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正解ッ!
それであなたは もう終わりッ!


#063 ブルーハワイ その③





●今回のトビラ絵は、常敏のスタンド『スピード・キング』の解説。池のほとりに佇む常敏と『スピード・キング』です。今まで謎だった胴体部もようやく描かれました。「ジョジョリオン」のスタンドの傾向として、体が非常に細身である事が挙げられるでしょうけど、『スピード・キング』もご多分に漏れず。腕も棒切れみたいな細さだし、胴体なんてほとんど空洞に見えますね。上半身と下半身を、いくつかのパーツが辛うじて繋ぎ止めてる感じ。常敏の歪で空虚な心が表れているかのようでもあります。
能力紹介の方は、かなり疑問が残りました。「触れた部分の温度をほんの少しだけ上げる」「その温度差は数℃」との事ですが……、作中での描写を見れば、「ほんの少し」「数℃」の範囲じゃ済みそうもない事は一目瞭然。まぁ、しかし、「その能力の本質は東方家の家族も知らない」とも書かれています。ここに書かれている内容は、常敏にとってあくまで表向きの情報って事なのかもしれません。『スピード・キング』の真価が発揮される時が、今から待ち遠しい。


●さて、本編。常敏の襲撃に遭って気を失っていた康穂でしたが、どうにか目を覚ました様子。彼女のスマホも、ドロミテの「歯」も、せっかくゲットした情報も、全て奪われてしまった。ショックのあまり、涙まで流しています。このままでは、定助は確実にやられてしまう!
―― 一方、タクシーに乗って逃げる定助も、康穂に迫る危機を感じ取っていました。何度電話を掛けても、まったく繋がらない。彼女の身を案じ、ひとまず移動をやめて、タクシーを降りる事に。するとその時、タクシーに何かがぶつかる音が聞こえたのです。辺りを見回してみると、リア・ウインドウから何者かの血が垂れていました。それと、フワフワした羽根のような物体も揺れています。外を見ると、地面には1羽の鳥の死体が……!
タクシーを降りて周囲の確認中だった運転手のおっさん、車体に付着していた鳥の血にうっかり触れてしまったらしい。やっぱり彼も心を徐々に失っていき、やがて定助を襲い出します。タクシーのドアごとおっさんを蹴り飛ばしたものの、敵スタンドの能力は人間以外の生物にも効果がある事が判明ッ!空まで飛んで来られては、もはや逃げ場は無し。逃げ切る事など出来ない。逃げるだけでは絶対に勝てない。そう確信する定助でした。


●倒れてるおっさんの周りに、数匹の「ハエ」が飛んでいる事に気付く定助。そして、わずかに開いているタクシーの窓。……イヤ~な予感が過ぎります。やはり、血に塗れた1匹の「ハエ」がこちらに向かって飛んで来るッ!定助はすぐさまタクシーから飛び出し、猛ダッシュで逃亡ッ!そう……、鳥のみならず、(ハエ)に対してまでも『ブルー・ハワイ』の能力は有効なのです。
近くのコンビニ「オーソン」に駆け込むも、勢い余って商品棚に突っ込んでしまい、店内はメチャクチャ。「ハエ」はもう目前。しかし、定助はすかさず「害虫KILLER」なる殺虫スプレーを掴み、「ハエ」にお見舞いします!なるほど、コンビニにならいろんな物があるからね。スプレーを喰らって落下する「ハエ」。ところが、「ハエ」はそれでもなお、しぶとく床を滑って追って来ました。落ちている商品を吹き飛ばしながら、パワフルに向かって来ます。
「感染者」の生死など関係なく、物体として動ける形さえ保っていれば、どこまででも追跡して来るのかも。それこそ、手足を切断するとか、原型を留めない程に潰すとかでもしない限り。しかも、ほんの少しも「感染者」の体や血に触れずして。そんな芸当が果たして可能なのか?


●定助は、あえてコンビニのトイレに逃げ込みました。ドアがある前方以外、狭い壁に囲まれた空間。直線的な動きしかしない「感染者」ならば、必ずこのドアの数センチの隙間から現れる。自ら追い詰められる事で、逆に敵の行動を限定したワケです。そして、「感染者」が「ハエ」である今なら、通過する瞬間、ドアに挟み込んで叩き潰せる。タイミングは賭けになるものの、ようやく掴んだ勝機ッ!
……ところが、ドアの隙間から見えたものは、血だらけで倒れる女性の姿。その横には乳母車も見えます。まさか……。ドアに何かがぶつかる音、そしてドアの隙間から現れた血塗れの小さな手。なんと、能力はすでに「転移」しており、「ハエ」からお母さんを経由し、今の「感染者」はいたいけな赤ちゃんになっていたのです!赤ちゃんは、定助が押さえ付けているドアの隙間に無理矢理入り込もうとして来ます。皮膚は裂け、血は吹き出し、骨が折れる音も響く。あまりにも無慈悲でムゴすぎる能力に、さすがの定助も顔を歪めずにはいられません。何度「やめろ」と叫んでも、赤ちゃんはひたすら向かって来ます。
定助は涙すら浮かべながら、とうとう心が耐え切れず、ドアを押さえ続けていた手をそっと離しました。そして、トイレに突入して来た赤ちゃんに触れられてしまったのです。瞬間、『ブルー・ハワイ』の能力は定助を侵食し、ついに支配下に置かれてしまったのでした。定助、完全敗北……!


●心を失った定助、フラフラと六壁神社の池へ向かいます。ドロミテが岩石化してカエルを捕食してるところに、定助到着。ドロミテは定助に、「質問に答えてから池に沈め」と命令。スマホもポケットから抜き取ります。目的を訊ねると、定助は素直に全部話してしまいました。「ロカカカ」の枝を探し出せる「植物鑑定人」に会うため、鼻炉山(はなれろやま)に向かっている、と。
スマホから「植物鑑定人」の画像も発見し、もう定助は用済み。再度命令し、定助を池に沈めます。「新ロカカカ」を食えば、定助のように別人の肉体を得られるという事で、ドロミテの心に久しく忘れていた気持ちが蘇ります。想い出すのは、遠い日の「彼女」の姿。今、彼女は32~33歳くらいにはなっているのか?もう一度、「青い珊瑚礁」に行こうと誘ってみるかな……とゴキゲンです。
つーか、ドロミテの記憶が正しいなら、例の感電事故はせいぜい10年そこら前の出来事って事?だったら、実際は大して長生きでもないんじゃないの?ああいう風貌だから、ナメられないように長老っぽく振る舞ってただけとか?あるいは、あくまでダモカン達よりは長生きできてるって程度の意味だったのかも。後で話している通り、ドロミテは「ロカカカ」やダモカン達には深入りしない立場を貫いていたみたいですし。


●久しぶりのロマンスに浸るドロミテ。しかし、「無理だね」「そんな場所には行けない」という声と共に、いきなり棒でブン殴られてしまいました。そこに立っていたのは、なんと鉄パイプを持った康穂!!敵本体の居場所をあれ以上調べる事は出来なくなったし、定助に情報を伝える事も出来なくなった。それでも、『ペイズリー・パーク』の能力なら、定助(が持つスマホのGPS?)の位置を調べる事くらいは出来る。定助が敵にやられるのが確実であるなら、定助自身に敵本体の元へと案内してもらえばいい。そんなところでしょう。
鉄パイプでドロミテを脅しながら、康穂は淡々と語ります。彼女が一番得意な事は、「地図を見る事」らしい。地図を調べるのが一番好きだ、と。だからこそ『ペイズリー・パーク』が発現したんでしょうな。常敏とのクワガタ相撲の時なんかも、イタリア・アマルフィの風景を見て憧れていたし、彼女の根底には「自分の居場所が分からない」「だからどこか知らない所に行きたい」的な心理も働いていそう。
そして康穂は、「スタンドを解除する事」と「自分を襲った人物の正体を教える事」をドロミテに命令。岩石化してやり過ごそうとするドロミテでしたが、康穂は彼を鉄パイプで押して、池に突き落とします。『ペイズリー・パーク』でこの池を調べ、泥が深い地点を見付け出したので、そこに沈めてやろうというワケです。その名に相応しく「泥」にどんどん沈んでいくドロミテは、大慌てであっさりと敗北宣言(笑)。定助も溺れ死ぬ前に意識を取り戻しました。結局、康穂が1枚上手だったか!


●ドロミテの協力者が常敏である事を知った定助達。しかし、ドロミテは不吉な事を言い出します。「おまえらは何も理解していない」と。「ロカカカ」に近付くのは本当にヤバく、だから以前から関わり合いにならないようにしてきた模様。実際、ダモカン達も相当危険だったらしい。さらに、「ロカカカ」が合法で、しかも新種が生まれたってところはもっとヤバいとの事です。
具体的に何がどうヤバいのかは不明ですが、ここまでドロミテが危険視するとは。「ロカカカ」という植物自体に秘められた危険性なのか、はたまた「ロカカカ」の利益を狙う敵対組織が存在するのか。「植物鑑定人」が何かを知っているのか。常敏の目的と共に、今後の展開を大きく左右しそうですね~。
それに、ドロミテの発言からすると、常敏や「ロカカカ」の情報なんて比じゃないくらい話せない秘密もまだ抱えていそうな気配。ドロミテが犯した罪の大きさも考慮して、定助達は拷問してでも、知ってる事を洗いざらい吐かせてやるべきだと思いますよ。まあ、そうなる前に口封じでもされちゃいそうだけど。


★今月は45ページ!ようやくドロミテ戦も決着!週刊の頃よりも「絵を大きく描きたい」「大きな流れでストーリーを描きたい」という想いから月刊誌に移籍した「ジョジョ」。絵自体の迫力やストーリー全体の重厚感が増した反面、1話あたりの展開の振り幅・密度的なものは週刊時代より薄れている印象も正直あります。ドロミテ戦もなかなか話が進行せず、少々ヤキモキさせられた部分はありました。……けど、やっぱ面白かったですよ!定助が「人間」らしい優しさゆえに敗れてしまうところもグッと来たし、康穂のあっけらかんとした逞しさにもスカッとしました。カッコイイ絵も多くて満足。次回からはまた一気に話が転がりそうで楽しみです。
作者コメントは「89年に買ったブラウン管テレビ。ずっと大丈夫でしたけれど、ついに壊れました。」との事。荒木先生って、やっぱ物は長く大事に使う人ですよね。テレビよ、長年お疲れ様でした。




(2017年3月17日)




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