TOP  <<#071 戻る #073>>



夜が2回…
丸2日後に戻って来る
収穫だ!


#072 プアー・トムとオゾン・ベイビー その①





今月号の表紙は「ジョジョリオン」!「SBR」の15巻・16巻を思い起こさせる、大胆な色使いが印象的なイラストです。めっちゃクールじゃないっスか!
駐車中の車をバックに、ポーズを決める定助・康穂・礼さん。定助なんて、セーラー服に「ロカカカ」や『ソフト&ウェット』等のワッペンを付けてて、オシャレ度もさりげにアップ。礼さんもマフラーなのか風呂敷なのか分からんけど、柄モノの布を首に巻いているっぽい。康穂は珍しく黒系トップスを着ていて、これまたキュート。そんな3人の姿が縁(ふち)の中に収められている、という構図になっております。まるで、そういう記念写真か絵画が額縁に飾られているかのように。
カラーリングは、ほとんど一面が真紅!別の色はほんのちょっぴりだけ。縁と康穂のファッションの花がオレンジ色に、そして、定助の足元の空間のみライン状にライムグリーンが塗られています。このライムグリーン・ラインにはけっこう驚き。「SBR」15巻・16巻なんかは、色使いが大胆ではあるけど意図は分かりました。人物が赤一色の中で、特に際立たせたい部分(髪や帽子、蹄鉄など)にのみイエローを塗る。絵全体(空や大地)が水色の中で、山々や川(?)だけピンクで塗る。そんな感じで。今回のイラストでも、オレンジ色に塗られているのは花だけなので一目瞭然。……でも、このライムグリーン・ラインは、物や人物って分け方じゃなくて唐突にスパッとエリアが区切られてます。ここまで主要人物を埋没させちゃうカラーリングってのもスゴイな。そういう意味でも新しく、いつも以上の大胆さでした。


●今回のトビラ絵は、今月号の表紙の連作。コミックス17巻のカバーイラストもそうですが、荒木先生ってば本当に連作大好きね(笑)。
構図的にはほぼ一緒だけど、定助だけはポーズからして違う。自慢のワッペンも、ピースマークに「手形」、東方家の家紋、杜王町のシンボルマークと多種多様。見慣れたセーラー服も、ちょっとしたアクセントで印象がガラリと変わります。定助さんは杜王町のファッション・リーダーや!


●さて、まずは冒頭からいきなりの情報。「新ロカカカ」収穫まで、あと2日 ― と04時間33分 ― らしいです。こんな逆算した時間が明示されるって事は、どうやら後々、ガチで収穫は出来るって事みたい。「新ロカカカ」争奪戦、果たしてどんな結末を迎えるのでしょうか?その時は、刻一刻と迫っています。
ドロミテやアーバン・ゲリラとの戦いから一夜明けたのか……、東方家の朝の風景。誰かのバッグにつまずく憲助さん、そこに現れた常敏。彼のバッグのようです。後で分かりますが、このバッグの中には、プアー・トムから預かったミニチュアハウスが入っているワケです。そんな事も露知らず、東方家の面々は相変わらずのんき。
常秀は大好きな魚肉ソーセージのサイズを計測し、メモッていました。お得用パックで買ったからって、実は全体量は変わってないかもしれない。そんなセコい疑いを掛け、「オレは騙されないぜ!」とばかりに作業に勤しんでます。ってかコイツ、左利きなのかよ。……まぁ、そんな常秀の行動には誰も興味を示さず、鳩ねーちゃんと大弥ちゃんはソーセージを勝手にバクバク。常秀絶叫(笑)。このしょーもない日常に癒されるなぁ。


●賑やかな家族を尻目に、常敏は1人、こっそりと防犯カメラのルームへ。―― 脳裏を過ぎるは、数年前に交わした父:憲助さんとの会話。時系列的には恐らく、2008年の夏~秋頃ってところでしょうか。
「晴天バーディーズ」の試合を観戦に球場へとやって来た、憲助・常敏の父子。しかし、常敏には並々ならぬ不満があるようで。球場の良い席を忖度してもらえなかったとか、イタリアン・レストラン「トラサルディ」に満席だからと断られたとか、金持ちのおぼっちゃんらしいワガママを垂れ流してます。席が欲しいなら順番守って予約しろ、と至極真っ当な忠告をする憲助さん。でも、常敏が言いたい事はそんな事ではなかった模様。
「東方フルーツパーラー」は果物業界でずっと全国1位だったのに、ここんとこ1位じゃなくなってきているらしい。T大病院の医者達が駅の西口にモールを建てたせいで、駅前本店周辺の人々の流れも変わってしまったそうです。う~む、実はこれって割と重大な情報なのでは?この「T大病院」が「TG大病院」の事ならば、ホリーさんが入院している病院が絡んでいるって事になります。その病院の医者達がわざわざショッピング・モールなんかを建てたりするなんて、意味深すぎる。東方家の繁栄を快く思っていない者の、もっと言ってしまえば、東方家に恨みを持っている者の仕業……なのかもしれません。その医者こそが、「新ロカカカ」を狙う「岩人間」である可能性はあり得ます。社会的には、アーバン・ゲリラの同僚とか上司とかかもしれない。(まぁ、やり方が陰険っつーか、遠回しすぎる気もしますが。)
今になって思えば、定助がフルーツパーラーに行った時、他のお客さんの姿がまったく描かれていなかったのも意味があったのかもね。憲助さんはドヤりまくってたけど、現実問題として、常敏が危惧するようにお客さんをかなり取られちゃっていたのかな。


●東方フルーツパーラーの力が弱くなっている。もっと強くならなくては。そのためには、輸入ルートの強化が必要。デザートやオリーブオイル、サプリメント、果物加工品……、安くて美味い果物を輸入して生産するべきだ。常敏は、そう熱く語ります。
ところが、憲助さんは常敏の意見を一蹴。フルーツとは、祝いの時も不幸の時も贈れる特別な物。良い品物だから信頼を得ているし、だからこそ近くで目をかけなくては駄目だ。憲助さんは、そう静かに語ります。
時代の変化にやられないために、伝統にも変化を取り入れるべきと主張する常敏。フルーツ屋に「強さ」など必要ないと主張する憲助さん。2人の意見は噛み合う事なく、完全に平行線です。どちらの言い分も理解できるだけに、どちらが正解かなんて分からないなあ。これはきっと、長く商売を続けている家ならどこででもある話なんでしょうね。某家具屋さんとかね。
憲助さんは球場を後にし、残された常敏は心の中で毒づきます。明治の頃からずっと伝統を受け継ぎ、社会貢献してきたってのに、なんでうちら東方家が他の連中と一緒に並ばなきゃいけねーんだ!そんなのの何が楽しいんだ?そんなのは「夏休み」じゃない。……ボヤいてる常敏に、その時、声を掛ける者がいました。それは八木山夜露!東方邸の新改築の依頼を受けたのが彼なので、一応、常敏とも顔見知り。夜露だけでなく、愛唱双児の姿もあります。一緒に観戦しながら、輸入ワインを飲もうと誘う夜露。最近、値段が以前の3倍になったようです。きっと夜露は、言葉巧みに常敏の信念・経営戦略の正しさを語ってその気にさせ、東方家の輸入ルートを利用する事に成功したんでしょう。ここから、「岩人間」と常敏の契約はスタートしたのでした。
―― そして現在。常敏はプアー・トムに言われるがまま、防犯カメラを一瞬だけ切って、果樹園にミニチュアハウスを埋めます。常敏なりに東方家を想ってのこの行動、果たして吉と出るか凶と出るか。


●「新ロカカカ」収穫まで、あと2日 ― と02時間11分 ― 。果樹園の「離れ」の地下室に、定助と礼さんが登場。地上には敵がいるだろうから、地下を進むつもりみたいです。でも、この地下は夜露にもバレていた。定助がそう言うと、礼さんは「特級品」の栽培と収穫のための隠し通路を開き、さらに奥へ!こんなからくりがあったとは!
康穂は一旦、自宅に帰った模様。「岩動物」の擬態と思われる例の「髪留め」、壊れた後も自室で箱に入れて保管していたらしいのです。その死骸を『ペイズリー・パーク』で調べ、生態や成分を突き止めようって狙い。それはもちろん、「岩人間」の正体にも繋がるはず。あの「髪留め虫」がこういう展開になるのか~!意外だけど理に適ってるね。ただ、「岩人間」にしても「岩動物」にしても、死ねばみんなボロボロに崩壊してたからなあ。「髪留め虫」は割れて砕けただけで、崩壊まではしてないっぽいし。今は仮死状態に過ぎず、目を醒まして再び襲い掛かって来る危険もありますよね。
……ともあれ、定助と礼さんはついに「新ロカカカ」の枝を発見!ド素人の定助には見分けが付きませんが、礼さんは謎の「幼虫」を『ドギー・スタイル』で枝まで運ぶ。「幼虫」は枝の中に入り、成長を促し、2日後には「果実」が成る。あとは、どこかで姿をくらまして時を待つのみ。今はまだ憲助さんにも報告はしない、との事。さすがは礼さん、万全を期す体勢。でも、口が回らず「ロカカカ」を「ロカカ」って言っちゃってる(笑)。


●一方、常敏はガレージの方へと移動しながら思案中。プアー・トムも定助も今、果樹園を見張っているのか?プアー・トムのスタンド『オゾン・ベイビー』の射程に入れば、定助も「植物鑑定人」も死ぬ。とは言え、「植物鑑定人」が死んだら、「新ロカカカ」は発見する前に冬を迎えて枯れてしまう。プアー・トムはきっと、「新ロカカカ」を収穫するため、何かを考えているはず。
すると、背後から常敏に声を掛ける人物がッ!なんとそれは、つるぎちゃん(と岩助)!「新ロカカカ」収穫まで、あと2日 ― と02時間02分 ― 。 (この収穫までのカウントダウン、「新ロカカカ」の実が徐々に熟していってるのが芸が細かい。)
つるぎちゃんはいよいよ覚悟を決めたのか、疑惑の父に自ら接近です。この2人の会話シーンも、何気に初めてですね。果樹園に何かを埋めているのを見た、と父に告白。焦る常敏。しかし常敏は、保身ではなく、純粋に息子の身を案じている様子です。果樹園の中に入ったりしていないかと、しつこく確認。そして……、つるぎが「病気」になった時は、パパが必ず治してやると。そのためにあれを埋めたと。だからあれには近付くなと。そう諭すのでした。
でも、つるぎちゃんの追及はまだ終わりません。「パパは悪い事をしてるの?」 真っ直ぐに父を見つめ、そんなド直球な質問を投げ掛けます。戸惑いを隠せず、答えに窮する常敏。家や子を守るためとは言え……、得体の知れぬ連中と関わり合い、無関係の人々への攻撃を補助し、今は殺人にまで加担しようとしているのです。花都さんの「罪」の上に生きている常敏ですが、それでも、息子に堂々と誇れる行いではない事は自覚しているのでしょう。なればこそ、つるぎちゃんのためにも「正しい道」に向かって歩み直してほしいものです。


●無言のまま見つめ合う、常敏とつるぎちゃん。その時、異変が起こりました。ベゴベゴッと音を立てて、灯油缶や洗剤容器が大きくヘコんで潰れていったのです。さらに、耳の奥が痛み出し、鼻血まで流れて来る。慌てて扉を開け、ガレージに飛び出すつるぎちゃんと岩助。すると、そこには異形のスタンドがッ!『オゾン・ベイビー』です。親切に、名前も頭に書いてくれてます。
頭部は『グーグー・ドールズ』や『ヘイ・ヤー』っぽいデザイン。下半身は老人用歩行器のような形状で、4対の小さな車輪が付いています。下半身が短いせいで、両腕はヒジから先が地面に付く勢い。「ジョジョリオン」のスタンドは変わったデザインばかりで、見てて楽しいですね。
しかし、そんなスタンドに襲われる側はたまったもんじゃない。『オゾン・ベイビー』が両手をかざすと、岩助は突然ダメージを受け、血を吐いて倒れちゃいました。横にいたつるぎちゃんも、目・鼻・耳・口から血を流し、かなりヤバい状況。この『オゾン・ベイビー』の能力、恐らくは「気圧」を下げる能力。あるいは、もっと言えば「空気」を操る能力。『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』や『ストレイ・キャット』に近い能力なのだろうと思います。埋めたミニチュアハウスに近付くほどに「気圧」が下がっていき、埋めたポイントの周囲は完全に「真空」になっている。でも、能力を解除するには、ミニチュアハウスを掘り出す以外にない……とかね。生身の人間が近付ける場所じゃなくなるのだから、確かに「封鎖」と言えます。


★今月は41ページ!メチャクチャ面白かったです。いろんな人物がそれぞれのアクションを起こし、巨大なうねりを生み出しつつあります。特に、定助と礼さんを殺すつもりが、自分とつるぎちゃんが殺されかけてる常敏。実はプアー・トムは東方家全員を始末する気だったのか、『ブラック・サバス』みたくミニチュアハウスを埋めるところを目撃した者まで攻撃対象になるのか。まだまだ未知の部分が多いけど、これを機に「岩人間」との関わりは精算してほしい。
あと、『オゾン・ベイビー』登場シーンに描かれてる車のタイヤ。多分、写真をパソコンで取り込んだものなんでしょうけど、さすがに粗すぎない?リアリティを求めて取り入れた技法らしいですが、それがかえってリアルさを削いでしまってる気も……。もっと自然に画面に馴染むようになってくれたらイイんだけど。
作者コメントは「今年一年ありがとうございます!来夏のジョジョ展もがんばります!!」との事。「ジョジョ」30周年記念イヤーのラストもラスト、ついに最後の隠し玉が来ましたね!来年2018年の夏、東京は国立新美術館にて原画展開催です!その名も「荒木飛呂彦原画展 JOJO - 冒険の波紋 -」!!30年の集大成がここに!最高ですね。ちなみに、来年の原画展も「ジョジョ展」って呼んでいいのかな?荒木先生もそう呼んでるしね。
ただ……、次号は休載との事。残念ではありますが、荒木先生は休載の時ものんびり休まれているワケじゃありません。来年の「ジョジョ展」に向けての新作画を描かれるのかもしれないし、「岸辺露伴は動かない」の新作でも執筆するのかもしれない。楽しみに待ちましょう!



(追記)
『オゾン・ベイビー』の能力について、別の予想をしてみました。
ズバリ、「高度」を上昇させる能力です。「高度」が上がるから、「気圧」は下がる。もちろん、空気も薄くなり、酸素も少なくなる。気温も低下する。要するに、ターゲットは平地・町中にいながら、標高数千mの「山」の上にいるのと同じになっちゃうワケです。気圧の急激な変化で体はダメージを受けるし、次第に高山病の症状も出て来るでしょう。
ミニチュアハウスが埋められた場所に近付くほど、「高度」はグングン上昇。埋められた地点の周囲は、人間が生命を維持できなくなるという「デス・ゾーン」(高度8,000m以上)と化しています。しかし、『オゾン・ベイビー』を解除するためには、ミニチュアハウスを掘り起こさなければならないのです。
ミニチュアハウス一帯(『オゾン・ベイビー』の能力射程内)は、「高度」の上昇具合が極端になっています。警戒すべきは「気圧」や「酸素濃度」、「気温」だけではありません。もし「高度」が低い領域へ下りた際には、その「高度」に見合った「衝撃」を受ける事にもなるのです。例えば、見た目にはほんの1歩分ジャンプしただけでも、実際には数m上から落下したのと同じ衝撃を喰らっちゃいます。なので、たった1~2m飛ばされてしまうだけで、数十~数百mもの上から落下するのと等しいダメージを受けるかもしれない。むやみに動き回るのは危険だし、ちょっとした弾みが命取りになる。

ちなみに、あのミニチュアハウスが「ホワイトハウス」の形をしているのも、「最高」の象徴だからです。
言ってしまえば、ミニチュアハウスが山のてっぺん。大統領が住む「ホワイトハウス」は国のてっぺん。2重の意味で、あのミニチュアハウスはターゲット達を遥かな高みから見下ろして来るのです。


●私は以前から、「岩人間」達が「7つの大罪」をモチーフに描かれている、という説を唱えています。コミックス17巻でドレミファソラティ・ドがスタンド使いではないっぽい事が分かったので、改めて考えを整理してみました。
夜露が「強欲」、愛唱が「嫉妬」、エイ・フェックス兄弟が「色欲」、ダモカンが「傲慢」、ドロミテが「暴食」。ここまでは変わりません。……で、アーバン・ゲリラが「憤怒」、プアー・トムが「怠惰」。これにて7つ勢揃い!

アーバン・ゲリラは、登場してから死ぬまで怒ってばっかでした。ナイフで刺されて怒り、フォークで刺されて怒り、医者だと見破られてまた怒り……、とにかく怒って叫んで殺意剥き出し。スタンドも、シンプルすぎるほどに生体破壊・殺害のためだけの能力。「憤怒」を暗示する動物にユニコーンがいるんですが、ユニコーンの角には水を浄め、毒を中和する力があると言われているようです。『ブレイン・ストーム』はその裏返しのような存在で、トゲで刺した者を毒で汚染するスタンドであり、水が苦手。また、ユニコーンは病を治す力も持っているらしいけど、ゲリラは医者でもありました。「憤怒」がモチーフ、と言っちゃっても良い気がします。
プアー・トムは、もう見たまんまです。酔っ払いみたいな赤っ鼻で、タバコをふかし、競馬新聞を読み、女遊びもしまくり。酒、タバコ、ギャンブル、女。問答無用の「怠惰」っぷり!それに加え、働く必要がない「赤ん坊」と「老人」を合わせたようなビジュアルに、いちいち服を着なくていいような全身のタトゥー。そして、能力発動さえも他人任せのスタンド。前述の能力予想がもし合ってた場合は……、のんびり高みの見物ってな能力でもあるワケです。一時はカレラを「怠惰」の候補に挙げていましたが、これはもうプアー・トムで決まりでしょ。「怠惰」がモチーフ、と言い切っちゃいます。

……「新ロカカカ」収穫のタイミングで「7つの大罪」が出揃うってのも、非常に意味深。人に罪を犯させる欲望・感情である「7つの大罪」に相対し打ち克ちながら、定助達はここまで進んで来ました。定助は自分自身と向き合い、新たな道を見出しました。そして、まさに今……、康穂は自分の過去と向き合い、常敏は己の罪と向き合い、つるぎちゃんは父への疑念と向き合っています。
収穫される「新ロカカカ」は、結局、とうとう姿を現すラスボス的存在に奪われてしまうでしょう。しかし、一連の出来事をキッカケに、東方家は徐々に結束を強めていきます。憲助さんと花都さんも、自然とお互いに向き合うようになっていきます。
ここでついに明かされる、東方家の遠い遠い過去。一族が「石化病」によって呪われる事となった経緯。全てのルーツを辿り、祖先が犯した罪に一族みんなで向き合う。そうして、物語は次なるステージへ。そんな大きな節目を迎えようとしているのではないか、などと勝手に考えたりしてます。


●さて、ここから先はいつにも増してのヨタ話ですんで、読み流してもらっても結構です(笑)。
今回は杜王町の新しい情報も入って来ました。西口にモールを建てられたせいで、東方フルーツパーラーの求心力・集客力が弱まってしまった……という情報。そういう目で見れば、コミックス巻頭の杜王町マップも、今までとは違った見え方がして来ます。それは、杜王町を二分する勢力図
杜王駅と線路を境界にして、東側には東方家が、西側にはTG大病院が存在しています。つまり、東側が東方家(果物屋)の領域。西側がTG大病院(医者)の領域。2008年時点ではまだ東側が圧倒的に広いんですが、しかし、最近(2011年)になって新たな境界線が引かれました。そう、「壁の目」です。これにより、力関係は完全にひっくり返ってしまいました。東側=東方家がめっちゃ追い詰められている状態です。つーか、東方家も西側に飲み込まれちゃってる。原因はやはり「岩人間」の暗躍。言い換えれば、東側が「人間」の領域、西側が「岩人間」の領域……でもあるのかも。

果物屋(植物鑑定人、果樹栽培師も含む)は、「植物」の健康を維持するよう管理する。医者は、「動物」(人間)の健康を回復するよう管理する。ある意味では近く、ある意味では反対の存在。まるで、果物屋の東方家に対抗するかの如く、「岩人間」アーバン・ゲリラが医者という職業に就いていました。彼の他にも、医者の「岩人間」がいるかもしれません。
しかしながら、いくら得体の知れぬ「岩人間」とは言え、医者がそんなに簡単にショッピング・モールを建てられるものなのか、って疑問もあります。敵の正体は「医者」かもしれないし、「王様」かもしれない。礼さんも前にそう言っていました。「医者」も重要だけど、それが全てではなさそう。ならば、ここで言う「王様」とは何者なのか?……例えば、S市の市議会議員とか杜王町の町長とか。そんな地位なら、医者達の提案からショッピング・モールを誘致する事も可能でしょう。誰にも知られる事なく、「岩人間」達にとって都合の良い町に変えていく事も出来るでしょう。その「王様」こそがラスボスでもあります。あの勢力図は、古くからの町の名家である東方家と、今の町の権力者の勢力図でもあるって事。どちらが本当の杜王町の「王(キング)」なのか?

……で、東側に東方家がいるならば、西側には「西」という字が付く人物がいなきゃいけないんじゃないかと思った次第。誰もが納得するだけの名前が必要です。
そう思って記憶を辿ったら、やはりいましたよ!それは、「西戸 (さいこ)」!「ビーティー」と「ジョジョ」4部に登場した警備員の名前!ビーティーと公一くんを追い詰めた、仗助・億泰・重ちーを震え上がらせた、その名の通り、実にサイコで不気味な男。永い時を超え、「西戸」の名を冠する男が満を持して登場!大出世し、ラスボスとなる日が来たのです!東方 vs 西戸。これは燃える構図ですよ。



―― 来月は休載だし、久々にゆっくりじっくり予想を練り直してみるのも一興ですね。あとでまたまとめてみたいと思います。



(再び追記)
『オゾン・ベイビー』の能力について、もう一度予想のし直し。……と言うのも、ポリタンクや容器がヘコんだって事は、気圧が上がってるって事だからです。散々「気圧が下がってる」などと書いちゃったけど、まったくの逆ですよね(汗)。6部のラング・ラングラー戦では、真空(0気圧)の中でドラム缶がパンパンに膨れていたんだしねー。

そういったワケで、前述の予想とは真逆の、「深度」を下降させる能力に改めます!「深度」が下がるから、「気圧」は上がる。気温も上昇する。ターゲットは平地・町中にいながら、深い深い地の中を潜っているのと同じになります。体内と体外の気圧差によってスクイーズが起こるため、常敏達も耳や鼻などにダメージを受けてしまいました。また、「気圧」がさらに上がれば、窒素中毒(窒素酔い)や酸素中毒といった高気圧障害にも襲われる事でしょう。
能力射程は東方家の敷地をすっぽり覆う程の広さ。ミニチュアハウスが埋められた場所周辺(=果樹園)が、この能力の「中心部」。「中心部」に誰かが侵入すると能力は自動的に発動し、ほんの数分程度で「気圧」も急激に変化。「中心部」に近付く程に、「深度」はどんどん深くなっていきます。「中心部」こそが最深部であり地底。人類が未だ踏み入った事もない「奈落の底」の領域。気圧も気温も何もかもが異常で過酷な、それこそ「岩人間」でもなければ耐えられない環境。しかし、『オゾン・ベイビー』を強制解除するためには、ミニチュアハウスを掘り起こさなければならないのです。
なお、ミニチュアハウスを埋めた者とそれを目撃した者は最優先抹殺対象となります。『オゾン・ベイビー』のヴィジョンが直接現れ、局所的に「気圧」を激変させ、殺しに掛かります。そうする事で、ミニチュアハウスの在り処さえ闇に葬る事が出来るのです。事実上、プアー・トム本体の意志以外での解除方法が無くなっちゃうワケですね。

そんで、あのミニチュアハウスが「ホワイトハウス」の形をしているのは、「最高権力」の象徴・「人間の力」の象徴を最下層・最底辺に落として見下す、「岩人間」プアー・トムの精神性の現れでしょう。まぁ、こじつけようと思えば何とでもこじつけられます(笑)。


プアー・トムの目的についても、今後の展開予想も含めて考えてみました。
まず、もちろん「新ロカカカ」をゲットしたいと思っているし、「岩人間」に歯向かう定助と礼さんを始末したいとも思っています。その両方を楽に一気に満たすため、プアー・トムは果樹園に火を放つつもりでいるのです!
果樹園が燃えれば、定助達は当然、「新ロカカカ」のもとに急いで駆け付ける。そして、彼らはここまで生き延びている以上、必ずや「新ロカカカ」を守り抜く。つまり、これで「新ロカカカ」の在り処が分かるワケです。しかも、『オゾン・ベイビー』の能力の「中心部」(=果樹園)は、生身の人間にとってはあまりに過酷な環境。定助達は「新ロカカカ」を守るだけで限界を超え、もはや始末も容易となるでしょう。

しかしその前に、『オゾン・ベイビー』は常敏とつるぎちゃん達を襲いました。(つるぎちゃん達の登場は予定外だったとしても、)これにも理由があります。……常敏は「岩人間」と深く関わり過ぎた。ダモカン達が生きているうちは良かったけど、今となってはもう、見過ごして放っておける存在じゃない。とは言え、常敏の高い能力や財力は、このまま消すには惜しい。なので、プアー・トムは常敏に1つの「選択」をさせようとしているのです。我々に抗って「人間」として死ぬか、忠誠を誓って「岩人間」として生きるか?
私は、「ロカカカ」や「新ロカカカ」の原種とも言える「果実」が存在し、それを食べた者は後天的に「岩人間」になる……と、勝手に予想・妄想しちゃっております。プアー・トムはその貴重な「果実」を差し出し、『オゾン・ベイビー』の能力で苦しむ常敏に「選択」を迫るのです。ダモカン達は彼をパシリとして使うだけだったけど、プアー・トムは「仲間」として相応の地位も約束。仲間になると誓えば、常敏とつるぎちゃんと岩助への能力は解除する、とも約束。常敏は、すがるように「果実」に手を伸ばします。
その時、ボロボロのつるぎちゃんが訴えるんです。「あたしのパパは… 一番のパパだ…」「あたしや家族が大事なら、家族みんなで話して一緒に考えよう…?」「パパなら出来るよ。あたしのパパは、誰よりもすごいんだ…」と。常敏は覚悟を決め、「岩人間」と決別ッ!「人間」として生き、「人間」として死ぬ道を選ぶのです。

プアー・トムは呆れるような憐れむような表情で、岩石化して「中心部」へ移動。いよいよ果樹園に火を点け始めます。触れた部分をちょっと熱する程度の『スピード・キング』に、もはや立ち入りも太刀打ちも出来ない。
しかし、それは『スピード・キング』の能力の本質ではないのです。常敏は自身の能力を、読者にさえごまかしていました。『スピード・キング』の真の能力は、本体:常敏の感情の強さ・昂ぶりテンションの高さ・荒ぶり「熱」に変換する事ッ!そして、その「熱」は、直接触れる範囲内に限っては精密にコントロールが可能というだけであって、「触れていない部分は熱する事が出来ない」などとは誰も言っていない!ハートが熱ければ熱いほど、より強い「熱」を放つ!迷いという心の雲が晴れた常敏は、毎日が夏休みの男は、真夏の太陽の如き熱さを生み出すのです!
高圧・高温&絶賛炎上中の果樹園で、常敏は「新ロカカカ」を守りに来た定助達と合流。「しゃぼん玉」で作った即席防護服を身に纏わせてもらい、単身、ミニチュアハウスを埋めたポイントへ急ぎます。そこでプアー・トムとの一騎打ち!とうとう防護服が耐え切れず消滅するも、常敏は『スピード・キング』を限界まで放熱。すると、火事も相まって気温が上昇し、なんと常敏の周囲だけ「気圧」が低下!(実際に物理的にあり得るのかは知らんけど。)
この熱戦にギリギリで勝利を収めたのは常敏。辛うじて生きていたプアー・トムはこっそり逃げようとするものの、そこに現れたのが密葉さん。彼女を口説き落として、逆に逃亡の手助けをさせようと企むプアー・トム。ところが、彼女はそんな言葉に耳も貸さず、愛する夫と息子を傷付けられた怒りゆえ、冷酷に淡々とプアー・トムにとどめを刺すのです。
―― かくして、大切な果樹園は焼失してしまったけれど、「新ロカカカ」の枝は守られ、そして東方家の結束も強まるのでした。




(2017年12月19日)
(2017年12月22日:追記)
(2017年12月29日:再び追記)




TOP  <<#071 戻る #073>>

inserted by FC2 system