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君の体とオレの体が交換し合う…
セックスの絆よりもスゲェ良いかも


#101 終わりなき厄災 その⑦





●2ヶ月ぶりの「ジョジョリオン」です!長かったような、短かったような。やっぱ月に一度は荒木先生のマンガを読みたいな。
さて、今回のトビラ絵は、ドカッと地面に腰を下ろした康穂。でも、作中同様、右腕は失われた状態。そのくせ、「えっ?右腕?そんなのありませんけど?」みたいな、さも当たり前って表情をしてるのがシュール(笑)。


●場所は、東方邸の隣りの雑木林。音楽を聴きながら、東方家の面々の動向を伺う透龍くん
すると、林の木の枝に、小さなスズメ蜂の巣を発見しました。近付き、巣の周りを飛ぶ蜂にそっと手を伸ばす。「岩人間」にとって、スズメ蜂は幼い頃に一緒に育った家族みたいなもの。懐かしき故郷を想う気持ちに浸っているのかな……。ちょっぴり切ない。と思ってたら、蜂は透龍くんの手をブスリ!しかし、刺された箇所だけが岩石化し、毒針が岩に挟まれて身動きできなくなった蜂を、透龍くんはパクリと食べちゃいました。おやつ感覚かよ。う~ん、彼の心は読めないですね。異質すぎる。ただ、彼が「岩人間」である事は100%確実なものとなりました。
―― そんな時、院長こと『ワンダー・オブ・U』の状況が伝わってきました。定助の未知なる「しゃぼん玉」の存在ッ!やはりスーツを通過して、礼さんの肉体のみをえぐっている事が重要らしい。瀕死の礼さんを見下ろして、彼の名を叫ぶ定助。見えない「しゃぼん玉」は気掛かりではあるものの、それさえも所詮、「厄災」の流れの中にある。透龍くん的にはあまり脅威とは捉えていない模様。この油断が命取りになりそうだし、定助にとってはチャンスになりそうです。


●右腕を失って窮地に追い込まれた康穂を救いに現れたのは、「新ロカカカ」を持った常秀でした。なんと、常秀が言うには、常敏はすでに死んでいたとの事。常秀はもちろん、家ではみんな泣いている様子。もう東方家は「ムチャムチャ」らしい(笑)。……ってか、えっ?マジかよ?常敏、あれで終わり?ホット・パンツ並みにあっけなくさりげない死ですよ。密葉さんとつるぎちゃんへの愛情を語った時点で死亡フラグはビンビンでしたけど……、とは言え、まだ死体の描写は無い。まだ復活の可能性はゼロではないはず。好きなキャラだけに、僅かな希望を抱いちゃうな~。
常秀は、父:憲助さんが常敏にやられた時にも、ただ呆然と立ちすくんでいただけでした。何も出来なかった自分が許せず、罰するように、自らを殴りまくる常秀!コミカルに描かれてはいますが、彼の家族愛や心の成長が感じられます。ところが、「定助を呼んでほしい」と願う康穂に、「あいつは必要ない」とバッサリ。定助も定助で襲われて死んでるかも、と。定助の力を借りるのも、定助に力を貸すのもイヤ。この期に及んで、どこまでも定助とは相容れない関係だなぁ。死んでようがどうでもいいって感じだし、仲間意識も友情も絶対に生まれる事はないな(笑)。もはや、それでこそ常秀って思うよ。


「その腕…」「大丈夫かい?」などとのんきな事をぬかす常秀に、「大丈夫なワケはない」と康穂もバッサリ(笑)。しかし、康穂をいきなり「オレのストロベリーちゃん」と呼び始めた常秀は、持って来た「新ロカカカ」を彼女に食べさせようとします。これさえ食べれば、康穂の腕も治る。これには、様子を伺っていた透龍くんも焦ります。方向性は違えど、常秀も透龍くんも読めない男同士だから、思わぬ伏兵になりそうかも?
収穫時期がまだ早いし、何もかも未知でヤバいと、康穂は躊躇します。でも、常秀の見立てでは、2つの果実のうち1個は完熟に見えるらしい。いくらアホでもフルーツ屋の息子ですからね。一般人よりは鑑識眼を持ってるはず。で、吉良と仗世文が定助になったように、この果実で「等価交換」するっきゃない!果樹園の火事の後の家族会議の際、かなり情報を共有できたっぽいですね。常秀ですら、定助誕生の経緯やら『ペイズリー・パーク』の能力やらも知ってるようだし。
これで康穂の負傷が治れば、もう1個の果実で次は憲助さんを治す。もっと実を育てれば、つるぎちゃんの「病気」だって治せるし、血統の「呪い」も解ける。誰も死なせたりしない。「オレはもう情けないヤツなんかじゃあない…」「オレがみんなを助けるんだ」と、涙ながらに決意を固める常秀。『ミラグロマン』のエピソードでも描かれた常秀の劣等感や孤独、「自己否定」「自己喪失」という「呪い」。彼は彼なりに必死に立ち向かってるんだな、と胸が熱くなりました。


●雑木林の方からカサッと音が鳴る。誰かがいる。それはきっと、この「厄災」の能力の本体!
……そんな康穂の推測は正しく、透龍くんがずっと見張ってるワケですが、透龍くんも「新ロカカカ」を康穂に食わせてみても良いかもなと作戦変更。確かに未知の新果実ですから、まずは康穂を実験台にしてみようって魂胆です。康穂を単なる駒くらいにしか思ってなさそう。愛情など無かったか。あるいは、「岩人間」の愛情は人間には理解不能なものなのか。そして、何故か彼も常秀と同じく、今後も枝がもっと果実を実らせると考えてる様子。割とみんな楽観的だな。どんな変化をしてるかも未知なのに。
「新ロカカカ」の果実を目の前に、康穂の不安は1つ。この常敏版「新ロカカカ」の効能が仗世文版と変わらず、自分と他者との間での「等価交換」であるなら、康穂の右腕分の喪失を誰かが引き受けねばならない。しかし、その問題もあっさり解決。常秀はとっくにその覚悟を決めて来ていたのです。むしろ、康穂の役に立てるなら嬉しい、と。なんだよ常秀、いつの間にかすっかり一人前の男になりやがって……!康穂も感動して見直してくれそうな心意気。ちょっと寂しい気持ちにもなりかけたんですが、さすが、常秀はやっぱり常秀でした。自分と康穂の体が交換し合うなんて、セックスの絆よりもスゲェ良いかも……と、興奮し出したのです!お互いの体を交換するんだから、体をピッタリくっ付け合おうと絡み付いてきたのです!もう、目がヤバイ(笑)。康穂にも「こいつ………… 壊れてる」とまで思われる始末。康穂もドえらい災難ですが、これもまた「厄災」のうち?


●元カノに迫る男に嫉妬してか、「コントはいいからさっさと食えや」って事か、透龍くんがあえて再び物音を出す。ハッと我に返る2人。康穂はここで、ずっと隠れている人物が透龍くんである可能性を考え始めます。何せ、自分で助けを呼んだ相手ですから、ここに来る理由は十分。それは、透龍くんが敵である事に他ならず、信じたくも考えたくもない可能性。しかし、それをハッキリさせるためにも、康穂はついに決心ッ!迷いを断ち切り、「新ロカカカ」に齧り付きました。
すると、康穂と常秀の足が、まるでジョセフとサンタナのように融合しちゃった!お互いの肉や細胞が入れ替わり、康穂の失われた右腕がどんどん生えていきます。逆に、常秀の右腕はどんどん萎んでいく。それを見て、透龍くんは満足げに「良し」と呟きます。ダメ押しに果実の残りも全部食らい尽くす、男前な康穂!一方、常秀は急にうろたえ出します。「等価交換」という意味を理解してなかったのか、特に深く考えずに行動してたらしく、いざ自分の腕が失くなったら大慌ての大騒ぎ(笑)。今さらかよ!でもでも、康穂はついに完全回復ッ!やったぜ!
……ただ、現時点ではやはり、常敏版「新ロカカカ」も同じ効果っぽいですね。これでは結局、「壁の目」と大差ない。康穂も憲助さんもつるぎちゃんもホリーさんも、みんな「壁の目」に埋めて「等価交換」すりゃいいじゃんって話になっちゃいます。せっかく果実のデザインも変わったんだから、その効果にもさらに先があっても良さそうなんですよね。このままでは終わらず、透龍くんも驚く効果が現れる事を期待。


★今月は31ページ!ページ数は少ないけれど、面白かったなぁ。今回はまさに常秀回!どんな時でもコイツは変わらんな~(笑)。めっちゃシリアスな状況なのにギャグになっちゃう。一種の才能ですよ。そんなアホで変態な常秀が大好きです。コイツ、絶対死なないわ。
作者コメントは「いま楽しみなのはPS5と映画の『DUNE/デューン 砂の惑星』ですかな。」との事。 へぇ~、荒木先生はPS5もバリバリ遊び倒す気なんですね。感性若いよなぁ。映画の方は……、なるほど、昔の映画のリメイクなのか。かなり壮大で面白そう。砂の惑星の名前は「アラキス」っていうんだ。ちなみに、私が今楽しみなのは、「岸辺露伴は動かない」のドラマです。荒木ファン以外の人達にも広く見てもらえそうですし、良い作品になってくれそうな予感がしますよ。





< 今月の1コマ >


出典:ウルトラジャンプ 11月号(2020年)
218ページ


今月は、どんな体位で康穂と繋がるか思案する常秀のコマ。この表情よ(笑)。第1話を思い出させる変態的目付きです。興奮のあまり、もはや康穂すら視界に入ってないっつーか、自分の妄想の世界に入り込んでるっつーか、話や理屈が通じなさそうな顔してる。気の毒ではあるけど、康穂の焦りっぷりと常秀のマイペースっぷりの違いが一層笑えてしまう。強烈だな~。今回の勝者は完璧に常秀ですわ。




(2020年10月17日)




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