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ジョジョの奇妙な冒険
黄金の風 (TVアニメ)






Episodio 30  グリーン・ディとオアシス その①



今回はローマに到着し、2手に別れるところまで。ジョルノ&ミスタ VS チョコラータ、ブチャラティ VS セッコの幕開けです。
作画も安定し、内容も原作に忠実で、安心して楽しめました。『オアシス』のドロ化によって沈没していく階段の様子も、見応えたっぷりで満足。アニメならではの要素としては、真夜中の死闘という事で、「光」が非常に効果的に使われていたように思います。荒木先生は著書「荒木飛呂彦の漫画術」にて、「光を表現する際には影を描け」と書かれていました。今回は逆に、光によって闇がより色濃く表現されてますね。爆発したボートの炎や街灯などの光に照らされるブチャラティ達が、夜の闇から浮かび上がっているようでカッコ良かったです。
また、いつもの事ながら、声優さんの演技もBGMも素晴らしい。チョコラータのナイス「よしよし」も堪能できたし、ブチャラティの告白も穏やかな口調がかえって悲壮感を漂わせててグッと来ました。漁村でセッコが迫る中、ブチャラティが亀を置いて走って行く直前のシーンでは、あえて無音にする事でブチャラティの言葉と決断が際立っていました。ミスタ&ジョルノの協力射撃シーンも、ラストのジョルノ&ブチャラティのやりとりも、期待以上のクールさでシビれたぜ!
気になってた『グリーン・ディ』の全身像は、アイキャッチで描かれていました。5部ゲーとは異なる、ごく普通の下半身。まぁ、ある意味、ウルジャン掲載時とコミックスの『ファン・ファン・ファン』みたいに2パターン楽しめてお得です(笑)。

ちょっとした不満点としましては……、埋まったミスタの拳銃が地中から飛び出すシーン。なんか『ピストルズ』が直接、拳銃を持って出て来てましたけど、弾丸を発射しまくった反動で飛び出すようにしてほしかったなぁ。あと、亀をブチャラティに預けて拳銃チャッチ!すぐさま射撃!って流れが好きだったのに、見事に省かれちゃったのは残念。
それと、アリアリラッシュがモロにセッコにヒットしちゃってたのは「違うだろ」って感じ(笑)。ギリギリで捌いたけど、うっかりほっぺたに一発食らっちゃったって風にしないとダメですよね。でないと、「なんでペッシみたいにバラバラにならないの?」って疑問に思われてしまいますから。


ちなみに、セッコがカビらない理由は、スタンドを身に纏っているからだと私は解釈しております。
チョコラータとセッコの問答はともかく、『ベイビィ・フェイス』戦にて亀の「鍵」を外した際に「スタンドは生き物ではない」と証明されていますからね。たとえあの場に『ノトーリアス』がいたとしても、どっちみち「そもそもスタンドにはカビは生えない」と思います。……で、『オアシス』はセッコ自身が身に纏うスーツ型スタンドなので、彼の全身は「カビらないスタンド」によって覆われガードされているという事になるワケです。スーツのデザイン的にところどころ切れ目は入っているけど、そんな事は無関係。要は、セッコが『オアシス』を着てさえいれば、全身がくまなくスタンドパワーで保護されるって事です。本来は地中を泳ぎやすくするためのスーツなんですが、同時にカビからも守られる結果になるとは、まさしく赤い糸で結ばれたコンビですね。
ってか、『グリーン・ディ』のカビ判定自体もけっこうガバガバな気がしますよね(笑)。スタンド使いは一般人よりは抵抗力が強く、カビの発生も割とまちまちになったりする……のかもしれません。うん。
EDでは、そんな『グリーン・ディ』と『オアシス』も追加!最初はゆとりのあった柱も、今ではすっかりスタンド密集地帯と化してます。


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(2019年5月18日)






Episodio 29  目的地はローマ!コロッセオ



新時代「令和」1発目の今回は、カビに襲われたナランチャ達を辛くもボートから救出したところまで。
アバッキオが命を懸けて託してくれた、ボスの指紋と素顔。これらのおかげで、ブチャラティ達は「謎の男」と接触する事が出来ました。……でも、全然「謎」じゃなくなってるよ!声を多少は加工してたけど、あれだけ長々と喋られれば分かっちゃうし、何より声優さんの名前が思いっ切り「小松 史法」とクレジットされちゃってるもんだから、正体がポルナレフである事がバレバレ(笑)。『矢』の説明の時も、ご丁寧に3部メンバーのシルエットと3部BGMをアレンジした曲まで披露してる。私はコロッセオで待つ彼のシルエットで気付いて、めっちゃ興奮&ワクワクした想い出があるだけに、この時点でのバレは超もったいないですね。もっと隠して、じらしてあげなよ。
まぁ、それはさておき、実に4年ぶりに聞く小松史法さんのポルナレフは良かったな。「あぁ~~、ポルナレフだよ」って、ちょっと感動しました。やはり喋り方や雰囲気は、落ち着いて大人びた感じになってますね。コロッセオでの正式登場も楽しみです。
『矢』のルーツ説明では、昔のフィルムを再生する風にした事で、止め絵の連発も逆に効果的になってました。ついでに言うと、原作では描かれなかった『矢』の裏側も、アニメだとちゃんとデザインされてるのが嬉しいポイント。また、OPであらかじめ『矢』をずっと見せていたから、ここでの急な『矢』の登場と設定にも納得感が増してる事でしょう。


そして、お待ちかね!最低のゲス野郎ども、チョコラータとセッコの登場です!声優は、チョコラータが宮内敦士さん、セッコがKENNさん。チョコラータに関しては、多くの方が期待していたであろう中尾隆聖さんではなかったし、5部ゲーの石野竜三さんもかなり好きだったんで、少々残念ではありましたが……、宮内さんなりのチョコラータがどんどん魅力的に作られていくに違いありません。
チョコラータの過去も、単にボスから語られるだけではなく、しっかり動いて喋ってくれました。チョコラータとセッコは「親衛隊」のメンバーと勘違いされがちですが、実際はそうではなく、封印された禁断の切り札。組織内で完全に独立した、2人だけの異質なチームなのです。こいつらが他の人間とうまくやっていけるはずがない。そんな隔離すべきモンスターっぷりがより伝わってきて、ディ・モールト満足!
『グリーン・ディ』も原作より若干ふくよかになってて、不気味な愛嬌がありますね。5部ゲーでの下半身のデザインがお気に入りなんですけど、アニメでは全身像が描かれるのかな?


あと、細かい点を挙げると……、『ムーディー・ブルース』がボスの正体を遺した石碑は原作よりもキッチリ砕かれていました。原作だと、素顔の部分がバッチリ残っちゃってるから、「いやいや、これじゃボスにモロバレでしょ!」って心配したもんです(笑)。あそこまで粉砕しとけば一安心。
ボスとドッピオの会話では、ボスの人格が『キング・クリムゾン』として表現されており、いよいよ間近に迫る『レクイエム』絡みの展開への下準備を整え始めている印象を受けました。


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(2019年5月11日)






Episodio 28  今にも落ちて来そうな空の下で



今回は……、そう、このサブタイの通りです。ああ~、Bパートはもう、ずっと涙出てたなぁ~。いい歳こいたおっさんをあんま泣かせんといて。
というワケで、やっぱり神回に仕上げてくれていましたよ。今回は2人の死が描かれましたが、これもある意味、対照的でしたね。リゾットはどこまでも孤独に、アバッキオは仲間達に囲まれて。でも、どちらも本当に誇り高い死に様でした。
特にリゾットの死は、ブチャラティが全てに気付いてくれたおかげで報われた感すらあります。なんか、いっつも「ありがとう、ブチャラティ」って思ってしまう(笑)。リプレイ中のアバッキオをほんの僅かの時間でも1人にしてしまった事は、結果として判断ミスかもしれませんが、この辺のブチャラティのキレッキレのリーダーっぷりはカッコ良すぎ。とにかく、最期の最期まで自分達チームの「誇り」と「復讐」のために生き抜いたリゾットに敬意を。


そして、アバッキオの死。生意気そうなガキは嫌いなはずなのに……、そんなガキ達のために動いた、なんだかんだ心根は優しいアバッキオ。アニメでは一瞬の微笑みも描かれてたので、なおさらそれが引き立ちます。その優しさゆえに命を落としてしまうとは。まぁ、いくらなんでも、あのガキ達の中にボスが混じってるなんて予想できんよな。地面を這いずり、カエルを食ってでも生き延びようとするボスの執念もやっぱスゴいんですよ。
怒涛と波乱のAパートの次は、一変して物静かで厳かなBパート。あのレストランでのアバッキオは、いつものトゲトゲしい雰囲気が無く、本当の素の姿なんでしょうね。十字架を背負い続け、ずっと自分を責め続けている弱々しい姿。私も含め、どこかで自分自身の心情や人生と重ね合わせ、アバッキオに感情移入する読者も多いはず。で、殉職した同僚もまた、穏やかで優しげな表情と声でさ……。それで「あの言葉」を語られたら、涙くらい流れて当然ってもんですよ。あんなに優しい言葉、そうそう無いよ。アバッキオが同僚に気付いた瞬間、モノクロだった世界に色が戻るという演出も最高でした。
そこから場面が切り替わり、魚眼レンズで映したかのような、今にも落ちて来そうなサルディニアの空。斃れたアバッキオの前で、残されたブチャラティ達がそれぞれの形で悲しむ姿がまた泣ける。とりわけナランチャは「ひとりぼっちの悲しさ」を誰よりも知ってるから、その言葉も胸を打ちます。それまで不穏な雲に覆われていた空から光が差し込み、アバッキオの亡骸を照らすっていうのも、象徴的で美しかった。
アバッキオが握り締めていた破片は、仲間達へ、特にジョルノへ遺したメッセージだったんだろうなって思ってます。気に喰わない忌々しいクソガキだけど、それでも、ジョルノなら必ずこれを見付けて、意味に気付いてくれる。そんな確かな信頼があったのだと、私は信じています。だからこそ、彼は自分の「すべき事」「したい事」をやり遂げられた。彼の心は救われたし、彼の人生は幸福だったのだと思います。
恐らくジョルノがアバッキオに手向けてくれたであろうや、最後の「TO BE CONTINUED…」の矢印が無かった点、そしてEDでアバッキオの名が最初になってた点からも、この回の余韻や雰囲気を大切にして作ってくれた事が伝わって来ましたね。


平成最後の回が、期待を上回る最高の回になってくれて嬉しい限り。優しさが溢れてた。本当に魂がこもってた。声優さん達にもスタッフさん達にも、心から感謝します。次回はまたまた総集編だけど、ゆっくり英気を養って、ラストまで素晴らしいアニメを見せていただきたいですね!
―― ところで、つい先日、押し入れの奥からある物を引っ張り出して来ました。それはノートです。実は私は、21~22年前からサイト開設までの間、「ジョジョ」や荒木作品の感想をノートに書き留めていました。このサイトを作る前から、大差ない事をずっとやってたってワケです(笑)。書き始めた時期が、ちょうど今、アニメでやってるところら辺の連載時期だったんで、超久々に読み返してみたくなったんです。で、せっかくだから、「ほんの少し昔のジョジョ語り」と題し、このサイトにも内容をそのまんま転記する事にしました。ほぼ自分のための記録としてなんですが、もしこれを読んで面白がってくれる奇特な方がいたなら、それもそれで嬉しいし。
その連載当時の感想こちらです。ちょっと遡って、5部アニメの22話からも、該当分の感想へのリンクを付け加えておきました。



(追記)
あちこちで感想を読むと、当たり前のように大好評です。ただ、ちょいと気になったのが、「ブチャラティの唇から血が出るのはおかしい」という意見。アニメしか観ていない人はそういう風に捉えてしまうんでしょうか?いや……、24話でも傷口から血が微量ながら出てるからなぁ。今後も含めて、常人ほどじゃないにせよ、それなりに出血はしてる。心臓が止まって血が巡ってないだけで、体内に血自体はあるんだから、傷が開けば出血する事ぐらいあるだろって思うんですけどね。それに、唇から流れるあの血はブチャラティの涙でもあるんです。無粋な事は言いっこなし。
唇と言えば、これもよそで感想を読んで知ったんですが、リゾットの唇にも噛み締めたような痕があったんですね。きっとブチャラティの何倍も仲間を失う悲しみや怒りに震え、そのたびに唇を噛んで耐えてきたんだろうな。アバッキオのように、リゾットもあの世で仲間に再会して救われる事を、つい願ってしまいます。彼ら暗殺チームは紛れもなく「悪」なんだけど、単なる敵役・悪役じゃないんだよなあ。長い「ジョジョ」の歴史でも珍しい、ちゃんとお互いに信頼や絆がある「敵チーム」だったからなあ。彼らの末路が物哀しくもあります。

(2019年4月27日)
(2019年4月30日:追記)






Episodio 27  キング・クリムゾン vs. メタリカ



今回はドッピオ&ボス VS リゾットの決着まで。誰の目にも触れず闇に葬られた超大物対決、面白かったです。
あらゆる要素が一切の無駄なく噛み合い、滑らかに回転し、「美しさ」すら感じさせるほどの見事な死闘を創り上げて魅せてくれました。この戦いをベスト・バウトに挙げる人が多いのも頷けます。まさかアニメで見られる日が来ようとはね。


特筆すべきは、何と言っても暗殺チームの家探しアニオリシーン。リゾットの過去はまったく語られませんでしたが、リゾットという「個人」以上に、暗殺チームという「集団」を描く事を優先した結果なのでしょう。しかも、「これが最後の出番!」とばかりにチームの全員集合!原作ではリゾット・プロシュート兄貴・ギアッチョ・イルーゾォの4人の仕事だったのに、思わぬ大サービスです。7人全員でやるほどの仕事ではないとは思いますけど、まぁ、それはそれ(笑)。
そして、暗殺チームが描かれる事で、リゾットという「個人」も同時に強調されます。彼の背負ったものの大きさや「覚悟」の強さには、やっぱりグッと来るものがありましたよ。部下を全員失ってしまったけれど、その犠牲も何もかもを含めた運命は今、リゾットをボスと引き合わせてくれたのです。ついにボスの正体を掴み、追い詰めるところまで辿り着けたのです。あと一歩で勝利を逃してしまったものの、それでも、彼らのやって来た事は決して無駄ではなかったはず。悪のプロフェッショナルを貫き通してくれた暗殺チームに、改めて敬意を表したいと思います。

2人の対決そのもので言えば……、正直、止め絵を多用しすぎなところと、絵柄が少々不安定なところは気になりました。また、イメージしていたテンポや勢いとは違う部分も多く、乗り切れない自分がいました。最初の『エピタフ』の映像なんかは、もっとじっくり見せなきゃ「予知」と同じ行動をしてるドッピオが理解しにくいでしょうし。カエルを使ってリゾットの位置を見破るシーンも、なんかおとなしい印象でしたし。電話と思ってタバコを拾うシーンも、絵的な動きに乏しくて冗長に感じたし。
でもやはり、盛り上げるところは大いに盛り上げてくれましたね。リゾットが原作以上に想いを口にしてくれて燃えたし、ボスにとどめを刺そうとする直前も原作以上に用心深い振る舞いでした。メスでドッピオを追い込む時にしても、かなり執拗な連続攻撃だったし、ドッピオのダメージの深さや状況のヤバさもよく伝わりました。そのおかげもあって、『エアロスミス』に撃たれてからの転調が引き立ち、最高のどんでん返しになったと思います。リゾットと同じように、視聴者も「……え?」ってなりますよね!ボスによるタネ明かしの流れも、原作を巧く再構成して臨場感たっぷり!(「おまえの「呼吸」だけだ リゾット!!」のとこだけBGMを止めてくれたらもっと最高だったけど。) 結果として、右肩上がりにヒートアップし、素晴らしいヒキで終わった回でした。


EDには『メタリカ』も追加されました。徐々に完成形に近付いていってるなあ。エンディングも近付いているって事か。
次回は平成最後の回となります。それも、いよいよ「今にも落ちて来そうな空の下で」ですよ。2001年のイタリアの話に対してアレですが、アバッキオは「平成」という時代に取り残されてしまうのか……。「令和」には来れなかったか……。そんな変な感慨にも耽ってしまいました。ともかく、次回は心して見届けたいと思います。


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(2019年4月20日)






Episodio 26  ほんの少し昔の物語 ~ぼくの名はドッピオ~



今回はボスの過去、ドッピオ登場、そしてリゾット戦の開幕。『エピタフ』の発現まで。主人公であるジョルノ達は一切登場しない、敵オンリーの珍しい回でした。
サブタイ通り、まずはボスの過去が描かれたワケですが……、ナレーションは控えめに、ちゃんと会話劇を中心として展開していきました。「ディアボロ」という名前やポルナレフの存在などはまだ明かさぬままでホッと一安心。ボスが生まれついての二重人格者っぽく描かれていたのは、私個人の解釈とも合致しています。得体も底も知れない不気味さが強調されていましたね。
また、ドナテラとの出逢いまで見せてもらえるとは予想外。彼女が露骨にトリッシュの設定そのまんまなのは気になったと言うか、安直すぎだろと思ったりしましたけど(笑)。でも、島のどん臭い少年が、外からやって来たイマドキの女の子に惹かれる感じは、なんか運命的でロマンティックです。神父が「車を買ってやってもいい」と思ったキッカケが、2人が遠くまでわざわざ歩いてデートしてたのを見かけたからだったのも自然な理由で良かったですね。
ドナテラと最初に会ったのはドッピオ人格っぽかったけど、どんな風に関係を深めていったんでしょうね?緊張で全然エスコートできないドッピオに業を煮やしたボスが、「ドッピオよ、おまえにこの女の相手は荷が重い……。今すぐわたしと代わるのだッ!」などと出しゃばって強引に交代して、めっちゃ口説きまくったとか?ドナテラもドナテラで、そんな極端な二面性を持つミステリアスな彼に惹かれちゃったとか?で、ドッピオはオイシイ思いも出来ず、彼女との記憶すら曖昧になってるとか?そのへんも知りたいなー(笑)。

ただ……、ここまで具体的に入念に過去を描いた上でのドッピオ登場なので、「ボスの別人格」という正体に対する驚きは薄れちゃったかな。私が昔、原作で初めてドッピオ登場回を読んだ時は、あまりの驚きと衝撃で、自分が何を読んでいるのか分からなくなるくらい混乱しちゃいましたから(笑)。あの感覚を大切にしたい私としては、やっぱもっと唐突さが欲しかったかも。
とは言え、ドッピオの声や演技はまったく違和感がなく、思い描いていたイメージ通りで最高でした。ボスからの電話のコール音もバッチリ!ボスから「そのまま自然に… 怪しい行動はとるな!」と命令された時の、不自然さと怪しさも見事再現されてましたしね(笑)。あんなヤバいヤツ、リゾットじゃなくても見張るだろ。
巧いな~と感心したのは、ドッピオの「そうだ、近づかなきゃ!でも一体何に……?」から、リゾットの「オレはおまえに……… 近づかない」にすぐ繋げてきた点。単にセリフをカットするだけではないのがさすがです。久々に登場のリゾットもいよいよ見せ場。クールでプロフェッショナルな言動が、たまらなくカッコイイ。彼がテレビで飛行機墜落のニュースを見るアニオリも追加されていたので、こりゃあ次回にでも彼の過去も見せてもらえる可能性がありそう。そこも期待しておきます。


ちょっぴり残念な部分とすれば……、占い師の死体も血しぶきも何故か綺麗サッパリ消えちゃってたところ。う~ん、前回のお部屋のお荷物だけならまだしも、こいつはいくら『キング・クリムゾン』でも無茶じゃない?
それと、ボスの「この世はアホだらけなのかァ~~~~~ッ!!」のセリフがカットされちゃったところ。いかにドッピオとボスが人の悪意を引き寄せてしまっているのか、その日頃の苦労や不満が窺えるセリフで好きなんですけどもね(笑)。同じく、サルディニア人としての「静かなる反骨」を秘めた気風のナレーションもカット。場所の説明だけになっちゃった。


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(2019年4月13日)






Episodio 25  スパイス・ガール



今回は『ノトーリアス・B・I・G』戦後編。『スパイス・ガール』の覚醒、『ノトーリアス・B・I・G』からの脱出、そしてサルディニアへと向かうボス。運命の時は刻々と近付いています。
メインキャラが初めてスタンドを発現させる瞬間ってのは、やっぱりいつ見てもワクワクしますね。今回のトリッシュも言わずもがな。理解不能の状況に突き落とされ、恐怖や迷いに振り回されながら、自分の心に巣食う「弱さ」に向き合う。覚悟を固めてそれらを乗り超え、決して壊れない「強さ」を獲得する。EDMっぽいクールな曲も相まって、懸命に戦う彼女がめっちゃカッコ良かったです。
この話で個人的に「絶妙だな」って思う点は、『ノトーリアス・B・I・G』の能力そのもので……、ゆっくり動かなければならないという制約。トリッシュも言ってたように、急いだら死ぬというシチュエーション。おぞましい敵が迫る中、命の危機が迫る中、素早く行動を取る事が許されません。つまり、不安や恐怖に駆られる事なく、勇気を持って己の「弱さ」を克服する……というテーマ自体がルールになってるワケです。かと言って、順当にひたすらゆっくり戦い続けて勝つって結果にもならず、最後の最後は逆に猛ダッシュ!覚悟を決めたトリッシュがスットロいルールごとブッ壊す姿に、カタルシスを感じてスカッとしました。
『スパイス・ガール』の能力判明前に、ブーツが柔らかくなる描写を入れなくてもいいじゃんとか……、トリッシュの「一味……… 違うのね………」ってセリフの間の取り方がイメージと違ったとか……、もっと時計をデロデロに柔らかくなった感じに描いてほしかったとか……、まぁ、不満点もありました。でも、結局はトリッシュと『スパイス・ガール』のカッコ良さの前にひれ伏すのみ(笑)。『スパイス・ガール』の凶悪セリフ集も、ワナビーラッシュも、キメの「アリーヴェ・デルチ」も、全てが最高にカッコ良かったよ。
『キング・クリムゾン』発動前後を画面の明暗で区切ったのもグッドな工夫でした。閉めっぱなしの真っ暗な部屋から、陽の差し込む部屋に。ボスらしいし視覚的にも分かりやすいので、良改変と言えます。あ、1つ贅沢を言わせてもらえると、トリッシュのアパートを家探しする暗殺チームの絵が見たかったです。そうすりゃ、より自然にリゾットに繋げていけたろうになぁ。


ちょっと気になったのは、『スパイス・ガール』のデザイン。これまたけっこう簡略化しましたねぇ。ジョルノやブチャラティ、ナランチャあたりの服のデザインも含め、アニメとして動かしやすいようにシンプルにしてるんでしょうけど。そういう仕方ない都合も理解した上で、繊細・美麗なディテールが大味に変えられちゃうのはちょっと残念って気持ちもあります。
ちなみに、スマホゲームの「ジョジョピタ」みたいな可愛い系と言うか、2頭身のゆるキャラ的なデザインは好きです。荒木先生が目指すリアル化とは真逆のシンボル化に振り切ってて、これはこれで面白い。ここまでシンプルにしても誰なのかすぐ見分けが付くって事は、荒木先生が詰め込んだ「そのキャラならではの要素」だけをキッチリ抽出できてるって事ですし。翻って、荒木先生のキャラデザの妙をも実感できますからね。


ED映像には『ノトーリアス・B・I・G』と『スパイス・ガール』が追加。これを第1話から見てみたかったな。最初は『ゴールド・E』しかいないのに、だんだん増えていくっていうの。
さて、次回のサブタイトルは「ほんの少し昔の物語 ~ぼくの名はドッピオ~」。およよっ?もしや、ブチャラティチームの面々同様、ボスの過去も早い段階で描こうって魂胆ですか?すでにOPで『矢』もデカデカと出しちゃってる以上、出し惜しみする意味もあんま無いですし。ただ、わざわざサブタイにする程の量も無いんだけど、アニオリで水増ししたりするんでしょうか?楽しみにしていますが、まさかここでもうポルナレフを出しちゃったりは……しないですよね?


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(2019年4月6日)







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