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ジョジョの奇妙な冒険
クレイジー・D(ダイヤモンド)の悪霊的失恋





「ウルトラジャンプ」1月号(2022年)より連載が開始された、「ジョジョ」第4部のスピンオフ作品です。
原作は上遠野浩平氏、作画はカラスマタスク氏。上遠野氏はご存じ「恥知らずのパープルヘイズ」の作者さん、カラスマ氏は漫画「ノー・ガンズ・ライフ」の作者さんであります。
「ジョジョリオン」と「JOJOLANDS(仮)」の空白期間を埋めるかのように、まさかの連載と相成りました。果たして何回の連載なのかは分かりませんが、これから毎月の楽しみになっていってくれる事を期待しています。それでは、以下、各話の簡単な感想です。




#最終話

はい、最終回です。今まで散々不満をタレたりもしましたけど、この終わり方は嫌いじゃないな。つーか、けっこう好き。3部のエピローグでもあり、同時に4部のプロローグでもある、この作品ならではの空気感がありました。
最終回って事で、様々な形の「別れ」が描かれます。慌ただしくサラリと通り過ぎていく、仗助とホル・ホースの別れ。ほんのちょっぴりながらも確かな成長を感じさせる、ボインゴと良平じいちゃんとの別れ。さらには、不吉な「予言」による、良平じいちゃんと仗助の別れの予兆。そして、素直になれたようななれてないような、微妙な距離感の仗助とリョンリョンの別れ。それぞれが、それぞれに良かった。爽やかな希望と、一抹の寂しさが残る読後感。

結局、ずっと気になっていた仮頼谷とエジプトの接点は謎のままでした。でも、それが意図的に謎のままにされているのが分かったので、ある意味スッキリしました。要するに、この杜王町にはまだ得体の知れない何かが潜んでいる……っていう、4部への布石にしていたワケですね。ま、ちょっとズルい気もしますけど(笑)。
果たして仗助はリョンリョンをどう想っていたのか?恋愛感情はあったのか?あのオチャラケた告白っぽい言葉が、実は本気だったのかどうなのか?その辺も、どうとでも取れるような描き方でした。ただ、少なくとも、自分の髪に「憧れの存在」を投影している者同士のシンパシーみたいなものはあったはずです。典明お従兄ちゃんの事は吹っ切る事も忘れる事も出来ないけれど……、もう自分を責める事もなく、その前髪に込めた想いと共に生きていく。そしてリョンリョンも、仗助の髪を「格好いい」と褒めて閉幕。出会った時はお互いの髪型でトラブッてた2人が、ついに認め合える関係性になれたんですなぁ。


こうしてラストまで読んでみても、正直に言って、私の好みの作品ではありませんでした。しかし、この最終回の印象で、全体の評価も多少なりと上がりました。改めて通しで読み返してみれば、新たな発見があるかもしれませんね。上遠野浩平氏、カラスマタスク氏、この1年半の連載お疲れ様でございました!

(2023年6月16日)




#15

今回でついに、ホル・ホースとリョンリョンの心にも1つの区切りが付きました。自分の「弱さ」を知る事、自分が「弱虫」だと受け入れる事、自分が傷付いている事を認める事……、それこそが2人にとって真に必要な事だったのです。自分の「弱さ」と真正面から向き合える「強さ」がなかったからこそ、ホル・ホースは己の意志を見失い、リョンリョンは「弱さ」を隠すかように頑なになっていたワケですね。長いこと失っていたものをようやく取り戻せたという、清々しいラストでした。

次回は最終回!前向きな余韻と希望を感じられるエンディングになってくれそうな予感。でも、ここまで「失恋」要素がまったくなかったけど、最後に取って付けたように恋愛を絡めたりするんでしょうか?それとも、かつて失った分かち難い大切なものを取り戻すっていうこの作品のテーマを「失恋」と例えているだけ?
仮頼谷についての説明ももうちょっと欲しいところです。そもそもの仮頼谷とエジプトとの接点も、ろくに説明されてないよね?単に私が憶えてないだけなら申し訳ありませんが……、どこでどうやってペットサウンズやスタンドの存在を知り、はるばるエジプトまでペットサウンズを誘拐しに行ったのか、よく分かってないんですよね。ヤツの祖父はカーズとの関係はあっても、DIOやエジプトとは無関係のはずだし。どうせなら、『トト神』の漫画本が巡り巡って仮頼谷のもとに辿り着き、その「予言」に従ってエジプトまで出掛けたとかでも良かったと思います。『トト神』をゲットした時、「過去」と「未来」を手に入れたって息巻いてましたけど、結局、リョンリョンに拳銃を与えただけだったからねぇ。
仮頼谷と良平じいちゃんがせっかく同僚なんだし、この2人の関係性ももっと描いてほしかったです。例えば……、仗助との戦いの際、お人好しなじいちゃんの人柄や言動に対する気持ちを明かし、露骨に侮辱したりすれば、仗助との因縁も多少は深まったでしょうに。設定は色々おいしいのに、それを活かしきれずに終わった感じ。
6月には原作小説も発売らしいので、文章として読めば印象もまた変わってくるのかもしれませんね。このコミカライズ版では描けなかった部分も明かされるかもですし。

(2023年4月22日)




#14

え、何この展開Part2。なんか前回、よく分からんけど花京院と会って、勝手に吹っ切れたっぽかったはずのリョンリョン。ところが、未だに花京院の死の真相を事細かに聞き出そうという執念がメラついてるようで、落っこちそうになってるホル・ホースに銃口を向け出す始末。そこはむしろホル・ホースを助けて、「私は花京院典明の従妹。典明お従兄ちゃんには不思議な能力があって、DIOという男と戦っていた事はなんとなく理解できたわ。そして、お従兄ちゃんは自分が信じる道を歩いて、後悔なく生き抜いたという事も……。でも、あたしはずっと知りたかった。お従兄ちゃんに何があったのかを。もし、あなたしか知らないお従兄ちゃんがいるのなら、私にも教えてほしいの。」……みたいな流れの方が違和感なくないっスか?せっかくお従兄ちゃんと会って話せたってのに、なんも変わってないじゃん。
ぶっちゃけ、この物語にリョンリョンって必要?まぁ、「過去」に囚われた者達がうんぬん……っていうテーマなんでしょうから、テーマ的には合ってるのかもしれませんが、「いつまでグダグダやってんの?」としか思えないんだよなぁ。リョンリョンが今さら真相を知ったところで読者にとっては既知の事実だし、まるで新鮮味・面白味がない。熱烈な花京院ファンには怒られそうだけど、仗助&ホル・ホースだけの方がよっほどスマートにまとまりそう。

一方、仗助の方は仮頼谷に完全勝利!ペットサウンズが『ザ・ワールド』の無駄無駄ラッシュを再現してきたものの、仗助はすでにペットサウンズの嘴を砕いていたのです。これによって音程がズレ、「記録」の正確な再現も出来なくなった模様。なるほど、そういうもんなのね。正直、この期に及んでペットサウンズの能力を把握し切れてないな~(笑)。
仮頼谷はドララララッシュを喰らって気球と化し、お望み通り、遥かな高みから人間共を見下せるようになりました!めでたしめでたし。このフィニッシュはスカッと爽快でしたね。でも結局、仮頼谷が最後まで単なる小物・俗物に過ぎなかったのは残念。せっかく2部の「吸血鬼」との関わりまで出してきたのに、コイツならではの個性があまり感じられず、よく見る類型的な雑魚キャラで終わっちゃった。時系列的に4部スタート前だから、そこまで強敵には出来ない都合もあるのでしょうが、1年以上もの連載作品の黒幕なんだからもうちょいキャラを作り込んでほしかったです。

とにかく、仮頼谷を撃破したからには、この物語ももう大詰め。うまいことキレイに締めてほしいもんです。

(2023年4月15日)




#13

え、何この展開。……というのが、偽らざる本心ですね。唐突で意味不明な上に、随分と安っぽいぞ。
まず、リョンリョンですが……、ダービー弟に敗れた花京院の「記録」を見せられているはずなのに、どうして拳銃自殺しようとしているのかが分からない。その繋がりが分からない。そして、まるでリョンリョンの意識だけがタイムスリップし、あの時の花京院本人の魂と出逢ったかのように、普通に語り合えてる理由も謎でした。ペットサウンズの能力はただ、過去の「記録」の再現と追体験だけのはずですよね?リョンリョンの眠ってたスタンド能力が目醒めでもしたんでしょうか?そもそもの話、仮頼谷とペットサウンズが、リョンリョンに花京院の「記録」を見せる必然性も全然ないと思います。たまたま、なんだよね?狙いすましたかのようにピンポイントで花京院の「記録」を見せ付け、そのおかげでリョンリョンの心が晴れちゃってんだから、もうマジに「何やってんの?」ですよ。それを感動エピソード風に描かれても反応に困ってしまう。
で、仗助の方はと言うと……、これまたよく分からん設定が追加。「記録」の中のダービー兄は、DIOの力が発揮されたのはあくまで目の前でだけという実感を得ていました。そこはいいんですが、どういうワケか仗助にとっても「じゃあ、その感覚も目の前から来ている」「そうじゃないと、忠実に幻覚を再現できない」的な話になってる。そして実際、ペットサウンズは仗助の目の前にいて、ブン殴られちゃったんですよね。ん~?そーゆー能力だった?まぁ、仗助がダービー兄の力を信じる事が反撃に繋がる展開は、彼の強さを知っている者からすると、ちょっと嬉しいっていうか溜飲が下がる思いではありました。
ラストは、仗助がついに仮頼谷をブン殴り、正体を知るという重大局面に!けど、この仗助の理屈、さすがにムチャクチャだろ(笑)。じいちゃんの同僚だったら、なおさら本気で仗助を心配してくれるかもしれないじゃん。結果的には大当たりだったから良かったものの、さすがに自分を卑下しすぎじゃない?パチンコ屋に入れる入れない程度の問題じゃないんだからさ。

そういったワケで、いよいよクライマックス!みたいな空気になってはいますが、気持ち的にはまったくノれませんでした。1年以上も掛けてこんなオチとは。
でも、単に私が読み込んでないってだけで、しっかり読み込んでさえいれば納得できる展開だったりするのかもしれません。色々と見落としている点もあるのかもしれません。だとしたら大変申し訳ないですし、どなたか詳しく説明していただけるとありがたいです。
あとは仮頼谷がどこまで足掻いてくれるか、どこまでイカレてくれるかに懸かってますね。それによっては、印象に残る作品になり得る可能性もあります。今のままだと、ホントに毒にも薬にもならないなぁ。

(2023年2月24日)




#12

今度はダービー兄とDIOのポーカー勝負が再現されました。ダニーの件も含め、過去の要素をひたすらこねくり回すばかりのこの作品は、そもそも私の好みではありません。過去の要素をスパイスにして、新しい物語を盛り上げてくれるならイイんですけど、これはもはやスパイスがメインになっちゃってるもんなぁ。
ただ、『ザ・ワールド』の能力で圧倒しながらも、ダービーにあえて勝ちを譲ってやる事で、逆にその心をキツく縛り付けてしまったDIOのやり口には感心しましたね。普通に勝っちゃうよりも、勝ち負けすらDIOの手のひらの上って事が伝わり、格上感がスゴかった。そんな「何やっても無駄!」という恐怖と絶望は、仗助の心でさえ打ちのめしてしまう説得力があります。完全に無防備となった仗助は、仮頼谷の攻撃をどうやって防ぐんでしょうか?単なるド根性とかじゃない、納得できる方法であってほしいです。

一方、リョンリョンを追った仗助と分断させられ、ペットサウンズを追ったホル・ホース。階段を身軽に飛び降りて行く姿がカッチョイイ!まぁ、凧に騙されてるんだけど(笑)。
そこにいたのは、下着姿のリョンリョン。カラスマ氏の描く女性の体つき、幻想が入ってないリアルなところが、むしろエロティックで好きです。しかし、彼女もまたペットサウンズの能力にやられ、自らに銃口を向ける。3者3様のピンチを迎えております。ポツンと置いてかれちゃったボインゴが、現状打破の鍵となる……か?

(2023年2月12日)




#11

今回は見どころが多かった回でした。
まず、DIOとペット・ショップのいやがらせ……、もとい、処刑が実に陰湿でエグい。調教師の処刑ついでに、嬉々として人間の「恐怖」というものを観察するDIOが怖いですね。そんな10年前の「過去」の苦痛を体験させられ、仗助とボインゴは大ピンチ。しかし、仗助の機転で見事脱出です。ロープを直して自分達の首を締め、気絶してしまえば、「幻覚」すら感じない。う~ん、なかなか危険な力業!しかし、何もしなけりゃ死を待つばかりでしょうから、この程度の賭けで切り抜けられるなら安いもんですね。
過去に縛られて絶望するボインゴに、仗助の言葉が染み入ります。どうしようもない事に真っ向から向き合ったってしょうがない。それより、テキトーにごまかす方法を考えろ。……父:ジョセフゆずりの柔軟な発想。真剣に考えて立ち止まってしまうくらいなら、逃げようが何しようが前に進んだ方がマシって事ですかね!

そして、怒れる仮頼谷ですよ。なんか唐突に謎理論が出て来ました(笑)。動物のスタンド使いは精神の容量が少ないため、スタンド能力に正常な本能が浸食される。……そうなん?ペットサウンズも「記録」する能力に容量を使い切っていて、それをどう使うかの判断が出来なくなっているらしい。……そうなん?だから、制御装置として別の頭脳が必要らしい。……そうなん?
仮頼谷は自分の耳の一部分をペットサウンズに与え(喰わせた?)、それによって、彼とペットサウンズの魂が連結されたらしい。……そうなん!?こうして、スタンド能力を共有する事が出来たというのです。これはペットサウンズだけの能力なのか、動物のスタンド使い全般で可能な事なのかは未知数ですが、上遠野氏もスゴい設定をブッこんできましたね。まぁ、そのくらいの事は平然とやってのけないと、「ジョジョ」のスピンオフなんて書けないでしょう。

(2022年12月19日)




#10

いやいや……、1ヶ月遅れの感想になっちゃいましたね(汗)。
ホル・ホースは不意に花京院の死に様を思い出し、リョンリョンの正体に気付きそうな気配。でも、ホル・ホース視点から見た花京院ってのも、ちょっと新鮮でした。そうか……、自分がDIOの恐怖に完全に屈服した分、その恐怖を克服して戦い抜いた花京院に対して「敬意」のような感情があるのも不思議じゃない。花京院の死に顔の見せ方も、焦らして焦らして、神聖さすら帯びるほど印象的に描かれたのが良かったです。
一方、仗助はリョンリョンを助け出したかと思いきや、それはリョンリョンのコスプレしたボインゴでしたというオチ。なかなかキツい画ヅラだな(笑)。そして、ボインゴと仲良くペットサウンズの能力にやられ、エジプトのDIOの記録に出逢う。こういう形で仗助とDIOが邂逅するとは。面白い展開になってきたかも。

ちなみに、ペットサウンズのスタンドにも射程距離の概念が大きく作用している模様。ペットサウンズ本体との距離が近いほど、再現される記録の精度や臨場感が増していくみたいです。そうなると、単なる過去の記録とは言え、(実際に傷付きはせずとも)苦痛のせいでショック死したりする事も十分あり得そう。ペット・ショップの氷をマトモに喰らった仗助、どう切り抜ける!?

(2022年11月19日)




#9

仮頼谷一樹のルーツが見えてきました。どうやら彼の祖父は、戦前、諜報任務でスイス:サンモリッツに派遣されていたようです。カーズ達によって吸血鬼に変えられ、あの時、カーズの生き方や思想に触れ、大きく影響を受けていたようなのです。全滅させたはずが、うまく逃げ切ったんでしょうね。ジョージ2世を殺した「屍生人(ゾンビ)」に似た境遇。そういう因縁があったとは。もっとも、仮頼谷自身は吸血鬼ではないのですが、祖父の邪悪に歪んだ選民思想を受け継いでしまっているみたい。
そして……、実は自分自身こそが「導火線」だったリョンリョン。仗助が割と協力的になって、ホル・ホースさえも足止めしてくれたのに、当の彼女はペットサウンズの能力に支配されちゃいました。「もう飽きたよ」という言葉が出て来たって事は、たぶん典明お従兄ちゃんが「F-MEGA」をプレイしてる記録が再生されてるんじゃないかな?

最終的には仮頼谷が、『トト神』とペットサウンズ、即ち「未来」と「過去」を手に入れました。こうなると、ますます手を出しにくくなってしまいますし、リョンリョンとホル・ホースの予言も意味深で不気味。どうなるのか読めなくなってきましたよ。
やはり敵がキチンと描かれると、展開も盛り上がってきます。この作品の評価はある意味、仮頼谷がどれだけ独自の悪道を突き抜けてくれるかに懸かっていると言えるでしょう。期待してるよ、仮頼谷くん!

(2022年9月20日)




#8

うん、なかなかイイ感じですよ。やっとこストーリーが進んで、面白みも出て来ました。
やはり清原は三下野郎に過ぎず、ペットサウンズも生きていましたね。どうやら仮頼谷が黒幕っぽい。まぁ、露骨に怪しかったですからねぇ。名前の響きや美しい見た目、豹変する性格などから推測するに、マライアの親戚ってトコかな。リョンリョンが花京院の従妹なので、彼はマライアの従弟なのかも。マライアの血縁が日本人と結婚し、産まれたのが仮頼谷 一樹。それなら、エジプトとも日本とも繋がりがあって当然。スタンドという能力の存在を知り、ペットサウンズに辿り着けたのも不自然ではありません。彼自身にもスタンドが発現しそうだし、盛り上がっていきそうな期待が芽生えますよ。

良平じいちゃんの温かい人柄は、まさにこの作品のオアシス。彼の純粋な応援により、内気でネガティブなボインゴの心にもちょっぴり変化が起こりました。ボインゴだって、今の自分のままでいたくないワケですからね。ずっと欲しかった「変わるキッカケ」を、良平じいちゃんがくれたようで良かったです。……あと、みんなが集まってた場所って杜王グランドホテルなんでしょうけど、明らかに仙台の江陽グランドホテルを意識したビジュアルですよね?2017年の「ジョジョフェス」の時に行ってたから、すぐにピンと来ましたよ(笑)。
そして、『トト神』を持っている事が仗助にバレちゃったリョンリョン。ここで花京院が「肉の芽」にやられるシーンが、リョンリョン視点で描かれます。花京院の死を告げられるシーンも相まって、かなり切ない気分に。花京院推しの人は耐えられるのかな?どうやらDIOは、彼を手下にするために色々と小細工を仕掛けて、エジプトまでおびき寄せていた模様。よっぽど手に入れたい人材だったんでしょう。ただ、手下になってポーズを決める花京院が、なんかノリノリで笑った。ともかく、リョンリョンの悲痛な告白を聞いて、仗助もきっと手助けしてくれるはず。


あと、作画的な事を少々言わせていただくと……、リョンリョンが仗助から逃げ出す際、雨がポツポツと降り始めるコマをちゃんと描いてほしかったですね。たぶん荒木先生なら、丸コマでも何でも使って、そういうシーンは必ず描くと思うんですよ。でないと、雨なのか効果線なのか分かりにくくなっちゃいますから。
でも、カラスマ氏もけっこう描き慣れてきたのか、以前より「ジョジョ」っぽさが増しているような気がします。仗助の表情とか、それっぽく感じる事が多くなった。グッドです。

(2022年8月19日)




#7

今回は今までで一番面白かったと言いますか、「ジョジョ」っぽさを感じられた回でした。オウムも敵もブッ倒して、スカッと終了ッ!
ただ……、やっぱこれで終わりじゃないですよね?ペットサウンズも羽根を撃ち落されただけで、死んだワケではなさそう。それどころか、あのオウムは実はペットサウンズじゃないのかもしれませんし。黒幕にしたって、あの清原幸司みたいな小物ではないっしょ。黒幕に利用されてただけの三下ってトコかな。でも、ストーリーに一区切りが付いたのは良かったです。
ペットサウンズのスタンド能力から逃れるには、強い意志と感情が必要な様子。ホル・ホースも、DIOという圧倒的恐怖を糧にして、見事に窮地を切り抜けました。まだ過去を乗り超えたワケじゃありませんけど、あの過去のおかげで恐怖に対する耐性は付いています。忌まわしい過去を逆に利用するだけのタフさがあるのです。そして、エジプトの婆さんとの約束を破り、オウムを撃ち抜くホル・ホースがカッコ良かった。女性にウソはつくし、平気で利用もするけれど、決して傷付けたりはしない男。約束を破って婆さんを傷付けてしまう事に、ちょっぴりセンチになっちゃうのでした。

さて、リョンリョンの方はどうしているのかな?導火線探しは順調なんでしょうか?そこに火を点けたらどうなるのか?気になるところです。
ペットサウンズや黒幕絡みでもさらなる展開が待っているはずですし、徐々に面白みが出て来た感じですね。

(2022年7月19日)




#6

私は未だにペットサウンズの能力を把握し切れてなかったなぁ。『ホワイトスネイク』の「DISC」のように、あの「楽譜」をターゲット個人に直接挿し込んで、スタンド能力の支配下に置く。それだけじゃなく、恐らくペットサウンズのスタンドが「楽譜」を再生し、「記録」されていた音声が出る。それを聞いた者が能力に支配される。……という別の発動方法もあるんでしょう。
で、その音声を聞かせる相手というか範囲というか、そういうのは「再生」する「記録」の内容次第なんだろうな。今回の「暴動鎮圧」のような大勢が関わった「記録」なら、多くの人々に広く聞かせる事が出来る。逆に、「DIOに血を捧げる女達」のような特定の人物だけが関わった「記録」は、その音声も狙った人物にのみ聞こえる。また、深く心に刻まれている相手の声は聞こえやすい、みたいなルールもありそう。平岡警部が「DIOに脅される上院議員」の「楽譜」を挿し込まれた際、DIOの声がホル・ホースにまで届いたのはそのせい。(ただ、その場合は能力の支配下に置かれるワケではない。) 今のところはそう解釈しておきます。
能力の解除条件としましては、やはり「再生」された出来事とかけ離れた感情がカギになってる気がします。今回の仗助を見た限り、能力の支配下に置かれた者は、その「再現」された人物の感情・感覚をも植え付けられてしまう模様。仗助も、ヘリに追われる民衆が抱いた「強い恐怖」を植え付けられていました。しかし、ボウガンに撃たれた少年を目にして、その恐怖を超えるほどの「強い怒り」を覚えたワケです。だからこそ能力から解放された、と考えて、まず間違いないと思います。この物語のテーマにもなっていそうな「過去を乗り超える心の強さ」を、ストレートに表現できますしね。

カラスマ氏の絵の見せ方も巧いです。最初、仗助とホル・ホースはどっかの道端でダベッてると思いましたが……、仗助が缶を捨てる時に引きの絵になって、ここが地下通路である事が分かるようになっていました。会話の流れに沿って、絵も流れているのが自然で良いですね。そして、ペットサウンズの能力に侵された2人が背中を合わせて周囲を警戒するコマ。本当は真っ直ぐな一本道を、特殊レンズで見ているような丸く歪んだ構図で描いていて、絵的な面白さと状況の不穏さを同時に描写できていました。
狭い地下通路でヘリに襲われるという、あり得ないヤバいシチュエーションも、いかにも「ジョジョ」っぽくてワクワクします。しかも、ちゃんとアフリカ・エジプト由来の「記録」である理由付けもあるので、唐突なようでいて説得力がありました。


黒幕さんもいよいよ積極的に襲って来て、ストーリーもようやくちょっと盛り上がり始めたかな。敵の正体と目的が判明して、それに対峙する仗助達がどう反応し、変化していくのかが楽しみ。でも、まだまだ引っ張りそうな予感もするのよね。逃げられるとか、あれは黒幕さんの「記録」を「再現」させられただけの一般人でしたとか。
絶賛ウジウジ中のボインゴも、今後どう絡んでくるのか気になるところ。「ジョジョ」本編では成長しそうで出来なかったので、今こそ本当の意味で「大人」に成長してほしい。

(2022年6月18日)




#5

なるほど、ず~っと気になっていた仗助のトゲトゲしさの理由が判明しましたね。これはある意味、花京院に近い心境かも。スタンドという他人とは異なる力を持つがゆえの孤独。花京院はそれを内に向けて、仗助は外に向けた。それだけの違いで、本質的には一緒だったのでしょう。スタンドも含めての「自分」なのに、誰にも理解してもらえない。見てもらう事すら叶わない。他人から、社会から、世界から、真に受け入れてもらえる事がない。おっさんの私的には「そんなスゴい能力持ってんだからどーでも良くね?」って思う気持ちも正直ありますけど、こればっかりは当人にしか分からん悩みよね。多感な年頃だしね。
幼少の頃から抱えてきた暗い感情が、仗助をイライラピリピリさせていたようです。……それなのに今日、同じ異能を持つホル・ホースに出会った。さらに、なんとオウムまでその力を持っている。今まで自分が悩んでいたのは何だったんだ?と、バカバカしくなって拍子抜けしたおかげか、ようやっと我々がよく知る仗助の姿に近付いてきたなって印象。ホル・ホースから自分の能力を頼りにされ、すっかり得意満面(笑)。仗助の性格の違和感が、上遠野氏の意図したものであった事が分かって安心しました。
ラッシュがひらがなで「どららら」なのも、どうせ治すんだから殴ってもいいっしょなノリも、初期仗助っぽさが感じられて良いです。

一方、リョンリョンはと言うと、ホル・ホースがDIOの事を知っていると分かって、次なる行動に出ます。『トト神』の予言によれば、導火線を見付けて火を点けろ、と。こいつは比喩とかじゃなく、文字通りの導火線なんだろうな。急に物騒な話になってきた(笑)。でも、そうすりゃ花京院の死の真相に辿り着けるみたい。そこで3人が1つになって、オウムを利用するヤツに立ち向かう形になっていくんでしょうか?仗助が花京院に通じる孤独を持っている事も、リョンリョンとの関係性に何かしら繋がってきそうな予感。
今のところ、ストーリー全体のどの辺まで進んでいるのか謎ですが、ついに本格的に動き始めてきた気がします。これからどんどん盛り上がってほしいですね!

(2022年4月19日)




#4

オウムのスタンド能力に支配されたホル・ホース。予想に反し、なんか過去の事を思い出してたら解除されました。
……え、どゆこと?ホル・ホースとボインゴはどうやら、花京院の放った最期のエメラルド・スプラッシュを目撃していたらしい。夜空に煌めく緑色の星々。カラーで見たら最高に美しい光景でしょうね。でも、それと能力の解除とどういう関係があるんだろ?「再現」されている出来事とはかけ離れた感情を抱けば、能力の効果が弱まるとか?ホル・ホースがDIOを撃とうとした時は「野心」や「恐怖」の感情が強かったはずですが、エメラルド・スプラッシュを見た時の気持ちは、それとはまったく異なるものだったのかもしれません。ただ、その美しさに見とれて、無心になっていたのかもしれません。そういうのが影響した……のかな?
ホル・ホースが推測したところによれば……、オウムの能力は「過去の声」を聞かせ、その時の行動を「再現」させるというもの。なるほど、オウムだから「声」がキッカケってのは納得です。そして、この能力はやはり複数人に同時に使う事が可能でした。今度はDIOに血を捧げた女達の「声」から、町の女性達が操られてしまった。周りの者達や自分自身を刃物で襲い、血を出させようとして来ます。「皇帝」の天敵は「女」。女性を攻撃できないホル・ホースは、まんまと腹部を刺されて大ピンチです。

そして、その様子を隠れて見ている人物の影。オウムを手懐けてるようなので、こいつが黒幕っぽい。黒幕さんが呼んだオウムの名前は「ペットサウンズ」。「ザ・ビーチ・ボーイズ」のアルバム「ペット・サウンズ」が元ネタですね。ペット・ショップの兄弟分として、オウムの名前として、申し分ないネーミング!
で、この黒幕さん、何者なんでしょか?上遠野氏の事だから、絶対に本編のキャラと何かしらの深い関係があるに違いない。でも、スタンドの事はほとんど知らない感じです。……私なりに考えた結論!黒幕さんの正体は、なんとワンチェンの子孫なのですッ!実はワンチェンにも家族はいたんです。しかし、稼ぎ頭のワンチェンが「屍生人」にされちゃったせいで、一家は「食屍鬼街(オウガーストリート)」の中でも最貧層に堕ちてしまいました。その子孫である黒幕さんは、「占い」の超天才。先祖の人生を狂わせたDIOという男の存在を知り、そこからスタンド能力やペットサウンズの事を知り、そして運命の地「杜王町」へと訪れたワケですよ。先祖から続く因縁にケリを付け、全てを利用し、人生に逆転勝利するために!!…………うん、無いか。

(2022年3月21日)




#3

う~~ん……、楽しんで読んでいる方々には申し訳ないんですが、私個人はあんま楽しめてないですねぇ。つまらないってワケじゃないけど、正直「面白い」とも全然思えてません。
元々この作品は、上遠野氏が何年も前から執筆していたようですし、本来なら「小説」という形態だったんでしょう。完成品をドンッと出せる小説とは違い、これは毎月1話ずつ進めていく連載漫画ですからね。連載漫画は1話ごとにヤマ場を作って盛り上げていかなきゃならんのに、今作は小説を単にブツ切りにして漫画にしただけっぽく感じてしまいます。そのせいか、ストーリーが淡々としてて今イチ盛り上がらない。そもそも花京院の死の真相なんて、読者はとっくに知ってるんだから、それを今さら追われたところで何の新鮮味もありません。オウムも結局、ペット・ショップの亜種に過ぎないんでしょうし。過去キャラさえ出てれば楽しめるというほど純真じゃないので、やっぱ今までとは違うものを、新しい何かを、見せてほしいです。
そして何より、キャラクターが好きになれないのがデカいですね。この第3話までの印象ではありますが……、ホル・ホースはともかくとして、涼子ちゃんは辛気臭いし、仗助はいちいちガラが悪いしで、見ててストレスが溜まってしまう。仗助があえて意図的に涼子ちゃんを怒らせてリラックスさせようとしてたらしい描写でしたけど、「ホントか?」って疑ってしまうよ。予想外にビンタされたもんだから、慌ててそういう事にしようと取り繕ってない?(笑) まぁ、これからだんだん打ち解けていって、イイ感じに落ち着いてくれるといいなと思います。


さて、第3話を個別に見ていきますと、良平じいちゃんが登場しました。相変わらずお人好しで、この人には素直に好感が持てます。端正な顔立ちの「仮頼谷 (からいや)」という警官もいましたが、名前が「マライア」に似てるのは理由があるのかな?何か裏がありそうな気がします。
ずっと行方不明だったボインゴは、普通に交番で保護されていました(笑)。『トト神』の予知に従って、漫画本を手放していたとは思わなかったです。なるほど、そういうのもあるのか。この予知の内容は意外性があって面白かったです。
そして、オウムのスタンドによって、今度はホル・ホースが操られてしまいました。オウムの方から襲って来たって事は、無差別攻撃ではなく、ホル・ホースがターゲットにされてるんでしょうか?平岡警部さんが操られたのも、あくまでホル・ホースを狙っての事?平岡警部を射殺させ、ホル・ホースが身動き取れない状況に追い詰められてから、そこでじっくりととどめ……っていう回りくどい作戦?まだちょっと読めませんね。いずれにせよ、ボインゴが不本意ながら助けてくれて、無事に再会となる運びかな。

色々言いましたが、これから大いに盛り上がり、楽しめる作品になる事を期待してます。根本的に自分には合わない可能性もあるけれど、それはそれとして、最後まで見届けた上で判断します。

(2022年2月19日)




#2

はぁ~、なるほど~。行方不明のオウムがスタンド使いだったのか。ペット・ショップの兄弟分みたいなもんなのに、何故かその可能性はまったく考えてなかったなぁ。恐らく、あのオウム自身が見聞きした出来事を、手回しオルガンの「楽譜」(巻物状のロール、折りたたみの冊子状のブック)のような形にして他人に挿し込み、その過去の出来事を「再現」させる能力なんでしょう。まるでオウムが、聞いた言葉を真似て「再現」するように。イメージ的には、『ムーディー・ブルース』と『ホワイトスネイク』の合いの子って感じ。スタンドのヴィジョンも独特だし、なかなか面白いですね。
という事は、リョンリョンこと涼子ちゃんはこのオウムの能力を利用して、花京院の死の真相に辿り着こうと考えるんでしょう。彼女がオウム捜索に加わる明確な動機が生まれますね。上院議員の「楽譜」を持っているって事は、オウムはたぶん、常にDIOの周囲にいたって事でしょうから。第1話冒頭の言葉を借りるなら、DIOの身に起こる出来事を記録するための「監視者」だったのかもしれません。王の物語を伝承する者。だとすると、当然、花京院の死にまつわる「楽譜」だって持っているに違いない。
ただ……、オウムがどうして杜王町にいるのかが謎。オウム自身の意志だったのか、誰かが連れて来たのか。誰かがって言ったって、エジプトにも杜王町にも縁があるヤツなんて、そうそういませんからねぇ。吉良の親父でもないでしょうし、承太郎達が関係してるはずもない。ひょっとすると、それこそが涼子ちゃんのスタンド能力だったり?ワープ的な能力とかで。ボインゴ消失にしても、『トト神』を手に入れるために彼女のスタンドが無意識に発動し、ボインゴをどこかへ飛ばしちゃったのかも?

さて、ホル・ホースと仗助の邂逅の方は、意外といいコンビになれそうなムードでした。気難しいお年頃なもんで、正直、4部の仗助よりもやや荒んでてスカしてる印象を受けましたが(笑)。口調も、「そうなんすよ」じゃなく「そうなんスよ」と、「ス」をカタカナで書いてほしかった気持ちはあります。まぁ、でも……、自分のポリシーを貫く生き方をしている者同士、シンパシーを感じたっぽい。仗助もちゃっかりホル・ホースを「兄貴」呼び。J・ガイル、ボインゴに続く、3人目のパートナーになれるのでしょうか?
何はともあれ、これで仗助、ホル・ホース、涼子ちゃんの3人が出逢った事になります。ただ会話してるだけで楽しめるくらい、デコボコなトリオになってほしいですね。そして、この3人がどんな奇妙な冒険を繰り広げるのか、とくと見届けたい。やっとプロローグが終わったあたりでしょうし、個人的にはまだまだ無条件で「面白い!」とまでは思えてないので、3人の個性が起こすケミストリーに期待ッ!

(2022年1月18日)




#1

第1話の時点では、正直、面白いかどうかの判定すら不可能ですね(笑)。まだまだ「同窓会」的な要素が強く、ドタバタしてて、ストーリーが具体的にどう動いていくのかまったく読めません。
ただ、カラスマ氏の美麗な絵は、荒木先生の絵とはまた違った形で「ジョジョ」の世界に馴染んでいます。単純なモノマネや劣化コピーなんかじゃなく、ちゃんとカラスマ氏の絵や作風で描かれているのが良いですね。


物語は1999年3月のエジプト・カイロから幕を開けます。あのペット・ショップと同じ調教師に育てられたオウムが姿を消すという、奇妙な事件。その調教師は、DIOの元から逃げようとして殺されたらしい。それ以降、彼の母親にとって、オウム達は我が子同然になったようです。オウムは随分と長寿の生き物なので、DIOの死から10年以上経って生きているのもおかしくはありません。まぁ、とにかく、その母親から頼まれ、オウム捜索を引き受けたのがホル・ホースだったのです。
そして、再びコンビを組むべく、ボインゴがいる宿屋へ。その宿は、なんと結婚したケニーGマライアが営む宿でした。兄・オインゴもボインゴと一緒に宿に居座っている模様。ボインゴとしては『トト神』の予言に出ちゃってる以上、ホル・ホースに付き合わざるを得ないものの、これを最後に関わりを絶つ事を条件に協力するのでした。『トト神』に描かれた行き先は、杜王町 ――

杜王町では、花京院典明のお墓参りをする、従妹(いとこ)の涼子ちゃんの姿。なんと彼女、10年前、花京院がDIOに「肉の芽」を植え付けられた時、すぐそばに隠れていたのです。彼がそのままいなくなってしまった理由を知りたがっているみたい。「花京院」は仙台の地名なので、彼の一族が杜王町出身だとしても不自然じゃないんですが……、それよりも彼のお墓がなんともうら寂しいお寺にある事が気になっちゃいましたね。しかも、承太郎が10年間、彼のお墓参りに来ていない事にならないっスか?仗助に会いに来た時がたぶん初めての杜王町だよね?
涼子ちゃんは道端に落ちていた『トト神』の漫画本を拾い、ちょうど通りすがったホル・ホースは突然、DIOの声を聞く。ウィルソン・フィリップス上院議員の再現とばかりに、車が歩道を爆走し、通行人を次々と撥ねていく。ドライバーの目は『ムーディー・ブルース』の目みたくなってて、明らかに異常事態です。そして、ホル・ホースに直撃しそうな車を吹き飛ばしたのが、我らがヒーロー!東方仗助ッ!ホル・ホースが自分と同じ能力を持つ事を知り、じっくり聞き出そうとしてます。早くも一触即発!?


……と、こんな具合で、3部と4部の要素が山盛りでした。小ネタもくどくない程度。でも、少なくともボインゴはもっと成長させて良かったんじゃないかと思います。せっかく10年という歳月を実感させてくれそうだったのに、あれじゃあDIOの死から半年後くらいに見える。
それと1つ心配なのは、仗助がスタンドについて知り過ぎやしないだろうかって事。この時点でスタンドについて詳しくなっちゃったり、スタンドバトルに慣れちゃったりすると、翌月にやって来る承太郎の立場が無いよ。でも、さすがにその辺のバランスくらいは考えているでしょうし、いざとなりゃ「本編と無関係のパラレルワールドです!」って作中で言い訳しても良いしね(笑)。二次創作とは言え……、いや、二次創作だからこそ、いっそ思いっ切り堂々とハジけてほしいかも。本編や過去に縛られ過ぎて、こじんまりした話になってもつまんないですから。何かしらの「新しいもの」「新しい要素」を見せていただきたい。
一連の謎の現象は何なんでしょうか?恐らく、ボインゴも行方不明になっちゃいましたよね。ここまでもったいつけて、何者かのスタンド能力ってオチだと少々弱い気がします。もっと別の何かであってほしい。例えば……、DIOの残留思念が『矢』と結び付いた、とか何とか?う~ん、イマイチか?やっぱシンプルに、涼子ちゃんのスタンド能力の方がまとまりが良いのかもしれません。自分でも気付いていないスタンド使いで、人と人の「縁」を辿って操る能力……みたいな。花京院の死の真相を知りたい想いが、花京院と繋がりのある者達を引き寄せ、その当時の記憶や出来事までも甦らせている……みたいな。花京院が「紐」のスタンドなので、彼女も「縁」という名の「紐」なのです。
タイトルから想像するに、仗助はこの涼子ちゃんと出逢い、恋をして、最後は失恋しちゃいそうな雰囲気です。涼子ちゃんの存在が、この物語における最重要人物なんでしょうね。

(2021年12月18日)




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