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「The JOJOLands」 コミックス感想
1~5巻






★第3巻★ 『金儲けの時間』



<カバーイラスト>
ウルジャン5月号(2024年)表紙イラストの連作です。ミッションに取り掛かるチーム4人、って感じの絵。車に乗ってるパコと、その車に手を掛けるジョディオが一際目を引きますね。ジョディオの鋭くてワルそうな目付きがカッコイイ。カラーリングは、イエローを基調として、紫やオレンジ、グリーン、ブルーが配置されています。生命力が漲っているかのようなビビッドで明るい色合いももちろん、今巻でも「雨」っぽい縦線が描かれていて、とにかく動的なエネルギーが伝わってきます。
背表紙は、パコという予想に反してウサギ先輩でした。じゃあ、4巻こそパコかな。

<作者コメント>
イタリア北部の町「パドヴァ」について。なんと荒木先生、かれこれ40年も前の話を初出しです!
初めて訪れたはずの町並みを、何故か知っている。単なるデジャブなのか、それとも前世の記憶なのか?先生の身の周りには、さすがに奇妙な出来事が多いですね(笑)。調べてみると、このパドヴァ、ヴェネツィアのすぐ隣くらいに位置する町でした。今まで存在すら知りませんでしたけど、次にまたイタリアに行く事があったら、ぜひ立ち寄ってみたいもんです。先生にとって特別な土地なんでしょうからね。
続く4巻では、一体どんな不可思議なエピソードが語られるのか、今からもう楽しみでございます。

<内容>
この巻のMVPはチャーミング・マンですね。チーム4人にもそれぞれ見せ場があったにも関わらず、やっぱしチャーミング・マンの印象が強烈でした。敵として登場し、死闘を演じ、そして仲間になる。あまりにも意外すぎる展開でありつつも、その実、王道ストーリーの道筋をしっかり辿ってくれています。弟のためという動機も、他の4人より好感が持てますし。
「ジョジョランズ」はそもそも「善悪の判断」だとか「信念・思想の違い」だとか、そーゆー高尚なもので争ってるワケじゃないので、必ずしも相手を倒す事に執着する必要もなく、互いの利害・損得次第で割り切った関係を築けるところが強みですね。いや……、むしろいろんな人物と知り合い、相関図を広げていってこそ、「メカニズム」の頂点に近付けるってもんでしょう。その第一歩を我々に示してくれたのが、このチャーミング・マンでした。


ラフ画は3点。承太郎並みにクールでシブいパコ、子どもっぽい表情が可愛らしいウサギ先輩、ドヤ顔風味の微笑みを浮かべてポーズをキメるジョディオ。いやぁ~、こいつは甲乙付け難し。どれも違った味があって好きです。
スタンド紹介は無し。チャーミング・マンのスタンド能力を解説してもらいたいところですが、ウルジャンの連載の方で何かしらあるかもしれんしなぁ。
ウルジャン掲載時からの修正は、今回は少なめでした。とりあえず、例の高級腕時計の値段が8万ドルに統一されていますね。良かった良かった。あとは、ちょっとした効果線が描き足されたり、ホワイトトーンが新たに貼られた箇所があったり、回想シーンでのセリフのフォントが変わったりって感じです。パコに化けてたチャーミング・マンの顔からポロポロと破片が落ちるコマでは、右目の下に貼られていたトーンの種類が変更。より立体感が増しております。12話冒頭の解説では、「『フアラライ山』を眺(なが)む」から「『フアラライ山』を望(のぞ)む」に修正されていました。以前も書いたけど、こういう修正からは荒木先生の明確な意図が垣間見れるので、探すのが楽しいのです。

(2024年4月18日)






★第2巻★ 『上って行け』



<カバーイラスト>
ウルジャン1月号(2024年)表紙イラストの連作です。「溶岩」とダイヤモンドを手に持つ、ドラゴナ&ジョディオの仲良しジョースター兄弟。一見、ジョディオが持っているかのように錯覚しちゃいますが、よく見てみると持っているのはドラゴナの方です。腕が複雑に絡み合ってるのが面白い。下側に描かれているのは、ハワイの神様の像である「ティキ像」ってヤツですね。4大神として数えられるロノ、カーネ、クー、カナロアのうち、戦いの神とされる「クー」だと思います。彼らにクーの加護があらん事を。
カラーリング的には、ジョディオのオレンジが目を引きますね。今までのカラー絵だと、ずっとブルー系で統一されていたので、ようやく別系統のカラーリングが来て嬉しい。そして何より、背景のこの感じ!集中線っぽい色の区切りと、ホワイトの飛沫。思いっきし1~3部あたりの時代を彷彿とさせますよね!ピンクがメインって事もあってか、尚のことエネルギッシュでアゲアゲで「ジョジョランズ」にピッタリ!こりゃあ最高ですッ!!「ジョジョリオン」の「静」に対し、「ジョジョランズ」の「動」。どちらも大好きですが、少年漫画感があってシンプルに燃えるのはこっちだな。
背表紙は順当にドラゴナ。ジョディオと同じ方向を見つめてくれているのが心強い。3巻の本命はパコですな。

<作者コメント>
荒木先生が徒歩通勤中に食べ物を貰っちゃう件について。職質という負の面だけじゃなかったんですね(笑)。よく知らない別々の人達に、柿やらうどんやら大根やら、挙句の果てには松茸まで貰った事があるらしい。普通そんな事ないでしょうから、ひとえに先生の人徳の成せる業なのかもしれませんね。愛され体質というか、ご利益がありそうに感じられてるのかな?
作品同様、日常的に奇妙が満ちていそうな先生ですが、先生がハッピーなら万事オッケーです!でも先生なら、こんな出来事さえもホラーの題材にして作品を描いてくれそう。

<内容>
露伴から「溶岩」を託され、それを付け狙う敵に襲われ、いよいよ物語序章のクライマックス迫る!といったところでしょうか。「溶岩」という未知のアイテムの正体ももちろん気掛かりですが、それ以上に、仲間4人のワチャワチャ感がとにかく楽しい。ウサギ先輩もみんなの信頼を得たものの、別にお友達ってワケでもない微妙な対応を受けてるのがまた笑える。たとえストーリーに動きがなくても、こいつらのやり取りを見てるだけでも十分満足できるぐらいには大好きですね。
露伴の別荘がフアラライ山周辺にあるという事も、サブタイトルから判明。Googleマップでその辺を調べてみると、確かにコーヒー農場が多いですね。コナ空港からも程近いし、景色も素晴らしいでしょうし、立地としては好物件。こういった些細だけどリアリティある設定が、ふとした瞬間に明かされると嬉しい。ちなみに、第8話冒頭のシーンは、ハワイ島のカイルア・コナにあるモクアイカウア教会の辺り。彼らの移動経路を想像するのも乙なものです。


ラフ画は3点。ジョディオ、ドラゴナ、ウサギ先輩の3人ですね。顔がちゃんと描き込まれたキャラクターのラフ画は「ジョジョリオン」26巻以来なので、実に2年半ぶりッ!ハァハァ、たまんねえぜ……ッ!どれもイカすけど、やっぱ主人公ジョディオかな。遥か上を見上げる姿が、いかにも象徴的でカッコイイ。でも、ウサギ先輩の佇まいも飄々とした味わいがあって良き。
スタンド紹介は、猫ちゃんズのスタンド。その名も『キャット・サイズ』!元ネタはスージー・クアトロの曲「Cat Size」です。本体名っぽく「ワイルド・キャット・サイズ」という名も書かれていますけど、これって何なんだろ?ハワイ島の固有種みたいなので、その品種名?それとも、猫ちゃんズのチーム名?あるいは、まさかの「ワイルド」「キャット」「サイズ」という3匹それぞれの名前だったり?う~ん、でも「飼い主」の野郎は猫ちゃんズに何の愛着もなさそうですからね。わざわざ名付けたりはしないかもなぁ~。
ウルジャン掲載時からの修正は、今回もそれなりにあります。例によって効果線や擬音の追加もあるし、ジョディオを逆ナンした水着ギャルのセリフのフォントも可愛く変更されたりしました。第5話の修正が最も多く……、ドラゴナの左太もものタトゥーがキッチリ描き加えられ、天井からしたたり落ちる水滴が増え、「断わる」が「断る」に、「上って」のルビが「のぼって」から「あがって」に変更されております。でも、個人的に一番気になってた第8話の時計店の店長さんのドアップのコマで、口ヒゲを描き忘れちゃってたところは、特に修正もなくそのまんまでした(笑)。

(2023年12月20日)






★第1巻★ 出発(DEPARTURE)



まず最初に……。私はコミックスもウルジャンも、紙と電子の両方を買ってます。
私が住んでいる地域では紙版が1日遅れで発売されるもんで、電子版は非常に助かる存在。ところが、電子版コミックスはどーゆーワケか、カバーの背表紙も荒木先生のコメントも掲載されてなかったんですよね。だから、サイトの更新は結局、紙版を買ってからになってしまいました。しかしッ!なんと「The JOJOLands」の電子版コミックスは、それらがちゃんと掲載されてるじゃありませんかッ!カバーを外した素の表紙も載ってるし。そうそう、やれば出来るじゃないの!嬉しい誤算でした。
今からでも遅くないんで、今までの部も全部アップデートして、それらを追加してほしいものですね。



<カバーイラスト>
連載がスタートしたウルジャン3月号(2023年)表紙イラストの連作でした。例によって、両手を上げるポーズのジョディオ。ただ、連載開始から半年経ちますんで……、このジョディオにも「こなれ感」と言いますか、荒木先生が描き慣れてきた感じがありますね(笑)。やっぱ顔付きがちょっと違うもん。特筆すべきは背景で、火山の島が描かれております。山、森、ヤシの木、砂浜の海岸。さらに、絵全体に縦の効果線が走っていて、なんか勢いやスピードを感じると同時に、恐らく「雨」をも表現しているんだろうと思われます。
この縦線を境界としてカラーを区切っていますので、非常にカラフルでゴキゲンな絵に仕上がりました。連作と言えど、ウルジャン表紙とはまるで異なる印象を受けます。よりスタイリッシュでカッコイイ!
背表紙は、今作ももちろん、繋げて1つの絵になっていくタイプのヤツ。1巻では、主人公:ジョディオの横顔が描かれました。これからどんどん登場人物が増えていくんだなぁ。お気に入りの既知のキャラ、そしてまだ見ぬキャラ、物語が進んで新刊が出るのが楽しみです。

<作者コメント>
9人目のジョジョ:ジョディオが15歳である理由について。人生の中で最も「未来を想う心」が強い年齢、か。なるほど……。同じ15歳のジョルノも、未来の夢を力強く語ってましたもんね。だからこそ逆に、子どもでも大人でもない、最も「狭間」「境目」にいる曖昧な時代とも言えそうですね。まさに「出発」の時代、というか。ジョディオの未来が幸多きものになるのか否か、最後まで見届けたいです。
そして、ジョディオのスタンド名にもある「ノーヴェンバー (11月)」。この元となった「NOVEM」という単語は、「9」という意味を持っているそうです。Twitter(現「X」)でも以前、そういう考察をされていた方がいるのを見ましたが、荒木先生的にも意図があったって事なのかな。

<内容>
この物語は、ジョディオ自身のモノローグや荒木先生からのコメントにもある通り、とにかくあちこち上向きの矢印だらけのコミックスデザインが示す通り、ジョディオの「アゲアゲ」な物語です。そしてそれは、ジョディオのスタンド『ノーヴェンバー・レイン』の能力にも色濃く反映されているのだと、今さらながら気付きました。
『ノーヴェンバー・レイン』は重たい「雨」を降らす能力。この「重さ」「雨」も、どちらも上から下に向かうものなんですよね。空から地面に落ちて来る「雨」、全てのものを地の底に押し付けようとする「重さ」。つまり、下向きのベクトルです。これは「堕落」や「底辺」を意味し、ろくでもない境遇に縛り付けられている今のジョディオ自身の現れでもあるワケです。スタンド名の元ネタ「November Rain」の歌詞やPVでも、愛を失う苦境が描かれていますしね。また「11月」とは、1年の終わりの一歩手前でもあり、ジョディオの祖先:ジョニィが命を落とした月でもあり、「終局」や「死」に向かうイメージがあります。
……で、そんなジョディオが出逢ったのが、『天国 (ヘブン)』の名を冠するスタンドを持った露伴。彼から託される「溶岩」は、火山から噴き上げられた地球のエネルギーの塊。天国も山も噴火も、全て下から上に昇っていくもので、つまりは上向きのベクトルです。露伴との邂逅が、ジョディオの人生のベクトルを一変させ、「アゲアゲ」な物語の出発点となるのなら、これほど象徴的な事はありませんね。そんな風に解釈したら、今までピンと来なかった『ノーヴェンバー・レイン』の能力も、なんかしっくりとハマった感じがしました。


ページを開いてすぐのところには、9つの角があるエンブレム的なジョディオの絵。ハワイ諸島とハワイ島の地図もありました。う~ん、新たなる冒険の始まりを予感させるぜ。
ラフ画は3点。ジョディオの頭部(のっぺらぼう)、ドラゴナのタトゥー、露伴のイヤリング。何つーか、今までみたいにキャラそのものを描くよりもさりげなさがあり、アートっぽい印象です。
スタンド紹介は無し。公式な『ノーヴェンバー・レイン』の能力詳細なんかは、まだお預けですね。
ウルジャン掲載時からの修正は、それほど多くはないもののもちろんありまっせーッ!まず、ジョディオのスタンド名変更。『ノーンバー・レイン』が『ノーヴェンバー・レイン』に、ちょっとカッコ良くなりました(笑)。パコのスタンド名も、『THE ハッスル』に表記統一。ドラゴナの朝食も、スイカからパパイヤになりました。スイカが黒人差別的なワードになってるらしく、なんか海外の連中が過敏にギャーギャー騒いでたっぽいんで、その影響でしょうね。ドラゴナは黒人じゃないし、誰がスイカ喰おうがどうでもいいだろがい。まぁ、向こうにも言い分はあるでしょうし、ある程度の配慮は必要なんでしょうが、正直「うっせーわ」という気持ち。露伴邸侵入前では……、スズメの鳴き声が追加されたり、描かれていたレンタカーが消されたり、ウサギ先輩に貼り忘れてたトーンが貼られたりもしてました。あとは、ちょっとした誤字や言い回し等の修正くらいですね。

(2023年8月18日)







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