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ジョジョの奇妙な冒険
ダイヤモンドは砕けない (TVアニメ)






第30話  猫は吉良吉影が好き



今回は猫草戦。主役の仗助サイドは一切登場しない、吉良と川尻家メインの回でした。作画の方は微妙でしたが、イイ動きを見せてくれるシーンもあります。何より、しのぶさんが魅力的なので、まぁ良し(笑)。タマの相手をするしのぶさんはコミカルでキュートだし、恋する乙女なしのぶさんもエロ可愛い。
内容の方は、無難に楽しめました。冒頭で追加された早人の登校シーンが、父親に違和感を抱く早人の心情をより深く描写するだけでなく、後半で早人の帽子が置きっぱなしになっている展開への布石としても働いており、非常に効果的なシーンになっています。
また、タマの死体を埋めた後の時間経過が妙に丁寧に描かれてましたね。あれは良い「間」だったし、何かが起きそうな予感と不穏なムードが出てました。吉良が猫草を観察するシーンも、多少のカットはあったものの、しっかり描かれていて嬉しかったです。なんともシュールで可愛らしいシーンなので好きなんですよ。

吉良のしのぶさんへの心配も、実に意味深ですよね。結局、これ以降は特に何の描写も発展もありませんが……、吉良の「性(サガ)」は巧く描けているように思います。
吉良にも普通の人間と同じような「人を想う心」があり、「人を護り、生かせる道」だってあったはず。しかし彼は、自分でそれを否定する事しか出来ないし、「人を傷付け、殺す道」以外は決して歩めない。そんなどうしようもない、抗いようのない「宿命」「運命」を感じずにはいられません。
そこはやはり、「人間」をやめたDIOや、そもそも「人外」であるカーズとは、まったく異なるラスボス像になっていますよね。「人間」だからこその切ない余韻があり、同時に、それでも自分の「道」を堂々と歩み続ける吉良がカッコ良くもある。


不満点としましては……、猫草のスタンド能力が最初から描かれちゃってた点。しのぶさんの足の爪が剥がれたり、胸が拗じられたりするシーンは、あくまで「結果」だけを描いてほしいところでした。あんな露骨に「空気弾」を描いちゃったら、「謎」や「サスペンス」を演出できないよ。吉良が推理して突き止める事で、初めて視聴者も「あぁ〜、なるほど!」とか「やっぱりそうか!」とか腑に落ちるように構成してほしかったですね。
早人と吉良の紙一重の時間差も、原作ほどのスリリングさは感じられませんでした。屋根裏への階段を収納する場面が動画として描かれなかったからか、吉良が屋根裏に登場する場面にスピード感や勢いが足りなかったからか、スレスレギリギリのハラハラヒヤヒヤ感がちょっと弱かった。しかも、窓のカギも開けっぱなしになってて、「オイオイ、それでいいのか?」って思っちゃいました(笑)。


そして、次回が「鉄塔に住もう」である事を何の疑いも持たずにいたら……、予告を見てビックリ。「7月15日(木) その1」なるサブタイトルでした。
これは一体どーゆー事なんだろう?尺の問題で、どうしても『スーパーフライ』戦と『エニグマ』戦を1話ずつでは終わらせられず、「日にち」でくくったってトコかな?だとすると、それぞれ1.5話ずつくらいの尺になりそうですね。なかなか悪くないアイディアだと思いますよ。
ただ、その場合、次回の冒頭でちゃんと日にちが分かるカットを入れてほしいですね。例えば……、教室の黒板のアップから始まって、そこに書かれている日にち【 7月15日(木) 】が映る。で、授業を受けてる仗助が「康一のヤツ、今日は休みか……」なんてぼんやり思ってるシーンが描かれる。そして放課後のチャイムが鳴って、原作の鉄塔のシーンに繋がる……みたいな。

(2016年10月22日)




第29話  ハイウェイ・スター その2



今回は『ハイウェイ・スター』戦の後半。偉そうな事言っちゃいますけど、正直、久しぶりに納得のいく内容でした。それこそ『シアーハートアタック その2』以来の感覚だし、あの回を超える満足度。今回は作画監督が11人という、作監だけでサッカーチームが結成できるヘビーな進行状況だったようですが、見事しっかり結果を残してくれました。感謝いたします。それだけに反動もデカそうで怖いけど、まずは次回も期待しときます。
『ハイウェイ・スター』戦はとにかく、「スピード感」と「仗助の機転」が大きな魅力。バイクにしろ、車にしろ、列車にしろ、飛行機にしろ……、高速移動バトルってのは妙に燃えますよね。それに、次から次へと襲い来る危機を、「直す」能力で鮮やかに乗り超えていく仗助が超カッコイイのです。ジャンプ誌上で読んでた時から、この戦いには本ッ当に毎週シビれました。それをちゃんとアニメで魅せてくれて嬉しい限り。『ハイウェイ・スター』の合体・分離も滑らかでステキでした。
康一くんとのコンビネーションで本体の素性を推理し、居場所を突き止め、辿り着くってところもグッと来ます。携帯電話のない1〜3部では不可能な戦い方だし、仗助1人では決して勝てなかった点に「杜王町感」的なものも感じます。4部は常にチームで行動しているワケじゃないのに、単独でのバトルはごくごく僅か。ほとんどのバトルで、誰かと協力し合って戦っています。そういう人と人の繋がりが、実に「町」なんですよねぇ。

今回は尺に余裕があったらしく、「スピード感」を失わずに「間」を持たせる事も出来ていました。けっこうカットされるかもと思ってた、吉岡さんや美奈代さんの彼氏の件とか、病院での康一くんと意地悪ナースのやりとり、裕ちゃんとアケミ・ヨシエ・レイコのやりとりなんかも、バッチリやってくれてます。仗助の深呼吸も程良い長さ。その上、なんと決着後の仗助と露伴のオリジナルシーンまで!あの2人っぽい雰囲気も出てて笑いました。
あとは、やっぱ写真の親父の存在感がスゲーな(笑)。いよいよ千葉繁さんもノッてきましたね。終盤の活躍も楽しみです。


ちょっとした不満点としましては……、まず乳母車の赤ちゃんが絶妙に可愛くないところ(笑)。あの顔と体のバランス、3部のマニッシュ・ボーイを思い出すなぁ。
港で仗助が直したガレキの壁が、何故か勝手に崩壊したのもよろしくない。原作では壁が倒れて砕け割れた風なのに、あれじゃあ『クレイジー・D』の能力が解除されたかのよう。そんな能力だったら、治してもらった人達は仗助から離れられなくなっちゃうよ。
あと、仗助が『ハイウェイ・スター』を車内に閉じ込めたシーンは、もっとバァァーン!って感じが欲しかったですね。まあ、あれはあれで、事も無げな仗助の余裕が表現されているのかもしれませんけど。

――色々書きましたが、今回は非常に面白かったです!この調子でラストまで駆け抜けてほしいッ!

(2016年10月15日)




第28話  ハイウェイ・スター その1



今回は露伴とのチンチロリン後半戦と、『ハイウェイ・スター』戦の前半。作画が割と安定していたところから察するに、やはり『ハイウェイ・スター』戦に力を注いでくれるようです。もっとも、だからと言って、前2回の惨状が正当化できるワケではありませんが……。超絶作画とかは無くてもいいから、毎回一定のクオリティを保ってほしいものです。
で、まずビックリさせられたのがOP。前回よりパワーアップしてるーッ!光と影の効果を強めたり、動きが増えたり、使い回しの絵じゃなくなったり。「chase」の時に砕かれたエンブレムを、ここで『クレイジー・D』が直しているのにグッと来ます。パワーアップっつーか、むしろ、これでやっと完成って事なんでしょうか?だとすると、嬉しい反面、そこまで作画がギリギリなのかなと余計不安にもなってしまう(笑)。少しずつ変化させていこうという、元々の計画である事を祈ります。イントロの川尻吉良だって、ラストが近付けば髪型も変わるでしょうしね。

内容の方は、相変わらず「間」が無かったりカットされたりがある中で、無難にうまくまとまっていたと思います。目玉となる「だが断る」のシーンもビシッと決まってた!
ただ正直、チンチロ⇒川尻家⇒翌日の未起隆⇒『ハイウェイ・スター』という流れはやや詰め込みすぎで、少々散漫な印象もありました。川尻家の描写は前回のうちにやっても良かった気もします。でも、「杜王町RADIO」で裕也の布石を打っている上、後々重要となる早人の学帽もしっかり描いてくれた点は良かった。
個人的には、声優さんの活躍が盛り上げてくれたな、って感想。声が付くと、仗助は原作よりも柔和なイメージに感じられ、心なし取っ付きやすくなってます。早人の声も、クールで屈折した少年っぽさがあるね。『ハイウェイ・スター』役の谷山紀章さんもやたらイケてる声で、裕也にもピッタリ合ってそうでした。


さあ、いよいよ次回は、4部中でもトップレベルのカッコ良さを誇る名シーン続出です。アニメではどのように表現してくれるのか、原作をも超える「何か」を魅せてくれるのか、純粋に期待したいと思います。とにかくスピーディーに進行していく4部アニメは、『ハイウェイ・スター』戦のスピード感と相性が良いかもしれませんし。

(2016年10月8日)




第27話  ぼくは宇宙人



今回は未起隆登場〜露伴とのチンチロリン序盤戦。
3クール目突入って事で、OPも一新です。青木カレンさんとハセガワダイスケさんの歌う「Great Days」!これが何とも昔の洋楽チックというか、ファンキーでファンタスティックな楽曲でした。まさしく杜王町の人々の「黄金の精神」を象徴するような、煌めきと爽やかさに溢れています。アニメーションの方も最高にシャレオツで、町や仲間達の一体感があって、いよいよラストが近付いている事を実感。これはなんか一発で気に入りました。


さて、内容の方はと言うと……、前回よりはマシだけど、やっぱ一部の作画が超悪い。特に前半。私は基本、荒木先生の原作以外はどうでもいいってスタンスなので、怒りはほとんど感じないんだけど。でも、TVアニメは今までスゴく楽しませてもらってるだけに期待や信頼もしてて、その分、ゲンナリとした脱力感・失望感みたいなものはありますね。せっかくの恋するしのぶさんが一部ひどい事になってたのは残念すぎる。しかも、ベッドに座って、両脚をブーラブーラするのが無かったよ。あれ、めっちゃカワイイのに……。
仗助と億泰がミステリー・サークルを発見する時の、2人が画面から通り過ぎ、少ししてから億泰が「ン!」って戻ってくる原作の流れが大好きだったんですが……、それも無し。最初っから発見しちゃってました。仗助の口座封鎖のくだりはどうするのかと思ったら、未起隆に喋ってたので、そこは一安心でしたけど。さらに、仗助の無駄にカッコいいサイコロさばきも丸ごとカットでした。あれもハッタリが利いてて最高の描写だったのにな〜。
つーか、露伴とのチンチロ勝負もまだまだ序盤で終わった事もあり、今回はストーリー的な起伏が弱い回だった印象。大きな盛り上がりが無いまま終わっちゃいました。まぁ、次回からはついに『ハイウェイ・スター』戦です。一気に燃える展開になる事は間違いないでしょうね。

個人的に良かった点は、未起隆の声優さんの加瀬康之さん。「ASB」や「EoH」では大統領を演じられた方ですが、未起隆も合ってますね。クールだけど、どこか愛嬌や変人っぽさも漂ってて、イイ感じでした。
「サマーシーズン到来!」のあたりも、「杜王町RADIO」とナレーションをうまく使っていましたね。サマーシーズンのおっちゃんも待望のアニメ化!(笑) 出来ればもっと動いてほしかったし、歯を剥き出しにして笑っててほしかったけど。
あと、仗助の表情が豊かに描かれていました。だいたい原作通りではあるものの、仗助のこういうところは見てて面白いです。

(2016年10月1日)




第26話  ジャンケン小僧がやって来る!



今回はジャンケン小僧戦。う〜ん、本当はあんましこういう事は言いたくないんですが……、作画ひっでーなオイ!多少の乱れなら許容するけど、内容に集中できないレベルはダメだわ。重ちー戦の後編や、『キラークイーン』初登場もこんなんだった。別に誰が作画しようが、コスト削減しようが構いませんが、せめて一定のクオリティは保ってくれと言いたいですな。
内容の方も正直、そんな褒められたものではなかったです。毎度のように言ってるけど、詰め込み過ぎで「間」が無さ過ぎ。今回は特に、「運」という目に見えない曖昧なものを描く回ですから、この「間」の無さゆえ、まるで説得力が生まれて来ませんでした。ハッタリ合戦や運試しなんかは、さらっと流しては絶対いけないポイントです。しつこいぐらいにジックリねっとり見せないと、キャラクター達が勝手に盛り上がってるだけで、視聴者は逆にシラケちゃうよ。
『ボーイ・II・マン』発現シーンや、小僧が親指立てた手を回して『ヘブンズ・ドアー』を奪うシーンも、あっさりし過ぎで迫力がまったく無かったです。小僧の顔に書き込まれた『ヘブンズ・ドアー』の文字が消え、書き換えられるシーンにしても……、ちゃんと筆順通りに文字が書かれ、最後に「。」がグルンって書き込まれてほしかったかな。BGMも、小僧のテーマ曲らしきコミカルなメロディーがバトル中にも何度も流れ、かえって耳障りに聞こえてしまいました。
とにかく、いろんな要素がしっくり来ず、原作の緊張感や昂揚感を殺いでいた印象です。せっかくの、小僧の「少年から男へ」の成長も実感しづらい。残念ながら、ぶっちゃけ個人的ワースト回でしたね。


ただ、良いところがまるで無かったかと言うと、そういうワケではありません。
露伴からほとばしるオーラの凄まじい勢いとか、宙に飛び上がるジャンケン勝負のハイテンションっぷりなんかは、ケレン味があってイイ感じでした。あと2回勝てば露伴の能力が全て手に入るって時、小僧が「2本」立てた指で露伴の首をかっ切る仕草をしていたのも、いよいよ死闘が始まるって予感が漂いましたね。小僧の「穴」からの視点で描かれたシーンも、なかなか面白かった。透明の赤ちゃんを抱いている露伴の手の形を、小僧への挑発として使っていたのもナイス・フォロー。小僧が自殺しようとした後の露伴も、漫画的コマ割り演出が目を引きました(作画はアレだけど)。


『ハイウェイ・スター』戦や『バイツァ・ダスト』〜最終決戦は気合い入れてくれると思いますが、『エニグマ』や『チープ・トリック』あたりはまた今回みたいな事になりそうで不安だな〜……。
低品質なものを延々見せられるくらいなら、名シーン集のダイジェストでもいいんで超絶クオリティで観たいです。回によってここまで出来に差があるって事は、そもそも企画自体に無理があるって事なんでしょうし。4部をアニメとして楽しめる事はありがたい限りなんですが、そんな事も思ってしまいました。

(2016年9月25日)




第25話  アトム・ハート・ファーザー



今回は写真の親父戦。『シアーハートアタック』戦であまりに力を入れ過ぎた反動か、今回は残念ながら作画がイマイチ。でも、声優さんのパワーのおかげで楽しめました。
とりわけ、仗助の情けない声は想像以上に良かった(笑)。やっぱオトナな承太郎と一緒だと、仗助は歳相応の少年らしさが表に出て来ますね。そして、親父の声がまさかの千葉繁さん!「ASB」でイギーを演じられた縁もあるけど、最初はまったく気付かんかった。恐ろしいだけじゃなく、けっこうユーモラスな面もある親父にはピッタリでした。
川尻浩作となった吉良の声は、森川さんが続投。声がそのまんまじゃ正体もバレちゃいそうだから変えてほしかったところですが、さすがの演技でした。何を考えているか分からない川尻の、得体の知れぬ底知れぬ不気味さが滲み出ています。
また、今回は全体の構成も良かったと思います。最初と最後に川尻家を描き、その間に親父戦を挿入する形だったので、まとまりがあった。どっちかっつーと、川尻家の方が今回の主題だったんでしょう。例によって、かな〜り駆け足な展開でしたけど、それでも必要な事は伝わるレベルだしな。

惜しむらくは、見せ方・魅せ方に迫力やムードが欠けていた点。仗助が『弓と矢』を見付けた時とか、川尻が『キラークイーン』を発現する時とか、もっとドンッって感じで「勢い」や「圧」が欲しかったところ。シャワーを浴びる川尻が振り向き、ついにその顔が見える……って衝撃シーンも、その前の夕食時に何故か顔見せしちゃってたし。よく知らないけど、こういうのって演出や絵コンテの問題なんでしょうかね?ちょっと淡々とし過ぎなように感じました。
次回はジャンケン小僧戦です。やってる事自体はただのジャンケン。オーバーなくらいに「勢い」や「圧」を加えないと、むしろ滑稽に映ってしまいかねない。「これは死闘だ!」という説得力を持たせられるような描写に期待してます。


ちなみに、「杜王町RADIO」は早朝・深夜だけじゃなく、夕方時にも放送されている模様。マジで1日中やってんな(笑)。杜王町の日常にいつも寄り添う番組なんだね。

(2016年9月17日)







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