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ここに書いているのは、スタンドの個人的な解釈に過ぎません。
原作の設定・描写をベースに、
勝手に考察・妄想しただけのものです。
正確な公式データが欲しいという方には何の役にも立ちませんので悪しからず。




シルバー・チャリオッツ (銀の戦車) / 本体: ジャン・ピエール・ポルナレフ
< 「闘志」を燃やすほど強くなる能力 >




7番目のタロット「戦車 (THE CHARIOT)」のカードの暗示を持つ。
カードには、2頭の虎らしき動物が引く戦車と、それに乗った戦士の姿が描かれている。戦士が纏っている鎧には、「射手座」のシンボルらしきマークも刻まれている。射手座=人馬宮は、「決断力」「陽気」「率直さ」などを表す。(射手座はJ・P・ポルナレフの星座でもある。)
また、射手座は人馬宮の名の通り、弓矢を持ったケンタウロスに見立てた星座である。ケンタウロスが持つ「人」と「獣」の2つの面のように、「理性」と「本能」といった精神の二面性をも示している。(作中では、ポルナレフも「頭と下半身がハッキリ分離している」と評されていた。)カードに描かれた2頭の虎も、それぞれ「理性」「本能」を意味し、戦車を駆る戦士がその両者を巧みにコントロールしているのだ。
このように、「感情の克服」「自立心」「開拓精神」「努力」「侵略」「勝利」などを象徴するカードなのである。




<特徴>
@生まれついてのスタンド能力である。


A銀色に輝く甲冑を身に纏い、レイピアを持った、騎士のようなヴィジョン。
甲冑を脱ぐと、細身でひ弱そうな黒ずんだ姿になる。後述するが、むしろこの姿こそが本来のヴィジョンと言える。


B射程2m程の近距離パワー型スタンド
とは言え……、純粋なパワーは弱く、持ち味はむしろスピード剣による攻撃にこそある。その剣さばきは、攻撃しながら彫刻を彫ってしまえるほどの正確さ・繊細さを誇る。


Cラッシュの掛け声は、「ホラホラ」又は「あまいあまい」(ほとんど使われなかったが)。


D眼球らしき部位はあるものの、スタンド自体に視覚はないようだ。あるいは、視覚は有しているが、本体とリンクしていないという事なのかもしれない。


Eアレッシーの『セト神』と戦った時には、『シルバー・チャリオッツ』も本体:J・P・ポルナレフともども幼児化している。
当然、少年サイズに小さくなってはいたが、ヴィジョン自体に大幅な違いはなかった。ただ、幼少期のポルナレフは、スタンドを完全には制御し切れていなかったのか、勝手に「パミーッ」という鳴き声を上げていた。


F第5部での再登場時には、本体同様、スタンドもボロボロに傷付いたヴィジョンに変化している。戦闘者としては再起不能の状態であった。
しかし、『矢』の力によって、スタンドを超えた存在『チャリオッツ・レクイエム』へと進化を遂げる事となる。




<能力>
「闘志」を燃やすほど強くなる能力



@「スタンド」とは基本的に、本体の「生命」や「精神(魂)」のエネルギーから生まれる「スタンドパワー」によって形作られ、強い「意志」や「感情」のエネルギーによってコントロールするものである。そのスタンドパワーは、本体の持つ才能・個性・欲望に最も適したバランスで、スタンドの「ヴィジョン」、「基本スペック」、「能力」にそれぞれ振り分けられる事になり、そうして1つのスタンドとして顕現する。
その時々の感情やテンションによって、スタンドの「基本スペック」が多少強弱する事はあるものの、劇的な変化が起こる事は稀である。あくまでプラスアルファの要素でしかない。それに対して『シルバー・チャリオッツ』の能力は、本体:J・P・ポルナレフが心に抱く「闘志」「戦意」のエネルギー(即ち、「意志」や「感情」のエネルギー)をスタンドパワーに直接変換する事が可能なのだ。


Aポルナレフの「闘志」「戦意」を変換して生成されたスタンドパワーは、『シルバー・チャリオッツ』の「ヴィジョン」と「基本スペック」へと振り分けられ、上乗せされる。その振り分け方は、ポルナレフ自身の「感情」のコントロール状態に応じて変化する。
『シルバー・チャリオッツ』が纏う「甲冑」や「レイピア」も、スタンドパワーに変換された「闘志」のエネルギーで創られたものである。そのため、これらはポルナレフの「生命」とは直結しておらず、「甲冑」や「レイピア」が傷付いてもポルナレフ自身のダメージにはならない。


B上記の能力により、『シルバー・チャリオッツ』は2つの面を有する事になる。便宜的に、それぞれ「理性モード」と「本能モード」と呼称しよう。
『シルバー・チャリオッツ』は通常、ポルナレフの攻撃の意志、自信、誇り、勇気、怒り……といった強い「闘志」や「戦意」を維持・集中する事によって、そのエネルギーで身を固めている状態である。それは即ち、ポルナレフが「理性」や「知性」によって自己を律し、「本能」や「衝動」を制している事を示す。安易に「感情」に流されない強い心は、結晶化し「甲冑」となり、その身を護ってくれるのだ。これが「理性モード」である。
一方、「本能モード」とは、「甲冑」を脱ぎ捨てた状態である。これは、ポルナレフが自己を律する事をやめ、あえて「本能」や「衝動」のままに「闘志」を解放している事を示す。(よって、ポルナレフ自身のテンションも割とハイになっている。)「甲冑」を失った分、必然的に防御力も一気に落ちてしまう。しかし、「感情の維持」や「意識の集中」などといった精神的・心理的な負担・重圧がなくなった事と、「甲冑」に結晶化していた分のエネルギーを全てスタンドの「基本スペック」の方に回せる事から、スピードは飛躍的にアップする。誰の目にも感覚にもその姿は捉え切れず、7体の残像群を見せてしまうほどの驚異的な素早さなのだ。
(余談だが……、スタンド名が『チャリオッChariots)』と複数形になっているのも、このように複数のモードへの切り替えが可能だからなのかもしれない。)


C「本能モード」は前述の通り、「甲冑」を脱ぎ捨て、防御力を犠牲にしてスピードを得るモードである。「甲冑」を纏った「理性モード」よりも危険は当然増す事となるため、そう易々とは使えないモードとも言える。従って、本来ならば、危機を確実に乗り超えられる自信がある時にのみ使うべきなのだ。
しかしポルナレフは、自信を通り越した「うぬぼれ」「慢心」「油断」で、または己の命をも捨てた「復讐心」で、「本能モード」を安易に使ってしまうフシがあった。だがそんな悪癖のせいで、インドでの戦闘において、戦友:モハメド・アヴドゥルの命を失わせる結果となってしまう(実際は生きてたけど)。命と引き換えに自分を救ってくれたアヴドゥルの遺志を受け取り、ポルナレフは「生きるため」に戦う事を決意したのだった。それ以降、少なくとも作中においては、二度と「本能モード」は使用されていない。


Dあまりにも強すぎる「感情」に支配された時にのみ、自覚なく、例外的なモードへ移行する事もある。(以下、「例外モード」と呼称する。)
ヴァニラ・アイスの『クリーム』との戦闘において……、アヴドゥルを(今度こそ本当に)殺された激しい怒り悲しみ憎しみを糧に「闘志」を爆発させる事で、スタンドパワーも一時的に急上昇。「甲冑」を纏ったまま、凄まじいスピードと攻撃力を得、さらには射程距離まで10数m以上伸びたのだった。「甲冑」はより硬くなり、防御力も増す。
ただし、通常はパワーの方に振り分けられている分のスタンドパワーも、スピードや射程距離の方に回して上乗せしているらしく、純粋なパワーはむしろ減退してしまうようだ。そのため、本来はポルナレフを持ち上げる程度のパワーは持っているのだが、この「例外モード」ではポルナレフを素早く引っ張って動かすだけのパワーも無くなっている。


E「レイピア」は、ポルナレフの「闘志」や「攻撃の意志」そのものが鋭く固められ、結晶化したものである。
そのため、主に「突く」事によって攻撃してはいるが、「切る」事も可能。物質だけでなく、炎をも切り裂き、空気までも刺し貫ける。
上記D「例外モード」時においては、そのケタ外れの「闘志」によって、「レイピア」の切れ味や強度も異常なまでに増していた。同じく高まったスピードと合わせての剣撃は、石造りの壁や床さえ切り裂くほどであった。純粋なパワーが減退していても、それを補って余りある攻撃力を誇る。


F一発限りの奥の手として、「レイピア」の刀身(剣針)を弾丸のように「発射する」という攻撃方法もある。
ただし、もし外してしまうと、有効な攻撃手段を失う事にもなるため、最後の切り札とも言える。
「レイピア」の再生には、飛ばした刀身を回収する必要がある。あるいは、一度スタンドを解除し、スタンドパワーを改めて練り直さなければならない。どちらにせよ、恐らく時間にして最低でも数秒〜十数秒ほど要すると思われ、ギリギリの戦いの中では致命的なタイムロスとなってしまうだろう。


G『セト神』との戦いの際、子どもに戻った『シルバー・チャリオッツ』は「レイピア」を容易く曲げられ、ヘシ折られてしまっていた。「闘志」自体も弱く、また、自身の「感情」をコントロールできるだけの心の強さもなかったためであろう。恐らく、「甲冑」の防御力もたかが知れていたはずだ。
そもそも、「闘志」の多寡によって強さが変動する『シルバー・チャリオッツ』の能力は……、感情の起伏が激しいポルナレフに見合った能力である反面、発揮できる力に大きなムラを生じさせてしまう能力でもある。
しかし、10年程の修業を経て、ポルナレフは心の強さや気持ちの切り替え方、スタンドの有効な操作法などを確立・体得した。その結果、普段はどれだけ喜怒哀楽に満ちていようとも、ひとたび戦闘に入れば、ポルナレフの「闘志」は一気に冷たく研ぎ澄まされ、常に高い水準でキープできるようになったのである。よって、実際のところ……、戦闘時における『シルバー・チャリオッツ』の「基本スペック」はあまり変動せず、よほどの事がない限りは安定している。どれほど激昂しようと、『シルバー・チャリオッツ』が勝手に「甲冑」を失いはしないという事もその証左と言えよう。


Hこの能力は自在性には欠けるようで……、「レイピア」を2本創ったり、「盾」を新たに創り出したり、スタンドパワーをスピードではなくパワーの方に注いだり、といった器用な使い方は出来ない。あくまで、創り出せるものは「甲冑」と「レイピア」1セットのみ。スタンドパワーを上乗せできるのは「スピード」のみである。
しかし結局のところ、必要性やポルナレフ自身の性格・個性からすれば、それだけで充分なのだろう。得意な剣を活かせるのは、パワーよりもスピード。スピードさえあれば、敵が攻撃を仕掛けるより早く倒せる。その確固たる自信が、彼にはあるのだ。




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