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ジョジョの奇妙な冒険
黄金の風 (TVアニメ)






Episodio 18  ヴェネツィアへ向かえ!



今回は『ベイビィ・フェイス』戦決着からギアッチョ戦途中まで。ヴェネツィアに到着し、運河に車で突っ込んでエンドです。
ところどころ1枚絵でごまかしてるっぽい箇所はあったものの、全体として作画のレベルも高く満足でした。特に氷スーツを身に纏ったギアッチョは、非常にシャープで、目にも力がこもっててカッコ良かったです。『ホワイト・アルバム』の攻撃を受けるシーンも、スピード感とヒエヒエ感に溢れてて素晴らしい。贅沢を言えば、呼吸や発言のたびに白い息が煌めくような描写があったり、あまりの低温に体や声が細かく震えてるような描写があったりしたらもっと最高だったかもしれませんが、状況のヤバさはビンビン伝わって来ました。「凍らせる」というシンプルな能力で、ここまで次から次へとあの手この手で追い詰めて来るギアッチョが本当恐ろしいですね。
ボスもとうとう登場!声優は小西克幸さんです。約12年前、劇場版で主人公:ジョナサンを演じられた方が、今こうしてTVアニメでボスを演じる事になるってのは感慨深いものがあります。まだハッキリとは分かりませんけど、シブくて威厳のある声で、ボスに合ってるんじゃないでしょうか。ぶっちゃけ人望はからっきしなボスですが、このイケボならば、ペリーコロさんが命を張れるほど信頼していたのも納得できるというもの(笑)。


暗殺チームの連携がまたアニオリで描かれ、ストーリーに厚みも加えてくれています。冒頭では、ギアッチョとリゾットの電話シーンがあり、リゾットが闇技術者のおっさん(恐らく組織の一員)を『メタリカ』で脅していました。ギアッチョ戦からリゾット戦まではしばらく間が空くんで、忘れ去られないようにこうやってあらかじめ能力の片鱗を見せておいて、興味や疑問を抱かせ期待を持続させようという魂胆かな?
また、ギアッチョがメローネの敗北を悟ってキレるシーンの後には、ようやく解析が終了した写真のデータがリゾットからギアッチョへと送られます。ペリーコロさんが気の毒ではありますが……、文字通り必死にブチャラティチームを追跡・捕捉しようと粘る暗殺チームの頑張りに、そして実際、どんどんブチャラティ達に迫って行く彼らの姿に、敬意を払いたいところでもあります。
なお、暗殺チームの中でメローネだけが死亡テロップが無いため、生死不明に思われがち。でも、ジョルノを敵に回した時点で、メローネの死は100%絶対だと、私なんかは思うワケですよ。あれほど危険な目的とヤバい能力を持っている敵を、確実に殺すべき理由ならいくらでもありますが、生かしておいても良い理由など1つもありません。あのジョルノがそんな甘っちょろい無駄な行動を取るはずもなく、あれこそが間違いなくメローネを探知し殺害できる方法だったのだと確信しとります。


概ね満足な出来なのですが、不満点も一応あるにはあります。ここでも暗殺チーム絡みで、大きく2点ほど。
第10話に引き続き、今回もメローネが女性に舌なめずりしていました。しかし、自分の中ではメローネに対し、そういう事をしそうな印象がまったく無いんですよね。あんな能力なのに、彼自身には性欲や性愛みたいなものが欠落してて、女性を『ベイビィ・フェイス』の子を産むための道具・手段ぐらいにしか認識してない……っていう印象が強い。女性に迫る時も、質問内容はド変態そのものなのに、態度は実に真面目で、事務的・機械的に「やるべき事」を淡々とやるだけって感じ。なので、女性の体を視姦し、ああいう下卑た舌なめずりをするキャラとして描かれるのは違和感。……とは言え、私と制作陣との解釈の違いでしかないので、それでこの作品自体への評価が変わったりはしません。「ディ・モールト」の使い方の方がむしろ気になるかも(笑)。「非常に」という意味の、強調のための副詞・修飾語なのに、何故かそれ単独で使われてない?
あと、ギアッチョの「ヴェネツィア」「ベニス」の件でキレるシーン。原作とタイミングが変わっちゃったのが不満でした。あれはやっぱ、攻撃を受け、敵(『ピストルズ』)が目の前にいるっつーのにガン無視で、まるで関係ないどうでもいい事を唐突に喋り出すからこそ、そのあまりの余裕っぷりに恐怖を抱けるワケです。攻撃が落ち着いて1人の時に言われても迫力半減。ディ・モールト残念でした。原作の完全再現なんて求めていませんが、荒木先生の明確な意図や狙いをあえて変える必要はないんじゃないかな、とも思います。

(2019年2月9日)






Episodio 17  ベイビィ・フェイス



今回は『ベイビィ・フェイス』戦です。プロシュート兄貴&ペッシとの列車戦にじっくり3話使った分、こっちはかなりスピーディーに進行。『ゴールド・E』の成長、そして、ご存知「ピラニア」による攻撃まで行っちゃいましたよ。
列車戦の反動で作画がまた悪くならないか正直心配でしたが、そこんとこは大丈夫でした。ジョルノもメローネも最高にカッコ良かったぜ。けど、もうちょい「間」が欲しいってシーンが多かったですね。『ベイビィ・フェイス』が母親(アニータというらしい)に能力を使って「お食事」しちゃうシーンなんかは、もっと描写に時間を掛けて不気味さを演出してほしかった。せっかくの能力初披露の場ですんで。……と言うか、『ベイビィ・フェイス』にジョルノの肉体がえぐり取られるところは、どれもイマイチ迫力が足りなかったかな。
また、『ベイビィ・フェイス』がパソコン(=『ベイビィ・フェイス』の「親」)で話すシーンは、文字だけよりも声も入れた方が分かりやすかったと思います。やっぱアニメなんだし、文字を「読む」方に意識を向けさせちゃうのはちょっと違うよな、と。それと、個人的には『ベイビィ・フェイス』の配色に不満。これ、原作カラー版でもそうなんですが、何故か全身一色で塗られてるだけなんだよなぁ。もう少し手間掛けてカラフルにしてあげても良いだろうに。


とは言え、もちろん見どころも色々あり、十分楽しめました。まず、メローネのキャラクターがディ・モールト良し。大騒ぎのアニータさんを意にも介さず、淡々と「質問」を続けるのが逆に怖い。言葉は通じても、意思の疎通は絶対不可能。声が付くと余計にそう感じます。ビンタされた手を舐めるシーンも、毒々しい色の舌が異様さを強調してくれました。
メローネがギアッチョとリゾットに連絡を取るアニオリシーンも追加。良いチームワークです。リゾットは恐らく、例の写真の解析中。いかにもガラの悪そうな、しかも「P」の文字のタトゥーを顔に入れてるっぽい長髪の男が頑張って作業してます。「パッショーネ」の「P」だとしたら、彼も組織の一員で、しかも情報分析に長けたチームか何かで、リゾットに脅され命令されてるってトコか?解析が無事に終わったら終わったで、口封じに殺されちゃいそう。
そして、原作ではジョルノの「影」に化けた『ベイビィ・フェイス』が、アニメだとバイクから漏れ出た「オイル」に化けたところも面白かったです。オイルが亀に迫る事で、ジョルノが今すぐ亀に向かわざるを得なくなったし、ガソリンに点火して倒すってアイディアにもスムーズに繋がる。これはこれでナイスな改変でした。加えて、木の根を生やしてバイクごと『ベイビィ・フェイス』を捕縛したところも、ジョルノの「絶対に逃さない」という決意がより伝わってきました。


ちなみに、『ベイビィ・フェイス』がブチャラティの血液から産まれるって設定自体、モチーフとして興味深い。ブチャラティとメローネの服の模様ですが……、ブチャラティのオタマジャクシかビックリマークみたいな柄は「精子」、メローネのドーナッツのような円形の柄は「卵子」を意味してると思ってます。その両者が出会って、『ベイビィ・フェイス』という子どもが産まれたのは必然と言えるでしょう。2人とも他人を舐めて情報を得るっていう、イヤすぎる共通点もありますしね(笑)。
そして、そんな「子を産み出す」能力を持つメローネを、「生命を生み出す」能力を持つジョルノが打ち破るのも、何やら象徴的。似た能力ゆえに出会い、似た能力ゆえに影響を与える。でも、他人を犠牲にして産み出すメローネと、自分の力を分け与え生み出すジョルノとでは、やはり「親」としての格が違うワケです。

(2019年2月2日)






Episodio 16  偉大なる死(ザ・グレイトフル・デッド) その②



今回はプロシュート兄貴&ペッシ戦の決着まで。今までのペースからすると、せいぜい列車が止まるところぐらいまでかなと思ってたんですが、大変テンポ良くキッチリ終わらせてくれました。カットされたセリフやシーンはあるものの、非常に上手くまとまっていたんじゃないでしょうか。
今回もやはり原作に忠実な流れで、メチャメチャ気合い入れて作られていたため、かなり満足度が高い出来に仕上がっていました。とりわけ、致命傷を負いながらもスタンドを解除しないズタボロの兄貴が、原作同様に美しかった。ペッシの死に様も含め、「絵」としてごまかさずに見せてくれるスタンスが嬉しいです。思わず目を背けたくなるような、それなのに目が離せない、見入ってしまう……、そんな残酷な美しさが表現できていましたね。だからこそ、ちゃんと作品世界に入り込めて、兄貴とペッシの「覚悟」や「絆」にも感動できました。グッと来たなぁ~。
この列車戦後半の攻防は、「静」と「動」「緩」と「急」の妙が楽しめます。時速150kmのスピード感、ペッシの覚醒、とグングン上がっていきながら、呼吸も鼓動すらも含めて「何もしない」ブチャラティという静けさにいきなり包まれ、そのまま列車は止まる。そして、対峙するブチャラティとペッシ。夕陽の中の、最後の一騎打ち。一瞬の決着。メリハリが利いてて、まったく飽きる事なく最後まで熱中できる構成になっているワケです。BGMも効果的で、スゴくドラマティックでした。……素晴らしい戦いでした。その一言に尽きます。


せっかくなんで、あちこちでよく疑問にのぼる点の、私なりの解釈もついでに書いておこうと思います。
『スティッキィ・フィンガーズ』のジッパーは、切開した部分も「空間」同士は繋がっていて、基本的には何のダメージも無い。ただ、あまりにも細かくバラバラにし過ぎると、その「空間」の接合力が弱まり、血流も途絶えてしまう。だからブチャラティは、自分をバラバラにし過ぎて死にかけたのです。ちなみに、「空間」の接合をも断絶し、物理的な切開ダメージを与える事も可能。ただ、これは通常よりもスタンドパワーの消耗が大きいため、実力の拮抗した戦いの最中ではなかなか使えない。
『ビーチ・ボーイ』の「糸」は、「釣られた者」と「ペッシ本体」以外のあらゆる物質を透過する。逆に言うと、「釣られた者」と「ペッシ本体」だけは、「糸」に触れている・触れられる形になる。そこを逆に利用され、ペッシは自分のスタンドの「糸」で首をヘシ折られたのです。
そして、ペッシに対するブチャラティの評価について。「ただのゲス野郎」呼ばわりされてしまったのは、ジョルノ達を殺そうとしたペッシの「行動」そのものではなく、その「動機」にあります。「残る仲間のために」ではなくなり、「ブチャラティを絶望させるために」になってしまった事が原因。自分以外の誰かの助けや力になろうという「気高さ」より、腹いせに自分自身のドス黒い欲望を満たそうという「ゲスさ」を選んでしまったから。一見同じに見えるけど、両者は明確に違う。特にアニメでは、そこんとこが強調されてましたしね。ちょっと潔癖と言うか綺麗事かもしれませんが、ブチャラティはそういう男なんです。


ところで、改めて見直して気付きましたけど……、気を失っているナランチャの寝姿が、死んで花に包まれる彼の姿に重なります。「偉大なる死」の回にコレですからね。原作では老化解除後、バリバリ元気に動いてたんで、あの寝姿はスタッフさんの意図があって描かれたんでしょう。)

(2019年1月26日)






Episodio 15  偉大なる死(ザ・グレイトフル・デッド) その①



今回はプロシュート兄貴&ペッシ戦の中盤。覚悟を決めたブチャラティが、兄貴もろとも外に飛び出すところまで。時速150kmノンストップの列車戦は、ますます加速中です!
これと言ってアニオリシーンもなく、かなり原作に忠実に作られていました。色と動きと音声が加わる事で、あの名シーンの数々も新たな感動と興奮を与えてくれました。ミスタもブチャラティも兄貴も熱い。男達の魂の激突に心震えます。特に、ミスタが現れてペッシに質問するシーンや、兄貴がミスタの頭を撃つシーン、「覚悟はいいか?オレはできてる」のシーンなんかは本当に素晴らしかった。初見の人は、マジでミスタが死んだと思って焦ったでしょうね~(笑)。自分も最初は我が目を疑い、帽子が防弾チョッキになってるんじゃないかとか淡い期待を抱いて、ヤキモキしながら一週間待ったもんです……。そんな当時の感覚と想い出が蘇るほどに良い出来でした。
ミスタと言えば、サーレー戦とは違い、今回はミスタの帽子から弾丸が落ちて来て装填されるところが分かりやすく描かれていましたね。それに加え、ペッシへの質問中、氷の破片を帽子に入れるカットまでさりげに挿入してくれているし。こんな風に、地味なシーンであっても、1つ1つ丁寧に積み重ねていってもらえると嬉しいです。


ただ、老化した兄貴が一目でモロバレになっちゃってたのは、やっぱ残念でした。声はイイ感じにごまかせてたのに、ヘアースタイルやファッションが個性的だから、全然隠れられてない(汗)。そこはアニオリの弊害をモロに受けちゃったなぁ。ついでに言っちゃうと……、兄貴の声がちょっとイカついって言うか、凄み過ぎな気もしますね。普段はそれで良いんですが、ペッシを励ます時はもっと優しい声と演技にした方が飴と鞭がより引き立つんじゃないかって思いました。
そして、高速移動してる乗り物でのバトルってのは、毎度ながらグッと来ます。だからこそ、列車に乗ってる臨場感を増すために、常にゴトトーン ゴトトーンって走行音を入れてほしかったかも。でも、そういう細かい点は置いといて、この列車戦はアニメになってもスゲー面白いですね。


なお、OP曲はどうやら近々変わるようです。その名も「裏切り者のレクイエム」。3/27発売らしいのですが、いつから使われるんでしょう?
タイトルからして、ブチャラティ達が組織を裏切ってからにしてほしいけど……、「裏切り者」の中に暗殺チームも含まれるってんであれば、この列車戦が終わってからのタイミングでも良いかもしれません。兄貴の気高き最期を見届けた後からなら、流れ的に自然かもしれません。どんな曲なのか、楽しみに待ちたいと思います。

(2019年1月19日)






Episodio 14  フィレンツェ行き超特急



総集編を経て、2019年一発目の本編。今回はプロシュート兄貴&ペッシ戦の開幕です。ミスタの手に『ビーチ・ボーイ』の「針」が食い込むところまで。
前回は作画がかなり不安定でしたが、今回はいい感じ。さすがにこの戦いは気合い入れてくれているようですね。まぁ、全編等しく気合い入れてほしいのが本音とは言え、ハイクオリティでこの戦いを楽しめそうな事は素直に喜んでおきます。
まず、今回はやっぱり兄貴のカッコ良さに尽きました。「ブッ殺す」なんて言葉は使わない、不言実行のスタイル。自分の勘すらも迷わず信じる、絶対の「自信」。ギャングとしての「覚悟」。自分なりの「美学」。時に厳しく時に優しく、弟分を導く懐の深さ。冷酷非情な敵なのに、こんなにも魅力的なキャラクターはなかなかいないでしょう。ジョルノに強い憧れを抱く私ですが、偉大なる兄貴(ザ・グレイトフル・アニキ)にも似たような想いを抱かずにはいられません。しかも、アニメ版はシルエットじゃなく、ちゃんと全身が描かれているので、原作とはまた違った印象を受けますね。ジジイになってミスタを襲う時には、バレバレにならないようにうまい事やってほしいけど。
そして、そんな兄貴のスタンド『ザ・グレイトフル・デッド』。「老化」の能力の恐ろしさ・おぞましさを、じっくりねっとり描写してくれた点が良かった。ガチでヤベェ状況ってのが明確に伝わってきます。だからこそ、この絶望的状況に風穴を空けてくれるジョルノの頼もしさも引き立つワケです。観察力と推理力、そして直感力が凄まじい。

ペッシに関しては、第10話の暗殺チームのアニオリを見た後だと、ペッシはペッシなりに成長してるなとも感じます。
2年前は殺しを目にしただけでも腰抜かす程だったのが、今では殺しこそ未経験ではあっても、けっこうやる事はやってますからね。人を傷付ける事への罪悪感はだいぶ薄れていそう。兄貴のサポート役として、いろんな仕事を手伝って来たんだろうなぁ。今はまだ弱々しい声の演技ですが、覚醒後はどんな風に変貌するのか期待です。


残念な点は、なんと言っても「キャプテン翼」ですよ。あのくだり、めっちゃワクワクして待機してたのに、まさか丸々カットされるとは……。
トリッシュの乳輪は理解できます。そりゃあ無理ですよね。でも「キャプ翼」は、せっかく同じ会社で同時期に制作しているってのに。これ以上ない最高の状況が整ってたのに。本編とは関係ないシーンではありますが、挿れられなかった理由を知りたい。いや……、このスタッフ陣なら挿れようと努力してないはずはないので、きっとルール的にNGだったんだろうな。実在するまったく別の作品の映像を流してはダメよ、みたいな。


ちなみに、2クール目に突入したからか、ED映像がリニューアルされました。今までは横にスクロールしていく映像でしたが、上へ上へと昇っていく映像に。伸びていく「植物の生長」や、高いところへ上がっていこうとする「てんとう虫の習性」を象徴するかのよう。キラキラ感も含め、まさにジョルノらしさが散りばめられた映像に仕上がっています。最後はみんなが彫像になり、これまた5部っぽい。ただ、次回予告もそうですけど、「JOJO」なのか、それとも「GIOGIO」にしたいのか、なんか作品の姿勢として中途半端な感じはしますね(汗)。
OPは特に変わらずですが、このままラストまで継続なのかな?もし変えるとすれば、組織を裏切った直後のタイミングでお願いしたいところです。

(2019年1月12日)






Episodio 13  マン・イン・ザ・ミラーとパープル・ヘイズ



今回はイルーゾォ戦決着まで。2018年の放送はここまでで、キリも良く終了!
うん、やっぱりこのバトルも見どころ満載で面白かったです。スタンド登場ホヤホヤのフーゴがメインかと思いきや、ジョルノ・アバッキオ含めた3人にそれぞれ見せ場があり……、立場や思惑は違えど、3人の行動が「勝利」に向かってバトンリレーされていく感じがイイんですよ。そして、それが仲間達のジョルノに対する「信頼」にも繋がっていくという、ディ・モールト美しい流れを自然に生み出しているワケです。5部レビューでも書きましたけど……、死の街ポンペイ、死の世界を創り出すイルーゾォ、死のウイルスを持つフーゴ、死をも前提に戦うアバッキオ。「死」に取り囲まれた中でジョルノの「生」が力強く輝いて、仲間の心さえ大きく動かしていく、仲間の心をも生き返らせていく。そんなところが物凄くグッと来ました。この号のジャンプを高校の修学旅行先で読んで、「ジョルノが信頼された!」って興奮しながら友達に話した事を今も憶えています(笑)。 (ちなみに、ちょうど「こち亀」1000回記念号でした。)
また、フーゴが内包する知性と凶暴性とか、くすぶり続けているアバッキオが抱えた自己矛盾とか、そういったキャラクターの相反する心理・性格を映し出すモチーフが「鏡の世界」ってあたりも良く出来てるよなと思います。何せ、バトルとストーリーとキャラクターとテーマを同時に絵で表現できているんですからね。


アニメ版としては、アバッキオの「巨大で絶対的な者」のくだりもちゃんと入れてくれててホッとしました。これがあるのと無いのとじゃ、彼に対する印象も変わってきますもんね。ズッケェロ戦で、ブチャラティに拾われる過去エピソードまでオリジナルで挿入した事で心配してたんですが……、ブチャラティとポルポ、ペリーコロさん、ボスが「巨大で絶対的な者」の象徴として描かれたおかげで違和感もけっこう払拭。この時点でのアバッキオにとってはまだ、ブチャラティは「落ち着けるところ」であると同時に「圧倒的に上の存在」でもあったんですね。組織を裏切る決断をする時、初めて彼は、ブチャラティと自分を対等に出来たのかもしれません。
ジョルノがヘビから獲得したのが「ワクチン」ではなく「血清」になってたのも、医学的にはこちらが正しいんで「おっ!」と思いました。そして、『パープル・ヘイズ』のウイルスでドロドロになって死んでいくイルーゾォも、巧い具合に紫煙でごまかしてくれました!こっちはこっちで、放送コードやら自主規制やらを心配してましたんで。シーン特色も相まって、めっちゃ毒々しく禍々しくおどろおどろしくって最高です。これで『パープル・ヘイズ』の出番も最後とは、本当に惜しいよなぁ。もっと活躍が見たかったです。いや、ひょっとしたらアニオリでちょっとした出番くらいはあったりするかも?
正直、いよいよ作画が不安定になってきている感は否めませんが、「鏡の世界」に取り込まれる時の演出は超カッコイイ。身体が鏡かガラスにでもなったかのように、煌めきながら砕け散っていくのが美しいですね。音の響きもそれっぽくて好きです。

気になったところは、「鍵」が置かれていた場所が「犬のゆか絵」の所じゃなく、その奥の部屋になっていた点。作画的にその方が楽だったのか、実際のあの場所は格闘が出来るようなスペースじゃなかったとかなのか、理由は分かりませんが残念。『ムーディー・ブルース』に踏み付けられた『マン・イン・ザ・ミラー』が、煙のようにポンと消える点も意味不明でした。
そして何より、「鏡の世界」では物を動かす事が出来ないという説明はしっかりするべきだったと思います。せっかく前回、ゴミ箱でその布石を打ってきたと評価したんだけどな~。まさか説明を省くためだったとは。これが無いと、「わざわざレンガをヘビにする必要ある?」「アバッキオみたく鏡で見りゃいいじゃん」って初見の人に思われてしまいそう。


さて、ラストはアニオリでネアポリス駅の様子が描かれていました。なんと、自殺したペリーコロさんの元にリゾットが登場!燃える写真の破片をゲットしていました。ここからすぐに写真の復元に取り掛かり、そのおかげで翌日早朝にはギアッチョに襲撃される事になるのです。暗殺チーム側の動きも見せる事で、チーム戦が一層盛り上がりますね!

(2018年12月29日)







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