TOP  <<37〜42話 戻る



ジョジョの奇妙な冒険
スターダストクルセイダース (TVアニメ)






第48話  遥かなる旅路 さらば友よ




とうとう、とうとうこの瞬間が訪れました。第3部「スターダストクルセイダース」最終回、長き旅の終わりです。
まず、前回の特殊OPが最後のOPかと思いきや、毎度おなじみのSE付きバージョンをやってくれました。うん、やっぱコレでこそ!過剰なまでのSEに加え、前回よりも『ザ・ワールド』の影を感じられるさらなる特殊OPでした。よくもまぁ、ここまで凝ってくれたよなあ。「さすが」の一言に尽きます。


DIOとの正真正銘最後の決戦ッ!大いに盛り上がりましたね〜。最終回だけあって、スタッフも声優さんも気合い入りまくりだったようで、ホントにイイものを魅せてくれました。特に、魂ジョセフの「この旅行は… 実に楽しかったなあ……」のしみじみした感じや、DIOの「最高に「ハイ!」ってやつだアアアアアアハハハハハハハハハハーッ」の裏声ハイテンションっぷりはグッド。
最後の時間停止は「無音」を希望してはいたものの、結局、BGM付きでした。それでも、曲がドラマティックな空気にしてくれてたので、結果オーライです。「DJか」ってくらいBGMが終始鳴りっぱなしの印象がありますが、もはや細かい事は言いっこ無し(笑)。
そして、ラストの決闘シーンはカッコ良すぎでした。後味の良くないものを残さぬため、あえて正々堂々と真っ向勝負を挑む承太郎。過程や方法などどうでも良く、ただただ勝つために卑怯な手を平然と使うDIO。「過程」こそを大切にし、「正しい道」を歩もうとする者。「結果」だけを求め、「道」を踏み外した者。「正義」と「悪」、「白」と「黒」、誇り高き「人間」と欲望醜き「怪物」。まさしく、「運命」に対する姿勢、「生きる事」に対する信念そのもののぶつかり合いです。この両者が衝突する瞬間は、3方向・3連続で演出されてド迫力ッ!1発だからこその重みってヤツもあるんでしょうけど、これはこれで好きですよ。戦いの決着もカタルシス満点でスッキリ爽快でした!


朝日を浴びてのエピローグは切なく、美しかったですね。驚いたのは「終わったよ……」が承太郎のセリフだった事。今までずっとジョセフのセリフとして読んでましたから、こう来るとは予想外。でも、あの承太郎があの言葉を、去って行った友に優しく伝えるからこその感動が味わえました。空港での別れはつくづく名シーン。背を向けてそれぞれの道へと踏み出す3人の姿にも、鳥肌立ってシビれたぜ。
そして、母の待つ日本へ向かう飛行機の中、承太郎はあの写真を見つめて微笑む。……もの悲しくも清々しい、最高のラスト・シーンでした。なんか、今までの旅が脳裏に過ぎって、思わず涙が滲んで来ちゃいました。あれはズルイって(泣)。「あの写真を撮る」というエピソードを追加した今作だからこそ可能な、素晴らしいエンディングですね。



――個々の感想では偉そうに不満を言ったりもしましたが、作品全体の感想としては「楽しかった!」。この作品に関わった全ての方々がいたから、この作品は楽しかった。
1・2部の時もそうだったけど、アニメ化のおかげで新規ファンも大勢増えた事でしょうし、私自身がもっともっと3部を好きになりました。本当に心から感謝します。
続く4部のアニメ化実現については、今のところ、どっちでもいいです(笑)。1部スタートの時点で「とにかく3部まではやってほしい」という一念だったんで、それが叶った満足感でいっぱい。今回、ヘタに4部を匂わせるような描写もなく、潔く完結してくれて嬉しかったくらいです。1〜3部は言わば「DIOとの戦い」、4〜6部は「DIOが遺したものとの戦い」なので、ここはキッチリ区切った方が良いと思ってました。……とは言え、実現してくれれば、またこの楽しい日々が始まるワケだから期待はしてます!まぁ、1999年の訪れを気長に待つとしましょうッ!

(2015年6月20日)




第47話  DIOの世界 その3




まず、OPからしてサプライズでしたね。なんと、曲の途中でDIOが時を止め、オラ無駄合戦で締めるという特殊OPッ!いきなりテンションアゲアゲです。やってくれるぜ。そう来るって事は、たぶん次回の最終話はOP無しって事なのかな?

最終決戦の一騎打ちに相応しい、豪快でド迫力なバトルが楽しめました。どこまでもクールな承太郎と、だんだん地が出て来て生き生きとしてるDIOが対照的(笑)。やっぱ承太郎がDIOを出し抜いてブチのめしてくれるシーンはスカッとするな〜。特に、心臓止めてからの脳天ブチ抜きパンチは、『スタープラチナ』の怒りの表情も相まってカタルシス全開
マンホールでの「ここは満員だ」もキッチリ再現されてて笑っちゃいました。妙にカッコイイだけにシュールなシーンです。わざわざマンホールに入って、下水道の中を猛ダッシュし、DIOが開けて逃げようとするであろうフタの前まで登って先回りしていた……って考えると、承太郎もお茶目なヤツだよね。
細かい部分だと、初っ端の時止め直前にジョナサンとの戦いの記憶がフラッシュバックするのは嬉しかったです。あの時から続いている戦いなのだ、と感慨に耽ってしまいます。また、DIOが初めて時を止めた想い出のワンシーンでは、散弾銃を撃ったのがヌケサクって事になってました(笑)。しかも、その場にエンヤ婆も同席しており、彼女のセリフに自然に繋がるようにしています。さりげなく壁に掛かる『弓と矢』も、なんか「石仮面」にも似た不吉さを漂わせていて印象的です。


そんな感じで非常に面白かったんですが……、不満な点も正直ありました。
エネルギー補給を終えたDIOが時を止めながら移動し、それを承太郎が目で追うシーン。時を止めた事を示す「ヴゥン」という効果音は邪魔に感じました。フッとその場から消える方が良かったなあ。同様に、DIOが承太郎の呼吸音や心臓の鼓動音を確認するシーンも、BGMは無しにしてほしかったです。ここに関しては、ハッキリ言ってOVAの方が圧倒的に、ピンと張り詰める緊迫感が伝わりました。「無音」という効果音やBGMもあるワケで、大仰な音を終始鳴らしとけばOKってもんじゃないですからね。
大量ナイフ処刑シーンでは、時を止めた瞬間、間髪入れずにナイフを投げた方がDIOの怒涛の勢いを感じられる気がしました。アニメでは、時止めからナイフを投げるまでけっこうな間が空いちゃってて、せっかくのテンションが削がれちゃってます。
心臓鷲掴みマッサージにしても、もっと激しくグァシグァシやらないと血が巡っていかないんじゃないか、とちょっぴり心配になりました。
あとは、スタンドパワーのほとばしりを表現しているのでしょうが、あの超サイヤ人っぽいオーラの荒ぶりはやっぱ気になるなぁ〜(汗)。さすがにあそこまで荒ぶらなくても……。


――ともあれ、ついについに次回で決着!最終話のサブタイトルはもちろん「遥かなる旅路 さらば友よ」
もう、このフレーズだけでヤバい。ジワッと来ちゃいます。100年間の血の因縁を、50日間の長く辛く楽しい旅を、その中で育まれた友との絆を、全て象徴するかのようなサブタイトル。私的にはたぶん、「ジョジョ」1〜8部全部ひっくるめて一番好きなサブタイトルです。
このアニメならば、サブタイトルに相応しい感動を味わわせてくれると確信しています。残り1話、心して観させていただくぜ。

(2015年6月13日)




第46話  DIOの世界 その2




今回は、花京院が死を賭して『ザ・ワールド』の能力の謎を解く超重要なパート。それだけに、こちらもドキドキハラハラして観てましたし、どのように描かれるのか期待と不安が入り混じった心境でした。……で、その率直な感想としては、「やられたッ!」でした。まさかこう来るとは。

花京院が過去を回想するモノローグは、アニメという性質上、どうしても画的な動きや変化が求められるんでしょう。原作には(絵としては)ない、母親と教師の会話シーンや、少年時代の花京院の姿、そしてこの50日間の旅の想い出が描かれました。
しかし、人物の顔は黒塗りされ、顔の作りも表情や感情も読み取れないように配慮されています。その中で唯一、『ハイエロファント・グリーン』だけが顔もちゃんと映っており、「自分には見えるのに他人には見えない」という事実が強調されているようにも感じられました。そして、花京院の孤独が強調されるほど、「こいつを昔のように誰にも気づかせなくしてやる」という決意の重みも増すワケです。誰にも理解されなかった孤独が、自分の「誇り」と仲間達の「命」を守るための武器となる。忌まわしい過去が、未来への遺産となる。この決意の時点で、花京院の人生はある意味「完成」し「完結」しちゃったんですね。

何より、最も驚かされたのは、やはり『ハイエロファント』の「結界」における『ザ・ワールド』発動シーン!完全に花京院視点で描かれ、彼の最期のメッセージを受け取ったジョセフがその意味に気付き……、ここでやっと『ザ・ワールド』の能力が「時を止める能力」と明かされます。答え合わせのように、先程のシーンがDIO視点で改めて描写。これも賛否が分かれそうですが、私は、花京院の生き様に焦点を絞った良い構成・演出だと思えました。
あっけに取られて、花京院の死をじっくり悲しむどころじゃなかったけど、原作の流れを知っているからこその衝撃を味わえました。
でも、とうとう花京院も逝ってしまったかぁ〜……。死の直前に両親への想いが語られるだけに、なんとも切ない。けれど、聡明で優しい彼の事。万が一の時のため、SPW財団に両親への手紙か何かを託していそう。それに加え、例の写真で穏やかに微笑む息子の姿を見れば、遺された両親も少しは救われるんじゃないかと思いたいですね。


今回の感想は、やっぱり花京院が中心になってしまいました。それはしょうがない、うん。
他には、ジョセフとDIOがエリナの話をしてて感慨深かったり、猫バーガーをキッチリ描いてくれた点が嬉しかったり、DIOの清々しいまでの極悪最強っぷりにシビれたり。色々と盛り上がって楽しめました。ただ、なんか「ドラゴンボール」的なオーラがほとばしり過ぎでウザい(笑)。

(2015年6月6日)




第45話  DIOの世界 その1




ついにこのサブタイトルを書く時がやって来ました。長きに渡るこの旅も、いよいよ最終局面の最終決戦へッ!
DIOが放つ圧倒的な悪の大気が伝わり、ヴァニラ・アイス戦から続く張り詰めた空気も一層、その冷たさを増しております。いや〜、ドキドキした。もうここからは、「黒」であり「恐怖」そのものであるDIOと、「白」であり「勇気」そのものであるジョースター一行との真っ向勝負です。切り込み隊長としてポルナレフが対峙するワケですが、やっぱ階段のシーンはイイね。『ザ・ワールド』の謎に翻弄され、恐怖しながらも、亡き仲間達から勇気をもらって立ち向かうポルナレフ。グッと来ます。こーゆーシーンが多いのも「ジョジョ」の魅力の1つ。
また、『ハイエロファント』の目の前に『ザ・ワールド』が現れるシーンも良かったです。パッと一瞬で出現する、この唐突感こそがキモ。OVAでは何故か、近付いて来るような動きで描かれていて、かなり違和感を覚えたもんですから。
違和感と言えば、眉毛が黒くなくって、左耳に3つのホクロが未だに描かれているDIOのキャラデザにもちょっと違和感はあります。特に耳のホクロなんて、そこまで丁寧にこだわるポイントでもない気はするんですが。でも、それも含めて、このアニメのDIO。これもこれでカッコイイのでOKです。


まあ、今回は全体として駆け足展開ではありました。棺を開けていたはずのヌケサクが棺に入っている描写や、上院議員とのやりとりなんかは、もうちょいジックリ見たかったですね。『ザ・ワールド』の能力の「謎」と「恐怖」を描く重要なシーンでもありますし。
ポルナレフ達がバイクを止む無く拝借するシーンも、DIOが車に乗ったけどカネが無いって理由を説明していないので、単なる盗っ人に思われちゃうよ(汗)。そこはカットしといて、迫るDIOの前に『ハイエロファント』を飛ばす花京院を加えてたりもしています。『ザ・ワールド』が急に現れたように、ここは『ハイエロファント』も「いつの間にかそこに居た」って風にしてほしかったかな。
上院議員が歩道の人々を次々と車で撥ね飛ばすシーンは、いろんな都合があってか、丸々カット。出来ればしっかり描いてもらいたかったけど、それは仕方ないか〜。でも、撥ねる直接の描写を避けながらも……、撥ねる直前のタイミングで承太郎がバイクを蹴っ飛ばすシーンに切り替え、その後、撥ね終えた車の前方に大量に付着した血を描く事で、どれほど凄惨な出来事が起こったのかちゃんと想像できるようになっていて巧いと思いました。


さて、次回は静かなモノローグの予告からも分かる通り、花京院の誇り高き最期の死闘です。今回が駆け足だった分、花京院の死こそは「間」を大事に描き切ってほしいですね。ラスト数話、気合い入れて観させていただくぜ。

(2015年5月30日)




第44話  亜空の瘴気 ヴァニラ・アイス その3




う〜む……、今回はハッキリ言って微妙でした。名シーンは色々あるんですけど、ヴァニラ・アイス戦の決着、スージーQの日本訪問、承太郎とヌケサク、そしてDIOの登場……と、場面もムードもせわしなく切り替わって、感情があちこちに取っ散らかっちゃった印象。単純に詰め込みすぎって事ですね。前回の終わり方自体はエキサイティングだったし、次回からはキリ良くDIO戦突入となるワケですが、それゆえに今回、煽りを食らってしまったと言うべきか。
せっかくのイギーの死も、開始早々だと気持ちが今イチ入り込めないんだよなあ。そこだけ考えると、やっぱアイス戦はキッチリひとまとめで見たかったです。アニメのペース配分の難しさなんでしょうね。
ついでに言っちゃうと……、イギーの最期の瞬間のナレーションも、魂が昇天する際のアヴドゥル達のかすかな声も、私的にはちょいと演出過剰でした。イギーはただニヤリと笑って死ぬだけでいいし、アヴドゥル達の魂も無言のまま消えてほしかった。同じく、アイス戦後のポルナレフの悲しみに歪む表情や嗚咽も不要で、ただ零れ落ちる涙だけ描いてほしかったです。まあ、それらも全部、視聴者を少しでも感情移入させたいがための苦肉の策だったのかもしれません。


そうは言っても、イギーの誇り高き死に様はもちろん熱くて切なかったし、スージーの気高き愛情も泣けました。スージーが日本に来るエピソード、地味に好きなんですよね〜。原作でもOVAでもジ〜ンと来ましたよ。それだけに、実は浮気をしていたジョセフにツッコミたくなりますが(笑)。
また、最後の最後にDIOが登場して終わるってのは、なんだかんだテンションも期待度も俄然高まります。とうとうここまで来たか……。怒涛のクライマックス、一瞬たりと目が離せません。

(2015年5月23日)




第43話  亜空の瘴気 ヴァニラ・アイス その2




ヴァニラ・アイス戦の中盤です。アヴドゥルの死により、一気にクライマックスへと雪崩れ込んだ第3部ッ!今回もアイスが圧倒的な「恐怖」と「絶望」を運び、そして、ポルナレフの「怒り」とイギーの「誇り」がそれに立ち向かっていく展開でした。もちろん原作も最高ですが、色と動きと音声が加わったアニメで見ると、また一味違った臨場感と興奮がありますね。ドキドキハラハラさせられました。
イギーの心情が原作以上に描かれている点は、結末を知っているだけに余計グッと来ます。「アヴドゥルの意志を裏切って逃げる事なんて出来ない」「DIOに近付くために走っているんだ」というポルナレフの言葉で、恐怖で震えていたイギーの心に勇気と闘志が再び燃え滾る。萎えていたしっぽは鋭く立ち上がり、面構えも「戦士」のそれになりました。……また、アイスに蹴られまくってズタボロになっても、なお不敵に笑ってみせるその姿。敵だろうが味方だろうが、誰にも屈してやらないし指図も受けない。自分自身の弱い心にも、絶対に従わない。ただただ、自分の「誇り」にのみ忠実に生きる。そんな孤高の野良犬の「覚悟」を見せ付けられました。だからイギーが好きなんだよなあ。


今回は終わり方も良かったです。自分の敗北と死を悟り、穏やかに別れを告げて消えていくポルナレフ。なんとも悲壮感と喪失感の漂う、衝撃的でもの寂しいエンディング。初見の人からすれば、ポルナレフも死んだようにしか思えませんよね。
それだけに、次回予告は残念でした。せっかくあんな終わり方をしといて、ポルナレフのセリフを入れちゃったら台無しです。しかも、わざわざイギーの死を想起させるようなセリフを……。予告ではあえて、スージーQとローゼスさん、ジョースター一行とヌケサクのセリフだけにするべきだったと思います。まぁ、何はともあれ、次回は早々にイギーの最期が描かれる事になるので、心して見届けたいです。

(2015年5月16日)






TOP  <<37〜42話 戻る

inserted by FC2 system