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「ジョジョリオン」の謎と考察・予想をまとめたよ


No.32 【 「サクナミ カレラ」は何者なのか? 】





【第3版】 (旧版)
大年寺山愛唱を撃破し、ついに再会を果たした定助と康穂。ところが、再会の喜びも束の間、定助の前に現れたのが「サクナミ カレラ」という若い女性でした。
このカレラ、なんと定助の半身「X」の事を知っているらしく、定助を「セッちゃん」と親しげに呼んできます。しかも、吉良吉影の事まで知っており、「大っ嫌い」と評していました。彼女はどうやら、震災後札幌に行っていて、久しぶりに杜王町に戻って来た模様。
性格は一癖も二癖もあるようですが、彼女が物語の鍵を握る重要人物の1人である事は間違いないでしょう。ここでは、そんな彼女の謎について考えてみたいと思います。



第51話・第52話では過去編が描かれ、カレラも登場します。それによると、彼女はなんと仗世文と同じT学院に通う大学生。しかも、学部まで仗世文と同じ農学部だそう。……ところが、この時点で作中時間は2011年8月19日。3月11日の大震災はとっくに起こっているにも関わらず、仗世文とカレラにはほとんど接点が無かった様子。仗世文も辛うじて、彼女のフルネームを知っていたって程度です。もっとも、カレラの方は何故か仗世文の事が好きで、ストーキングまでしている始末。
ハッキリ言って、定助と会った時の彼女の発言とは全然一致しないように感じられます。特に、「あたしも震災でいろいろあったわ……」とか、「前の機種は震災で水没したけど……… 大好きなセッちゃんの昔の写真なら大切に保存してるよ」とか、「震災から半年も経ったから ほとぼりが冷めたと思ってた」とか……、妙に震災を起点に考えているっぽいセリフが多い点が気に掛かりました。それなのに、作中では震災など軽く飛び超え、5ヶ月以上も経過してます。
そもそも、定助が康穂と出逢ったのは、(私の計算上では)9月上旬頃と思われます。つまり、カレラが仗世文とちゃんと関われたのは、せいぜい半月程度のごく短い期間のみって事。明らかに矛盾してる……とすら思ってしまいかねない、この不自然さ。

しかし、この不自然な状況を、矛盾なく説明でき得るヒントが描かれていました。第52話で、「岩人間」に追い詰められた吉良は、カレラの髪の毛の中に『シアーハートアタック』を潜ませ大爆発ッ!夜露とダモカンを吹っ飛ばし、吉良と仗世文はまんまと逃亡に成功しました。幸いカレラは髪が焼けただけで死なずに済みましたが、この時、彼女の頭部は強い衝撃を受けた事でしょう。その衝撃のせいで、彼女に(一時的に)記憶障害が起きてしまったのです。
爆発前後の記憶が混濁して曖昧になり、現実と妄想の区別までもあやふやになっちゃいました。彼女の脳内では、仗世文とはけっこう長い付き合いで、つい最近撮ったばかりの集合写真も昔の想い出。ただでさえ「過去」には興味なく、普段から酒を飲んでフラフラな彼女が、さらに記憶までおかしくなってしまったものだから、もはやリアルに電波なお方です。定助は彼女について「どこも信用できない」と評していましたが、まさしくその通り。
と言うか、これは偶然ではなく、吉良が意図して狙った結果だったりします。このままでは、カレラは「岩人間」に捕われてしまう。カネや欲望に弱い彼女は、きっと仗世文の事さえあっさり売り渡してしまうだろう。しかし、支離滅裂な言動ばかりなら、「岩人間」も彼女の何を信じるべきか分からなくなる。そう読んだ吉良が、あえて彼女の記憶をメチャメチャにしてしまったワケですね。



なお、エイ・フェックス兄弟もカレラについて、「よく半年間も持ちこたえていたな……」と言っていました。カレラだけがおかしいならともかく、「岩人間」までもが震災を起点として捉えているようです。これは一体、どういう事なのでしょうか?
札幌に行っていたというのが本当だったとしても、1ヶ月くらいで杜王町に帰って来た計算になるし。
(ちなみに、札幌という土地は多分、カレラとは何の縁もゆかりもない土地なのでしょう。関わりの深い場所は、「岩人間」に真っ先に調べられそうですから。)

……恐らく、カレラは震災発生時、何らかの危機的状況に陥ったものと思われます。地震で倒れた物に挟まれたとか、津波に巻き込まれそうになったとか、そういう状況。そこに偶然、仗世文がいて、さりげなくカレラを助けていたのです。仗世文にとっては当たり前の行動だったため、すぐに忘れてしまったけれど、助けてもらったカレラにとっては特別な出来事。それがキッカケで、カレラは仗世文に恋をしたのでした。以来、彼女は仗世文をこっそり尾行し始め、ストーカーと化してしまったのです。
ヨットでの一件で、初めてカレラの存在に気付いた「岩人間」達。当然、彼女についても調べ上げます。その結果、彼女が仗世文の後にくっ付いて回っていたらしい事を知りました。実際は一方的なストーカー行為なんですが、「岩人間」達は、彼女が震災前後から仗世文の仲間になっていたと勘違いしてしまったのです。……で、半年以上も存在を知られる事なく潜み、しかも、存在がバレた後もうまく逃げ続けているカレラを評し、「よく半年間も持ちこたえていたな……」というセリフが出て来たワケです。
【第1版】や【第2版】では、カレラも「岩人間」と予想していましたが、このように、他の「岩人間」達は誰も彼女の事を知らなかった。普通の人間である可能性の方が高そうですね。




なお、最新版はこちらに置いときます。 最新版




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