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「ジョジョリオン」の謎と考察・予想をまとめたよ


No.29 【 定助が「壁の目」で発見されるまでの経緯は? 】





【第1版】 (旧版)
「壁の目」の泉にて、定助は康穂と出会いました。定助には自分自身に関する記憶が失われており、自分がどこの誰かさえ分からない。
そんな定助が「壁の目」で発見されるまでの経緯や流れは、どのようなものだったのでしょうか?
……これはもう、他の全ての謎をも包括するようなドデカくってざっくりした謎と言えましょう(笑)。で、大雑把なストーリーを予想・妄想してみました。



今の定助を形作る「吉良吉影」ともう1人の人物「X」。この「X」は、かつて杜王町に流れ着いた幼児と、ジョースター家の1人娘ホリーとの間に産まれた男の子。しかし、母:ホリーは吉良吉輝という男の計略によって結婚させられ、遥か遠い日本へ。「X」はアメリカの地にて、父親と2人で小さなボロ屋に暮らしていたのだった。2人は「岩人間」だったが、人の目を避けるようにひっそり生活していたため、その事には気付かれずに済んでいた。
しかし、ある日突然、父親が姿を消してしまう。「X」が1人で途方に暮れていたところ、母からの手紙が届いた。それは、すぐに自分のもとへ来て欲しいという内容。こうして「X」は、母がいる地であり父が漂着した地でもある、日本・杜王町へ旅立った。2011年3月になったばかりの頃の事である。
母と久しぶりの再会を果たす「X」。だが、ここで「X」は、母から父の死を告げられる。さらに、彼のスタンド能力によって、ホリーは自分の臓器の一部を奪わせたのだった。ジョースター家にのみ伝わる「秘密」を、脳ごと彼に託すために。その「秘密」とは、「壁の目」に宿る聖なるパワーを解き放つ方法。「壁の目」や「フルーツ」の力を失わせ、「岩人間」を普通の人間にし、体が石のようになる病気「石化病」もこの世から消滅させる……、言わば全てをゼロに戻す方法である。
「X」は母から託された「秘密」を、かつて父から貰った宝石に閉じ込めると、それを誰も知らないどこかに隠してしまう。その「秘密」の方法を実行されては困る者達がいて、「秘密」を探っているらしいのだ。父を殺したのも、そいつらに違いない。


母から託された「秘密」を実行すべく動き出す「X」。必要な場所や物を探していたそんな時、彼は吉良吉影と出会う。吉良はホリーと吉良吉輝の息子、つまり「X」にとっては父親違いの弟。お互い複雑な感情はあるものの、同じ「母」を守るために協力を誓い合う。
吉良が単独行動に出掛けている最中、「X」は今度は八木山夜露という人物と遭遇。彼もなんと「岩人間」であった。初めて出会う父親以外の「岩人間」に、「X」は親近感さえ覚える。夜露は、自分が仕事で使わせてもらっているという東方家の「離れ」の地下室に「X」を招き入れると、お互いの話をして盛り上がった。住む場所もない「X」に、夜露は地下室の1室をこっそり貸してやるのだった。
そして、数日が経った3月11日。未曾有の大震災が東日本を襲う。杜王町の被害もまた深刻なものであった。町中が大混乱の中、ようやく地下室に戻り、疲れて眠りに就く「X」。ところが、そこに夜露が襲い掛かって来たのだった。意味も理由も分からぬまま戦うハメに。その結果、「X」は夜露の能力にハマり、集まって来た岩に挟まれて死にかける。(いくら「岩人間」と言えど、他人のスタンド能力の支配下に置かれた岩までは「通過」できないらしい。) その時、なんと吉良が現れ、夜露と応戦。夜露は「X」が死んだものと思い込み、さっさと姿をくらましてしまう。
「X」は辛うじて生きていた。吉良の助けのおかげもあるが、何故かいきなり地面が隆起し始め、「X」を夜露の能力射程外まで押し上げてくれたのだ。そのため、岩に押し潰される直前、ギリギリで能力は解除された。だが、「X」はそのまま意識を失ってしまう。


目を覚ますと、「X」は見知らぬ男に匿ってもらっていた。その男こそ「記憶の男」。彼は吉良の知り合いで、しかも「岩人間」でもあった。
彼が言うには、自分も「X」や吉良と志を同じくする者であり、普通の人間になりたいと望んでいるらしい。そのため、吉良と協力関係を結んでいるとの事。同じ「岩人間」でも個人の考えには差があって、夜露は逆に、「岩人間」という優れた存在が人間を支配する世界を望んでいる。ところが、「岩人間」をただの人間に戻してしまう「秘密」を「X」が握っている事を知り、殺しに掛かって来たのだと言う。父の仇も夜露に違いない。
「記憶の男」は「X」を誰にも知られない場所に匿い、そこでひたすら回復に専念させるのだった。「X」のケガは人間ならとっくに死んでいるはずのもので、生命力の強い「岩人間」ですら死にかけるほどの重傷。完全回復には半年近い月日を要したのだった。


……そして、ようやく自由に動けるまでになった「X」。「記憶の男」と共に、隆起した土地「壁の目」を訪れる。やがて、吉良も遅れてやって来た。
すると、「X」は突然、気を失ってしまう。なんと「記憶の男」が、「X」に睡眠薬を盛っていたのだ。「記憶の男」は「X」の服を脱がせ、吉良もまた裸になる。さらに吉良は、自分の手首に「本屋のマーク」を描き、ついさっき買って来たばかりの帽子を「X」にかぶせた。そのまま、「X」と吉良は「壁の目」の土に埋まってしまうのだった。その様子を見届ける「記憶の男」。
――次に「X」が目覚めた時、彼はすでに彼ではなくなっていた。自分の事は何も憶えていない。目の前には、1人の女の子。こうして、物語は始まったッ!





「X」は何も知らずにいたが、実は「記憶の男」こそが全ての黒幕的存在だったのだ。
彼は東方家に怨みを抱く一族の末裔であると同時に、ディエゴ・ブランドーの息子でもある。1901年、見た事もない「フルーツ」をたまたま見付け、それを食べた事で「岩人間」になった。穏やかで知的・紳士的な男を見事に演じ切っているが、実際は異常に計算高く口が巧い、冷酷で大胆な男。
偶然にも手に入れた体質を利用し、幾度となく東方家に忍び込んでいた彼。その中で、彼は自分と同じ体質を持つ幼児を知る。その子はどこからか杜王町へと漂着した子らしく、東方家が預かる事にしたのだった。また、東方家(2代目憲助:常平)が密かに書き記していた日記には、その幼児が発見された時に口にしていた「フルーツ」についての記述もあった。幼児が時折、岩のような体になる事も書かれていた。「記憶の男」はその日記を読むと、盗んで処分。そのため、現在では東方家の誰も「フルーツ」や「岩人間」の存在を知らずにいる。
やがて、幼児がアメリカのジョースター家に預けられる事になった。そして長い時を経て、大きく成長した幼児は、ホリー・ジョースターと恋に落ち、1人の男の子をもうけたのだ。それが「X」である。


「記憶の男」は東方家のみならず、ジョースター家についても監視するようになる。ジョースター家にも「石化病」が発病し出したからだ。それは即ち、彼が憎む東方家とまったく同じ血を継いでいる事を示す。さすがにアメリカなので日本の東方家ほどの頻度とはいかないが、彼はたまにアメリカへと渡っては、ジョースター家にも忍び込んでいたのだった。そうやって情報を集めながら、自分の計画を着々と進行させていったのだ。
しばらくの時が過ぎたある日、「記憶の男」は、自分と同じように東方家を探り回る1人の少年を発見した。それが吉良吉影。彼もジョースター家の人間で、「石化病」の宿命を背負う一族の末裔である。しかし、どういうワケか自分には発病せず、その理由を探しに親戚の東方家へ忍び込んでいたのだった。「記憶の男」は吉良との接触を試みる。吉良に「石化病」が発病しない理由は、「X」が存在しているから。「X」は吉良の父親違いの兄。ジョースター家の長子は吉良ではなく、「X」の方なのだ。その衝撃的な事実を教えてやると、吉良は「記憶の男」に興味を惹かれるのであった。
2人は、手を組む事にした。吉良の目的は、「石化病」の克服。それに関わるであろう「秘密」を母:ホリーが知っているはずなのに、何故かどうしても教えてくれない。母に「石化病」が発病する前に、なんとしてでも「秘密」を聞き出したい。母を、そして自分達ジョースター家を救いたい。一方、「記憶の男」の最終的な目的は、自分だけの理想郷「エデンの園」の創世。だが、東方家への復讐もまた、大切な目的の1つである。吉良も東方の血を引く以上、復讐の対象。吉良を復讐のために利用する事にしたのだ。
「記憶の男」は吉良に、東方家がジョースター家を人柱にしようとしていると告げる。東方家は「石化病」を赤の他人に移し替えたりはしない。家族の中の誰かが長子の身代わりになるのだ。その身代わりとして、同じ血を引くジョースター家を使うつもりでいる。そんなデタラメを吹き込むと、吉良は東方家を疑惑し、嫌悪し、警戒し始めるのだった。(妹の存在を東方家から隠したのも、そのせい。) こうして、東方家という共通の敵が生まれ、吉良はそれゆえの仲間意識を「記憶の男」に抱いたのである。


ホリーだけが受け継ぐ「秘密」を知る事は、「記憶の男」にとっても重要。長年に渡って一子相伝とされ、決して実行されずにいた「秘密」。どんな内容なのかはともかく、とんでもない事が起こるであろうとは想像できる。何をしたらどうなるのか、何をすべきで、何をしてはいけないのか。それをちゃんと知っておく必要がある。万一、それと気付かぬうちにその「秘密」を再現してしまったら、目的が永遠に果たせなくなる可能性すらあるのだ。
だがホリーは、自分の息子:吉影にさえ教えようとはしない。増して、彼女にもついに「石化病」の兆候が見られるようになった。強引に口を割らせる事は難しい上、時間も残り少なくなっている。そこで「記憶の男」は、「X」を利用してみる事にしたのだ。彼はアメリカへ渡り、「X」の父親を殺害。その証拠(写真か何か)を杜王町のホリーに送り付ける。ホリーはすぐさま手紙を書き、「X」を日本へと呼ぶのであった。自分は「石化病」が発病しかけているが、杜王町なら吉良家の兄妹もいるし、東方家もいる。きっと「X」の力になってくれるに違いない。水面下で蠢いている悪意など露知らず、ホリーはもう1人の息子「X」を杜王町に招き入れてしまったのである。
ホリーは「X」と久しぶりの対面。「X」の純粋で真っ直ぐな性格を信頼し、彼に「秘密」を託すのだった。「X」のスタンド能力は、ホリーの知る「秘密」を脳ミソや臓器ごと奪い取る。これで「記憶の男」のターゲットは、完全に「X」に移行。そこに吉良を差し向け、偽りの協力関係を結ばせる。


さらに「岩人間」八木山夜露をも、「X」にぶつけてみるのだった。
「記憶の男」が、1901年に「二本松」から大量にもぎ取った「フルーツ」。それは「生命の実」と「知恵の実」という、聖なる果実であった。「岩人間」とは、「生命の実」を食べて進化した存在なのだ。彼は、自分の計画に役立ちそうな人間に「生命の実」を与え、「岩人間」に変えて増やしていた。さらなる進化を促す「果実」を新たに作り出し、自分達「岩人間」がこの世を支配する。そんな話をまんまと信じ、「岩人間」達は彼に協力するようになった。その中の1人が夜露である。
(もっとも、「生命の実」を大量生産したい「記憶の男」は、フルーツのプロである東方常敏とも手を組んでいた。常敏は常敏で、新しい「果実」を生み出そうと研究しているため、あながち全てがウソというワケでもない。
「石化病」も「岩人間」も消し去ろうとする「X」の目的を知った夜露は、怒りのあまり暴走し、「X」を殺そうと襲い掛かった。さすがに何も解決していないうちに殺すのはマズイ。仕方なく、吉良に「X」を救助させる。するとその時、なんと地面が隆起し出し、「壁の目」が現れたのだった。「X」は世にも奇妙な生粋の「岩人間」 (2015/08/23:削除) もしかすると、聖なるパワーを宿す土地と、敏感に反応し合っているのかもしれない。予想以上の出来事に驚く「記憶の男」。
「X」という存在は、「岩人間」と普通の人間との間に産まれた奇跡。「聖なる遺体」並みのイレギュラーなのだろう。ならば、もう数百年は力を取り戻せないはずの「二本松」が、再び「生命の樹」「知恵の樹」として「果実」を実らせる事もあり得る。そうなったら、自分の計画は一気に最終段階へ進める。「記憶の男」は、そんな淡い期待を抱くのだった。
そして「記憶の男」は、吉良に「X」との「融合」を提案。「X」を「壁の目」と接触させれば、さらなる反応を示すかもしれない。それに、もし「X」とも「吉良」とも違う新しい人間になったとしたら、今よりもっと都合良く利用できるようになるだろう。吉良からしても、「X」と「融合」すれば、吉良自身が「X」になれる。「X」だけが知る「秘密」も全て自分のもの。また、「記憶の男」にも誰にも打ち明ける事なく、吉良が密かに企んでいた、東方家とジョースター家の分かれた血筋を1つに戻すという目論見。これぞまさしく渡りに舟。利害が一致した吉良も、「記憶の男」の提案にあえて乗ってやるのだった。
(血筋を1つにするだけであれば、本来なら吉良じゃなく「X」でも良いのだが、「X」は人間との生殖が不可能な「岩人間」。どっちみち吉良がやらなければならない。)


夜露との戦いで大ケガを負った「X」は、「記憶の男」が匿ってやった。この時点で初めて「X」と「記憶の男」は出会う。「X」は「記憶の男」の話をあっさり信用し、自分の協力者と認識してしまった。世間知らずで人が良い「X」は、他人に騙されやすいらしい。やがて「X」も完治し、いよいよ「融合」決行の時!
実はこの時、吉良は笹目桜二郎に捕われてしまっていたのだが、辛くも脱出に成功。どうにか「壁の目」まで辿り着き、とうとう「X」と「融合」したのであった。その様子を見届ける「記憶の男」。
――次に吉良が目覚めた時、彼はすでに彼ではなくなっていた。自分の事は何も憶えていない。目の前には、1人の女の子。こうして、物語は始まったッ!



(追記1)廃止
……と、まぁ、このようにまとめてみました。定助はかつての自分「X」について、「石化病」を追って杜王町に来たと推測していましたが、実際はちょっと違うのです。残念ながら、「X」には初め、そこまで明確な目的意識・行動原理などなかったんです。
「X」はもともと、奇跡的に誕生した生まれついての「岩人間」。自分が何者なのか、なぜ産まれてこれたのか、どうやって生きていけば良いのか、全然分からない。「自分」というものが希薄な男だったのです。しかも、父親とだけ関わり、他人との接触を避けて暮らしていた彼。自分自身の強い意志なんて何もなく、ただ流されるままの弱い存在でした。そういう意味では、記憶があろうがなかろうが、今の定助と大して変わりません。

そんな定助が、失われた「自分」を知るために動き出し、新しい「自分」を徐々に形作っていく。やがては自分の過去も今も未来も、自分という存在ごと、自分で認められるようになっていく。ただ流されて翻弄されるだけの「漂流者」から、自分で流れを掴んで進んで行ける「冒険者」へと成長していく。確かな自分の意志で道を選び取り、真っ直ぐに歩んでいく。そして、それは「重力」のように、周りの者達をも巻き込んでいく。それこそが、忌まわしき「呪い」を打ち破る「福音」です。
「定助」は本来、存在しないはずの人間。穢れた邪な欲望から生まれた、呪われた存在。たとえ記憶が蘇ったとしても、元の姿に戻れたとしても、「自分」など最初からどこにもいない。何者でもなかった哀しく孤独な定助が、少しずつ「何者か」になっていく物語。誰かを大事に想い、誰かに大事に想われていく物語。それが「ジョジョリオン」なのです。定助は結局、元の自分には戻れないでしょう。それでも、今の自分を認め、「東方定助」として生きていくのです。そして、同じように「自分」を見付け出す事が出来た康穂と結ばれてハッピー・エンド
奪われたものを元通りに取り戻す事は難しいし、起きてしまった出来事をなかった事には出来ません。でも、失ったものを受け入れながら、新しいものを築き上げていく事は出来るはず。1人では無理でも、誰かと一緒ならば出来るはず。「ジョジョリオン」という物語は、きっとそんな「勇気」と「祝福」を与えてくれる優しい物語になる事でしょう。そう予想しますッ!




なお、最新版はこちらに置いときます。 最新版




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