TOP  <<#066 戻る #068>>



敵は岩人間…
だが「2体」いる…


#067 植物鑑定人 その④





今月号の表紙は「ジョジョリオン」!凛々しい顔付きの定助と『ソフト&ウェット』です。面白いのが、定助のスカーフ部分。表情などの繊細な線とは対照的に、恐らく筆ペンで引いたのであろう、ざっくりとしたド太い線で描かれているのが目を引きました。
カラーリングとしては、やはり『ソフト&ウェット』のカラフルさが印象深い。体表は主に「ピンク」と「オレンジ」の2色で塗られていますが、「仗世文」と「吉良」を表しているんだろうかとも思えてきます。そして、背景のグリーンが全体を引き締め、まとめてくれてる感じ。コミックス15巻の表紙や、「別冊マーガレット」での露伴イラストなどもそうですけど、最近の荒木先生はグリーンがブームなのかな?


●今回のトビラ絵は、定助・康穂・礼さんのトリオ・ザ・リフト。本編では礼さんに引き裂かれてしまっただけに、定助は康穂の手をギュッと繋いで守っていますね(笑)。そんな2人を追い、背後に迫る礼さんが怖い。また何か良からぬ事を仕掛けてきそうだぜ。
あと、定助の顔あたりが特に、細かい点々で汚れちゃってるように見えます。この絵もデジタル加工かコピーかして、そのせいでこうなったんかな?それとも、何らかの意図があってあえてこうした?


●冒頭は康穂のモノローグにより、礼さんを改めて紹介。『ドギー・スタイル』の能力を、「自分の身体をリンゴの皮をむくように解体できる」と表現していましたが、実にしっくり来る例えです。彼は果樹栽培師であり、「ロカカカ」を巡る戦いの鍵を握る男でもあるので、能力もフルーツに関連付けられるとなんか安心する(笑)。
そんな礼さんにリフトから突き落とされてしまった康穂。とりあえず意識は取り戻しましたが、足を負傷してしまった模様です。上空からの定助の呼び声に応えるものの、状況も把握し切れていない。康穂を助けるために下に降りたりしないよう、定助に釘を刺す礼さん。しかし、愛する康穂を生贄にされ、定助は激怒します。礼さんの胸ぐらを掴んで、地面に落としてやる気満々。ところが、礼さんは余裕顔で「下のイチゴも収穫できる時もある」「彼女のおかげで生存率は23%に増えた」などと言い放ちます。「運が良ければ彼女も助かる」ぐらいにしか思ってねえ!
確かに敵の能力を観察するには最適でしょうけど、定助にとっては康穂の身の安全が最重要。康穂に、すぐ6番の柱まで行って登って来るように指示します。そんな事を言ってると、また礼さんにお叱りを受けてしまいそう……と思いきや、礼さんはやけに淡々としてる。這い出てくるミミズを何匹も見付け、地中の異変を察知し、冷静に推理を重ねます。その上で、6番に行くなら行くで構わないよって態度。それが逆に不吉だなぁ。絶対に裏あるだろ。


●康穂は6番の柱に向かってダッシュ!それを眺めつつ、礼さんは敵の狙いを推測します。……6番の柱の土台はコンクリート。頑丈ではあるけれど、もしそれをさっきの樹木のように崩されたら、柱のワイヤーがたるんでリフトは落下する。その推測通り、康穂の目の前で、6番の柱周辺の地面が割れ砕けましたッ!「DANGER」「崖注意」と書かれた看板も、地割れに飲まれ、破壊されてしまいます。柱もリフトも激しく揺れるッ!
地割れからは、ついに敵の姿が見え始めました。石で出来たキャタピラのような物(無数の腕の模様が刻まれている)が、地面の中を突き進んでいるのです。そのスピードは礼さんや康穂の想像以上。逃げる康穂に対しては、再び石を発射し攻撃して来ます。定助がすかさず「しゃぼん玉」を大量に出し、康穂はそれに掴まって空中へ離脱ッ!岩石化した夜露すら丸々包んで浮かせられるくらいなので、今の「しゃぼん玉」の強度と浮力は相当なもんでしょう。ところが、敵はさらに石を何発も発射!頼みの「しゃぼん玉」は割れてしまいました!
その時、左右のキャタピラの間から、敵の顔が登場ッ!簡単に言うと、ヘンテコなマスクを付けた男です。セッコやラング・ラングラーなんかを思い出す風貌。さすがに地中を進む以上、頭部はキッチリ保護する必要があるみたい。両目部分のゴーグルには、ご丁寧にワイパーまで付いてます。なるほど、これなら土で覆われても大丈夫!何かのチューブも咥えていますが、ここから酸素でも補給してるのかな?


●ワイパーマスク(仮名)は腕を突き出し、康穂の首を鷲掴み!その手からキューブ状の群体スタンドが出現!このままでは康穂の顔面が溶けてしまう?
しかし、焦りまくりの定助の背後から、礼さんが静かに的確に反撃開始。ナイフを投げ、ワイパーマスクの体に突き刺すと、「リンゴの皮」のように剥いた肉体を駆使して思いっきり引っ張るッ!当然、ワイパーマスクの体はナイフで引き裂かれるッ!響くワイパーマスクの絶叫!しかも、敵の観察も忘れない。ワイパーマスクは深さ20~30センチ程の地中におり、自分の肉体とか樹木とかを伝ってでなければスタンドを送り込めない(スタンド単独で自由自在に移動は出来ない)っぽい様子。つまり、攻撃時に地表に現れる可能性大!
やっとこさ一矢報いたってトコですが、康穂の顔面にはまだ無数の敵スタンドが。危機は依然去ってはいません。でも、康穂だってやられっぱなしじゃ終わりませんぜ。再び6番の柱へダッシュし、『ペイズリー・パーク』発動ッ!さっき敵スタンドを脚に付けられた時も、汚染されるまで少し時間差があった。だからこそ、ギリギリ汚染されずに済んだ。まだ間に合う!康穂は、『ペイズリー・パーク』で6番の柱の電源を探し、シャワーや貯水タンクから水を溢れ出させました。
大量の水を浴びた康穂の体から、敵スタンドが洗い流されたのです。この敵スタンドは、「動物」や「植物」の内部なら移動できるけど、「無生物」に対しては表面に張り付くくらいしか出来ない……と私は考えております。なので、「無生物」である「水」の流れや勢いに逆らって移動する事も出来ず、そのまま洗い落とされてしまうってのも納得。


●礼さんのナイフ攻撃により、とうとう敵が地表に現れました。それがなんと驚き!敵は2人いたのです!ワイパーマスクと、キャタピラ野郎。これらは、それぞれ別の「岩人間」だったのです。見ると、キャタピラの前方部には顔が確認できます。コンビだったとは予想外というか、まったく盲点でした。
キャタピラ野郎の方は、あの姿が「岩人間」の新形態・別形態なのかもしれませんが、とりあえずスタンド能力ゆえの変形と捉えておきます。恐らく、周囲の岩石や土砂を取り込んで、本体の肉体を「乗り物」に変化させるような能力なのでしょう。今回は地中を進む「戦車」と化したってトコかな。ただ、能力発動時は本体は眠りに就いている状態で、別の誰かが乗り込んで操縦しなくてはいけない……とか。そして、ワイパーマスクは人体を汚染・溶解するような能力。どうやって敵本体が移動しているのかで悩みましたが、そういう事なら腑に落ちます。
それと、以前からしつこく言ってる、「岩人間」のモチーフが「7つの大罪」って説についても。こじつけるとすれば、キャタピラ野郎は「怠惰」で、ワイパーマスクは「憤怒」かなあ。キャタピラ野郎がもし、能力発動時に寝てるんだとすれば、かなり「怠惰」っぽい。ワイパーマスクのスタンドは、「憤怒」を暗示する動物の1つ「ユニコーン」の逆にも思えます。ユニコーンは、汚れなき処女を好み、その角は毒を清める力があるとの事。一方、このスタンドは角のようなトゲトゲがあって、ユニコーンとは逆に、触れた者を汚染してしまう。
でも、これで「7つの大罪」も打ち止めになっちゃうんで……、次の敵からは、2008年にローマ教皇庁が発表したという「新・7つの大罪」をモチーフにしても面白いかも。Wikipediaとかを見ると、それらは「遺伝子改造」・「人体実験」・「環境汚染」・「社会的不公正」・「貧困」・「過度な裕福さ」・「麻薬中毒」の7つらしいです。これまた凶悪なキャラやスタンドを作れそうなワード。


★今月は33ページ!ページ数は少ないけど、ようやく敵の全貌も見え始め、バトルが盛り上がってきました。どんな性格で、どんな思想や信念を持ったヤツらなのか、大いに期待したいと思います。
作者コメントは「岸辺露伴の新作を来月発売の別マ誌にて描きました。お邪魔でなければ!」との事。まさかの少女漫画誌デビュー!あらすじをちょっと読んだだけでもめっちゃ面白そうです。早く読みてー!この胸の疼きは、今月号の付録「岸辺露伴は動かない 短編小説集(1)」を読んで抑えるとしますかね。しかも、来月号は2巻も付いてくるみたい。また「ジョジョリオン」がウルジャン表紙も飾ってくれるようなので、二重にワクワクです。
さて、何かと物議を醸している実写映画「ジョジョ」4部。私的には、アニメもゲームも小説も実写も同じ二次創作物に過ぎないんで、別にどうという事もないんですが。増してや、あの忌まわしきOVAコー●ン事件なんかに比べりゃ、なんとも平和すぎる話題なんですが。一部、暴徒と化したファン達が所構わず罵詈雑言を吐き散らしている模様。そういう幼稚な人達には、荒木先生から寄せられたコメントを読んで頭を冷やしていただきたいですね。まず、「観て」から「批評」をしましょう。




(2017年7月19日)




TOP  <<#066 戻る #068>>

inserted by FC2 system