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光で照らされたなら…
あたしはその中へ進むッ!!


#042 さらなる追跡





●今回のトビラ絵は、バスの中に立つ3人の姿。康穂&つるぎちゃんと、愛唱です。こんなに近くにいるのに、まったく別の方向を向き、互いの存在に気付いてもいないっぽい。
愛唱の事は知っているけど、位置を見失った康穂達。スタンド攻撃を仕掛ける事は出来たものの、謎の追跡者の正体を未だ掴めぬ愛唱。そんな2者の現況を象徴するイラストですね。また、平穏と危険が隣り合い、日常と非日常が交差する「杜王町」という町そのものを象徴しているかのようでもあります。
彼らを乗せたバスは、果たしてどんな結末へ向けて走って行くのでしょうか?


●まずはいきなり、愛唱の過去が語られます。現在はマンションが建つ眺めのいい丘の上に、かつてトスカーナ風八角形建築の小さな家がありました。そこに愛唱は住んでいたのです。それがどのくらい昔の出来事なのかは不明ですが、見た感じ、ほんの数年前くらいの事に見受けられます。
愛唱はその家で彼女とイチャつきまくっていました(笑)。バカップルの戯れはさておき……、愛唱はその彼女が好き過ぎて、自分の「岩人間」としての体質を秘密にし続ける事が出来なくなっていました。ウソをつくのが辛くなるほど、愛唱はマジで純愛を捧げていたようで。「愛を唱える」と書いて「愛唱」とは、よく言ったもんです。
そんな愛唱が言うには、彼の「岩体質」は生まれついてのもので、一度眠ると1ヶ月は目が覚めないんだとか。寿命はとても長く、厳しい天候や環境にも強い反面、人間社会で普通に暮らす事は叶わぬ宿命。毎日の通学や出勤なんて出来ないため、学歴をごまかして資格を取り、どうにか生活している様子。便利だけど不便だなあ。つーか、愛唱が生来の「岩人間」だったのは予想外。そもそも人間とは別の進化を遂げた種族なのか、人間から後天的に「岩人間」となった者の子孫なのか?はたまた、自分でも記憶にないだけで、実は赤ん坊の頃に「岩人間」になってしまったのか?謎はまだまだ多い。
――愛唱の真剣な告白。彼女はあっけに取られながらも、すぐに明るく笑うと、また愛唱に抱き付いてイチャつきまくるのでした(笑)。全てを受け入れ、愛してくれる素晴らしい彼女!……と思いきや、やっぱし現実は非情でした。愛唱が長い眠りに就くと、彼女は愛唱宅に別のヤンキー男を誘い込み、よろしくヤリまくってやがったのです。もしや、彼女のモデルは矢●っちゃん?見た目もどことなく似てるしなあ。ギシアン中のベッドの下で、何も知らずに眠りこける愛唱が切ねー。


●なんともしょっぱい過去を秘めた男、大年寺山愛唱!そんな彼のスタンドの名は『ドゥービー・ワゥ』!元ネタは、Peter Frampton(ピーター・フランプトン)の「Doobie Wah」という曲みたいです。ピーター氏が「The Doobie Brothers(ドゥービー・ブラザーズ)」に影響を受けて作った曲らしいので、厳密に言えば、怪人ドゥービーとは元ネタが異なるって事ですね。
この『ドゥービー・ワゥ』の執拗な追跡&攻撃に晒されるのは、康穂とつるぎちゃん。雑誌を丸めて作った筒を通して呼吸し、「竜巻」を窓の外に追いやる事に成功!すかさず窓を閉めるも、それでも「竜巻」は離れようとはしません。しかし、深呼吸する時間は稼げたッ!空気を吸えるだけ吸ったら、息を止めてダッシュです。その時、つるぎちゃんは「折り紙」で作った自動車を手放し、どこかへと走らせました。何かを狙っている模様。
「竜巻」はついに窓を破壊して、バス内へ再び侵入!「竜巻」自体は感じ取れないらしい一般人達も、さすがに「竜巻」による破壊は認識できるので、ちょっとビックリしてます。しかし、そんな事などお構いなしに、康穂達は走る!バスは「元櫓(もとやぐら)消防署前」のバス停で停車したため、そのままバスから降り、さらに猛ダッシュ!呼吸をしないで走るのは、かなりしんどそう。
ちなみに、仙台には「本櫓丁(もとやぐらちょう)」と呼ばれる通りがあったようで、「元櫓消防署」もそこから名付けられたっぽいですね。


●康穂達が窒息しそうになりながら走っている最中、愛唱も窒息死しかけた過去を思い出していました。
……眠っていた愛唱を起こす声。その声の主は夜露でした。なんと、あの彼女は愛唱が持つ土地の権利書を奪い、勝手にカネに替えてトンズラこいちゃったらしい。家も絶賛取り壊し中です。で、危うく埋められて窒息死しそうなところだったってワケ。恐らく、愛唱の私物も全部盗んで、自分の物にしたり売っ払ったりしたんでしょうな。あの彼女、可愛い顔して、やる事がエグすぎんぞ。非情にも限度があるわ。この容赦のなさ、手際の良さ、ディオも真っ青ですよ。恋人を寝取られるだけならまだしも、ここまでこっぴどい目に遭っていたとは。愛唱には同情を禁じ得ません。
夜露は、愛唱を心配して起こしに来てくれるなど、同じ「岩人間」には親切なヤツみたいです。あの家も夜露が設計してくれたのかも。せっかくの安全な場所を失った愛唱に対しても、残念がってくれた上に、彼の気持ちにも理解を示してくれてるし。人間社会で真っ当に生きられぬ孤独な者同士、通じ合うものがあるんでしょう。豊かさを、安らぎを、愛を、渇望する気持ちは共通しているんでしょう。
結局、愛唱は住む家を失って以降、その辺で野宿するようになったのかな?そんで、川辺で寝てる時に今度は溺れかけ、前回の回想シーンに繋がる、と。そう考えると、愛唱ってつくづくツイてない男よのう。そりゃあ肝っ玉も小さくなるわ。


●大切な仲間である夜露が行方不明。そして今、何者かが自分に迫っている。必ずや正体を突き止める、と心に誓う愛唱。すると、そこになんと常敏の姿がッ!常敏は何かを探すように、周囲をしきりにキョロキョロしています。これはとてつもなくヤバい予感……!?
一方の康穂達は、消防署を目指してダッシュ中。息を止め続けていたおかげで、「竜巻」もだいぶ小さくなりました。そして、消防署に着くや否や、救急車を勝手にオープン!酸素ボンベに接続されたマスクを装着し、やっとこ呼吸を再開する事が出来たのでした。呼吸が外部に漏れない上、高濃度の酸素も補給できる。実にナイスな手です。見事、「竜巻」は消え去ったのでした!
……な〜んて安心していたら、今度はマスクの内部に「竜巻」発生ッ!密閉された呼吸であっても、関係なしに「竜巻」は出現するらしい。『ドゥービー・ワゥ』の鋭い爪が、康穂の口や鼻の皮膚を切り裂く!たまらず『ペイズリー・パーク』で直にブン殴るものの、自動操縦タイプのスタンドに直接攻撃は通用しません。「竜巻」は大きくなり、ターゲットをどこまでも追い続けるだけ。康穂もこれには戦慄します。「黙らせる」とか「脅す」とかじゃなく、本気でトコトン「始末する」ための能力。どこにも逃げ場などないのです。


●こんなヤツがこの町に存在していたなんて。そして、こんなヤツと東方家が繋がっているなんて。東方家には、床下の雨漏りの黒いドロの中のように何かが蠢く世界があった!定助が蓋を開けてしまったのか?つるぎちゃん達自身が突入してしまったのか?いずれにせよ、もう後には戻れない。本体を殺らなければ、自分達が殺られる!
――しかし、追い詰められたつるぎちゃん達の目の前に現れたのは、常敏でした。さらに、常敏の後ろからは、彼を追い掛けて来た愛唱まで登場。最悪のハチ合わせです。追跡者の正体は、常敏の息子と見知らぬ小娘。想像だにしていなかった事実に、愛唱も驚愕!そして、つるぎちゃんの父親である常敏に詰め寄ります。「息子が夜露の行方不明にも関わっている事を、あんたは「知らなかった」という事にしておいてやろう。でも、もし夜露が死んでいたなら、オレはあんたも許さない。」……と。
いよいよ絶体絶命のピンチです。ところが、つるぎちゃんは「あたしの父さんはッ!絶対にあたしを守るッ!」「父さんはあたしたちの「味方」だッ!」と強気発言。愛唱はつるぎちゃんを一瞥すると、常敏になおも迫る。「今回の件は あんたの責任で終息させてもらうぞ」「あんたの息子だが オレがこのまま始末する」「オレたちはそういう「契約」をした!」「始末していい許可を出せ!」。あのビビリがウソのような勢いで、常敏を責め立て続けます。
常敏と愛唱(というか「岩人間」サイド)は、なかなかシビアな「契約」を結んでいるようですね。「岩人間」や「ロカカカ」の情報を得る代わり、「岩人間」の不利になるような事をしでかしたなら、責任を取って死んでもらう。もしも情報が第三者に漏れてしまったなら、たとえ常敏の家族だろうと友人だろうと例外なく殺す。そんな「契約」なのかな?それだけ、無関係の者に知られては危険な情報であり、途方もない利益とパワーを齎す秘密なのでしょう。情報保護口封じは徹底されていそうです。


●こんな危機的状況で、さっきつるぎちゃんが放った「折り紙」の自動車が帰って来ました。その瞬間、つるぎちゃんは不敵に勝利宣言

「これで勝った!『ペーパー・ムーン』」
「禁じ手だけど やらなきゃ殺られていた…」
光で照らされたなら…」
「あたしはその中へ進むッ!!


なんかめちゃくちゃカッコイイぞ。定助よりも主人公してるかもしれない(笑)。齢9歳にして、殺しすら躊躇わぬ「覚悟」!将来が楽しみなような恐ろしいような。
つるぎちゃんの自信の理由は、『ペーパー・ムーン』の能力にありました。常敏に怒鳴っているはずの愛唱の目に、何人もの常敏の姿が見えたのです。それもそのはず。つるぎちゃんは「折り紙」の自動車に愛唱を捜させ、触れる事で、またもや『ペーパー・ムーン』の支配下に置いていたのでした。今度は、「バス」が「常敏」に見えるように認識させたのです!つまり、愛唱は最初から「バス」を追い掛け、「バス」に話し掛けていたワケです。そして、愛唱は走行するバスに轢かれ、粉々の岩となってデッド・エンド!(「岩人間」は生々しい死体が残らない分、荒木先生にとっても、杜王町での殺し合いが描きやすくなってそうです。)
康穂も「バス」が「常敏」に見えていたみたいですが、敵を騙すにはまず味方からってヤツだったんでしょうね。康穂の心からの絶望と恐怖があったからこそ、一度『ペーパー・ムーン』を体験したはずの愛唱も、目の前に「常敏」がいると疑う事さえなかったのです。大事な家族であり大好きな父親である常敏を利用するという「禁じ手」ではあるものの、まさに一発逆転・起死回生の妙手でもありました。スカッと完勝で「To Be Continued」


★今月は45ページ!愛唱戦もこれにて終了です。バトル向きじゃない『ペイズリー・パーク』と『ペーパー・ムーン』、それに対する自動操縦タイプのスタンド『ドゥービー・ワゥ』。変則的なバトルが面白かった。それぞれのキャラクターも活きていたし、読み応えがありました。でも、夜露も愛唱も、死ぬ時はあっさりだよなあ。退場させるにはちょいともったいない気もしますが、回想シーンとかで再登場してくれる事を期待しておきます。
作者コメントは「初代担当の椛島さんが定年を迎えられました。お疲れ様でした。」との事。椛島さんが荒木先生の担当編集にならなければ、「ジョジョ」は存在しなかったかもしれません。いや、漫画家「荒木飛呂彦」さえ存在しなかったかもしれません。そういう意味もあって、椛島さんには荒木先生に次ぐ感謝とリスペクトを捧げたいと思います。お疲れ様でした!
そして、待ちに待った「荒木飛呂彦の漫画術」も発売!もちろん、すでにゲットしております。ゆっくりジックリ楽しませていただきますよ。




(2015年4月18日)




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