りキャラ。神話的な存在であった承太郎とは違い、日常を生きる身近な存在として描かれています。当時の少年漫画には「太い眉毛じゃないとダメ」という空気があったようですが、この仗助の頃あたりから意図的に眉を細く描いていたらしい。「今から見るとそんなでもないけど、すっごく細くしたな。でも、やって良かった。やらなかったら太い眉しか描けない漫画家になってたかも。」との事。
なお、先生が色を選択する時は、あらかじめ全部決定してから描くそうです。我々には奇抜な組み合わせに映っても、先生にとっては自然な配色なのです。







8. 【 JOJO's Design 】
CHAPTER4は、「絵」そのものの魅力に迫ります。リアリティを追求する荒木先生ですが、同時にファンタジーにもこだわっています。
「ポージングも、現実よりちょっと関節ひねったり。ファッションも、キャラクターの心を表現するような物を使ったり。色も、日常とは違う色にしたり。それが「ジョジョ」のデザインのテーマ。」と、先生の言葉。この「奇妙さ」が、観る者の心を捉えるのでしょう。


9. SPUR 2011年 10月号
まだまだ記憶に新しい、ファッション・ブランド「GUCCI」とのコラボ。ファッション誌「SPUR」の表紙を飾り、オールカラー作品も手掛けました。先生曰く、「ファッションはCOOL。少年漫画は熱血。」との事。対極に位置するため、さすがにコラボの話が来た時は驚いたようです。
しかし、独特な色使いをしてきたおかげか、相性が良かったと感じたらしく、「全部カラーってのは滅多にない仕事。華やかですごい楽しかった。」と振り返っていました。そして、これが後の「ブルガリ」や「バレンシアガ」とのコラボにも繋がっていったワケですね。







10. 【 ハイ・ヴォルテージ 】
ここはCHAPTER5のコンセプト解説オンリーで、荒木先生のコメントは無し。


11. 展覧会公式ビジュアル
今回の「ジョジョ展」のキー・ビジュアルは2枚1組。東京展の承太郎と、大阪展のDIOです。あらゆる意味で対照的な2枚になっていますが、先生にとって、善と悪ならこの2人だったようです。
フィレンツェのメディチ家礼拝堂にある彫刻を参考にしたというDIOのポージングについては、「すごく物思いに耽って「なんで負けたのかな~?」って考えているのかもしれないし、すごい哲学的な感じがある。」とコメントしていました。超越者DIOの、とても人間臭い一面ですね(笑)。石仮面の上に腕を乗せているところも気に入っているみたい。










12. 週刊少年ジャンプ 1999年 第11号
各部のラストバトルが展示されているCHAPTER5では、ジョルノの無駄無駄ラッシュも生で拝見できちゃいます。この凄まじい迫力と勢いのラッシュシーン、ほとんど先生1人で描かれているらしい。アシスタントは集中線とトーンくらいで、あとは全部1人。「1人弾き語りみたいなシンプルな世界」と、自身で表現していました。
よく「大変なんじゃない?」って訊かれるらしいのですが、実際はめっちゃ楽しんで描いているそう。「線とかもワーッてやってるだけだし、描いてる時も「ウォー!」って感じ。あっと言う間に出来る。だから、このシーンが来るのが待ち遠しい。締め切り最終日の最後のシーンに、時間的に最後の時に描くけど、描いてる私が「オラオラ」「無駄無駄」ですね。音楽もこれに近いの掛けて、ウワーッと描く。けっこうカタルシスがあって、いいんですよね。」と、本当に楽しさが滲み出ているコメントをされていました。







13. 【 映像展示作品 AURA 】
ここはCHAPTER6のコンセプト解説オンリーで、荒木先生のコメントは無し。


14. 【 新作大型原画 『裏切り者は常にいる』 】
CHAPTER7は、描き下ろしの超大作「裏切り者は常にいる」の展示。構想段階でインスピレーションを受けたレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」に関しては、「イエス・キリストを囲む12人の弟子達。その「12」という数字や、様々な思惑が渦巻く場面に感じるものがあった」らしい。12枚も描こうと考えて本当に描いちゃうのもスゴイし、ある意味「お祝い」の絵なのに「裏切り者」というテーマにしたのも意外性たっぷりでした。「謎」と「サスペンス」をこよなく愛する荒木先生だからこそ、ですね。
誰を描くかという選定基準は、見た目のシルエット。シルエットのバランスで自由に選んだ結果、ここは、物語上ではこの世を去ったキャラクターとも再会できる場になったのでした。


15. ファンタジーと日常との融合
「裏切り者は常にいる」制作時の想いも語ってくださいました。初めて描く実物大の絵は苦労の連続だったみたいですが、新しい世界に突入した感じがする。」とまで感じる程の鮮烈な体験にもなったようです。
また、観客と絵が一体になる事を目指して描かれた作品だけあって、描いている先生自身もそういう感覚に襲われたそう。「例えば、徐倫なんかは頭部の大きさが本当に女の子と同じくらいなので、描いてて筆で顔を撫でている時、本当に撫でてるような感覚になって愛情が湧いてくる。康穂のところに行くと、康穂も好きになる。そういう感覚が面白かった。」と、ちょっぴり照れ臭そうに話していました(笑)。


16. エピローグ ~30年の集大成と、これから
1つの作品を30年も描き続けていると、絵や作品から逆に学ぶ事・教えられる事があるそうです。「生命」や「物理」が、感覚として伝わってくるんだとか。「だから、今後も天変地異でもない限り、「ジョジョ」シリーズから離れて描くって事は無いと思う。全て、「それが荒木飛呂彦」とか「仕事はジョジョ」っていう感じで。」と、読者にとっては心底嬉しく安心する言葉で締めてくださいましたよ。
そして……、先生からの最後のごあいさつ
「原画展は30年の集大成で、ベスト・オブ・ベストを出させていただいてるので、素晴らしい体験をさせていただいて感謝しております。やはり絵の力、訴えるものが絵にはあると思います。そこを感じ取って、癒やされたり幸せになって帰ってもらえたら嬉しいです。 」



―― このように、充実しまくりの内容でした。昔から何度も話されている事もあれば、初めて耳にする事もありましたが……、どんな内容であれ、荒木先生自らの解説を聴きながら原画鑑賞が出来るという体験そのものが幸せです。この贅沢な体験がたった550円で手に入るんだから、これから行かれる方は絶対に借りるべきでしょう。むしろ「借りないでどーすんの?」ってぐらい。





続いて、「裏切り者は常にいる」のメイキング映像での、荒木先生の発言もざっくりまとめておきます。これまた、どこにも記録せずに忘れ去られてしまうのは、あまりにももったいない内容ですから。


12枚にリズムがあって、12枚だけど「全体」で描いているそうです。それによって、キャラの位置を変えたりもしたんだとか。
例えば、最初の案では定助は別の位置に描かれていたんですが、その位置だとリズムや流れが止まってしまうらしく、今の位置に変更になったのです。

ポーズ的に、徐倫の肘はお腹より前に見えるように描く。そういう部分がちゃんとなっていなければ、大きい絵だと耐えられないとの事です。確かに、そこが疎かだと、先生の狙いである「絵と観客の一体化」は実現できないんでしょうね。
肘だけじゃなく、お腹にしても脚にしても、立体感存在感を持って描かれている事が、実際に観ればよく分かると思います。そういう意味では、ブチャラティなんかが顕著。平面の絵なのに、奥行きが感じられるでしょ?

漫画の原稿用紙とは違い、今回はアートボードを立て掛けて描かれていました。重力があるから、インクも下に落ちてしまいます。そのため、ペン入れする時も、普段と同じ描き方では線すらマトモに引けない。普段とは逆に、下から上にペンを走らせる必要があった模様。
そんなところも含め、先生にとっても全てが未知なる体験です。大きな絵を描きたいといつも考えてはいたけど、本当に実現するとは……と、感慨に耽っているようでした。

大きい絵だと、色の塗りも要領がまったく違うようです。同じ色を大量に作っておかなきゃいけないし、色が紙にどう染み込むかも分かりません。カーズの肌を塗ったら絵の具が垂れて、思わず先生も「あっ!」と声を上げちゃってました(笑)。こんな事も、普段の漫画には無い事です。
そして、実物大の顔に色を塗ってると、メイクしてるみたいな気持ちになって愛情が湧くそう。腕とかも、筋肉を意識して塗るよう心掛けていました。自分が描いたキャラクター達に愛を持って接する先生の姿は、実に微笑ましく癒やされます。

背景は塗る面積が大きいので、観る人が疲れないよう、ギンギンな色彩にはしませんでした。
イメージとしては……、ヨーロッパの空と歴史、イタリアの古い石畳の街と青空。ただし、「ジョジョ」の場合は、あまり背景をリアルに描かないとの事。そうですね~。特に1枚絵の場合、背景は細かくリアルに描き込むというより、カラーの区切りとかデザインとして描かれる事が多い気がします。
なお、先生自身もおっしゃっていますが、背景色の濃さが絵によってまちまちだったりするのはご愛嬌(笑)。これもまたライブ感であり、そんな失敗も含めての「作品」なのです。

黄色とかはいいけど、は塗ってると乾く前に分離するらしい。混ざり合っていたはずの色が分離して、変な色合いになっちゃうのかな?『ソフト&ウェット』を指し示していたように見えましたが、緑っていうか水色なんですけどね。ちなみに、車みたいに4回くらい塗ったそうです。

ファンタジーの世界、スタンドの世界、現実の世界。3つの世界の境界が融合する。それこそが、大きい絵を描く意味なのだそう。
エプロン姿でメガネを掛けて寝癖ヘアーで、心から嬉しそうに楽しそうに、そして真剣に作品と向き合っていた荒木先生。望んでいた通り、3つの世界は間違いなく1つに融け合いました!そうお伝えしたいです。




そして、CHAPTER8では密葉さんと羽先生の「身上調査書」を再度じっくり確認。全部の項目をビッシリ埋めているものと思っていましたけど、意外と空欄も多かったですね。
個人的に「おっ!」と思った部分をここに書いておきましょう。どの項目の記載内容だったかは、ちょっと曖昧なところもあって正確じゃありませんけど、書かれている内容自体は確かです。


[ 密葉さん ]
 生年月日 / 乙女座
 血液型 / B型
 身長 / 172cm
 体重 / 55kg
 髪の色、瞳の色 / こげ茶、美しい
 声の質 / 美しい
 視力 / 良い
 セックス体験 / 常敏が初めての男性
 尊敬する人 / 安室奈美恵、アン・ハサウェイ
 恨んでいる人 / 東方家の誰かを憎んでいる?
 将来の夢 / 振り向いてほしい。かまってほしい。
 くせ / パンツの位置を直す
 人間関係・態度 / 秘密がある。
 家族関係・態度 / 家族を愛している。東方家からはよそ者扱い。
 トラブル関係 / 離婚経験は無し。
 ペット・植物 / ライコイ好き
 性格 / 金はあるだけ使う。人を品定めする。列に並ぶのが嫌い。
 特技・ワザ・能力 / ベクトル→
 趣味 / 80年代風

パンツの位置直しや金銭感覚欠如、人の品定めなんかは、作中でも描かれているため、「なるほど~」ってなりました。お婆ちゃんを無視してエレベーターを閉めちゃったのも、「列に並ぶのが嫌い」=待つのが嫌いな性格が表れていたってところでしょうか。
そして、やはり注目すべきは「東方家の誰かを憎んで」いて、「よそ者扱い」を受けているという点ですね。よそ者扱いされているから憎んでいるのか、憎んでいるから近付くためにあえて嫁に来たのか……。でも、家族を大事に想っている事は確かなようなので、前者なのかなぁ?その相手は、憲助さんが一番しっくり来る気はします。また、どんな「秘密」を抱えているのかも非常に気になります。
「ベクトル→」に関しては、彼女のスタンド能力がベクトル操作なのかもしれません。服にも矢印があるけど、それを言うなら常秀もそうだし。最近のインタビュー記事に、執筆途中の密葉さんのページがあって、そこにも「←ベクトル」の文字が書かれていましたが……、インタビューの中で「主人公とベクトルが同じ前向きな悪役を配置」って文章があったので、その説明の際に書かれた文字なのかなとも思ってました。でも、こりゃあどうやらマジに彼女の能力っぽい。「寂しさ」が能力の根源になっていそう。


[ 羽先生 ]
 身体的特徴 / パンチパーマなのにバリバリの直毛
 将来の夢 / 支配による幸福感
 恐怖 / 消滅
 人間関係・態度 / 「ロカカカ」「等価交換」の陰謀の中枢にいる。
 性格 / 救急車に乗るのが好き。嵐や災害でワクワク。
    感情なし、アンドロイドっぽい。道徳・善悪の概念は基準なし。
 食 / 海苔と水(ケイ素、シリコン)
 特技・ワザ・能力 / 骨に取り憑く
 その他 / 天然の気付いていないセクハラ

陰謀の中枢にいる「岩人間」である事が明確となりました。とは言え、多くの人が期待しているような「ラスボス」的存在ではないでしょう。そこまでの器には見えないし、発売したばっかの「UOMO」のインタビューですら「ラスボスがいるのか、自分でも分からない」的な発言をされていましたし(笑)。ただ、救急車の運転手ともども、超重要なキャラクターである事は間違いない。活躍を期待してます。
正直、今回「身上調査書」を拝見して最もビックラこいたのが、「骨に取り憑く」という部分でした。そうか~、アレは密葉さんの骨に取り憑いたっつー事だったのね。普段、使える機会もロクに無さそうな、ドえらいマニアックな能力だな。思い掛けず、まさかの場所で羽先生のスタンド能力を知ってしまったんですが、先生が「公開OK」と判断した情報だからこそ展示されているワケで。一切、問題はないのです。有り難く読ませていただきました。




2回目の「ジョジョ展」は、原画鑑賞そのものよりも情報収集メインになりました。初回の疲労がまだ残っているため、鑑賞も前半は割とさらっと流し、後半に力を注げるよう調整。おかげで、初回とはまったく違う楽しみ方を味わえたと思います。





<8月25日(土)>
朝9時頃にホテルをチェック・アウトし、今日も「ジョジョ展」へ。図録や雑誌など本関係が多いせいで、バッグが半端じゃなく重い。「3 FREEZE」を食らったみたいな状態となり、歩くだけでもダメージを受ける。東京駅のコインロッカーに荷物を預け、身軽になってから乃木坂に向かいました。
3回目の「ジョジョ展」は、10時からの回で参戦です。恐らく、東京ではこれが最後の「ジョジョ展」でしょう。すんごい名残惜しいし、いっそここに住みつきたいぐらいなんですが、このラスト1回を大切に鑑賞しましたよ。



今日も来たぜ


なかなかの行列



正直、3回目にしてようやく心の余裕が生まれ、全てをちゃんと真っ向から受け止め切って、受け入れ切れた気がします。初回も2回目も、なんか気持ちが浮ついていたり、変に気負ったりしてた部分があったので。さすがは30年もの歳月の集大成。そんな簡単に受け止められるほど軽くはないのです。それほどまでに、原画の持つパワーは、荒木先生が作品に込めた熱量は凄まじい。
さて、ここでもまたまた箇条書きで感想などを書いておこうと思います。


モノクロ原稿には、先生からアシスタントへの指示が事細かく記されています。先生の頭の中では「完成形」が最初からほぼ出来上がっているんだな、という事がよく分かりました。
ただ、時系列的に追って行くと、7部「SBR」が月刊連載になったあたりから指示の書き込みが一気に少なくなり、「ジョジョリオン」に至ってはほとんど無しといった感じ。原稿自体がかなりキレイです。月刊に移って執筆スタイルに変化があったのか、別の方法で指示をしているのか。そんな裏側も知りたくなりますね。


今更ではありますが、巨大パネルになってる「日本八景」フィレンツェルーヴルの原画は展示されておらず、そこは残念でした。どれもが想い出深い絵なので、もう一度会いたかったです。あのキラッキラな絵達を、最近ファンになった方々にも観てほしかったな。


「裏切り者は常にいる」が展示されているCHAPTER7には、休憩用の椅子が設けられています。しかも、巨大原画の真ん前に位置するため、休憩しながらでも遠目で絵が楽しめるという寸法。観る位置や距離でも、絵の見え方や印象は変わってくるものです。
そうやって前半戦での疲れをしっかり癒やした後……、めっちゃ接近して、線の1本1本、色の1つ1つに至るまで注目し、丹念に鑑賞したのでした。メイキング映像でも触れていたような、重力によって絵の具が垂れちゃってる箇所も、確かにいくつか発見できました。そんな痕跡を眺め、先生の苦楽にまた想いを馳せました。
個人的にはやっぱり、この超大作の衝撃が「ジョジョ展」の中で最強の体験でしたね。もしネット上の画像で事前に見てしまったとしても、何の支障も心配も無いですよ。絶対、感動間違い無しです。原画ってのは、直に生で観てこその原画なんですから。


細かい所にもこだわりがあって、注意書きやレストルーム、グッズ売り場のピクトグラムが「ジョジョ」にちなんだ形になっていたりします。また、出口には「TO BE CONTINUED OSAKA」の矢印も。
そういうディテールが「ジョジョ展」という世界観を作ってくれるし、こちらもニヤリと出来るんですよね。


客層としましては、毎度の如く非常に幅広く、性別・年齢・国籍問わずでした。
10代・20代と思しき若い方達がかなり多かったけど、私のようなおっさん世代も、もうちょい上の年代の方も負けじと大勢います。男女比も半々か、ヘタしたら女性の方が多いくらいの印象。アジア人の方や、白人の方も見掛けました。こんなにも多種多様なファン層に恵まれた作品って珍しいのかもしれませんね。5部のアニメ化で、さらに新規ファンを獲得できそうだし、こういった現状は喜ばしい限りです。


徐倫や康穂をモチーフにしたヘアースタイルやファッションの女の子がいて、それはとっても可愛らしかったんですが……、なんとペッシとプロシュート兄貴のガチコスプレをしたお父さんとお子さんまでいました(笑)。分かる人には分かるっていうさりげなさなら全然良いけど、ここまでガチガチゴリゴリのコスプレって大丈夫なのか?そういうイベントじゃないし、さすがに美術館でそれはマズいんじゃね?むしろ見てるこっちが心配になりました。
コスプレだけでなく、鑑賞マナーも同様。TPOを弁えた言動を心掛けないと、当人に悪気が無くてもいろんな人に迷惑を掛けちゃったりする事もあるんで。みんなが楽しい想い出を持って帰れるように、1人1人が気を付けていきたいですね。




後ろ髪を引かれる思いで会場を後にします。気付けば4時間以上経っていて、とっくにお昼。というワケで、今日も「メルセデス・ミー」でコラボ飯!
やはり大混雑でしたが、2Fのレストラン「UPSTAIRS」にて「イタリア産イカスミのペスカトーラ ~ブラック・サバス風~」「パイナップルとマンゴーのトロピカルパフェ ~ゴールド・エクスペリエンス風~」を注文しました。飲み物は、特製のジンジャーエールです。どれも美味しいけど、ペスカトーラが特に好み。真っ黒なパスタをズビズバーっと食べ進めていくと、中からエビや貝などの海の幸が姿を現し、その濃厚な旨味に病みつきになりました。オリジナル・ペーパーランチョンマットもゲットだぜ。



また来たよ



中から見た



ジョジョ達の


残りの4人も


ペスカトーラ



出ました!


パフェ


ランチョンマット



裏は白紙です





―― かくして、私の2018年「ジョジョ展」 in 東京は幕を下ろしたのでした。
原画と対面する時はいつも感動がありますが、今回も本当に素晴らしかった。幸せな時間でした。荒木先生はいつだって、人間の善性と可能性をまっすぐに信じています。それを描き出し、表現する事をずっと貫いています。「ジョジョ展」は、その1つの証であり、まさしく集大成でもあるのです。私達1人1人に、困難を克服する強さがある。「ジョジョ」という「人間讃歌」を愛する者として、自分の力を信じ、少しでも良い方向に人生の歩みを進めて行こうと思いました。
荒木先生、関係者の皆様、そしてファンの同士の皆様に感謝いたします。さあ、下りた幕が再び開くのは次なる大阪展!そちらも楽しみにしています!



飛呂彦の夏。原画展

完




(2018年9月15日)




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