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管理人 長崎へ行く
~ ザ・ワンダー・オブ・K ~






<2020年 2月9日(日)>
今日も朝から「ジョジョ展」です。長崎県美術館に着いたのが、開館40分ほど前の9時20分頃。ちょっと遅くなっちゃったかな?ところが、それでも並んでいる人は1人もおらず。
別にそんな気合い入った時間でもないのに、期せずして私が先頭になってしまいました。やっぱ東京や大阪とは違い、ゆったりまったりした空気なんですね~。人はだんだんだんだんと増え始め、開館の頃にはそこそこの行列が出来ていました。



今日も晴天


誰もいねえ!


列が出来たよ


先頭で誘導される



そして、2回目の「ジョジョ展」スタート!私が一番乗り!今回は音声ガイドを中心に攻めました。荒木先生のお言葉を、本当に一言一句漏らさずにそのまま書き留めてみました。今までは、発言のおおまかな内容をメモってた程度だったんで。これだけでもかなりの時間と労力を使っちゃいましたけど、やって良かったです。ニュアンスの伝わり方の微妙な違いなんかもあって、気付く事も色々ありましたよ。
ちなみに、長崎・金沢展で追加録音された先生のコメントは無し。ただ、喜びのコメントを、ナビゲーターの方が代わりに読み上げる箇所はありました。「ジョジョニクル」にも書かれてはいますが、「共に深い歴史文化と特別な地域環境を持つ2つの都市、そしてどちらも傑作建築物である美術館の素晴らしいスペースの中に「ジョジョ」の原画が参上できるという事は、本当に光栄で最上の喜びです。」との事です。



一番乗り




ガイドリスト



では、今回も感想などを箇条書きで書いていきましょう。


せっかく先頭で入場できたので、まず真っ先にキー・ビジュアルの元へと急ぎました。そして、しばらくの間、私だけがこの空間を独り占め。心ゆくまで生キー・ビジュアルを堪能します。ホントに魅力的な絵ですよ。今、この原画と向き合っているのは、この世でたった俺1人!これ以上の贅沢ってあるかな?
それにしても、よく観れば観るほど、人物と背景の厚みが違う気がします。背景の方が厚くなってる気がする。背景色を吹き掛ける際、めっちゃ入念に塗りたくったとか?この絵をどのようにして描き、塗ったのか、非常に興味深いです。「ジョジョニクル」でその断片を窺う事は出来るものの、「裏切り者」みたいに映像でも見てみたかった。








ふと、「裏切り者は常にいる」の絵の中の光源が気になりました。影のでき方を見た感じ、どこに光源があるのか分かりにくかったんですよね。
向かって右側に光が当たってる絵が多いから、右端のカーズよりももっと右の上空に太陽があるんだろうか?でも、定助の影のでき方は逆になってる。もしかして、『D4C』自体も発光したりしてるんだろうか?……などと、あれこれ考えました。でも結局、実際の会場のスポットライトこそが光源なのかもしれませんね。それも含めて、世界が1つになってる絵なのかも。


「裏切り者は常にいる」のコーナーに展示されていた、謎のラフスケッチ2点。ひょっとして、これは「裏切り者」じゃなく、東京・大阪展のキー・ビジュアルのポーズ案なのでは?承太郎とDIOだとすれば、その方が自然かもしれません。
……と思いきや、「裏切り者」メイキング映像を注意深く見てみると、このラフ2点もしっかり映っていました。ああ~、じゃあやっぱし「裏切り者」なのか~。






「岸辺露伴 グッチへ行く」「徐倫、GUCCIで飛ぶ」の原画、いつ観ても、何度観ても、本当に美しい。
毎回言ってるような気もしますが、特にこの2点が大好きなんです。ぜひ複製原画で売ってほしいのに、この夢が叶う日はいつなのか?








気付けばお客さんもかなり増えて、すっかり満員御礼。嬉しい事だけど、原画は見づらくなっちゃいました。仕方ない。モノクロ原稿は程々にして、今回はカラー原画の鑑賞に注力しよう。
そして、今日も「椛島勝一展」を見て、「ジョジョロード」へ。人が多い時間だからなのか、チェーンポールの柵がありました。それと、グッズもちょっぴり買い足し。福砂屋とのコラボカステラとかね。



柵がある


賑わってるね



2階渡り廊下にはカフェもありまして、なんと数量限定でロマノフが販売中ッ!その名も「長崎県産 いちごのロマノフ」!さらにカモミールティーも注文し、「ジョジョリオン」でおなじみ豆銑礼さんセットにしました。ロマノフは、濃厚だけど決してしつこくない甘さのクリーム、甘酸っぱくフレッシュないちご、そして味変にほろ苦いコーヒーソースも付いてきて、実に美味しかったです。すっきりとした爽やかな味わいのカモミールティーもよく合う。窓から水路を見下ろせるロケーションもグッドでした。
1階の売店隣りには情報コーナーってのもあり、「ジョジョ」を初めとする荒木作品の単行本や、荒木先生と椛島勝一氏の画集などが並んでいます。この度の原画展で初めて興味を持ってくれた方々へのフォローも万全。好きなだけ読み漁り、どっぷりハマッて帰ってほしいものです。



渡り廊下カフェ


礼さんセット


カフェからの眺め


情報コーナー





もうすっかりお昼時。美術館を出て、すぐそばの出島ワーフを歩きます。様々な飲食店やショップが建ち並ぶ、海辺のスポット。妙に心惹かれたウニ丼を食べました。
腹ごしらえが済むと、出島へGO!出島と言っても、もちろん本物ではなく、出島和蘭商館跡に復元されたもの。思いっきり街中です。誰もがイメージする扇状の島ではありませんが、それでも当時の雰囲気を体験できる貴重な場所。日本が鎖国していた頃は、ここが外国との窓口になってたんですね。
その後は、歩いて眼鏡橋へ向かいました。2連アーチ状の橋で、水面に映る姿と合わせると、まるでメガネのように見える。そんな有名な観光スポットです。まだランタンがゴテゴテ飾り付けられていて、ちょっと風情は薄めだけど(笑)。
眼鏡橋の近くには、コスメショップの「てふてふ」があります。「ジョジョニクル」でも紹介され、今は「ジョジョ」にちなんだセット商品も販売している模様。「ジョジョ」と長崎が歩み寄り、互いに手を組み合う。長崎の人達にも「ジョジョ」が広く知られ、「ジョジョ」のファンは長崎を楽しんでお金を使う。まさにWin-Winですね。これぞコラボの正しい形!ただ、女性のためのお店におっさん1人で入るのはハードルが高く、外から眺めるだけにしときました(笑)。



出島ワーフ


おっ


ウニ丼


出島への橋


出島!


お江戸チック


レトロな街並み


カピタン部屋


眼鏡橋へ歩く


観光客も多い


眼鏡橋


橋からの眺め



そうこうしてるうちに夕方になり、再び長崎県美術館へと逆戻り。そう、3回目の「ジョジョ展」です。例によって、チケットを3枚買っていたのです。



また来たよ


演奏やってた


行くぜ!


垂れ幕裏側1


垂れ幕裏側2



ラストとなるこの回は、もう深く考えず、お気楽お気軽に観て回りました。初回同様、やっぱり夕方の時間帯は人も少なく、ゆっくりと静かに鑑賞するには最適。何度観ても、原画ってのは良いものです。この世界で唯一無二の「本物」がそこに在る。荒木先生が魂を込めて描き出した「世界」がそこに在る。この感動よ。金沢展もあるとは言え、これで終わりかと思うと寂しい。ずっと居たかったですね。
そんじゃあ、またまた感想等を箇条書きで記していきましょうか。


「ジョジョリオン」21巻カバーイラストと、ウルジャン8月号(2019年)の表紙イラスト。この度、初展示の連作です。水色、グレー、ピンクの組み合わせが美しい。
その隣には「SBR」19巻カバーイラストがありました。改めて見るに、これらの絵はカラーリング的に同じ系譜と言えるのかもしれません。









同じ系譜と言えば……、今更ながら、2016年に描かれた仗助&康一くんと定助&康穂の桜舞う連作は、「土浦桜くらべ展覧会」の系譜の絵なんですねぇ。
春真っ盛りの土浦にて行われた、「桜」をテーマにした芸術作品が一堂に会し、見比べて楽しめるという展覧会。荒木先生の作品も、2007年から4年連続で展示された事がありました。桜の花びらとジョルノを描く『黄金の風』、川端康成氏の短編小説集のカバーにもなった『伊豆の踊り子』、ウルジャン4月号(2009年)の表紙を飾ったルーシーを抱くジャイロの絵『STEEL BALL RUN』。これら3点の絵が展示されたワケですが、『黄金の風』『伊豆の踊り子』と、今回展示された桜連作は共通点が多い。構図にしても、カラーにしてもね。
実は、生まれて初めて私が荒木先生の原画と出逢えたのが、2008年のこの展覧会でした。当時は原画を鑑賞できる機会など滅多に無かったし、あまりの圧倒的鮮やかさに心底感激したもんです。そんな大切な想い出も蘇りましたよ。今は原画展が続いてて恵まれているけど、あの頃の新鮮な気持ちも失いたくないなぁ。いつかまた、桜をくらべられる日が訪れる事を祈ります。








生原稿を見れば分かりますが、たった1ページに込められた情報量が凄まじい。本当にまっさらな状態から1話完成するまでの流れを丸々、通しで見てみたいです。



また日が暮れるまで鑑賞してたら、お客さんの姿はますます減少。「ジョジョロード」まで私が独占しちゃいました。いやぁ~、楽しかった!つくづく、最高の原画展でした。
夜ごはんは、ちょいと歩いて「ツル茶ん」という喫茶店で。これまた「ジョジョニクル」でも紹介されているお店なんですが、なんでも、長崎で一番古い喫茶店なんだとか。名物のトルコライス食べるミルクセーキを注文。どっちも美味しかった!特に、アイス好きの私にとっては、しゃりしゃりのシャーベット状ミルクセーキは大ヒット。でも、けっこう量が多いので、少食の人にはハーフサイズがオススメです。店内も、古き良き喫茶店って感じで落ち着くんですよ。



無人ジョジョロード


さらば「ジョジョ展」


萌え路面電車


夜の街を歩く


鍛冶市通り


ツル茶ん


トルコライス




ミルクセーキ





<2月10日(月)>
本日、長崎県美術館は休館日。当然、「ジョジョ展」もお休みです。なので、今日は純粋なる観光デー。相変わらず天気も良好!
まずはオランダ坂へ。長崎はとにかく坂が多い、立体的な斜面都市なんですが、この坂は旅情があって良い坂です。孔子廟にも寄ってみました。しかし、ランタンフェスティバルは昨夜をもって終了。ここもランタンの撤去作業の真っ最中だったため、ムードがイマイチ(笑)。なんか気が乗らず、入場まではしませんでした。
そこからグラバー園を目指します。さらに少し歩くと、斜め移動式のエレベーターがありました。それに乗って坂の上へ。ナポリで乗ったフニコラーレを思い出すね。ほんの3ヶ月ほど前に行って来たばっかだし。昇った先からは長崎の町を一望でき、まさしく絶景。空高く舞うトンビの鳴き声も響き、なんとも気持ちが良い。でも、目指すグラバー園はもっと上にあるのです。今度は普通の垂直移動式のエレベーターに乗って上昇。ようやく着いたそこがグラバー園。ろくに調べてなかったから、こんなに高い場所にあるとは驚きでした。



オランダ坂へ


オランダ坂




孔子廟




スゲー急な坂




斜めエレベーター




町を望む


ネコ達


垂直エレベーター


良い眺め


グラバー園到着



グラバー園とは、幕末・明治の頃のイギリス人貿易商達が暮らした邸宅などを見学できる人気スポット。レトロ西洋風で、気品があってイイ感じ。
園内にある喫茶店「自由亭」で、カステラとコーヒーをいただきました。本場のカステラ、大変美味しゅうございました。それと、世界遺産にも登録されている旧グラバー住宅は、現存する日本最古の木造洋風建築物らしいのですが、あいにくと2021年3月まで修理中。とは言え、これはこれで、逆に貴重な状態を拝見できたって事です。
そして、長崎伝統芸能館を通って、おみやげを適当に物色し、グラバー園を出たのでした。



グラバー園内




自由亭




店は2階


店内




カステラ




旧グラバー住宅へ




今は修理中




また来たい


もう咲いてる




さらば、グラバー園





日本最古の現存キリスト教会であり、世界遺産でもある大浦天主堂を外から眺めた後は、なんとなく気になった細い路地に入ってみました。立派なお墓が並んでおり、さらに上へと続く路地を進んでみると、そこは祈念坂。いかにもご利益がありそうなネーミングなので、荒木先生の健康の維持と創作の発展、ついでに自分の健康も祈りながら登りました。
観光客どころか、人っ子1人いない静かな坂。そこから町を眺めると、長崎という町の喧噪の裏側に潜り込めたような、そんなメロウな気分にも浸れます。



園から出た


大浦天主堂


気になる路地


祈念坂




登る


静かな世界





元来た場所に戻って、いろんなお店の建ち並ぶグラバー通りに。「ジョジョニクル」で紹介されていた「祈りの丘 絵本美術館」を発見。ツタに覆われた洋館で、独特な雰囲気を放っています。興味を惹かれる外観なんですが、残念ながら月曜日は休館日。
そして海辺に出て、長崎水辺の森公園を歩きます。肌に冷たく吹く潮風がむしろ快適で、トンビの大群もその風に乗って悠然と飛び交っていました。歩を進めていると、やがて長崎県美術館の裏手に。そこに立っていたのは、スタンドのようなデザインの謎の巨大ブロンズ像。クラッカー・ヴォレイを持った『ミラグロマン』……とでも例えれば良いでしょうか?顔と胴体にポッカリ空いた穴、浮かぶ2つの球体、実に奇妙な姿です。この像、「ガラのニュートン」というタイトルのダリの作品らしい。へぇ~、どうりで。思い掛けず、イカしたヤツに出逢えたな。



グラバー通り


絵本美術館


クルーズ船もいる


海辺の公園


憩いの場


トンビ達




美術館裏




誰?


ダリ


KVを見上げる







お昼になったので、パフェとグラタン専門店「ハワイ」に行ってみました。とっても美味しい上に、「ジョジョ」にちなんだパフェも食べられるという情報を見付けたので。……ところが、ここで痛恨のミス。月曜は定休日だったのです。もっと基本的な情報を押さえておくべきだった……!それじゃあ、「ジョジョニクル」にも載ってた「シシリア」ってお店に行って、ドリアを食べよっかな。そう思って調べてみたら、なんとここも月曜定休!マジか……。長崎って、月曜休みの所が多いのね。
仕方ない。ちょうど中華街も近いから、そこでランチにしよう。最初に目に入った「京華園」というお店に決め、長崎ちゃんぽん、鶏肉とカシューナッツの炒め物、餃子を注文。すごい美味しかったです。やっと本場のちゃんぽん食えたなー。優しい旨味だった。結果オーライで満足満腹。



ハワイ休み


中華街へ


京華園


ちゃんぽん


んまっ



エネルギーも補給したところで、次に向かうは諏訪神社。特別対談会の日に荒木先生が参拝に来られていた、という目撃情報があった場所だからです。今行ったって先生はいるワケもないんですが、それでも先生の面影を追い駆けてしまうのがファンの習性。
神社はかなり遠そうなんで、路面電車に乗って行きました。初めての乗車。外から眺めてるといっつも満員だったんで、あんまり乗りたいとも思わなかったんですけど、幸いにも空いてました。いざ乗ってしまえばメチャ便利。料金も、乗車区間に関係なく1回130円というお手軽さ。ちなみに、車内には「ジョジョ展」の広告ポスターもあって、ちょっと嬉しくなりました。ここに限らず、人が集まる場所にけっこう貼られてて、長崎の本気を見たぜ。






初めての乗車


広告ポスター



諏訪神社に到着。立派な鳥居がいくつも並び、階段もものすごく長~~い。境内まで登るのは一苦労でした。
拝殿にお参りし、広い境内をあちこち散策。空気が清い。公園的な広場には、月見茶屋もあります。うどんやぼたもちが有名なのですが、いかんせん、さっきたらふく食ったばっかだからね。いつかまた訪れた時にいただく事にします。



諏訪神社




階段が続く




割と怖い


振り返る




拝殿


さざれ石


広場


月見茶屋



神社からは、長崎駅へと歩きます。駅でおみやげを買い、一旦ホテルに戻りました。さすがに疲れたので、ひと休み。
……夜7時過ぎ、私は再び長崎駅にやって来ました。稲佐山からの長崎の夜景を見に行くためです。山頂を行き来するロープウェーの乗り場までは、無料送迎バスも走っています。バスは予約が必要なので、忘れないように気を付けましょう。ロープウェー乗り場でチケットを買い、5~6分ほどの宙の旅で山頂へ。ライトアップされた廊下を通り抜け、展望台に到着。屋上からの眺めが素晴らしかった!なんでも長崎は、香港・モナコと並んで「新・世界3大夜景」にも選ばれたとか。その称号に相応しい、煌めく光の渦が眼下に展開されていました。
あっと言う間に、帰りのバスの時間。夜景をちょっと眺めていたら、すぐにタイムアップです。もっとゆっくりしたかったけど、無料なんだし、こんなもんでしょう。でも、長崎最後の夜をしっとりアダルティーに締め括れました。



無料送迎バス


チケット売り場


ロープウェー


光る回廊


展望台


屋上へ


長崎の夜景1


長崎の夜景2


長崎の夜景3


長崎の夜景4





<2月11日(火)>
早いもので、今回の旅も今日が最終日。いろんな想い出をくれた長崎ともお別れです。いい町だったな。また来る時があったら、よろしく!
長崎空港から飛び立ち、羽田空港に到着。あとは家路につくだけ……なんて事は無く、ちゃんと予定通り行って来ましたよ!「東京2020公式アートポスター展」を観るために、東京都現代美術館へ!空港からモノレールで浜松町に移動、そこから地下鉄に乗って清澄白河で降り、ちょいと歩けば美術館ってルートです。
美術館前には、何故か長蛇の列。一瞬焦ったものの、ポスター展のみ鑑賞する人は並ばずに入場できる様子。何の行列だったのかは知らないけど、きっと素敵なイベントが催されていたのでしょう。そんな人々を横目に入場すると、もうそこがポスター展会場。つまり、どこかの部屋ではなく、廊下に展示されているワケです。そのせいで、ガラス張りのポスターに日光がモロ当たって反射しまくり、とにかく見づらい(笑)。それは難点ですが、より多くの人の目に触れる事が狙いなら理解は出来るし、しょうがないか。



着いた!




アート!




美術館


入場!




ポスター展





我らが荒木先生の作品は、ずっと奥の方にありました。随分とジらしてくれるぜ。先生の作品の名は「神奈川沖浪裏上空」。葛飾北斎の名画「神奈川沖浪裏」をモチーフとした、神々しくも、人間の力強さを感じさせてくれる絵です。初めて見た瞬間に心奪われた1枚ですが、こうして直に大きなポスターとして見ると、迫力と存在感がまるで違う。Web上の画像では分からない、先生の筆遣いなども見えてくるのです。生命力に溢れてて、本当に美しい。このポスター欲しいなぁ~。原画もいつか観てみたいよなぁ~。
やはり荒木ファンもけっこう来ているようで、ポスターの前で感動の声を漏らす人もいれば、うっとりと見つめる人もいました。また、この絵が目当てではなくても、「わぁ、キレイ~」とか「あっ、「ジョジョ」だ」とか心に引っ掛かって足を止める人も多く、私としても嬉しい限り。ひときわ強い引力を持った絵なんだと思います。



奥に進むと




あった!



ではでは、せっかくなので、ここでも感想をいくつか書いておきましょう。


「スポーツの神々」とされる2人の人物。彼らは後ろ姿が描かれ、その顔は誰にも見えません。
後ろ姿ゆえのスピード感や疾走感……というだけでなく、顔が固定されないからこそ、そこに「見た人の心」を投影しやすくなっているのです。「あのキャラ」かもしれない。「あの人」かもしれない。「わたし」かもしれない。身体のハンデや荒巻く波も物ともせずに突き進む、どこまでも真っ直ぐな姿。そこに誰もが、自分を重ねやすくなっているのです。困難に立ち向かう勇気をもらえる絵ですね。


この絵にはスタンドなどのアイコンがあちこちにちりばめられています。『ザ・ワールド』に『ゴールド・E』、『キラークイーン』、『ソフト&ウェット』、果ては「石仮面」!『エアロスミス』に至っては、そのまんま登場している始末!遊び心でもあるんでしょうけど、きっとこれらは、「お守り」 「守り神」なんだろうと思います。オリンピック・パラリンピックが成功するようにという、荒木先生からのエールであり、祈りでもあるんでしょう。
ちなみに、この絵の『エアロスミス』には、機銃や爆弾が描かれていません。それもそのはず。この絵は、破壊や暴力なんかじゃなく、「平和」の祭典のために描かれたのですから。


雲の荒波は、まるで固体のように、生物のようにデザインされて描かれています。個人的に、この波の質感が一番好きなポイント。
エネルギッシュ&ダイナミック。浮世絵チックで、荒木先生の描く「和」に魅せられました。


ハチミツ色の富士山を中心に据え、雲は雨を降らせ、雨は下界の海となり、海は荒巻く雲海に繋がり、そうやって巡り巡る構図になっているのも面白いですね。
カラーリング的に見ても、空と海が同じ紫で、雲海はピンクとブルーの2色で塗られています。このブルーが、海と雲海の橋渡しになっているというか、それぞれの境界が溶け合い循環する奇妙な浮遊感を生み出しているワケです。




―― こうして、荒木先生の素晴らしい絵にまたもや魅了され、心を満たしたところで帰宅の途に就きました。旅行の際はいつも「和の守り」を身に付けているんですが、そのおかげもあって今回も無事に帰れたよ!
こんな具合に、楽しく充実した旅をする事が出来たのでありました。当然のことですが、あえて ―― 荒木飛呂彦先生と椛島良介氏、そして椛島勝一氏に特に感謝の意を表します。先生と椛島一族を繋ぐ「縁」によってこの長崎展は実現し、それがまた新たな「縁」となって、荒木ファンと長崎の町を引き合わせてくれました。今回の私の旅も、その「縁」なくしては存在しないものでした。
次は金沢展ッ!……と言いたいところではあるんですが、正直、どうなるか読めません。長崎に旅立ってからこのレポートを書き上げるまでの間にも、新型コロナウイルスの被害は世界中で拡大し続けており、外出やイベントの自粛・制限も始まっている状況です。事実、長崎展も3月2日(月)~24日(火)の期間、高校生以下の入場が規制されています。( 3月23日、残念ながら、この規制が会期終了後まで延長される事が発表されました。) オリンピックやパラリンピックの開催すら危ぶまれている中で、金沢展が予定通りに開催される保証はありません。延期か中止になる可能性だってあるでしょう。いや……、たとえ開催されたとして、みんなが気兼ねなく楽しめるかどうかも怪しいもんです。ただ、今は1人1人が用心と予防に努め、事態の収束を願うほかありません。自分の、みなさんの、そして荒木先生の健康を祈っています。きっと、金沢の空の下で逢いましょう!






管理人 長崎へ行く

完




(2020年3月11日)




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