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参加動機考察編



ウルトラジャンプ2006年5月号にて、我らの偉大なるイケメン英雄、マウンテン・ティムは天国へと旅立ちました。ここでは、とうとう語られる事のなかった、彼がスティール・ボール・ラン・レースに参加した動機を考察してみたいと思います。


参加動機を考える際に引っ掛かったのは、彼が「意外とあっさりリタイアしてしまった」事と「リタイアした割に大して悔しがってなさそう」って事でした。いくら重症を負ったからと言って、もしジャイロやサンドマン、ディエゴだったらリタイアしたでしょうか?……恐らく、いや、間違いなくNO断念!でしょう。万一、リタイアなんて事になったら、悔しがるどころの話じゃあありません。彼らは絶対にレースを降りるワケにはいかない理由を背負っているからです。イケメンには、命や人生を懸ける程の深刻な理由がなかったと推測するのが自然ですね。
思えば、彼が命を懸けていたのは、いつも自分以外の誰かを守るために戦う時でした。謎の殺人犯を捕える決意をしたのも、大切な友人達が参加するレースを守るため。オエコモバにケンカを売ったのも、信頼に値するジャイロ達を守るため。そして大統領やブラックモアに逆らったのも、愛するルーシーを守るため。これほどの純粋なる正義漢もそうはいません。即ち、彼のレース参加目的は自分自身のためでしかなかったものと思われます。
レースに優勝した時に得られるもの、それは莫大なる賞金最大の栄誉。しかし、果たしてイケメンは、それを心から欲していたのでしょうか?皆が憧れる伝説のカウボーイであり、カウボーイという仕事に誇りを抱いている彼にとっては、執念燃やしてまで掴み取るほど重要なものではなかったはず。優勝できればサイコーだけど、できなくても別に困りはしない程度の気持ちだったのではないでしょうか。
そこらを含めて、「世紀のお祭りで腕試ししてみたかった」くらいの動機だったと結論付ける事にしました。友人達と酒場で「いっちょみんなで勝負しようぜ」「おう、負けないぜ」なんて談笑しながら、軽いノリで参加したのかもしれません。つまり、彼にはレースに対しての「飢え」が足りなかったのです。自分の勝利のためだけには「漆黒の意志」を燃やせなかったのです。

彼が真に望んでいたものは「帰る場所」、ただそれだけでした。レースとはまるで無関係のものに飢えていたのだから、あっけなくレースを降りてしまったのも納得だし、レースに繋がる過去が描かれなかったのも当然です。何せ、リタイアしたおかげでルーシーを抱き締められてラッキーなんて思ってた程ですからね。
名実ともに非の打ち所のないヒーローだったイケメンが何より求めていたものが、人との繋がり・自分を待ってくれる人だったというのが、寂しさを募らせます。でも彼は、自分の心に忠実に行動し、生き抜く事が出来た人物だとも思います。迷って足掻いて…を繰り返すジャイロ達とは異なり、この物語のテーマ的には、もう描かれ切ったキャラクターなのでしょう。
そう解釈すれば、イケメンも充分に幸福な道を歩めたと言えるのかもしれませんね。




(2006年5月14日)




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