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ここに書いているのは、スタンドの個人的な解釈に過ぎません。
原作の設定・描写をベースに、
勝手に考察・妄想しただけのものです。
正確な公式データが欲しいという方には何の役にも立ちませんので悪しからず。




ザ・フール (愚者) / 本体: イギー
< 「砂」を操る能力 >




0番目のタロット「愚者 (THE FOOL)」のカードの暗示を持つ。
タロットの中で唯一、特殊なナンバーを持つ(=明確なナンバーを持たない)カードである。そもそも22枚のタロット・カード(大アルカナ)は、この「愚者」の旅の物語とも言われている。旅の中で、彼は最初に「魔術師」と出会い、次に「女教皇」と出会い……、やがて最後に「世界」の真理へと到達するのだ。しかし、それで旅が完結するワケではない。その後、また新たなサイクルが始まり、「愚者」の旅も再び最初に戻ってスタートするのである。このカードのナンバー「0」とは、「始まり」であり「終わり」である。そして、「始まり」と「終わり」は繋がっていて、旅は永遠に繰り返され、続いていく事をも示している。
カードには、目の前の崖にも気付かない様子で、軽やかに歩を進める1人の男が描かれている。彼は本当に「愚か者」かもしれないが、深遠なる思慮の末にあえて「愚か者」に徹するようになった男なのかもしれない。いずれにせよ、彼が愚直に前進し続けている事は確かである。何の恐れもないからこそ、どこにでも向かって行ける。何者でもない代わりに、何者にでもなり得る。
このように、「自由」「出発」「無限の可能性」「冒険」「純粋無垢」などを象徴するカードなのである。
(ちなみに……、ラッキーランド版タロットの「愚者」には描かれていないが、マルセイユ版やウェイト版のタロットには、男の他にが描かれている。)




<特徴>
@スタンドが発現した経緯は不明。しかし、恐らくは生まれついてのスタンド能力と推測される。


A『ザ・フール』は「砂」によって形成されるスタンドである。そのため、決まったヴィジョン、固定された姿形というものを持たない。
もっとも、本体:イギーが犬だからか、『ザ・フール』も便宜的に犬に似たデザインを形作っているようだ。鋭い牙を持つ仮面のような顔に、犬の前脚と上半身。そして、下半身はまるで機械のような形状で、後ろ脚もタイヤになっている。また、頭部には、ネイティブ・アメリカンを彷彿させる羽根が飾られている。


B「砂」のスタンドであるため、どんな攻撃であろうとダメージを受ける事はない。
また、実体化スタンドであるがゆえに、もし仮にスタンドがダメージを受ける事があったとしても、そもそも本体にはフィードバックしない。


C野性の本能が反映されており、パワーに優れている。
ただし、高性能である反面、射程距離は短いようだ。スピードもそれほど俊敏ではないらしい。




<能力>
「砂」を操る能力



@「砂」を操る能力を持つ……というより、『ザ・フール』自体が「砂」そのものである。
本体:イギーがスタンドを発現させると、地面の砂や大気中の微細な塵芥が集まって一体化し、この『ザ・フール』を形成するのだ。そのため、一般人にも見えるし触れられる実体化スタンドでもある。


A「砂」であるがゆえに変幻自在。イギーの意志やイメージに応じて、どんな姿形にでも変化する事が出来る。
作中では……、下半身を「グライダー型」に変形させ、風に乗って空を舞っていた。「ドーム型」や「階段型」に変形し、その中に身を隠したりもしていた。また、イギー自身やDIOに変身し、敵を欺く事まで出来た。DIOに化けた時など、(イギー自身の知性の高さもあって)明確な人語を発声させていたほどである。


Bちなみに、イギー自身は会った事も見た事もないDIOに化ける事が出来たのは、ジョセフが「念写」したDIOの写真を見ていたからなのだろう。もしかすると、エジプトでもジョセフは「念聴」にトライし、かすかであってもDIOの声を聞いていた……という事があったのかもしれない。また、スピードワゴン財団から事前にDIOについての情報を聞かされていた可能性もある。それらからイギーは、DIOのおおよその姿形や声を推測・計算し、とっさに形成する事が出来たのである。
もっとも、その時のイギーにとっては、ヴァニラ・アイスをほんの僅かな間だけ騙せれば良かったのだし、実際にはヴァニラ・アイスも「偽物のDIO」である事をすぐに見破っていた。さすがに、じっくり観ても本物と見紛うほど正確・精巧な出来であった、とは言い難い。


C変幻自在であるがゆえに、そして「始まり」と「終わり」を意味するナンバー「0」を持つがゆえに、まさしく無敵
前述の通り、何者であろうとも、『ザ・フール』にダメージを与える事は出来ない。どれだけ殴ろうが切ろうが爆裂させようが、元々『ザ・フール』にはダメージという概念自体が無いと言える。
事実、砂がヴァニラ・アイスのスタンド『クリーム』の「暗黒空間」に飲み込まれて消滅させられても、イギーにはまったく影響がなかった。(『ザ・フール』の「砂」は、「消滅」さえも内包しているという事でもある。)「終わり」が新たな「始まり」へと巡っていくように、また別の砂から『ザ・フール』が改めて生み出されるだけなのだ。


Dあらゆる「物質」は、「材料」1つ1つ、「原子」1つ1つによって構成されている(その「原子」もさらに分割できるけど)。「組織」や「社会」も、「個人」1人1人によって構成されている。無数の塵のような微細な存在が集まり固まって、1つの巨大な存在が形作られているのだ。そして、そんな巨大な集合体が分解し崩れ去ってしまったとしても、いずれは別のもの同士が集まって、また新しい巨大な集合体を形成していく。
この「構築」「崩壊」の循環、「誕生」「消滅」の円環は、「自然界」や「宇宙」にさえ適用される。動植物の「食物連鎖」などはその好例と言えるだろう。この「宇宙」にしても、いつの日にか必ず終焉を迎えるが、「特異点」(=「0」)を経て、やがては別の「宇宙」が新生する事となる。『ザ・フール』の「砂」が持つ無敵性・不滅性は、これら物質世界のサイクル生命の営みそのものをも象徴しているのだ。そういう意味において、『ザ・フール』は非常に特殊なスタンドなのである。




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