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「ジョジョリオン」の謎と考察・予想をまとめたよ


No.25 【 「岩人間」とは何なのか? 】





【第1版】
(追記4:詳細)
第46話冒頭の「岩人間」解説について、ここで以下の通りまとめてみました。ちなみに、No.25主要ページはこちらです。 No.25



 ●「睡眠期」は個体によってそれぞれで、突然、その時期が訪れる。一度眠ると30〜90日は眠り続ける。

 ●「覚醒期」は2ヶ月間ほど眠らない。

 ●岩石化した際には、表面に浅いヒビが入っている。この本数は年齢と一致する。
  この時、呼吸も停止するが、ヒビの間から弱い皮膚呼吸をしている。

 ●岩石化している時は、体温脈拍体臭等はほとんど無くなる。
  ただし、厳密には、最深部で3分に1〜2度の脈拍と微弱電気信号の活動がある。
  体臭も、犬や『キング・ナッシング』が感知できる程度には残っている。

 ●岩石化している時でも、肉体が破壊されると出血する。

 ●岩石化している間は、高温では950℃、低温では-240℃の状況下でも25年以上生存が可能である。

 ●岩石化は、水分を一気に内部へと移動させ乾燥させる細胞システムによって行われる。
  炭素成分の多い細胞壁は、水分を移動させるとシェルターのように閉じていく。体内の老廃物をも利用しながら硬質膜を形成し、体表を覆っていくようだ。
  (特殊な物質を分泌したりもしているのかもしれない。)
  衣服や所持品なども、この硬質膜で覆ってしまうため、肉体と一緒に岩石化する。
  岩石化を解くと、全身の硬質膜はかさぶたのように剥がれ落ちていく。

 ●「睡眠期」の60日間で、体内で真珠を作る者もいる。

  恐らく、「硬質膜」は貝殻に近い生体鉱物なのだろう。

 ●「睡眠期」には、体表にゼニゴケやニガクリタケ(毒キノコ)が生えやすい。

 ●神社の境内、石像のある公園、金持ちの家の庭、リスのいる樹木の下、もみじの木の下を、寝床として特に好む。

 ●過去に噴火や水害・土砂崩れのあった場所、目醒めた時に溺れるリスクのある場所、鳥のフンの落ちてくる場所、うるし科の樹木の近くを、寝床として特に嫌う。

 ●「岩人間」の95%はスタンド使いである。

 ●オスメスがいる。セックスをして、子どもが産まれる。

 ●目視において、「人間」と形状の違いはない。
  「岩人間」の皮膚は、触れると妙にしっとり潤っていてエロい。

 ●まれに「人間」の異性と恋に落ちる者もいるが、統計によると97.5%は破局している。
  破局は「殺害」という形で終息する。

 ●遺伝学上、「人間」との間に子どもは出来ない。

 ●6年ごとに「変態」する。
  「変態」は「睡眠期」に行われ、「脱皮」する事で一気に姿を変えて成長する。

 ●推定寿命は約240歳である。

 ●年齢により、眠り方のポーズが異なる。その理由は不明。

 ●全個体共通して、フルーツのマンゴーにだけアレルギー反応を示す。(マンゴーもうるし科)
  また、蜂蜜が好物である。

 ●野菜・木の実・肉類・魚類……と、あらゆる生物を食べる。

 ●大地と自然の中においての神の力を信じている。その力に畏敬の念を持ち、謙虚である。

 ●生理学上もしくは歴史的理由により、「人間」との共存や相互理解は不可能である。

 ●気温や天候の変動をも超越して生きる事が可能なため、家や土地、カネなどの財産を必要としない。
  集団性も非常に弱いらしく、組織や国家を持とうとしない。

 ●ここ数千年の「人間」の人口増加や文明の発展による、土地や生活環境の減少のため、人間社会の中に「寄生」という形で共生する者も存在する。
  彼らは「人間」の学問や言語を取得し、戸籍を奪い取り、土地や財産を持って、人間社会にうまく紛れ込んでいる。
  所有欲というより、あくまで人間社会を利用しているだけである。

 ●「人間」とは根本的に生活リズムが異なるため、勤務時間の決められている職業には就けない。
  夜露は建築家、愛唱は非正規の警備員であった。休載の多い漫画家なども「岩人間」である可能性が高そうだ。

 ●「岩人間」の総人口は未統計のため、不明。

 ●死ぬと短時間で組織が崩壊してしまう。そのため、土塊のようになって死体が残らず、ミイラや化石も発見されていない。


――荒木先生がすんごい細かく設定を作り込んでいる事が窺えますね。でも、さらにもっと深くツッコんで考えてみたいと思います。

やたらと詳細で、しかも統計調査まで実施してゲットしたらしいこれらのデータ……。一体、誰が何のために集めたものなんでしょうか?無論、単純に荒木先生のこだわりや遊び心で考えられた設定を読者に教えてくれただけって事は百も承知。そこにあえて、物語上の意味をも持たせてみようじゃないかという試みです(笑)。
……で、結論から言うと、これらのデータは「記憶の男」が集めたものなのです。彼自身も「岩人間」なのですが、あくまで後天的に「岩人間」になっただけ。(⇒ No.5 【第1版】参照) もちろん「岩人間」の事など、ほとんど何も知りませんでした。自分が何者になったのかは、ちゃんと知っておく必要があります。それに、目的のために利用できるものは何でも利用するのが彼の性格。同じ「岩人間」達もうまく利用できないかと目論み、「岩人間」の生態や歴史などを、長年に渡って独自に調査・研究してきたのです。
つまり、第46話冒頭の「岩人間」解説は、「記憶の男」が集めた膨大なデータの中から、彼の目的に支障がない程度の(我々読者に明かしても良い程度の)情報のみを開示したものに過ぎないのです。ストーリーが進むにつれ、ここには書かれていない新たな情報もどんどん描かれていく事でしょう。



(補足&仮説1)
「岩人間」の詳細が明かされたのは良いのですが、まだまだ謎は多い。例えば、硬質膜が所持品なども覆って、目が醒めると剥がれるとか書いているのに、死んだら所持品ごと岩石化して崩壊していったりもしています。また、岩石やコンクリートなんかの内部に潜り込んで移動・通過する現象も、説明がされていません。……気になるじゃないですか!
そんなワケで、「岩人間」解説を踏まえて補足した上で、「岩人間」の細胞や肉体のメカニズムに迫る仮説を(無理矢理)立ててみました。とは言っても、私は生物や科学の知識なんてまるで無いアホ頭なので、だいぶファンタジー入ってます(汗)。




まず、肉体の岩石化のメカニズムについて。順を追って見ていきましょう。

 @細胞1つ1つから、水分を体内深部へと一気に移動させて集める。
   ⇒ 水分をコントロールできる細胞であるがゆえに、保水・保湿の働きも強く、通常は肌がしっとり潤っています。
 A水分を失った細胞が乾燥し、硬くなっていく。炭素成分の多い細胞壁は、特に硬くなる。
   ⇒ これだけでも充分に硬いけど、柔軟性・弾性を失う分、脆さもあります。
     また、植物や菌類の細胞にしかないはずの細胞壁も、「岩人間」は持っているようです。
     これによって、乾燥した細胞を保護しているのでしょう。
 B細胞内から分泌した老廃物や特殊な生成物などから、「硬質膜」を体表に形成する。それが全身(衣服・所持品含む)を薄く覆う。

   ⇒ 細胞小器官の図解を見る限り、ゴルジ体から放出された分泌小胞により、老廃物や特殊な生成物の分泌が行われている模様。
     ケイ素や鉄分、マグネシウム、カルシウムなども多量に含まれているかもしれません。
     いずれにせよ、この「硬質膜」で全身をさらに強く硬くコーティングするのです。
 C岩石化完了ッ!

……これが基本となります。硬質膜に関しては、「特殊な生成物を分泌」などと曖昧に書いて濁しちゃいましたけど(笑)。ともあれ、岩石化はイメージ的に、クマムシの「クリプトビオシス(乾眠)」やカイガラムシの「虫体被覆物」にも近いものかもしれません。
続けて、関連する分析や仮説もいくつかまとめておきましょう。

 ●もしも肉体の全てを完全に岩石化してしまったら、そもそも生命を維持する事すら出来ないだろう。
  体内の深部に行くほど、岩石化・硬質化の効果も徐々に弱まり、水分が集まった最深部では柔らかさ・瑞々しさを保っている。
  そこでは、生存に必要な最低限の生体活動が行われている。

 ●細胞の乾燥によって肉体が硬質化しているものの、血管や神経はそのまま体中に張り巡らされている。破壊されれば、もちろん出血もする。
  もっとも、「睡眠期」に入ると生体活動もほとんど停止し、血液の循環も非常に緩やかになっている。そのため、血が出ても、そんなに激しく流血はしない。

 ●岩石化している時は、皮膚呼吸で全身に酸素を取り込んでいる様子。
  生体活動(血液循環も肺呼吸も)がほぼ停止している分、皮膚呼吸程度の少ない酸素量でも生存可能なのだ。
  反面、皮膚呼吸を阻害されたり、体内の酸素を少量失ったりするだけで、細胞や体組織はあっさり劣化・崩壊してしまう。
  (ただし、年齢を経るごとに酸素がより多く必要となり、それに伴って、皮膚呼吸するためのヒビの数も増えていく。)

 ●6年サイクルで、「睡眠期」に脳下垂体や甲状腺が活発化。成長ホルモンや甲状腺ホルモン等を分泌し、成長を急激に促進する。
  この時の「睡眠期」は、例外的に肉体の岩石化・硬質化が弱く、生体活動も活発に行われる事となる。
  ただし、「硬質膜」はキッチリと体表を覆うため、見た目には区別が付かない。
  そして目醒めた時、この「硬質膜」が古い外皮と共に剥がれ落ちて、一気に成長を遂げた「岩人間」が現れる。
  これが「脱皮」による「変態」である。
  もっとも、「変態」と言っても、さすがに昆虫(幼虫⇒蛹⇒成虫)のような劇的変化はないようだ。

 ●「硬質膜」を眼球や舌から作り出す場合、ラップ状の透明な「膜」として体外に吐き出す事も可能。
  これは、涙や唾液といった体液が「硬質膜」の材料として多分に利用されたためであり、この「透明膜」は水分を含んでいて柔軟性・粘性にも富んでいる。
  それでいて、並みの方法では切ったり破いたり出来ないほどの頑強さも併せ持っている。
  しかし、その材料ゆえに不安定でもあり、長時間に渡って形を保つ事は出来ない。数分程で「透明膜」は脆くなり、崩壊してしまう。

 ●「透明膜」は体液から作った「硬質膜」であるためか、気体と液体を通しやすい性質がある。(ただし、固体は容易には通さない。)
  作中でも、「透明膜」に口を覆われている康穂が、普通に呼吸をしたり水を口内に入れられたりしていた。
  逆に、口から水を吐き出せなかったのは、夜露の『アイ・アム・ア・ロック』の能力で口内奥へと水を集められ続けていたせいと思われる。




そして、岩石内部の移動・通過のメカニズムについて。

「岩人間」は、細胞間の水分の移動を抑え、乾燥・硬質化の度合いを弱める事で半岩石化も可能。ある程度の硬さを維持したまま動く事が出来ます。
……で、ここからが重要なのですが、「岩人間」はさらに「等価交換」の力も持っているのです。「岩人間」の細胞には、「生命の実」を食べる事で得た聖なるパワーが宿っているワケです。(⇒ No.23 【第1版】参照) ただし、その「等価交換」は、近しい存在である岩石・鉱物に対してのみ行なう事が可能なもの。「ロカカカ」を食べた者よりは上回り、「壁の目」よりは下回る、不完全でいびつな効力に過ぎません。
以上を前提として考えました。では、また順を追って見ていきましょう。

 @半岩石化する。
   ⇒ 岩石に溶け込み、その内部を自由に動くためには、肉体を半岩石化させる必要があります。
     岩石と近しい存在にならねば、「等価交換」の力も発揮できないのです。
 A岩石に触れ、「等価交換」を行なう。
   ⇒ 何と何を「交換」するのかと言うと、互いの「座標」であり「領域」であり「場所」であり「位置」。
     「岩人間」と岩石、それぞれを構成する細胞1つ1つ、元素1つ1つ、原子1つ1つの「位置」を入れ替えるのです。
     これが同時に、無数に、連続して行われ、「岩人間」の肉体は分解と構築を岩石内部で繰り返します。
     こうやって、岩石内部に潜り込んで、ジワジワと移動できるってワケです。
     (「岩人間」が自身の意志で行える「等価交換」は、この利用法1つだけ。)
 B移動完了ッ!




では最後に、死ぬ時のメカニズムについて。

「岩人間」は本能的・運命的に、生体活動が完全停止すると「壁の目」の一部になろうとします。そもそも「壁の目」とは、「岩人間」や「(石化病の)発病者」達の成れの果てであり、言わば死体の山なのです。(⇒ No.2 【第1版】参照)
これが前提となります。ではでは、また順を追って見ていきましょう。

 @死の直前、本能的・反射的に「等価交換」が行われる。
   ⇒ これは自身の意志とは無関係で、無意識のうちに勝手に行われます。
 A「等価交換」の作用で、細胞内に残る全エネルギーが放出・消費される。
   ⇒ 残った「エネルギー」と何を「交換」するのかは、下記Cにて説明します。
 Bエネルギーの放出・消費に伴い、体内で熱が発生。体温が異常上昇。
   ⇒ 細胞内や血中などの水分が全て蒸発。酸素も排出。全身はカラッカラに乾燥し切って、崩壊していきます。
     夜露を捕縛した漁網が溶けたり燃えたりしていない事から、体温はせいぜい100℃超ってトコでしょう。
     (合成繊維製の漁網は、主にポリアミド製らしい。融点は200℃を優に超えます。)
 C「等価交換」の作用で、衣服や所持品が「岩人間」の細胞に変容する。
   ⇒ 自分の一部・延長線上として認識していた物を、本当に「自分の一部」にしてしまいます。
     こうして衣服も所持品も「岩人間」に取り込まれ、一体化・岩石化。一緒にボロボロと崩壊していくのです。
     これは、やがて「壁の目」となる自分を少しでも増やしたい、「壁の目」を少しでも大きく成長させたい、という本能ゆえの現象。
     (夜露を捕縛していた漁網は、自分の一部として認識できないため、岩石化もしませんでした。)
 D死亡完了ッ!


……これらがほぼ同時進行的に起こり、「岩人間」はあっと言う間に衣服や所持品ごと崩れ去ってしまうワケですね。かくして「生物」としての死を迎えるのです。



――以上、私が強引に仮説を立ててみた、「岩人間」の細胞や肉体のメカニズムでした!「究極生命体(アルティミット・シイング)」や「柱の男」程ではないにせよ、人間よりは遥かに、自分の細胞や肉体をコントロールできるように進化した生物みたいです。




(2015年8月23日:【第1版】追記4:詳細)
(2015年8月29日:【第1版】補足&仮説1)




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