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「ジョジョリオン」の謎と考察・予想をまとめたよ


No.32 【 「サクナミ カレラ」は何者なのか? 】






【第4版】
大年寺山愛唱を撃破し、ついに再会を果たした定助と康穂。ところが、再会の喜びも束の間、定助の前に現れたのが「サクナミ カレラ」という若い女性でした。
このカレラ、なんと定助の半身「X」(⇒ No.12 【第2版】参照) の事を知っているらしく、定助を「セッちゃん」と親しげに呼んできます。しかも、吉良吉影の事まで知っており、「大っ嫌い」と評していました。彼女はどうやら、震災後札幌に行っていて、久しぶりに杜王町に戻って来た模様。
性格は一癖も二癖もあるようですが、彼女が物語の鍵を握る重要人物の1人である事は間違いないでしょう。ここでは、そんな彼女の謎について考えてみたいと思います。



ダモカンこと田最環とのバトルにて、「X(=空条仗世文)」と「吉良吉影」の過去編が描かれ、カレラも登場しました。それによると、彼女はなんと仗世文と同じT学院に通う大学生。しかも、学部まで仗世文と同じ農学部だそう。
……ところが、この時点で作中時間は2011年8月19日。3月11日の大震災はとっくに起こっているにも関わらず、仗世文とカレラにはほとんど接点が無かった様子。仗世文も辛うじて、彼女のフルネームを知っていたって程度です。もっとも、カレラの方は何故か仗世文の事が好きで、ストーキングまでしている始末。

ハッキリ言って、定助と会った時の彼女の発言とは全然一致しないように感じられます。特に、「あたしも震災でいろいろあったわ……」とか、「前の機種は震災で水没したけど……… 大好きなセッちゃんの昔の写真なら大切に保存してるよ」とか、「震災から半年も経ったから ほとぼりが冷めたと思ってた」とか……、妙に震災を起点に考えているっぽいセリフが多い点が気に掛かりました。それなのに、作中では震災など軽く飛び超え、5ヶ月以上も経過してます。
そもそもカレラは、この8月19日に、吉良に利用されて大爆発に巻き込まれてしまいました。そして、そんな彼女と再会する事もなく、仗世文は吉良と「融合」してしまったのです。康穂が「定助」と出逢ったのは、恐らく、その翌日の8月20日。つまり、カレラが仗世文とちゃんと関われた時間なんて最初から無かったって事。明らかに矛盾してる……としか思えない、この不自然さ。
……これについては、【第3版】で述べた記憶障害説を通したいと思います。『シアーハートアタック』による大爆発のせいで頭部に強い衝撃を受けたカレラは、一時的な記憶障害を患ってしまったのです。爆発前後の記憶が混濁して曖昧になり、現実と妄想の区別までもあやふやになっちゃいました。やけに震災にこだわっている風なのも、爆破の衝撃や、ちょうどこの日に起きた震災の余震が、強烈に脳裏に焼き付いていたから。ものスゴい災害に巻き込まれたと錯覚しているワケです。そのため、あの8月19日の出来事も一部、彼女の中では3月11日の出来事になっているのでしょう。
かくして、仗世文と吉良を見失い、自分まで「岩人間」とのトラブルに巻き込まれたカレラ。とにかく一刻も早く杜王町から出て、どこでもいいから遠くに逃げようとしたら、たまたまその場所が札幌でした。札幌という場所自体には、特に深い理由はありません。



しかし、記憶障害だけでは説明がつかない点もあります。「ロカカカ」や「壁の目」などについて知っている、という点です。しかも、「吉良が自室のキッチンに「ロカカカ」を隠していた」だの「それ以外の「ロカカカ」は処分した」だの、今にして思えば、まったく意味不明な事まで喋っていました。
ひょっとすると、8月19日より前から、吉良が単独でカレラと接触していた……のかもしれません。偶然にも吉良は、カレラがスタンド使いである事を知り、仗世文に想いを寄せている事にも気付いたのです。吉良にとって、カレラは「家族」でも「仲間」でも「友人」でも何でもない。しかし、「岩人間」を相手にする時、スタンド使いは貴重な戦力。うまいこと彼女を利用してやろうと、吉良はカレラに情報を与え、欲望を刺激しようと目論んだのです。
吉良はまず、自分が仗世文の知り合いであると告げ、カレラに近付きます。「仗世文もおまえの事が気になってるらしい」なんてテキトーな事を言いつつ、仗世文との仲を取り持つ約束をし、カレラには「出来る限り仗世文の後を尾ける」ように指示。「仗世文は奥手だが、自分から声を掛けようとしてる」「だから、いつその気になってもいいように近くにいてくれ」と言われ、カレラはあっさり従いました。実際はただ、吉良が彼女を利用しやすいように近くにいさせただけなんですが。

そんなカレラとの接触の中で、吉良は彼女に「ロカカカ」や「壁の目」、「岩人間」についても教えました。その時、母:ホリーの病気の事も簡単に話したのでしょう。カレラは「仗世文」と「カネ」が大好き。「ロカカカ」がカネになると教えれば、そして仗世文も「ロカカカ」を求めていると教えれば、彼女はより協力的になるはず。そう考え、カレラをあえて巻き込んだのです。
ダメ押しに、吉良はマンションの自室へ彼女を招きました。「岩人間」のアジトに侵入し、混戦の末、「ロカカカ」を全て処分してやった……と、ウソをつきます。もったいなかったが、「岩人間」どもに独占させるよりはマシだ、と。さらに、こっそりキッチンに「鉢植え」を隠し、わざとそれをカレラに目撃させます。カレラは当然、吉良が「ロカカカ」を1つだけ持ち帰ったものと誤解しました。ここまですれば、カレラは絶対に仗世文と吉良のそばを離れる事はありません。吉良がそう仕向けたのです。
――結局のところ、カレラが支離滅裂な事ばかり喋っていたのは、全て吉良の企み通りだったって事ですね。吉良からすりゃ、カレラは使い捨ての駒・道具に等しい存在。使わない手はありません。まあ、さすがに死なせるのは忍びなかったらしく、命だけは助けてやったようです。



エイ・フェックス兄弟の「よく半年間も持ちこたえていたな……」というセリフについては、恐らく、吉良がカレラと接触し始めた時期が震災前後あたりだったからでしょう。
カレラの素性や行動を調査した「岩人間」達は、吉良と一緒にいたり仗世文をストーキングしたりする彼女の目撃情報を得ました。そして、そんな姿が目撃され始めた時期が、3月頃だったワケです。「岩人間」からすれば、その頃からカレラは仗世文達の仲間になっていた……と結論付けるには充分。実際はまったく違うんですが、そう誤解しちゃったんです。
我々「岩人間」の情報網にも引っ掛かる事なく、よく半年も気付かれずにいられたものだ。よく捕まらずに逃げ続けていられたものだ。――あくまでそんな意味合いのセリフだった、と推測します。



(追記1)
吉良が意図的に、カレラに「ロカカカ」の話をした……とする根拠が増えました。それは、笹目桜二郎の存在です。
生前、吉良は桜二郎に「ロカカカ」について語っていたそうなのです。南の島に、病気を「等価交換」して治せるフルーツがある、と。かなり核心を突いた重大な情報を、あの桜二郎にまで教えていたという事実。無論、吉良は桜二郎をトコトン見下していたんですから、決して友情や信頼といった気持ちで話したワケではありません。ただ、桜二郎は逆に、それで「なんだかんだ言って、吉良はオレにこんな秘密まで話してくれた。怖いし憎ったらしいけど、やっぱりあいつはマブダチだぜ!……ま、復讐はいつか必ずしてやるけどな!」みたいに思うようになったのかも。

吉良としては、カレラ同様、桜二郎も使い捨ての駒・道具だったのでしょう。欲深いこいつなら、きっと「ロカカカ」という莫大な利益を求めて動くはず。自分がむやみに危険を冒さずとも、こいつが代わりに「岩人間」と接触し、あわよくば「ロカカカ」をゲットしてくれるかもしれない。スタンド使いなら、可能性は十分ある。そうなったら、そこを奪い取れば良い。そうならなかったとしても、「ロカカカ」との接点が生まれる事は期待できる。そんな風に考えたんじゃないかと思います。
桜二郎に自分の指を食わせるほどに追い込んだのも、肉体の欠損によって、より「等価交換」のパワーを、「ロカカカ」というフルーツを、強く求めるようにするためだったのかもしれません。まぁ、結局、桜二郎が実行に移したのは吉良の死後になっちゃったワケですが。ともあれ、吉良が他人に「ロカカカ」の話をした事実があった。これが重要です。




なお、旧版はこちらに置いときます。 第1版へ   第2版へ   第3版




(2015年6月11日:【第1版】更新)
(2015年6月21日:【第2版】更新)
(2015年7月18日:【第2版】追記1)
(2016年3月31日:【第3版】更新)
(2016年6月30日:【第4版】更新)
(2020年5月6日:【第4版】追記1)




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