『ロカカカ』の樹があったんだよ
一本だけね
●今月号は「ジョジョリオン」が表紙を飾ってくれました。しかも、金ピカにキラめく特別仕様!表紙イラストは、コミックス10巻のカバーイラストの連作となっています。ただ、連作と言っても、構図やポーズはほとんど一緒。定助の表情が若干幼く見える点、定助の左手の開き具合や康穂の目線が異なる点くらい。最大の違いは、そのカラーリングですね。こっちもこっちでディ・モールト美しく、背景の金ピカともマッチしています。
今回のトビラ絵は、サッカー兄弟でした。岩のような右手を持つ「兄」、ジッパー付きのボールを肌身離さずリフティングし続ける「弟」。不気味な2人ですが、肩を組んだりもしてて、仲は良い兄弟みたいですね。「SBR」の11人の男達にも近い印象があり、デザイン的にも好みです。仲良しブラザーズならではのコンビネーションも、戦いの中で見せてくれそうで期待が高まります。
●サッカー兄弟は、カレラについての聞き込みを開始。休憩中だからとシカト決め込もうとするタクシーの運ちゃんにも、「兄」の右手から車のウィンドウを取り出して、強引に聞き込み。やっぱりこの能力、固定されている物を取り外す事にも使えて便利ですね。
一方、追われる身のカレラはと言うと……、くすねたカネでのんきにショッピング。ヒトデや貝をあしらったブーツや、ボーダー柄のソックスもさっそく着用。同じエピソードの中で着替えるキャラって、「ジョジョ」ではけっこう珍しいな。まあ、大弥ちゃんも着替えしてたけど。ファッションの他には、なんとパソコンまで買っちゃってました。ファッションデザイナーになるのが夢らしく、CGの練習がしたいようです。でも、パソコンの充電はどっかの山田さんちの電気を拝借したりと、相変わらずフリーダム過ぎるカレラ(笑)。定助はここんとこずっと振り回されっぱなしです。
荷物がいっぱいのため、ここでタクシーを拾います。まさかさっきサッカー兄弟に聞き込みされてた運ちゃんか、とも思ったんですが、まったくの別人でした(汗)。カレラは、「セッちゃん」が今住んでいるであろう家に向かおうとします。そこは杜王町258番地。……あれっ、その住所って?――しかし、すぐ近場だからか、運ちゃんのムネユキさんはつい「チェッ」と舌を鳴らす。これが開戦のゴングとなり、カレラのゆすり・たかりの猛攻スタートッ!どうやらカレラのスタンドはカレラ本体の毛を生やす(伸ばす?)事も可能なようで、ドアに髪の毛を挟まれた状況を作り出し、まんまと激安で乗せてもらうのでした。カレラちゃん大勝利。まっ、これはムネユキさんが悪いわな。
●何事もなくタクシーから降り、「わ――い!」と無邪気に喜ぶカレラ。ろくでもない性格だけど、見る分には可愛い。直に接する定助はさすがに引き気味で、呼び方も「カレラ」から「カレラちゃん」に変わっちゃってます(笑)。「カレラ」と呼び捨てるのはセッちゃんだけと言われたから、ちょっと距離を置いてみたのかな?康穂の場合は、「康穂」より「康穂ちゃん」の方が上みたいですが。
それはさておき、カレラが向かう杜王町258番地とは、やはり吉良の家でした。そう……、かつて定助が康穂と共に侵入し、笹目桜二郎の能力に襲われたあの部屋。マンションつつじヶ丘。さっき定助が「居候してる」と言っていたので、吉良の家に泊めてもらっているとカレラは解釈したようです。吉良を「大っ嫌い」と言ってたカレラだけど、家は知ってるし、会うのもやぶさかじゃないのか。案外、ケンカするほど仲の良い2人だったのかも。しかし、当の吉良はすでに死んでいる。その事実を告げると、カレラは途端に震え出すのでした。呼吸は荒くなり、歯もガチガチと鳴りまくって、物陰に隠れてしまう。彼女は一体、何を恐怖しているのか?
カレラは定助に、吉良の死について訊ねます。彼女は真っ先に「吉良は殺されたのでは?」と疑っており、そう思うほどの何かを知っている模様。……吉良は特に外傷もなく、土に埋まって枯れて死んでいた。吉良の死は「殺人」ではなく「事故」かもしれない。定助は簡単にそう説明します。肉体が「枯れて」って表現が、「石化病」を彷彿させて、微妙に気にはなりますが。
●カレラは語ります。「吉良は『ロカカカ』の樹を1本だけ隠し持っていた」と。「植木鉢を台所に隠していた」と。そして、「他の樹は処分した」と。なるほど、ぼんやりと話が見えてきましたね。なんか繋がってきた感覚。
どーゆー経緯があったのかはともかく……、吉良・仗世文・カレラは、「岩人間」達が大切に栽培していた「ロカカカ」に辿り着きました。夜露と知り合い、彼から教えてもらったのかもしれません。しかし、吉良達は「ロカカカ」のあまりのヤバさゆえか、「ロカカカ」を勝手に処分(焼き払ったとか?)したのです。そのため、怒った「岩人間」は吉良達を狙う事になったし、カレラもほとぼりが冷めるまで逃げ回っていたワケです。ただ、吉良はこっそり1本だけ持ち帰っていました。「ロカカカ」の実が、母の「病」を治してくれるかもしれないから。あるいは、治す方法に繋がるヒントになるかもしれないから。このように推測しました。……だとすると、愛唱が持っていた「ロカカカ」は、吉良の家から回収した物だったのでしょうか?それとも、吉良達が処分した物以外にも、「ロカカカ」は存在していたのでしょうか?
で、ここからはカレラの勘違いもコミコミですが……、吉良が「ロカカカ」を隠し持っている事を仗世文も知っていた。今も「ロカカカ」の在り処を知っている。それゆえに危険が迫り、変装をして隠れている。そういう状況って事です。実際、仗世文は「ロカカカ」の在り処を知っていたのかもしれません。でも、今の定助は「ロカカカ」という言葉すら知らなかったし、そもそも変装も逃亡もしてはいませんからね。この辺はカレラの誤解が大きそう。
つーか、イメージ図に過ぎないかもしれませんけど、吉良の家に訪れる仗世文の姿まで描かれています。仗世文のヘアースタイル、サイドハゲでハンバーグが乗っかってるだけじゃなく、後頭部に2本の束がピョンとくっ付いてました(笑)。仗助の後ろ髪にもあったアレです。ますますファンキーな髪型だな!吉良の方は、なんか吉良っぽくてカッコイイ顔してます。う〜む、この2人の関係性も知りたい。過去編が読みたいっスね!
●定助に「ロカカカ」の在り処を訊くカレラ。すると、そこに現れたのがサッカー兄弟!早くも見付かってしまいましたよ。カレラはコイツらを全然知らない様子。前方からは「弟」が不気味に近付いて来ます。死角に隠れたと思うと、別の死角から現れるかのような妙な移動をしているけど、ヤツの能力に関係あるんでしょうか?実はボールの中に入って、転がって移動してる……とか?そして、そんな「弟」に気を取られていた隙に、後方から迫っていた「兄」が音も無く襲って来るッ!
「兄」は右腕でカレラをいきなり押さえ付けると、左手で車の給油口を開き、そこへ指を突っ込みます。次の瞬間、右手からはガソリンがどんどん流れ出て来る!カレラはあっと言う間にガソリンまみれ。「兄」は無言のままチャッカマンで火を灯し、躊躇いもなくカレラに着火ッ!一瞬でカレラは火だるまにッ!自分の身に何が起こったのか理解できぬまま、大絶叫で悲鳴を上げるカレラ。あまりにも淡々粛々と「作業」をこなすサッカー兄弟に、暗殺者のスゴみを感じずにはいられません。恐ろしいけど、そのプロフェッショナルな姿勢にシビれるな〜。
しかし、我らが定助だって負けてはいません。突然の地獄絵図にもうろたえる事なく、クールに『ソフト&ウェット』発動!大量の「しゃぼん玉」がカレラを包み込み、炎を消してしまったのです。特に何の説明もないんだけど、炎から「熱」を奪った、とか?ただ、ついにカレラに『ソフト&ウェット』を見られちゃいました。今はパニクッててそれどころじゃないでしょうが、自分の知る「セッちゃん」ではないと感付かれてしまいそうですね。
●せっかく灯してやった炎が消され、サッカー兄弟もちょっとビックリ。定助の事は知らないみたいですが、ひょっとしたら仗世文の事は知っているかも?「そうか。おまえ……、空条 仗世文とか言ったな。あいつだったのか……。」なんて気付く展開もあり得る?
ともあれ、定助はカレラを逃し、2人同時に相手する形に。「兄」の顔面に拳を叩き込み、上唇周辺を膨らませて破裂させます。『ソフト&ウェット』は、殴った場所の内部に「しゃぼん玉」を作り出す事も出来るように成長した……のかな。戦意・闘志を込めての「しゃぼん玉」は、なかなか攻撃的で頑強みたいです。
「兄」が攻撃されたため、今度は「弟」がボールをシュート!定助はうまく交わしましたが、ボールは電柱に当たって、「弟」の元へ返って来ました。相変わらずボールは地面に落ちていません。これが落ちた時、または定助に命中した時、何が起きるのか好奇心がウズウズしますよ。そして、「弟」のシュートを交わした隙を狙い、またまた「兄」のターン。恐るべき連携プレー、波状攻撃。左手で触れた鉄柵を右手から出し、それを自在にロープのように定助の顔中に巻き付け、キツく締め上げます。鉄柵ロープがどんどん食い込んで、血が滲んでくるッ!
カレラは後で追うとして、今は定助の始末を優先。サッカー兄弟のターゲットがチェンジしたところで、次号へ続く!
★今月は41ページ!ページ数はいつもよりちょっぴり少ないけど、内容はなかなかに濃密でした。定助の過去を直接知る者の登場は、一気に物語を動かしてくれますね。もっとも、他人からあっさり全部教えてもらっちゃつまらんので、核心はやっぱ自分で辿り着いてほしいもんですが。そういう意味で、カレラも、仗世文の素性を深くは知らない気がします。サッカー兄弟の方も、その能力はもちろん、生い立ちなども含めて興味津々!
作者コメントは「不味い飲み物を店に作り直させることが出来る人、憧れる。自分が出来ないので。」との事。私も出来んなあ。豪快な対応が出来る承太郎さんはスゴイぜ。
今月は付録として、描き下ろしイラスト使用のブックカバーもゲットできます。ブラックを基調としたポップなデザインのカバー。描き下ろしイラストは、定助と『ソフト&ウェット』のラフ画2点でした。どちらも何気ない瞬間を切り取ったかのような構図で超イカしてます。
さらには、ウルジャン20周年って事で、ジャンプ・ショップとのコラボ企画も催されるようです。8/8(土)〜31(月)の期間中、全国のジャンプ・ショップで開催予定。1,000円以上購入した人には、荒木先生描き下ろしの限定ショッパーももらえるらしい。お台場店では作家陣の直筆色紙も展示されるとの事なので、もし荒木先生の色紙もあるのなら、ぜひ観に行きたいと思います。
(2015年7月17日)