TOP   <<No.24  戻る  No.26>>     簡易ページへ



「ジョジョリオン」の謎と考察・予想をまとめたよ


No.25 【 「岩人間」とは何なのか? 】






【第1版】
八木山夜露の登場で明らかにされた「岩人間」の存在。肉体が岩のように変化する、「人間」とは異なる種族らしい。さらに、岩助と名付けられた「岩犬」も存在します。つまり、「岩人間」と言うよりは「岩族」とでも呼んだ方が正確なのかもしれません。
まだまだ多くの謎に包まれていますが、この「岩人間」(「岩族」)についての情報や予想をまとめてみたいと思います。



とりあえず、夜露と岩助が見せた主な特徴としては以下の通り。

 ●肉体(身に付けている物も込み)が岩のような外見・質感に変化する。重さは本物の岩よりは軽いらしい。

 ●岩石化しても、体内には血液が流れている。本人の匂いもそのままある。

 ●岩石化した肉体のままでも行動できる。(半岩石化?)

 ●擬態だけでなく、本物の岩やコンクリートなどの中に溶け込みながら移動する事も出来る。

 ●完全に岩石化した状態では、生物としての活動はほぼ停止している。
  高低温や乾燥にも耐え、呼吸さえも必要なくなる。
  (岩助が寝息を立てていたのは、まだ熟睡はしておらず、半岩石化状態だったためと思われる。)

 ●細胞に酸素が行き届かなくなると、敏感に体組織が劣化してしまう。
  岩石化を解く際には、微弱でも酸素がないと窒息する。
  (水中など、皮膚呼吸が出来ない環境下では、充分に肺に酸素を取り込んでから岩石化する必要がある。)

 ●生命活動が停止すると、岩石化した状態で肉体がボロボロに崩れていく。(土に還る?)

実に奇妙な連中です。人間よりデリケートな面もあるとは言え……、「死」の概念が薄まり、「衣」「食」「住」すらもほとんど必要としなくなっていますね。ある意味、「神」に近い生物へと進化を遂げた存在なのかもしれません。


夜露は定助に対し、「岩に生まれたのは貴様の方だッ!」との言葉を浴びせていました。この言葉を真に受けたとしたら、定助の半身「X」も「岩人間」のはず。(⇒ No.12 【第2版】参照) それどころか、むしろ夜露の方は、「岩人間」として産まれた「X」とは違い、後天的に「岩人間」になったとも読み取れます。また、岩助は石のようになって死んでいたかと思いきや、夜露が謎の「フルーツ」を食べさせたら復活し、次に現れた時には「岩犬」と化していました。
これらの描写から推測するに、人間が「岩人間」になる方法があり、それは謎の「フルーツ」と密接な関係があるのでしょう。私は、夜露が持っていた謎の「フルーツ」は「生命の実」で、それを食べた者が「岩人間」に進化する……と予想しております。(⇒ No.23 【第1版】参照)
「聖書」においても、頑強で決して揺らがぬ「岩」という言葉は、「神」の象徴として幾度も使われています。ただ、どうやら「岩」という言葉にも2種類あって、砕けない岩「ツル」と砕くべき岩「セラ」という、それぞれ異なる意味を持つ言葉がある模様。さらに私は、「生命の実」の他に「知恵の実」というフルーツも存在し、それを食べると、体が石になって死んでいく病気「石化病」を発病する家系になってしまう……とも予想しています。(⇒ No.15 【第1版】参照) その辺からこじつけるならば、「生命の実」を食べた「岩人間」が「ツル」、「知恵の実」を食べた「発病者」は「セラ」と解釈する事も出来そうです。



さて、夜露と言えば、忘れてはいけない事がありましたね。そう、彼の両目と口から出て来た「サランラップ」です。あの「ラップ」、康穂に対して1回使っただけで、その後はまったく触れられずに夜露も退場。結局、謎のままなのです。
しかし、この「ラップ」も「岩人間」としての特徴の1つとして考えてみる事も出来ます。
「岩人間」は、自身の体液をも岩石のように硬質化する事が可能。夜露はあの時、自分の涙と唾液を硬質化し、ラップ状にして使用したワケです。硬質化しているため、ガラスの破片でもカッターでもドリルでも破けません。そして、もともと体液だから、水などの「液体」だけは夜露の意志1つで「遮断」「通過」も出来ちゃうのです。「ラップ」越しに垂らしていたはずの水が、いつの間にか康穂の口に入り、吐き出す事も出来なくなっていたのはそのせい。


オマケにもう1つ。夜露は妙にスタンドについて造詣が深い感じがしました。康穂の『ペイズリー・パーク』を実際に見て触れただけで、その特徴をほとんど見抜き、能力まで推測してみせたのです。まあ、康穂の抵抗の程度を見れば、そのぐらいは分かるのかもしれませんが。
ただ、私は今のところ、「岩人間」や「発病者」達の成れの果てが「壁の目」と考えております。(⇒ No.2 【第1版】参照) また、スタンドを発現させるキッカケとなるらしい「歯形」も、「壁の目」そのものと化した「岩人間」や「発病者」達が噛み付いた痕と考えております。(⇒ No.3 【第1版】参照) つまり、「岩人間」と「壁の目」とスタンドは、切り離せぬ繋がりがあるのです。そうであれば、「岩人間」の夜露なら、スタンドのエネルギーに触れるだけで多くの情報を鋭く感じ取れても不思議じゃないでしょう。
「X」が夜露に殺されかけた時に「壁の目」が隆起した……というのも、それが事実なら、決して偶然ではありません。生まれついての「岩人間」である「X」は、その身に宿す聖なるパワーも強力で、「壁の目」とのリンクというかシンクロというか、そーゆーのも特別しやすい存在だったのでしょう。「壁の目」は「海から来る何かを守るかのように」そびえているワケですが、その「何か」とは「X」の事だったのかも?


定助の半身「X」=空条 仗世文。彼は生まれついての「岩人間」ではなく、「岩人間」と「人間」の間に産まれたハーフである……と、後に予想を改めました。
   極めてイレギュラーな存在:半「岩人間」であるがゆえ、強力な聖なるパワーを宿しています。 ( 2020/07/23:追加 ))



(追記1)
新たに登場した「岩人間」、大年寺山愛唱。彼が語った「岩人間」としての特徴は、次のようなものでした。

 ●一度眠ると岩石化して、そのまま1ヶ月間はまったく目覚めない。

 ●肉体の寿命はとても長く、厳しい天候や環境にも強い。

もしかすると、これらは愛唱個人の特徴なのかもしれませんが、現時点では「岩人間」に共通する特徴と考えておきます。
そして彼は、バスに轢かれて死んでしまいました。彼の肉体は、服や所持品も含め、砂のように劣化して砕け散ってしまったようです。夜露もそうでしたが、「岩人間」は強い生命力を持ってはいるものの、普通の人間でも充分倒し得る存在と言えるでしょう。第2部に登場した「柱の男」や「闇の一族」よりは、よっぽど人間に近い生物ですね。



(追記2)
私は今のところ、「岩人間」のキャラクターが「7つの大罪」をモチーフに作られていると考えてます。


……富も名声も愛も、何でも欲する八木山夜露。彼のモチーフは「強欲」です。
様々な物質を集めて引き寄せる『アイ・アム・ア・ロック』も、まさしく強欲そのもの。全身トゲトゲなファッションは、「強欲」を暗示するとされる「ハリネズミ」にもなっています。

……大好きな彼女を寝取られ、こっぴどい裏切りにあった大年寺山愛唱。彼のモチーフは「嫉妬」です。
「嫉妬」を暗示する動物は「ヘビ」であり、彼のファッションも2匹のヘビが絡まり合っているかのよう。「竜巻」を発生させる『ドゥービー・ワゥ』が彼のスタンドですが、「竜巻」とは文字通り、「竜がとぐろを巻いた姿」が語源となっています。ここで言う「竜」とは、西洋的な「ドラゴン」ではなく、「ヘビ」に近い姿の東洋的な「竜」。「竜神」と「蛇神」はほとんど同一視されてもいるそうです。
また、このスタンド名に似た名を持つ怪人ドゥービーも頭部にヘビを飼ってましたし、『ドゥービー・ ワゥ』は「ヘビ」にちなんだ能力と言って良いでしょう。


で、ここからはまだ「岩人間」と確定していない人々ですが、とりあえずそう仮定して話を進めます。


……今が楽しければ良く、とにかくだらしない性格の作並カレラ。彼女のモチーフは「怠惰」です。
「怠惰」を暗示する動物は「熊」であり、彼女の黒くてフッサフサな髪の毛や太い眉は熊っぽいっちゃ熊っぽい。魚の絵が描かれたバンダナも、熊がよく出没する川辺・水辺を表しているのかも。「毛」を生やす彼女のスタンド能力も、全身を体毛で覆われた「熊」にちなんでいます。

……そして、カレラを追跡するサッカー兄弟。彼らのモチーフは「色欲」です。
「色欲」を暗示する動物は「サソリ」であり、彼らの特徴的なヘアースタイルは「サソリ」に似たデザインになっています。左手で触れたモノを右手から出す「兄」のスタンド能力は、「男」「男性器」の象徴。指が無く、1本の棒状になっている右腕がまたチンコっぽい(?)。また、「弟」のサッカーボールに付いているジッパーは、「女」「女性器」の象徴。そのジッパーの中に何かを入れるスタンド能力と推測します。玉を転がし弄ぶ姿も、ある意味、女性的と言えそう(?)。つまり、この双子らしき兄弟は、それぞれ男女を表しているワケです。


――さらに、生まれついての「岩人間」と思われる、定助の半身「X」こと「空条 仗世文 (くうじょう じょせふみ)」。彼の名の「世文」という部分は「セブン」とも読めます。これはそのものズバリ、「7つの大罪」を意味・暗示してもいるのかもしれません。
じゃあ、そもそもなんで「岩人間」は「7つの大罪」をモチーフにしているのか?「7つの大罪」とは……、キリスト教において、人間が罪を犯してしまう原因とされる7つの感情を指します。「傲慢」「強欲」「嫉妬」「憤怒」「暴食」「色欲」「怠惰」の7つの欲望が、人を罪に走らせてしまう、と。第35話冒頭のモノローグでも、定助は「人が悪人になっていくとしたら」と考え、その原因として「7つの大罪」の中のいくつかを挙げていました。その辺から推測するに……、どんな理由でなったにせよ、「岩人間」は悪しき存在として描かれているんでしょう。欲深く、罪深い存在。人の欲望に付け込んで利用し、自らの欲望にまみれ溺れる者。
「ジョジョリオン」はテーマ的に、遠い先祖から続く「罪」と「因縁」が「呪い」となって襲って来る物語でもあります。「岩人間」とは、その「罪」という概念自体に形を与えたキャラクターなのです。定助達が彼ら「岩人間」に打ち勝つという事は、即ち、定助達や杜王町が「罪」を克服して「呪い」を解いていく事へと直結しているのでしょう。



(追記3)
第46話冒頭にて、「岩人間」の解説がたっぷり載っていました。
まず、「進化の木」2015(※コミックスで2011に修正)なる図で示されたところによると、「岩人間」は我々「人間(ヒト、ホモ・サピエンス)」と祖先を同じくしながらも別の進化を遂げた生物と解釈できるっぽい。しかし……です。ここで忘れちゃいけないのが岩助の存在。岩助は「岩人間」と同じ性質を持った「岩犬」です。イヌはネコ目(食肉類)の動物であり、ヒトはサル目(霊長類)の動物。まったく異なる種の生物なのです。にも関わらず、あれほど特殊な性質が共通しているとは、通常の進化の過程では考えにくいのではないかと思うワケです。
むしろ、何らかの同一のキッカケによって、同じ性質を持った生物に突然変異したと考える方が自然。そのキッカケこそ、「生命の実」なのでしょう。「生命の実」を食べた生物は、「岩」の性質を持つ生物へと強制的に進化させられてしまうのです。被った者を「吸血鬼」に変貌させる「石仮面」や、刺された者を「スタンド使い」に進化させる『矢』のようなアイテム。あるいは、手に入れた者を「スタンド使い」にする「聖なる遺体」にも近いアイテム。

……で、「生命の実」により「岩人間(岩族)」になった者同士がセックスをすれば、子どもが産まれます。その子どもはもはや、生来の先天性「岩人間」。こうして「進化の木」の中に、「岩人間」の存在がこっそり書き加えられたのでしょう。
もっとも、生命力が強く寿命も長く、死の危険が少ない生物であるため、その個体の数は決して多くはなさそうです。子どもも出来にくい体質なのでは、と推測します。



(追記4)
同じく第46話冒頭の「岩人間」解説について、キッチリまとめてみましょう。
ただ、けっこうなボリュームになっちゃうので、ここは別ページに書く事にします。では、詳細はこちらへどうぞ。 追記4:詳細



(追記5)
上記追記2の追加事項です。「岩人間」と「7つの大罪」の関連性について。
カレラについては、まだ何とも言えません。特に「岩人間」らしい描写なんて全然ありませんけど、次に登場する時に、何らかの理由で「岩人間」化している可能性もゼロではないし。サッカー兄弟ことエイ・フェックス兄弟は「岩人間」確定です。彼らのモチーフは、やはり「色欲」でしょう。

そして、あれから新たに登場した「岩人間」についても触れておきたいと思います。


……一見おとなしいけれど、実はプライドが高く、異常なまでに執念深い「ダモカン」こと田最環。彼のモチーフは「傲慢」です。
表面上は礼儀正しく謙虚な態度ですが、腹の底には 逆に「傲慢」さを秘めている。相手を究極まで軟らかくして「粘液」と化してしまうスタンド能力も、そんな粘着質で他人を見下す本性ゆえ。また、「傲慢」を暗示する動物は、グリフォン・ライオン・孔雀。髪の毛の描写が多く、ヒゲも蓄えているところから、立派な鬣(たてがみ)を持つ「ライオン」をどこか彷彿とさせます。(⇒ No.39 【第3版】参照)

……四肢を失い、池の辺で孤独に暮らすドロミテ。彼のモチーフは「暴食」です。
「暴食」を暗示する動物は「ハエ」であり、四肢を失った姿や独特な模様のファッション、不潔そうな風貌も相まって、彼自身が「ハエ」のようにも見えてきます。しかも、彼はとにかくよく喰う!フライドチキンはおろか、生のウサギやニワトリ、カエルまで喰いまくりです。そして極めつけが、彼のスタンド能力。あたかも「ハエ」が齎す伝染病のように、生き物から生き物へ次々と感染していく能力。そのものズバリ、「ハエ」にまで感染し、定助を追い詰めていました。



(追記6)
またもや上記追記2の追加事項です。「岩人間」と「7つの大罪」の関連性について。


……登場してから死ぬまで怒ってばかりだったアーバン・ゲリラ。彼のモチーフは「憤怒」です。
ナイフで刺されて怒り、フォークで刺されて怒り、自分の職業を見破られてまた怒り……、とにかく怒って叫んで殺意剥き出し。彼のスタンド『ブレイン・ストーム』も、シンプルすぎるほどに生体破壊・殺害のためだけの能力。
「憤怒」を暗示する動物に「ユニコーン」がいるんですが、その角には水を浄め、毒を中和する力があると言われているようです。『ブレイン・ストーム』はその裏返しのような存在で、トゲで刺した者を毒で汚染するスタンドであり、水が苦手。また、ユニコーンは病を治す力も持っているらしいけど、ゲリラは医者でもありました。

……酔っ払いみたいな赤っ鼻で、タバコをふかし、競馬新聞を読み、女遊びもしまくりのプアー・トム。彼のモチーフは「怠惰」です。
これはもう、見たまんまですね。タバコギャンブル。問答無用の「怠惰」っぷり!それに加え、働く必要がない「赤ん坊」と「老人」を合わせたようなビジュアルに、いちいち服を着なくていいような全身のタトゥー。そして、能力発動さえも他人任せのスタンド。一時はカレラを「怠惰」の候補に挙げていましたが、これはもうプアー・トムで決まりでしょ。


夜露が「強欲」、愛唱が「嫉妬」、エイ・フェックス兄弟が「色欲」、ダモカンが「傲慢」、ドロミテが「暴食」、アーバン・ゲリラが「憤怒」、プアー・トムが「怠惰」。これにてついに7つ勢揃い!
「新ロカカカ」収穫のタイミングで「7つの大罪」が出揃うってのも、非常に意味深です。人に罪を犯させる欲望・感情である「7つの大罪」に相対し打ち克ちながら、定助達はここまで進んで来ました。定助は自分自身と向き合い、新たな道を見出しました。そして、まさに今……、康穂は自分の過去と向き合い、常敏は己の罪と向き合い、つるぎちゃんは父への疑念と向き合っています。
物語が次なるステージへと移行する、そんな大きな節目を迎えつつあるのではないかと勝手に考えたりしてます。



(追記7)
上記追記3の補足事項です。「岩動物」の存在について。

アーバン・ゲリラと共に定助一行を追跡・襲撃して来たのが、彼のペットであり、地中を進む異形の「岩動物」ドレミファソラティ・ド。知能も低く、スタンド能力も持たない反面、「岩動物」としての性能に特化した岩石化&変形が可能のようです。キャタピラー状の手足に、人1人丸々収納できちゃうスペースを持つボディ!有袋類との事ですが……、サル目(霊長類)やネコ目(食肉類)は同じ真獣下綱グループに属しているのに、有袋類は別グループの後獣下綱に属しています。
さらに、13歳の少女だった康穂の心をえぐったのが、「髪留め」に擬態した「岩動物」。こいつはもはや、「動物」というより「虫」に近いビジュアル!節足動物門に属するのかな?「髪留め」の形から「虫」の姿に変形していました。知能もけっこう高そうな上、スタンド能力っぽい「フケ」を操る力も持っています。

このように、「岩動物(岩族)」は実に多種多様。動物界のあちらこちらに広く分布しているように感じられます。「岩人間」だけが特殊ってワケじゃないのです。
やっぱどう考えても、これらが普通の進化で生まれた生物とは思えません。超常的な同一のキッカケによる突然変異、というのが最もしっくり来ますね。



(追記8)
第69話で、アーバン・ゲリラが気になる発言をしていました。人間と「ロカカカ」は相性が悪い、と。「ロカカカ」は「岩人間」のためにある植物なのだ、と。そして、それはどうやら、人間と「岩人間」(ひいては「岩族」全体)との細胞の違いに起因するらしい。肉体細胞の炭素やケイ素結合の有機体の質の違いが重要のようです。
つまり、人間が「ロカカカ」を食べた場合と、「岩人間」が「ロカカカ」を食べた場合とで、起こる現象・効果にも違いが生じるという事。では、具体的に何がどう違うんでしょうか?

思うに、「ロカカカ」には石化成分みたいなものが含まれており、人間はそれの影響をモロに受けてしまうんでしょう。そのため、「等価交換」で肉体の一部分が石化・崩壊してしまうのです。ところが、「岩人間」はもともと肉体を石化できる生物。「等価交換」をしても、肉体の一部の機能が衰えるだけで、崩壊するような事はありません。それどころか、石化成分を逆に利用する事が可能です。「等価交換」を行った後、石化成分は「硬質膜」と化して全身を覆い、そのまま脱皮。そうして、何かを得、何かを失った新しい姿に変態するのです。
年を取った末、若さを得ようと「ロカカカ」を食べ、新しい姿に脱皮した「岩人間」が今のプアー・トムです。そもそも「岩人間」が「ロカカカ」を食べても、全身の細胞をくまなく若返らせる事は出来ません。どこかの部位の細胞を若返らせるのならば、引き換えに別の部位の細胞がさらに老い衰える結果となります。(人間の場合、病んだ部分を健常には戻せても、現在の年齢より若返る事は不可能です。)プアー・トムも恐らく、元々は普通のおっさんの「岩人間」でした。しかし、「ロカカカ」の「等価交換」によって脱皮・変態。骨や内臓、体格なんかは一気に若返り、その代わりに皮膚がもっと老いたのでした。それで、あんな奇妙な風貌をしているワケです。
もしかすると、ドレミファソラティ・ドの尋常ならざる異形も、「ロカカカ」を食べた事で得たものなのかもしれません。スタンド能力と引き換えに、地中を自在に突き進める姿に変態したのです。だとしたら、主人であるゲリラのアイディアだったのかな。
……このように「岩人間」は、人間よりも遥かに「ロカカカ」の力の恩恵を受ける事が出来ます。私の予想では、「ロカカカ」とは「生命の実」の突然変異種。「生命の実」を食べた「岩人間」と相性が良いのも当然と言えるでしょう。


アーバン・ゲリラやプアー・トムは、「敵」の核心に近い「ロカカカ」研究チームの一員。「ロカカカ」の売買で金儲けしか考えていなかったダモカンチームや、外界との関わりを持とうとしないはぐれ者のドロミテなんかとは違って……、彼らは自ら「ロカカカ」を使い、さらなる力を得ています。仗世文が「接ぎ木」をした事で実った「新ロカカカ」の奪取も含め、「ロカカカ」に秘められし可能性を探っているのです。
自分の中だけで「等価交換」が行われる「ロカカカ」と異なり、「新ロカカカ」は他者との間で「等価交換」が行われます。「ロカカカ」との相性が良い「岩人間」が食べたなら、マジで不老不死さえも実現できるのかもしれません。一方、相性の悪い人間は、たぶん「新ロカカカ」をもってしても不老不死は得られないのでしょう。確かに、細胞の交換を行えば半永久的に生きる事は出来るはずですが、他人の細胞が混じっていく以上、「自分」という存在はどんどん薄れて移ろっていく事になりますから。それでも、欲深い人間達は「新ロカカカ」という具体的な希望に喜んで飛び付き、どんな代償や犠牲も厭わないに違いありません。そんな連中を都合良く利用する、不老不死の異人達。それはまさしく「神」にも等しい
「岩人間」が不老不死を手にし、人間を永遠に支配・管理する世の中。ずっとずっと人間社会の陰に隠れるように潜んで生き長らえてきた「岩人間」達が、とうとう日の当たる世界へと姿を現す事になるのです。ゲリラの言葉通り、「岩人間」にとっては「新しい世界」「ワクワクする世界」であり、人間にとっては「酷い世の中」となるでしょう。
―― もっとも、「岩人間」達のリーダーである「記憶の男」(⇒ No.5 【第1版】参照) にとっては、それすらも通過点に過ぎません。部下達をまとめ上げるための、表向きの目的なのです。



(追記9)
第81話で、次の事が明示されました。肉体の主要構成元素が、一般の人間は炭素(C)だが、「岩人間(岩生物)」はケイ素(Si)である、と。つまり「岩人間」は、SFなんかでよく出て来るケイ素生物なのです。
「生命の実」は、食べた者の肉体の構成元素を炭素からケイ素に「交換」する作用がある、という事なのかもしれません。そうして、地球に自然発生した生物とは別種の生命体となった「岩人間(岩生物・岩族)」は、独自の進化・発展を遂げてきたのです。



(追記10)
第99話にて、驚愕の事実が次々と明らかに。「岩人間」の生態と、「岩生物」の存在理由についてです。


まずは、「岩人間」の生態から。箇条書きしていきましょう。

 ●「岩人間」のメスは、目視では「ヒト (ホモサピエンス)」の女性と区別が付かない

 ●「ヒト」の男性と「岩人間」のメスの受精・繁殖は可能だが、その逆の例は無い。

 ●「岩人間」の母親は6ヶ月の妊娠期間を経て、春と夏の季節に出産する。
  ただし、出産した子どもに愛情や親子関係をほぼ持たない。

 ●母親は出産するとすぐ、子どもを抱いて森の奥へ行く。枯れた樹木の根本に、子どもを裸のまま放置して去る。
  それが産んだ子どもに示す唯一の愛情と母性である。

 ●産まれたばかりの「岩人間」の子どもの体長は、平均28mm15g。昆虫サイズである。

 ●スズメ蜂が子どもを襲って来るが、「岩人間」はその事を本能で知っていて、むしろそれを望んでいる。
  スズメ蜂の体表の死角に抱き付き、そのまま巣まで運んでもらう。

 ●体表を半分「石化」させ、身を守ったまま、巣の中で「女王蜂」に出逢う。
  そして、柔らかい部分から体内に潜り込み、半分生かした状態で「女王」の体を乗っ取る。

 ●「女王」の体内という、温かく安全な寝床と豊富な栄養を手に入れて17年間過ごす。

 ●代々の「女王」の体内でじっとしながら、蜂の社会の中で様々な事を独りで学び取っていく。
  自然界の法則や、流れ行く時間や、数の概念や、集団の中で生きていく術を。

 ●17年後、急激に身長が伸び、スズメ蜂達を皆殺しにして外の世界に出て行く。

 ●「岩人間」は単独が基本生態で家族を持たない。しかし、利益のために「集団」を作る事はある。
  それはあくまで損得関係であり、同士間での愛情や友情は無い。

 ●地面と岩と石にこだわり、「大地からの恵み」こそが真の利益であり、
  「岩人間」に特別な力を与えてくれる「特別な場所」こそが真の棲み家である。
  そのため、移動し続ける「ヒト」とは認め合う関係は築けないし、同化する事は絶対にあり得ない。


―― といった具合です。とんでもない生物ですね。人間とは根本からあまりに違い過ぎる。理解し合えないのも当然かも。
第46話では、6年ごとに「変態」すると書かれています。この図解は体長が記されておらず、あくまで体格の変化のみが描かれているので、特に矛盾は無いって事にしましょう。また、17歳の時に訪れる身長の急激な伸びは、6年ごとの「変態」とは別に起こる現象なのかもしれません。一生に一度の巣立ちの儀式みたいな。
そうやって巣立ちして、人間社会に溶け込んでいくワケですが……、いくら知能が高いとしても、言語や文化はさすがに独りじゃ何ともならないはず。同族の巣立ちを察知した大人の「岩人間」がやって来て、最低限の教育や準備をしてくれたりするのかもしれません。面倒見が良いというよりかは、「岩人間」の存在が人間達にバレないための保身であり、いつか借りを返してもらおうという打算でもあるのです。
「大地からの恵み」や「特別な場所」については、他のページに書きました。(⇒ No.2 【第1版(追記2)】参照)


お次は、「岩生物」の存在理由です。
要約すると……、40億年ほど前に生命が誕生したが、その時に「炭素」を基本とする細胞と「ケイ素」を基本とする細胞が生まれた。個数や割合は少ないが、このケイ素系細胞で体が構成された生物が「岩生物」である。「岩生物」=ケイ素系生命が存在する理由とは、炭素系生命が失敗し行き詰まってしまった時のための「滑り止め」であり「保険」である。「創造主」は、この地球から生命そのものが滅んで失われないように、あらかじめ2つの道を作ったという事。
なんか、本命にフラれた時のためにキープされてる2番手みたいな感じで気の毒ですけど、とにかく、なんと「岩生物」もこの地球上に自然発生した生命である事が明確になりました。この「岩生物」は、かなりアクロバティックな進化を遂げた生物が多い模様。明負院長が「ドゥードゥードゥー・デ・ダーダーダー」という「岩昆虫」を使って攻撃して来ましたが、竹簡というか南京玉すだれというか、そんなパーツが組み合わさった体をしてる。さらに、その体をクレーンのように組み替えて攻撃し、「毒」を喰らった相手は関節を伸ばすと「石綿」が体内から溢れ出てくる。どーゆー生物!?
ただ……、これまでも繰り返し書いてきた通り、後天的に「岩生物」=ケイ素系生命になれる方法もあります。炭素系生命が「生命の実」を食べればケイ素系生命に、ケイ素系生命が「知恵の実」を食べれば炭素系生命に、それぞれ生まれ変わる事が出来るのです。恐らく、両系統の生命のバランスを保つ目的で、また、どちらかの生命の道が完全に断たれた時にもう1つの道へシフト・避難させる目的で、「創造主」が救済措置として創り出した物。どちらの「果実」にも、細胞を構成する炭素とケイ素を「等価交換」する効能があるんでしょうね。(⇒ No.23 【第1版(追記8)】参照)




(2015年1月9日:【第1版】更新)
(2015年6月24日:【第1版】追記1・2)
(2015年8月23日:【第1版】追記3・4)
(2017年5月7日:【第1版】追記5)
(2018年2月2日:【第1版】追記6・7・8)
(2020年5月6日:【第1版】追記9)
(2020年7月23日:【第1版】追記10)




TOP   <<No.24  戻る  No.26>>     簡易ページへ

inserted by FC2 system