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オレたちは勝利を味わおう………
おれとおまえが全員に勝ったんだ!!


#076 プアー・トムとオゾン・ベイビー その⑤





●このときをまっていたっ!と、火炎ビンでも投げつけたくなるほど待っていましたよ。ご存知、2ヶ月ぶりの「ジョジョリオン」でございます。
今回のトビラ絵は、傷付いた体を草むらに横たえる定助。そして、その傍らに寄り添うように『ソフト&ウェット』。周囲には無数の「しゃぼん玉」も浮かんでいます。本編では『オゾン・ベイビー』の攻撃でボロボロになってますから、本当ならこんな風にお休みしちゃいたい気持ちもある事でしょう。しかし、アオリにもある通り、今の定助には安息に包まれる暇はないのです。今は、耐える時!戦う時!


●「新ロカカカ」の枝を持って逃げるプアー・トム。それを追う定助。しかし、プアー・トムに近付くほど「加圧」されていくため、定助の肉体もメシャメシャと潰れてきています。そんな定助の最後の切り札が「ミルフィーユしゃぼん」。幾重にもくるんだ「しゃぼん玉」です。中に入っている物が何なのかは分かりませんが、プアー・トムも大いに警戒!早いとこ救急車に駆け込んでイチイの毒を解毒したいってのに、どこまでもしつこく追跡してくる。
毒はどんどん回り、容態は悪化の一途。プアー・トムは大金の入ったサイフを投げ、定助を説得し始めます。定助にもう勝ちは無い。でも、そのカネをもらって、おとなしく寝てれば誰も損はしない。全員ハッピーで終われる。……と。しかし、定助が欲しい物は「新ロカカカ」のみ。交渉は決裂し、「ミルフィーユしゃぼん」がまたも接近!これ以上、「しゃぼん玉」が自分に近付くと、きっと割れてしまう。そして、その中身に襲われる。そう判断し、プアー・トムは止む無く『オゾン・ベイビー』解除ッ!
……地味にちょっと驚いたのが、解除したらミニチュアハウスが消えた事。えっ、これってマジでスタンドのヴィジョンそのものだったの?レゴブロックで作ったミニチュアハウスと一体化してるもんだとばかり思ってました。


●『オゾン・ベイビー』解除によって「しゃぼん玉」内の気圧は「減圧」され、そのせいなのか、プアー・トムに向かう軌道からも逸れちゃいました。そのまま木の枝にぶつかり、「ミルフィーユしゃぼん」は全て割れて消滅。…………。ところが、何も起こらない!なんと、「ミルフィーユしゃぼん」は中に何も入っていない空っぽだったのです!何ィィイイ―――ッ!?これにはさすがにビックリしました。2ヶ月越しの謎の答えがこれかい!まんまとやられたな~。
まあ、あの状況において、プアー・トムが『オゾン・ベイビー』を解除する事・せざるを得ない事は確実だったワケで。問題は、解除のタイミングです。枝を奪い返すためにも、よりプアー・トムに近付いたタイミングで解除させたい定助。解毒して逃げ切るためにも、より定助から遠ざかったタイミングで解除したいプアー・トム。しかも、定助は「気圧」に、プアー・トムは「毒」にやられ、お互いにギリギリ。言ってみれば、これはもう、2人の意地と意地のぶつかり合いです。
定助が繰り出した意味深な「ミルフィーユしゃぼん」は、そんな2人の均衡を崩すには十分だったと言えるでしょう。先のイチイ攻撃から、プアー・トムの警戒もMAX。焦りまくって逃げまくって、心身共に追い詰められていきました。結局、中身空っぽのハッタリに過ぎなかったものの、場の主導権を握る事が出来たのは大きい。満身創痍の定助にとって、多分あれが限界だったんでしょうけど、結果的には見事に大成功でした。まったく、すっかり戦い慣れしやがって。
―― といった具合に、好意的に解釈しておきます(笑)。プアー・トムは前回「中に何か見える」とか言ってたけど、毒のせいで見えた幻覚か、意味ありげに入れておいたゴミか何かだったのかもしれません。


●さて、『オゾン・ベイビー』が解除された今、「気圧」も元通り。定助の全身を覆っていた「しゃぼん玉」は消え、いよいよ決着の時が迫ります。救急車にダッシュするプアー・トム、それを追い駆ける定助。プアー・トムが言うには、やはり救急車に乗っているのは彼の仲間らしい。東方家の果樹園が燃えているのだから、病院から「あの人」が来るはずだ……と。「あの人」という呼び方からは、よそよそしさというか、目上の相手に対しての畏敬みたいなものを感じさせます。「あの人」こそが、プアー・トムや他の「岩人間」達のボス的存在??
プアー・トムは必死に叫び、仲間に「新ロカカカ」をゲットしたアピールをしますが……、なんと次の瞬間、プアー・トムの顔面が何かで撃ち抜かれてしまいました。2発の連続射撃により、彼の頭部は砕け散り、あっさり死亡。あまりにも突然の事態に、定助も驚愕!どうやら仲間に殺されたようです。しかも、攻撃の方向は救急車がある前方からではなく、後方からだったように見えました。まさか、敵は複数?
今は消火活動中だから、周囲に細かい水しぶきが舞い散っています。もしかすると、この水滴が弾丸になって、プアー・トムを撃ち抜いたのでしょうか?例えば、時間ではなく物質を「加速」させる能力とか。だとすると、定助やプアー・トムの後方で消火活動していた「消防士」が本体って可能性もある。あるいは、これはさすがに無さそうだけど、実は夜露が生きていたりするんでしょうか?夜露の『アイ・アム・ア・ロック』なら、水滴を引き寄せて攻撃する事も出来そうだし。


●プアー・トムが落とした「新ロカカカ」の枝。救急車の後部ドアが開き、何者かがそれを拾い上げます。姿はドアに隠れて見えない。そして、枝をゲットするや、すぐさま発車・退却!完全に枝の回収のためだけに現れたようです。走って追い駆けても、車には追い付けない。結局、そのまま枝を奪われてしまったのでした。あと一歩というところで取り逃がしてしまった定助、悔しさのあまり絶叫し、涙まで流します。ただ、救急車のナンバーは確認できたはず。「S もり 3-11」。このナンバーの救急車を探せば、敵に辿り着けるはず。
定助も気の毒なんですが、助けを求めた仲間に見捨てられて始末されたプアー・トムがなんとも哀れでした。何も殺さなくたってねえ。ヘタに患者として病院と関わると、「岩人間」の存在がバレちゃうかもしれないから?それとも、「新ロカカカ」の所有権はゲットした者にあると仲間内で決めており、お互いに争い合う形になっちゃったとか?いずれにしても、ダモカンチームのような絆は無さそうな連中です。


●場面は変わり、東方邸のつるぎちゃん。何故か鉢植えのサボテンを持っています。そんなつるぎちゃんを呼び止める憲助さん。果樹園が燃やされた事に怒ってはいるけど、動ける程度には回復したようで、とりあえず良かった良かった。他のみんなもどうやら無事っぽい。心配された岩助も案外平気そうです。
姿の見えない常敏を捜しに行く憲助さんですが、その足元にはつるぎちゃんの「折り紙」で折ったツルが。そう、憲助さんはすでにつるぎちゃんの『ペーパー・ムーン』の能力に掛かっていたのです。常敏は「いない」のではなく、憲助さんには「認識できない」だけ。鉢植えのサボテンに見えていたものが、実は常敏だったのです。そして、彼の手に握られていた物は……、なんと「新ロカカカ」の枝!?
つるぎちゃんのツルは、プアー・トムと定助にも触れており、とっくに2人も能力の支配下に置いていました。2人が「新ロカカカ」の枝だと思い込まされていた物は、ただの梨の木の枝。そして、2人が意味なく争っている隙に、常敏は悠々と本物の「新ロカカカ」の枝を手に入れていたのです!おおお、これはスゴい!あの場の全員を出し抜いての完璧なる勝利ですよ。さすがは未だ負け知らずのスタンド『ペーパー・ムーン』!さすがは東方家5代目・6代目の次世代家長コンビ


●一方、救急車で移動中の「岩人間」も、枝がニセモノである事に気付きました。さきほど救急車から下りて枝を奪った救急隊員と機関員(救急車の運転手)、2人の「岩人間」がいます。その姿はシルエットで描かれ、顔付きも何も分かりませんが、なかなかにクールな連中。なにせ、ニセモノを掴まされて怒りつつも、「プアー・トムも定助も本物の枝と思い込んでいた」「プアー・トムも自分達と同じく果樹園の火を見てここに来たはず」といった状況から推理し、「果樹園に火をつけた何者かがいて、そいつが枝を手に入れた」という事実に速攻で辿り着いちゃってますからね。「何者か」の正体が常敏だと突き止めるのも、時間の問題かもしれません。
この2人のどっちかがボス的存在なのか?確かに頭も働き、カンも鋭く、なんか大物っぽい雰囲気も感じます。でも、どうなんでしょうかね?法律上、救急車に乗る救急隊員は通常3名らしいのに、2人だけで行動。しかも、東方邸だからって理由だけで、優先的にこの2人が出動。枝を手に入れたら、救助も何もせずに即退散。こんな無茶が許されてまかり通っているからには、あの2人の上に誰かがいそうな気がします。有無を言わせない、そして世間の目をも欺けるだけの、かなりの権力を持った人物が……。例えば、病院の院長とか消防署長とか、あるいは杜王町の町長とか。杜王町はすでに、裏で「岩人間」達に牛耳られているのかも。
そうじゃなければ、法的にヤバい事をしても大丈夫な、人々の記憶や認識を操れるスタンド使いって可能性もあるか?生活に密接した場所に、得体の知れないヤツらが紛れ込み、溶け込んでいる。恐ろしいですね。


●常敏はサボテンに接ぎ木して「新ロカカカ」の枝を育てるようです。元々、サボテン類の接ぎ木は生長速度が早いとの事ですが、枝はもうファーローサボテンと融合してきた模様。礼さんが植え付けた特殊な「虫」の作用らしく、常敏も礼さんの手腕を素直に褒め称えております。実際、収穫まであと2日ちょいという事もとっくに確定しているので、あとは特に問題もなく「実」が成りそうですね。
常敏には育てる場所の心当たりもあるみたい。これはついに来るのかも、「杜王スタジアム」が。愛唱を倒してから、ず~っと放ったらかしでしたからね。ダモカンチームが「ロカカカ」を隠れて栽培していた部屋がスタジアム内にあるのなら、常敏がそれをそっくり引き継いじゃってもおかしくはありません。
念のため、その栽培室に忍び込んでみて……、もし「ロカカカ」が枯れて放置されていたとしたら、愛唱の死後、誰も足を踏み入れていない事になります。部屋の存在すら気付かれていない可能性が高い。逆に、「ロカカカ」がごっそり無くなってたり、きちんと栽培されていたなら、他の誰かが入り込んでいるので危険って事。どうあれ、「岩人間」なら「ロカカカ」を粗末には扱わないでしょうから。というワケで、安全をしっかり確認した後、常敏は「杜王スタジアム」の隠し部屋で枝を育てると予想しておきます。


●常敏&つるぎちゃんの暗躍など知る由もなく、定助は絶賛絶望中!しかし、不幸中の幸いってヤツです。礼さん生還!礼さんは生きていました!やはり全身を「帯状」「ワイヤー状」に解く事で、「加圧」の負荷から辛うじて逃れたっぽい。大ダメージは受けても、命だけはギリギリ繋ぎ止めたってところでしょうか。
それに、やけに礼さんの目玉が強調して描かれているように見えました。恐らく、瀕死に陥りながらも、その目で常敏・つるぎちゃん親子の行動を目撃していたものと思われます。彼はあの場で唯一、『ペーパー・ムーン』の能力に掛かっていなかった人物なのですから。その情報を定助や憲助さんに伝えるのか、はたまた、あえて誰にも教えずに常敏を泳がせるのか。礼さんの判断1つで、物語は大きく変わってきそうです。
加えて、プアー・トムが定助に投げたサイフからも、ひょっとすると何かしらの情報が得られるかもしれません。カネはせっかくだからホリーさんの入院費に充てるとして(笑)、サイフ自体にも核心に近付くためのヒントくらいは隠されているかも。康穂の『ペイズリー・パーク』なら一発でしょ!


★今月は45ページ!プアー・トム戦決着!常敏の勝利!定助達と「岩人間」、そして常敏&つるぎちゃん、この三つ巴の構図は当分続きそうですね。これはますます面白くなっていきそう。常敏とつるぎちゃんの、手段を選ばぬギラついた上昇志向は大好きなので、もっともっと戦局を掻き乱しちゃってもらいたいです。そして、これがたった1つの家、1つの家族の中で渦巻いていくのが、「ジョジョリオン」ならではの見どころと言えるでしょう。
作者コメントは「夏にジョジョ展やります!明後日それを言います!というコメント。」との事。6/21(木)の15:00より、原画展の記者発表会が開催されます。これは見逃せないぜ!残念ながら8/22・23のプレビューデイのチケットは落選してしまったので、6/23(土)から販売されるチケットは何としてもゲットしたいです。




(追記)
●唐突ですが、今回から < 今月の1コマ > というザ・ニューコーナーをスタートする事にしました!
単純な話、今月の「ジョジョリオン」で個人的に一番グッと来たコマの絵を紹介するコーナーです。「絵」として好きなコマ、って事です。ただの思い付きと言ったらそれまでなんですが……、荒木先生の絵に対するこだわりや情熱は並々ならぬものがあります。もっと絵やシーンを大きく描きたいから、ページ数に自由が利く月刊誌に移籍したワケですし、「絵を描いてこそ漫画家」とも仰っていましたしね。特に「ジョジョリオン」は、「漫画」でありながら「バンドデシネ」にも近い印象さえ受けます。
荒木先生が30年以上に渡って毎日のように、魂を込めて原稿用紙に刻み込んでいる「絵」。当サイトとしましても、ストーリーを追ったり、考察・妄想に耽ったりするだけでなく、そんな「絵」についてももうちょい注目して触れていきたいなと思ったのです。



< 今月の1コマ >


ウルトラジャンプ 7月号(2018年)
141ページ


今月は、なんと言っても常敏に尽きますね!まんまとプアー・トムに利用されちゃったけれど、息子:つるぎちゃんの力も借り、最後には見事に逆転勝利を収めました。そんな、「新ロカカカ」の枝をゲットした瞬間の常敏のコマです。
まず、表情が実にカッコ良くSEXY!口の端のほんの小さな点だけでも表情が変わってくる、と荒木先生は話していましたが、まさにその通り。常敏の勝ち誇った気持ちが伝わってきます。そして、顔に影が濃く入ってるところも素晴らしい。画面手前の枝と左手を光で照らしたかのように際立たせるだけでなく、同時に常敏の「心の闇」をも浮かび上がらせています。何も言わずとも、この絵を見ただけでも、なんとな~く「悪いヤツ」なんだろうなって感じ取れるはず。効果的な陰影により、常敏というキャラクターが描き出された1コマでした。有無を言わせぬ無言の迫力・圧力、たまりません。




(2018年6月19日)
(2018年6月29日:追記)




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