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「ジョジョリオン」の謎と考察・予想をまとめたよ


No.8 【 ホリーさんの症状は何なのか? 】






【第4版】
TG大の病院に入院していたホリーさん。作中での説明によると、彼女は「通常は普通の生活をしているが、人間が物に見える時がある」という症状を患っている様子。また、「物」ではないけど、直接会った康穂をエロ本の女の子と同一人物だと勘違いしていたので、要するに認識能力が狂ってしまっている状態なんでしょう。
さらに医師達の話では、脳の一部、腎臓1つ、肺の一部、胆のうがなくなっている」「手術の痕はまったくない」「病気というより人為的な形で奪われているらしい。そして、後に康穂がホリーさんの事を思い返した際には、「脳が固くスカスカになっている」「自分が途切れ途切れで分からなくなっている」という事実も明らかに。
ホリーさんの身に起こっているこれらの症状や現象は一体、何なのでしょうか?



「ジョジョリオン」も物語が進行するにつれ、また新たな情報が明かされてきました。重要なものとしては以下の通り。

 @「石化」する部位が移動し、脳に達すると昏睡する。そして、やがてまた目醒める。これを繰り返している。
 A「岩人間」に「ロカカカ」を投与された。
 BTG大学病院の「ロカカカ」研究のラボは、元々は彼女が造ったもの。
 CTG大学病院の明負院長らが作り出した新薬「LOCACACA 6251」の存在と在り処を知っている。
 D明負院長のスタンド能力を知っている。

これらも踏まえた上で、改めて予想・考察してみたいと思います。


まず、何よりも重大な事実として、ホリーさんがまだ生きているという事が挙げられます。「岩人間」に生かされている、と言い換えても良い。何せ、「岩人間」の活動拠点の1つでもあるTG大学病院に入院し、治療まで受けているくらいですから。それはつまり、「岩人間」にとって、彼女に死なれては困る理由がある……という事に他ならない。
恐らく、彼女は何かしらのとんでもない「秘密」を知る、ただ1人の人物なんだろうと思います。それを彼女から聞き出すため、「岩人間」は彼女を生かし続ける必要があるのです。……で、どんな「秘密」なのかというと、やっぱり「ロカカカ」なり「壁の目」なり、「等価交換」のパワーに関わるものと考えるのが自然でしょう。彼女はわざわざラボを造ってまで「ロカカカ」を研究していましたし、あらゆる病気をウイルスや細菌ごと退治する「ロカカカ」を生み出す事が目的であると羽先生も明言していましたからね。多くの病人や怪我人と接してきた医者としても、「石化病」に苦しむ患者としても、その力を求めてやまないはず。
となると、ホリーさんは研究の末、「ロカカカ」をパワーアップさせる方法に気付いたという事なんでしょうか?確かにそれなら、「岩人間」も知りたがって当然です。……ですが、彼女の知る「秘密」とは、それじゃない可能性が高い。なぜなら、そんな方法に気付いたのなら、ホリーさん自身がさっさと実行しているはずだからです。「岩人間」だって、彼女が実行するのを見届けた上で、口封じに彼女を始末すれば済む話。即ち、逆に「岩人間」としては非常に危険で不都合な、実行されたくない「秘密」と考えられるワケです。どんな手段・方法で実行するのかをしっかり把握した上で、彼女を殺す。それが「岩人間」にとって、最も安全・安心な予防策なのでしょう。

ここで、旧版からの予想を引き継いで持って来ます。
ホリーさんだけが知る「秘密」とは、「生命の実」と「知恵の実」の力を消滅させる方法。より厳密に言うと、聖なるパワーを解き放つ方法なのです。
私は、2000年もの遥か昔、磔刑から復活したイエス・キリストが現在の杜王町がある土地を訪れた際、「二本松」が聖なるパワーを受けて「生命の樹」と「知恵の樹」になった……と予想しております。(⇒ No.23 【第1版】参照) 「生命の樹」に成る「生命の実」を食べると、あらゆる病気やケガも治ってしまうほどの強い生命力と不老長寿が得られ、それと引き替えに「岩人間」として生きる宿命を背負う。「知恵の樹」に成る「知恵の実」を食べると、追い求めるものに辿り着くための深遠なる知恵と知識が得られ、それと引き替えに石化の「病気」の宿命を背負う。どちらも、その「果実」を食べた者を、「呪い」と引き替えに進化させる(=「神」の領域に近付ける)樹木なのです。「ロカカカ」は、パワーの落ちた「生命の実」の亜種に過ぎません。
この「秘密」を実行すれば、それら2本の聖樹が生える聖地「壁の目」に宿った聖なるパワーは解き放たれ、永遠に失われます。「壁の目」と聖樹と「果実」、そして「果実」を食べた者は、聖なるパワーによって繋がっている状態。(⇒ No.2 【第1版】参照) しかし、その「繋がり」ゆえ、「壁の目」の聖なるパワーが失われれば、聖樹も永遠にただの松の木に戻ってしまう。そこに実った「果実」の力も同様に消滅し、「岩人間」は普通の人間になり、「石化病」そのものも存在しなくなる。当然、「ロカカカ」も力を失います。まさに、連鎖的に全てをゼロに戻す方法なのです。
―― 東方家とジョースター家、それぞれの家系に伝わる「秘密」(⇒ No.19 【第1版】参照) のうち……、ジョースター家の一子相伝の「秘密」がそれでした。こんな内容なら、「岩人間」が恐れ、絶対に誰にも実行されないように「秘密」を握ろうとするのも頷けます。



以上の事を前提として、前述の@Dのあたりについても時系列を追って考えてみましょう。

吉良の話からすると、ホリーさんは自殺未遂をした康穂と出逢った2005年、TG大学病院の医師としての仕事を終えた様子。そして2008年、TG大学病院の勤務から正式に引退。以後、TG大学の客員教授となります。恐らく、2005年には「石化病」が発症、2008年までにはかなり悪化していたんじゃないかと思われます。2009年にTG大学病院が今の建物に新築され、同時にラボも造られるワケですから、遅くとも2008年には「ロカカカ」の存在をすでに知っていたはず。そのキッカケは、赴任してきた院長達「岩人間」から彼女に接触してきて、「ロカカカ」の事を教えたものと想像します。「岩人間」は昔から「ロカカカ」を持っているし、「記憶の男」(⇒ No.5 【第1版】参照) を通じて彼女の出自や事情も知っていたのでしょう。「ロカカカ」を研究してパワーアップさせたいという点に関しては、お互い利害は一致します。
「ロカカカ」研究に没頭するホリーさん。下里良(アーバン・ゲリラ)、プアー・トム、羽先生、そして院長、「岩人間」達も協力を惜しみませんでした。しかし、ホリーさんはこの時、彼らの正体も真の目的もまだ知らなかったのです。やがて彼女は、研究の末に生み出した改良版「ロカカカ」を食べ、自らの身で実験します。その結果は失敗……。彼女の「石化病」は治癒する事なく、「石化」の部位が移動するという独特な症状に変異しました。脳が「石化」すると、長いこと昏睡するようになり、そこを「岩人間」達に付け込まれてしまいます。ラボを乗っ取られた上に、開発中の新薬「LOCACACA 6251」を幾度となく投与され、臨床試験の実験台に利用されたのです。元々の「石化病」に加え、臨床実験による「等価交換」の繰り返しもあり、彼女の臓器はあちこちが失われてしまいました。

長時間昏睡し、たまに目覚めても人間が物に見えてしまう症状が表れ、意識も記憶もおぼろげ。自分が入院している理由すら、思い出したり忘れたり。ホリーさん本来の意識を保っていられる時間など、ほんのわずかな間だけ。さぞや悪夢のような日々、地獄のような苦痛に違いありません。
そこで動いたのが「記憶の男」。長年の潜入調査により、ホリーさんが先祖から何かしらの「秘密」を受け継いでいる事は突き止めていたため、それを彼女本人から聞き出すよう院長に命じたのです。ここで初めてホリーさんは、自分が置かれた状況や、院長達の素性と企みを知る事になりました。素直に「秘密」を教えなければ殺すと脅されたものの、彼女は断固拒否。逃亡を謀ります。ところが、院長のスタンド能力に襲われ、あえなく捕えられてしまったのでした。
院長に殺されそうになったその時、彼女は逆に院長を脅します。―― わたしが知っている「秘密」とは、あらゆる聖なるパワーを消し去ってしまう方法の事。大事な「ロカカカ」も、その力を失ってしまう。わたしとしても、それは出来れば実行しなくはない。人類があらゆる病気や怪我を克服するチャンスを失う事にもなるから。ただ、この方法は偶然や何かの弾みで発動してしまいかねない、割と単純なもの。今はわたしが「ある仕掛け」で防止しているけれど、もしわたしを殺したらそのうち「仕掛け」は外れてしまうだろう。 ―― と。実は、「仕掛け」の話はハッタリなのですが、「岩人間」には効果覿面。「ロカカカ」どころか、自分達の存在そのものに関わる話ですからね。
こうしてホリーさんは、「秘密」と共に、「岩人間」の手元に置かれる事になったのです。ただし、彼女の方から「秘密」を話してくる時まで、あるいは彼女が話さずとも「秘密」を突き止める時まで、生かさず殺さず。それまでは最低限の治療は保証し、「石化病」の悪化で「ロカカカ」を再び使用する際も、羽先生の能力で脳だけは守っていたのです。

そんな事情も露知らず、吉良と仗世文は命懸けで「ロカカカ」を入手し、ホリーさんに食べさせようとしました。なんという哀しく皮肉な運命だったのでしょうか。


ちなみに、ホリーさんの入院費・治療費は、息子の吉良が支払っていたようです。吉良が死んでからは支払いが滞り、ホリーさんの病室も随分と劣悪な部屋に移されてしまいましたが……、今度は定助が支払う事を宣言。一泊12万円というから、これは相当な負担です。
しかし、この費用は「岩人間」の財産から支払っているのかもしれません。ダモカンこと田最環(⇒ No.39 【第3版】参照) は、仗世文の戸籍を奪っていたようです。ダモカンを始末してから、定助は逆にダモカンから戸籍を奪い返し、ダモカンクリーニング店の儲けもちゃっかり奪い取ったのです。それと、プアー・トムが命乞いした時にもらったお金もあるので、それも足しにした、と。手続き的に面倒な事やグレーなところは、憲助さんが手助けしてくれたんでしょう。



(追記1)
さて、この仮説が正しかったとしたなら……、康穂がホリーさんに出逢った時点(第14話)で恐らく、すでに「石化」部位移動の症状があった事になります。でも、康穂が会った時も、定助が彼女を見舞った時(第58話)も、そんなところはまったく描かれていませんでした。普通に考えれば、彼女の「石化病」も「石化」移動も、医師や看護師達にバレちゃいそうなものなのに。これはどういう事なんでしょう?
初めは、「石化」が頭部・脳に達しても、髪の毛の影に隠れて目立たなくなっており、一見では気付かないんじゃないかと考えていました。定助が彼女と出逢った時(第92話)の描写は、漫画的に誇張して分かりやすく見せていただけだろう、と。しかし、第97話にて、定助は昏睡状態のホリーさんの写真を記者に送ります。記者はそれを見ただけで、ホリーさんの尋常ではない様子を感じ取っていました。新薬「LOCACACA 6251」の実験台にされているのではと、すぐに思い至りました。つまり、「石化」部位は、誰でもパッと見で「おかしい」と気付くものなのです。

……となると、「石化」がモロ見えになってるワケなので、やっぱりバレバレになりそう。ですが、彼女が入院している場所はTG大学病院。「不死産業」確立を狙う「岩人間」達の中枢です。院長ですらも「岩人間」サイド。彼の意志1つでどうにでもなっちゃうんです。
もちろん院長としては、「石化病」も「石化」移動も、一般人にバレたくはありません。少なくとも、「LOCACACA 6251」を完成させるまでは。バレないようにするためには、ホリーさんの治療や診察を「岩人間」の中だけで完結してしまえば良い。幸いにも、院長の部下にはオールマイティーな羽先生がいました。彼は整形外科・美容皮膚科専門の医師ではあるものの、専門外の分野も全部診る主義。彼に任せておけば間違いないでしょう。昏睡しているホリーさんの体を拭いたり髪を洗ったり……というデリケートな事も、女性看護師の体を乗っ取った羽先生がやれば問題無し。「ロカカカ」成分のコントロールにしろ、普段の医療行為にしろ、羽先生は本当に貴重な人材だったんですね。
さらに、普通の人間の医師・看護師によるちょっとした診察や介助は、ホリーさんが覚醒している時に限定していたのかもしれません。それなら、認知能力異常や脳・内臓の欠損を不思議がりはしても、「石化」の症状にはそうそう気付かないはず。謎の奇病って程度の認識で済むはず。
で、定助が見舞った時は、自分の指を6本食べてしまって、薬剤の投与で眠らせていただけ。よくよく考えりゃ、脳が「石化」して昏睡したワケじゃないので「石化」は見えなくて当たり前でした。(ちなみに、その指の負傷も恐らく、「LOCACACA 6251」投与実験で治療したんでしょうね。)

結論を言うと、院長と羽先生の暗躍により、ホリーさんの「石化病」と「石化」移動症状の秘密は守られていたという事です。




なお、旧版はこちらに置いときます。 第1版へ   第2版へ   第3版




(2015年1月9日:【第1版】更新)
(2015年7月2日:【第1版】追記1)
(2015年8月23日:【第1版】追記2)
(2016年1月31日:【第2版】更新)
(2016年3月31日:【第2版】追記1)
(2016年6月30日:【第3版】更新)
(2020年5月6日:【第4版】更新)
(2020年5月22日:【第4版】追記1)




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