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「ジョジョリオン」の謎と考察・予想をまとめたよ


No.20 【 吉良は「石化病」に罹らなかったのか? 】






【第2版】
東方家に昔から伝わってきた、一族の長子を必ず襲う病気「石化病」。長男は10歳(どんなに遅くても11歳?)の時に発病するらしい。東方家と同じ宿命を背負うジョースター家においても、きっと条件は同じはず。
ならば、ジョースターの血を継ぐ吉良吉影も「石化病」に罹っていたのでしょうか?罹っていたのなら、どうやって治療したのでしょうか?

【第1版】では、定助の半身「X」が「1901年に杜王町に漂着した幼児」とホリーさんの息子であり、吉良にとって父親違いの「兄」に当たる存在だから、吉良はそもそも「石化病」には罹らなかった……と予想していました。しかし、第50話を読んだ限り、その線はどうも薄そう。なので、考えを改める事にしました。
では……、以下、予想になります。最初の部分はまったく同じですけども。



ジョースター家がずっと杜王町に住んでいない限り、何より東方家との関係が良好でない限り、「壁の目」による治療は不可能でしょう。しかし私は、ジョースター家は吉良家と結婚するまではアメリカで暮らしていた、と想像しております。そもそも「壁の目」で「石化病」を治せる事も、「壁の目」の存在自体も、ジョースター家は知らずにいたのかもしれません。
だとすると、ジョースター家には「石化病」に対抗する手段がないという事。かつての東方家と同じく、長子が長女なら諦め、長男なら次男を跡取りにしていたのでしょう。「星のアザ」が虹村さんにある以上、養子をもらった線はないですね。(ジョニィには「星のアザ」の直接的な描写はないものの、荒木先生がインタビューで「あるんじゃないかな?」と答えていたので、「ある」ものとして考えます。)
1〜6部までの「旧世界」でのジョースター家とは違い、7部以降の「新世界」でのジョースター家には兄弟が多い様子。その中の誰かが、かわいそうですが「石化病」の犠牲となっていたワケです。

ジョニィと理那さんの息子:ジョージ3世については、彼が家を継いでいるだけに、判断がなかなか難しい。2つのケースが考えられます。
1つは、彼が長子ではないケース。家系図では、ジョージ3世の他にもう1人、が産まれていたようなので、その子が長子だったのです。1901年時点で、誰も彼女の存在に触れてもいないし描写もないので、すでに彼女は天に召されてしまっていたのかも。病気ならジョニィが「聖なる遺体」を奪ってでも治しているはずなので、恐らく突然の事故で亡くなったのだろうと思います。「石化病」以外の原因で長子が死んだとしても、他の子がとばっちりで「石化病」に罹るなんて事はなく、ジョージ3世は無事だったのです。
もう1つは、彼が長子であるケース。理那さんの「石化病」は、「遺体」のパワーによって、ジョージ3世に移し替えられてしまいました。それをまたジョニィが引き継ぎ、自ら命を断ちます。この時点でもう、ジョージ3世は「石化病」に罹ったと見做され、それ以後は二度と発病する事もなかったのです。その場合、両親の話題にすら一切上がらなかった、ジョニィと理那さんの娘の存在が気になるところ。まだ産まれたばかりで、ジョニィは東方の家に預けて「二本松」の「遺体」まで向かい、理那さんもそれをすぐに察したって事なのかも。あるいは、ジョージ3世が「石化病」になり、自らの死を覚悟したジョニィが今生の別れとばかりに愛妻を抱き、理那さんは娘を妊娠した……のかも?(案外、その娘の方の子孫がアイリンだったりして。)
まあ、いずれにせよ、理由をこじつける事は可能であります。



さて、問題は吉良です。彼には虹村さんという妹がいる兄、つまりは長男に当たります。であれば、彼も10歳の時点で「石化病」が発病しているはず。吉良家と結婚したジョースター家も、その頃にはすでに杜王町に住んでいてもおかしくありません。
ただ……、東方家が遠い親戚に過ぎぬジョースター家をわざわざ助けてくれるのか、ちょっと疑問です。東方家にとって重要な事は、あくまで「東方家」の子孫繁栄。「等価交換」の力もそのための「秘密」。ぶっちゃけ別の家の事なんて知ったこっちゃないし、そういう「しきたり」があったりするのかもしれませんし。ここで迷わず吉良を救ってくれるような人達なら、ホリーさんも今、あんな風になっていないような気もします。虹村さんの存在が隠される必要もないし、彼女自身、あんなに東方家を憎む事にはならなかった気もします。(⇒ No.9 【第1版】参照)
そう考えると、「石化病」に罹った吉良を救う方法はない、という事。しかし現に、吉良は29歳まで健康に生きていました。果たして、本当に「石化病」に罹っていたのか?

ひょっとすると……、そもそもの前提からして間違っていたのかもしれません。東方家とジョースター家とでは、「石化病」の発病条件が異なる可能性もあるのです。
だとすると、「10歳」という年齢にこだわる意味もなくなります。「29歳」以上の年齢で発病するのだとしたら、吉良は「石化病」に罹るより前に死んだ事になるでしょう。それなら何の問題もありません。
しかし、それだと少々面白みに欠けるので、逆の方向でも考えてみました。「10歳」未満の年齢で発病する場合、です。吉良の父親:吉輝は、1991年に死亡した模様。吉良の生年は1982年なので、吉輝死亡時には恐らく9歳。ジョニィと理那さん、両者の聖なるパワーが共鳴し合って強まった結果、ジョースター家にも「石化病」の宿命が襲い掛かった……と、私は予想しております。(⇒ No.16 【第1版】参照) そのせいで、むしろ東方家よりもちょっぴり早いタイミングで発病してしまう事になったのです。9歳で発病した吉良の命を救うため、父:吉輝が身代わりとなって死んでいったのでしょう。
結婚して杜王町に移り住んだホリーさんは、東方家の長男が生き永らえている事実を知りました。でも東方家は、その理由をどうしても教えてくれない。「石化病」から助かる方法が存在しているのに、このままでは息子は9歳の若さで死んでしまう。それだけは避けなければならない。そこでホリーさんは、東方家への潜入調査を開始。血は争えないとでも言うべきか、未来の吉良や虹村さんと同じような事をしていたワケです。やがて、「二本松」の根本の洞(=「離れ」の地下室)に秘密がある事を突き止めました。ついに息子を救う手立てを発見した吉良夫妻。いざ息子が発病すると、吉輝は自ら身代わりになる事を選びました。2人の子ども達はまだまだ幼く、自分よりも母の存在が必要と判断したのです。
――こうして、吉良は「石化病」になりながらも、生還できたのです。ただし、ホリーさんはこれらの事実を子ども達には伝える事はありませんでした。それこそ、息子が結婚して子をもうけたりした時にでも伝えるつもりだったのかもしれませんが。そのため、今度はホリーさん自身が「石化病」に罹った際、何も知らぬ虹村さんは東方家を探り回る事となったのです。



ちなみに、吉良は自分の「石化病」が治った理由と、父の死の理由を自ら調べ始めました。やっぱり東方家に潜入し、母が教えてくれない事実も判明。
そんな時、吉良は「記憶の男」と出逢います。(⇒ No.5 【第1版】参照) 彼は東方家に怨みを持ち、昔からちょいちょい東方家に忍び込んでは監視していたのです。
さっさと皆殺しにでも何でもすりゃあいいのに、わざわざ回りくどい事をし続けているのは、東方家は「呪い」と引き替えに「繁栄」の約束を得ているから。ちょっとやそっとの不幸など、むしろ後々の「繁栄」の肥やしにしてしまいかねません。しかし、彼には東方家を衰退させ、メチャクチャに破滅させるためのおおよその筋道は見えている。あとは細部を練って、タイミングを見計らって、実行に移すのみ。

「記憶の男」は吉良に、東方家がジョースター家を人柱にしようとしていると告げます。東方家は「石化病」を赤の他人に移し替えたりはしない。家族の中の誰かが長子の身代わりになる慣わし。その身代わりとして、同じ血を引くジョースター家を使うつもりでいる。そんなデタラメを吹き込むと、吉良は東方家を疑惑し、嫌悪し、警戒し始めるのでした。妹の存在を東方家から隠したのも、そのせいです。こうして、東方家という共通の敵が生まれ、吉良はそれゆえの仲間意識を「記憶の男」にうっすら抱きました。
2人は手を組む事になりました。吉良の目的は、「石化病」の根絶。それに関わるであろう「秘密」を母:ホリーが知っているはずなのに、何故かどうしても教えてくれない。母に「石化病」が発病する前に、なんとしてでも「秘密」を聞き出したい。母を、そして自分達ジョースター家を救いたい。一方、 「記憶の男」の最終的な目的は、自分だけの理想郷「エデンの園」の創世。しかし、東方家への復讐もまた、大切な目的の1つです。吉良も東方の血を引く以上、復讐の対象。まだ少年の吉良をも、復讐のために利用する事にしたのです。
もっとも、吉良も吉良で、自分の目的や欲望が第一。「記憶の男」はあくまでビジネス・パートナーであり、友達でも何でもない。所詮、損得勘定ゆえの結び付きに過ぎません。もし自分の損になるようなら、あっさり裏切る気満々です。使えるうちは仲間でいてやろう、という立場。なかなかキナ臭い関係が結ばれたのでした。




なお、旧版はこちらに置いときます。 旧版




(2015年1月9日:【第1版】更新)
(2016年1月31日:【第2版】更新)




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