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ジョジョの奇妙な冒険
ストーンオーシャン (TVアニメ)






Episode 6  エルメェスのシール



今回はサブタイ通り、エルメェスが主役。マックイイーン戦を丸々楽しめました。田村睦心さんの熱演も光り、とにかく楽しい回でした。
エルメェスの賑やかで前向きな性格がスカッとするし、マックイイーンとのやりとりも滑稽で笑えて、とてもテンポ良くまとまっています。『ハイウェイ・トゥ・ヘル』のプロペラが生み出される過程も気に入った。「屋敷幽霊」のあたりはカットされていましたけど、まぁ、次回にでも持ち越しなのかな?徐倫が一緒だったりしたら、そこでアナスイとの繋がりもさっそく出来ますからね。当の徐倫は現在、「懲罰房棟」に収監されていました。原作において、一般の「懲罰房」と、ヤベー連中がブチ込まれる「懲罰房棟 (ウルトラセキュリティハウスユニット)」は別物だと思ってますが……、アニメでは後の展開の布石とするため、同一の施設って事にしたんでしょうか?
マックイイーンは「ジョジョ」では異例の、生きる事に対して後ろ向きな人物。ジーンズを上着にして、しかも前後が逆になっているファッションからもそれが窺えます。その精神は自分のみならず他人までも巻き込み、ゆえに「真の邪悪」「悪より悪い最悪」とまで評されている男。絶対関わり合いになりたくないコイツを演じるのは、奈良徹さんです。ヌケサクや映画版のブラフォードも演じられるなど、「ジョジョ」との縁も深い方。躁鬱の激しいマックイイーンの厄介っぷりを、見事に表現していただけました。ただ、エンヤ婆みたく、マジで「しくしく」言いながら泣くのはどうなんだ(笑)。

気になった点としましては、『キッス』の能力が変わっている疑いがある点。2つに増えた物が1つに戻る時、「破壊」が生じる。はずなのに、アニメ版だと、その「破壊」さえも修復されて1つに戻ってます。少なくとも、エルメェスの靴はそういう描写でしたよね。何かしら明確な意図があっての設定変更なんでしょうか?スポーツ・マックスの時の、パイプの解釈で悩んでこうしたのかなぁ?とりあえず、もうちょい様子見。
作画的な部分では、概ね問題なく、クオリティも高かったんですが……、マックイイーンの左腕に感電自殺未遂の傷がまったく無かったのはダメですね。エルメェスと同じダメージになってなきゃ。そしてこの時、エルメェスの訴えを聞くマックイイーンのアップ絵が完全に静止画だったのも残念。水が滴ってるだけでも印象違ったんでしょうけど。


あと、これは朗報。『ボヘミアン・ラプソディー』の回に光明が見えてきましたよ!
エルメェスがキャラの誕生日を思い出す時、ミッキーマウスの名は出せなかったけど、なんとバッグス・バニーの名は出せたのです。なにせ、バッグス・バニーはワーナーのキャラクター。この6部アニメをプロデュースしているのは、集英社とWarner Bros. Japanなんですから。さすがにディズニーは無理でも、仮にアトムや鉄人、マジンガーまで無理だったとしても、ワーナーが版権持ってるキャラなら堂々と登場できるはずッ!その手があったか~。
ちょっと調べてみた限りだと、バッグス・バニーを始めとする「ルーニー・テューンズ」や、あの「トムとジェリー」と「チキチキマシン猛レース」、極め付けには「スーパーマン」に「バットマン」……と、まさに錚々たる顔触れ。これだけのメンツが揃えば、原作以上に『ボヘミアン・ラプソディー』のカオスを表現できそうじゃないですか!もしそうなったらワーナー様様ですわ(笑)。

(2021年12月5日)






Episode 5  プリズナー・オブ・ラヴ



本日は土曜日で時間の余裕もあり、続けて第5話の鑑賞&感想にも取り掛かれました。


あぁ~、心に染みたなぁ~。第3話からこの第5話は、丁寧に作られていて素晴らしかったです。今回は特に愛と哀しみが大きくて、胸に迫るものがありました。
まず、原作のフォローが至るところで見られましたね。余計な疑問やツッコミで感動が薄れないように、との配慮なんでしょう(笑)。「夢」が始まったタイミング的に、徐倫が『スタープラチナ』の名を知っているはずがない。逆に、徐倫をブン殴った時に『スタープラチナ』の名を教える。現実の面会室を脱出後、承太郎は手錠を破壊し、徐倫は初めて「骨」について質問する。2人とも『マンハッタン・トランスファー』の名は知らないまま。徐倫がエンポリオを助けに戻る「夢」を承太郎も見ていて、その姿にジョースターの血を感じる。承太郎が「スタンドは1人1能力」というルールを教える。……こんな具合に、怒涛の勢いで再構成されていました。「夢」で終わらせちゃうのがもったいない部分をうまく拾い上げてくれた感じ。おかげで全体のまとまりが強化されました。
その上で、徐倫と承太郎の関係性を、非常に情緒的に描写していた印象。父が手を貸してくれると思って、テレてしまう徐倫がやっぱ可愛い。それが勘違いだと気付いて失望し、明るくおどけてみせたり怒ったりするのも、心の底では父の愛を求めている寂しさゆえ。そして、「DISC」を奪われた後の承太郎の、あえて感情をまったく込めず、命の残り火すら燃え尽きそうな儚い演技。父の愛を知り、父の死を認めたくない徐倫の悲痛な叫び。結末も何もかも分かってるのに、それでもドキドキしちゃいましたよ。ホント、承太郎は不器用にも程がある。ヒーローとしては完璧でも、父親としてはダメダメです(笑)。深く想っているのに全然伝えられなさすぎ。でも、無敵のヒーローじゃなく、1人の人間としての弱さが浮き彫りになった6部の承太郎もまたカッコイイんだ。その想いを理解し受け継ぐ徐倫も。

ラストでは、徐倫とエンポリオの会話がちょっと追加されていました。エンポリオが自分の名を名乗ります。うわぁ~、これって……ねえ?ここでハッキリ自己紹介を描く事によって、最終話の自己紹介がより効いてきそうですよね。もう一度名乗る事で、アイリンが「空条徐倫」ではないという事実を明確に突き付けられるワケで。さすが、やってくれるぜ。
さあ、これにて序盤戦は終了。これからが本番ですよ。徐倫の急成長、集まる仲間達、激しさを増すバトル……、実に楽しみです!


あ、そう言や、「地獄の門」ミューミューも出て来なかったですね。設定上、恐らく『スタープラチナ』が時を止めて「地獄の門」を突破してるはずなので、出すなら今回しかなかったんですが。
まぁ、露骨に突破されちゃったところを見せると、後々登場する『ジェイル・ハウス・ロック』の脅威がイメージ的に損なわれてしまいかねないので、見せない方が良いのかもしれません。OPにいるもんだから、つい期待してしまったなぁ。

(2021年12月4日)






Episode 4  面会人 その②



最高でした。スゲー引き込まれて、「ウソッ、もう終わり!?」ってなりました。物語の根幹に関わる話だから盛り上がるし、作画もキレイだし、進行ペースもちょうど良い。大満足。
まず、ジョンガリ・A。今回の敵である彼が、魅力的・驚異的に描かれたからこその盛り上がりでしたね。声優は日野聡さん。クールで渋めの声ですが、ジョースターへの熱くドロドロした恨みを感じさせる演技です。絵としても、杖をライフルに組み立てたり、蠅を薬莢で捕えたりという、原作通りのケレン味を見せてくれました。そして、エンポリオが隠れるパイプのボルトを正確無比に撃ち抜くシーンは、プロのスナイパーに相応しい冷酷さと凄みに震えずにはいられません。超カッコ良かったです。
そして、そんなジョンガリ・Aとの戦いが全て「夢」だったという、とんでもない衝撃的展開ッ!しかもアニメでは、霞がかったというか、ほの暗いというか、現実感が薄い画面作りになっています。時折り挿入される、意味深な「水滴が落ちるカット」がまた不安を煽る。不思議なBGMも、どこかがズレて狂い出している気分にさせる不穏さがヤバイ。声も籠もって響き、意識の向こうから聞こえてくるかのよう。そういったアニメならではの違和感がずっと続いた末に、いよいよ現象そのもののつじつまが合わなくなるワケですから、見てるこっちもクラクラゾクゾクしてきます。気流だ網だガスだとチマチマした小細工を繰り広げていたかと思いきや、知らぬ間に、もっと巨大な何かに飲み込まれていた。この絶望感、たまりません。

不満点もほとんど無いくらいの出来でしたが、あえて1つだけ(笑)。
エンポリオを追って行った『マンハッタン・トランスファー』。扉をブッ壊し、エンポリオを助けに行くと宣言する徐倫。この時の徐倫の表情は、原作と同じようにうっすら微笑んでてほしかったなぁ。あの表情、好きなんですよ。……自分を逃がすためにあの子は逃げ道を教えてくれた。このまま逃げれば、きっと脱獄できる。オヤジの言う通り、逃げるべきなのも分かってる。でも、それでも、あの子を放ってはおけない。―― そんな自分の性格ゆえの馬鹿げた行動を自嘲するかのような、でもとっくに固く心に決めているかのような、そういう笑みなんですよ。徐倫のヒーロー性や善性、母性が如実に表れた名シーンなだけに、ちょっと残念でした。

(2021年12月4日)






Episode 3  面会人 その①



文句無しに面白かったです!そうだよ、これだよ!こーゆーのが観たかったんですよ!今回は、面会にやって来た承太郎が看守と同時に撃ち抜かれるところまで。原作4話分なので、「間」もしっかり取られ、ムードたっぷりに描かれていました。このぐらいのペースが私的にはベストですね。しかも作画も良かったので、安心して楽しめました。満足。
アニメ独自の良改変があちこちに見られた事も、今回の特徴。まず、ブロンドの女にコインの粉末を飲ませる手段が、原作よりも自然になってました。コーヒーに混ぜて飲ませる。うん、「糸」から口に直接垂らして入れるより納得できる(笑)。いじめられてた子へのアドバイスも、自分に言い聞かせるようにちょい増し。エンポリオとの遭遇も「無音」がスゴく効いてる。そして、面会室にて。3部のメロディーに乗せて登場する承太郎が燃えるし、ジョースターとDIOの因縁に触れてくれたのもグッと来ました。血の繋がりについての話をするワケですから、こういう演出は嬉しい。後の展開のため、徐倫と承太郎を座らせたのもグッジョブ。さらに天井の換気口からのアングルで徐倫達を映す事で、何者かが潜んでいる感も漂ってきました。そんな下準備も万端なので、「現実」と「夢」の切り替えのポイントもより明確に。音や画面からはもちろん、原作でいつの間にか消えてた手錠まで巧く使って、奇妙な違和感が生み出されています。
徐倫の過去も描かれていましたが、やっぱり「雨」が降っていましたね。今だからこそ出来る、6部全体を俯瞰しての再構成。丁寧な仕事っぷりに敬意を表します。この制作陣ならば、次回か次々回、「地獄の門」やミューミューがさりげに出て来たりするんじゃないかと、密かに期待しちゃってますよ。

面白さは文句無しだったんですけど、しかし、気になった点がまったく無かったワケでもありません(笑)。例えば、徐倫の「やかましゃぁぁぁ―――」はもっと勢い込んで食い気味でも良かったなー、とかね。
父:承太郎を見るや、看守をいきなり殴り倒した徐倫。この時、『ストーン・フリー』が描かれていなかった点も気になりました。「夢」から醒めた後、承太郎が徐倫にスタンドを出すよう指示するに当たって、この時に「糸」の固まりを目撃している必要があるはずなのに。
あとは、エンポリオですよ。キャラデザ変わっちゃってるじゃないですか!帽子やユニフォームのマークが塗り潰されちゃってる!アニメシリーズ関連のイベント施設「JOJO WORLD」で、不祥事起こした俳優みたいにエンポリオのグッズだけが存在を抹消されていた事が話題になったりもしましたが……、ここまで来ると不自然の極み。シカゴ・カブスから苦情でも入ったのか、あるいは苦情を避けるための予防策か。これでは『ボヘミアン・ラプソディー』もどうなる事やら。一抹の不安がよぎりますね。


ちなみにエンポリオと言えば、徐倫に忠告しに来たのは「一巡前」の記憶が残っているからでは……なんて説もたまに見掛けますが、私はそれは無いと思ってます。
母親を殺した「犯人」を見付けるべく、普段から「物の幽霊」を使ったり「屋敷幽霊」に潜んだりして刑務所内を調査していただけでしょう。空条徐倫も自分と同じ能力を持っているという事や、徐倫に面会人が来る事なども、そうやって得た情報。そして、多くの断片的な情報から、徐倫が恐らく「犯人」の策略によって刑務所に入れられたであろう事も推測。となれば、「犯人」は徐倫か面会人を、母と同じように溶かして殺そうとしていると考えるのが自然。だからこそ、詳しくは説明のしようもないし、でもヤバイから止めたいという、ああいった不可解な言動になったのでしょう。




(ちょっぴり追記)
年が明けて2022年1月、改めて見返してみると、なんとエンポリオの帽子やユニフォームのマークがちゃんと修正されていました。
「G」と「D」を組み合わせたロゴや、イルカをデザインしたシンボル。まさに「グリーン・ドルフィンズ」としか考えられないチーム名のマークと化しています。TV放送にタイミングを合わせたんでしょうけど、これはうまい改変ですね。カッコイイじゃん。あんな安直な塗り潰しのままじゃあ、さすがにエンポリオが不憫だったので良かった良かった。

(2021年12月3日)
(2022年1月8日:ちょっぴり追記)






Episode 2  ストーン・フリー



第6部のOP曲は、ichigo from 岸田教団&THE 明星ロケッツによる「STONE OCEAN」。ichigoさんもファイちゃん同様、「ジョジョ」を愛し、徐倫に憧れ、6部の曲を歌いたいと願っていた女性です。2人とも、こうやって夢を実現させてしまうのがエモいぜ。この曲は元気でパワフルなガールズロックって感じで、歌詞もメロディーも徐倫らしさを見事に表現してくれていました。勇気が湧いて来る名曲。「ジョジョ」の女性ボーカルは青木カレンさんもいらっしゃいましたが、「Great Days」はハセガワダイスケさんとのデュオですからね。女性オンリーは今回が初で、まさしく6部に相応しい!
そして、アニメーションはなんと「神風動画」!3部以来の劇的な復活!そうか、ここで来るかァ~~ッ!マジでグッと来たな~。このOPの動画自体は11/28に公開されたので、私もすでに何度も観ておりますが、本当に理想的な完成度。どんどん刑務所の奥に進んでいく構成になってて、導入としても最高です。カラフルな世界観は6部後半の虹の絵などを彷彿とさせますし、アメコミ的でもあります。さらに、連載当時、荒木先生が興味を抱いていた「グラフィティ」とも呼ばれるストリート・アート。コミックス7巻表紙や「燃えよ フー・ファイターズ」の回のカラー扉絵にも描かれましたよね。このOPは、「グラフィティ」が持つビビッドな色彩ワルっぽい雰囲気軽やかなポップさで溢れているんです。アメリカのフロリダという舞台とも絶妙にマッチ。もちろん、それだけに留まらず、歴代「ジョジョ」から受け継いだものも確かに在り……、これ以上なく6部のアニメ化を鮮やかに飾ってくれました。


では、本編の方を語っていきましょう!今回は『ストーン・フリー』が人型の立体となり、グェスを撃破するところまで。原作6話分をまとめたので、これまたギュウギュウ詰め。仕方ないと分かっちゃいますけど……、あまりにも「間」が無さすぎで、次から次へとせわしなく展開していきますな。
でも面白かったです。とにかく、ロッコバロッコ所長グェスが全部持って行った感じ(笑)。退屈になりそうな説明シーンを、シャーロットちゃんで引き込んでくれる所長の手腕。お見事でした。徐倫に怒鳴る声が野太いおっさんボイスだったのが意外で、そういう驚きもアニメ化の醍醐味です。グェスも声や演技の緩急が素晴らしく、原作とはまた違った魅力を引き出してくれました。よしよしナデナデするシーンで、チリンチリン鳴りまくってるのも笑えた。チョロ吉の徐倫がコケてワタワタしてたところも可愛かったです。
ただ、早くも作画が不安定なのが気になりますね。せっかく初登場した七不思議のおばちゃんも、OPとは別人に見えるほど。逆に、ここぞという回では神作画でキメてくれるんでしょうか?あと、これは作画というよりデザインの話になりますが、アニメ版『ストーン・フリー』がどうも馴染めないな~。原作初期のロボットっぽい無骨なバージョンが個人的に好みって事は置いといても、なんか全体的にバランスが悪くて、まったくカッコ良く見えないんですよね。最終的にこの評価を覆してくれる事を期待します。


ED曲は、イギリスのシンガーソングライター Duffy (ダフィー)の「Distant Dreamer」。初めて聞きましたが、とても伸びやかで広がりがあって素敵な曲だなぁ。歌詞もどこか徐倫を思わせる。キャラやスタンドを一切出さず、ひたすら海だけを映すのがムーディーで良いですね。

(2021年12月2日)






Episode 1  石作りの海 (ストーンオーシャン)



運命の「糸」は、ようやく2011年の「石の海」へと辿り着いたッ!待望の第6部アニメ化です!
いやぁ~、嬉しいッ!本当にこんな日が訪れようとは、連載当時は思いもしませんでしたよ。この日のために、私も「Netflix」に加入しましたよ。けど、なんと一気に12話も配信されたもんだから、観るペースも人それぞれに。私的には、一気に観ちゃうのももったいないので、1話ずつ観ては感想を更新していくスタイルでやっていきます。平日はたぶん、1日1話ペースの更新になるんじゃないかと思います。その辺、週1ペースのTVの方が、みんなで一緒に楽しめる感もあって良かったんですけどね。まぁ、これも時代の流れってヤツでしょうし、受け入れていきます。


さて……、第1話は、徐倫が刑務所にブチ込まれ、悪徳弁護士を成敗するところまで。プロローグにあんまり時間を掛けてはいられないようで、さっそくギュウギュウに詰め込んでました。
まず、のっけから「おっ!」と思ったのが、やっぱり荒木先生の筆跡で書かれた日時や場所のテロップ。贅沢にも、先生にわざわざ書いてもらったんでしょうか?それっぽくしただけの別人の字だったら、制作陣は先生の筆跡を相当研究したんでしょう(笑)。どちらにせよ、先生の存在を感じながら観られるのは良いですねぇ。
そして何より、徐倫が、エルメェスが、動いて喋ってる。この感動よ。ヒキの絵だと正直ちょいと微妙ですが、アップだとマジでクオリティ高い絵になって最高ですね。声優さん達もイメージにピッタリ!特に徐倫役の「ファイちゃん」ことファイルーズあいさんは、徐倫を支える役を演じたくて声優を志したほどの筋金入りの「ジョジョ」オタ。夢を超えた彼女の熱量と覚悟、ビンビンに伝わりました。
今回はバトル展開ではなく、ストーリーが動く回という事もあり、非常に洋画的な印象も受けました。留置所で徐倫の「星のアザ」がクローズアップされるところとか、『矢』の破片をどけたら承太郎の写真が現れるところとか、轢いてしまったヒッチハイカーを2人でトランクに隠すあたりとか、判決後の徐倫と弁護士のあたりとか。これ、BGMの素晴らしさもかなりデカい気がするなぁ。さすが安心と信頼の菅野祐悟さんだぜ。

嬉しかったのは、冒頭のマスターベーションのくだりをキッチリやってくれた事。徐倫が「か弱い女の子」でも「清純なお嬢様」でも「守ってもらえるヒロイン」でもない、欲望や汚い部分も持っている「1人のリアルな人間」である事を明確に示してくれる重要なシーンですからね。言ってしまえば、「男も女も関係ねーぞ」っていう荒木先生の宣言でもある。ここをカットしたとあっちゃあ、6部をアニメ化する意義すら失われるってもんです。ただ、これを家族と一緒に観ちゃったいたいけな少年少女がいるであろう事を想うと、ちょっぴり胸が痛みます(笑)。
ロメオの裏切りを知って絶叫する徐倫と連動するように激しく波打つ「糸」が、まさに彼女の心を映しており、そういうこだわりもニヤリとさせられました。ただ、一方で残念な点としましては、拘束衣が乾燥で縮んで締め付けられるシーンがカットされた事。ここを無くしちゃうと、弁護士の首に巻き付けた「糸」が締まる説得力が弱くなってしまうんですよね。拘束衣がヒントになってるワケなんで。せっかくの徐倫の活躍なんだし、丁寧な流れで描いても良かったのに。
あと、細かい点ですが、徐倫が刑務所の管理ジェイルに移管されたのは11月6日のはず。なのに、アニメでは11月11日になっていて、そのせいで管理ジェイルでは11月8日にタイムスリップするハメに。ここは円盤化の時にでも修正しておいてほしいですね。


「雨だ……」 「いつも、雨だった……」という、アニメ版で追加された徐倫の冒頭のつぶやき。良くない事が起こる時には、いつも雨が降っていたかのような言葉。徐倫にとって、雨とは不吉の象徴なのかもしれません。熱を出した徐倫を置いて承太郎が日本に行ってしまった時や、車泥棒で捕まった時など、彼女の過去を描く際に「雨」が降っている演出を加えたりするのかな?
そして、雨と言えば、6部のエンディングです。「雨=悲しい」っていう方程式を視聴者にも植え付けておけば、あのラストが余計に効いてきそうですよね。雨が希望の予兆に変わる、みたいなね。そんなラストに向けての下ごしらえが、第1話冒頭から進められている気がムンムンします。これは期待大ッ!

(2021年12月1日)







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