TOP  戻る  6〜10巻>>



「ジョジョリオン」 コミックス感想
1〜5巻






★第5巻★ 杜王町『1901年』



<カバーイラスト>
飛行機の翼か何かのような場所に座る、定助・大弥ちゃん・康穂。そして、その横に立つのは、『ソフト&ウェット』常秀のスタンド。一際目立ってるのが、何と言っても常秀のスタンドですね。本体:常秀がハブられてる分、スタンドが頑張ってくれました!能力もデザインもめっちゃ好みで、ドえらいカッコイイ。イカしたシルエットですよ。ブルー基調のカラーリングも映えてます。それと、個人的に嬉しかったのは大弥ちゃんの服かな〜。定助と戦った時の、初登場時のファッションで久々に描かれていました。カワイイぜ。おっぱいも実にナイスおっぱいです。やっぱり康穂より大きいみたい。
今巻は全体的に落ち着いた色合いで統一していますね。目に優しい、というか。3巻は明るく、4巻は独特で不思議な印象のカラーでしたが、ここでまた方向性を変えてきました。そんな中で、中心の康穂のピンクが華やかに画面を彩ってくれています。ただ1人、読者に視線を向けている事もあって、ちょっとドキッとしますね。
背表紙は『カリフォルニア・キング・ベッド』ちゃんと常秀。なんか常秀の表情がイイ味してます(笑)。変な顔してるワケでもなく、ただの無表情な真顔なんですけどね。

<作者コメント>
絵にして楽しいモノについて。ポルナレフや仗助のヘアスタイル、『キラークイーン』のデザインなどは荒木先生にとってもお気に入りで、描いていて楽しかったようです。
「ジョジョリオン」でも『ソフト&ウェット』の耳が好きらしい。そう言われてみると、画集「JOJOVELLER」の特典DISCでも、シュシュッと気持ち良さげに描かれていたっけなあ。そして、康穂の花のスカートも、誰にも描かせたくないってくらい楽しんでいる様子(笑)。しかも、自分でデザインして描いときながら、「お尻がお花でモコモコして座りにくそう」と、康穂の心配までしちゃってるし。今巻のカバーイラストなんて、まさにその両方を堪能できる絵でした。作者自身が楽しんで描いている絵や作品って、やっぱり良いものです。
あと、さりげに荒木先生流の「仗助」と「定助」の区別の仕方が分かりました。文字で書けば区別なんて必要ないけど、発音上は同じ「じょうすけ」の2人。荒木先生は「仗助」を「旧仗助」と表現していました。なるほど。「旧仗助(きゅうじょうすけ)」「新定助(しんじょうすけ)」なら、簡単に区別できますね。これ採用。

<内容>
「カツアゲロード」での攻防。目醒める常秀のスタンド。そして、語られる杜王町の伝説。カツアゲなんていうしょうもない行為から、いつの間にか作品の核心に迫る秘密に繋がっているのがなんかスゴい(笑)。さすが杜王町。
特筆すべきは、「カツアゲロード」と常秀のスタンド名ですね。最近は本編よりもコミックスでスタンド名が明かされるケースが多いな。「カツアゲロード」のスタンド名は、『オータム・リーブス』。フランス語で『Les Feuilles』と言うようです。有名なシャンソンの曲名が元ネタっぽい。そして常秀のスタンド名は、『ナット・キング・コール』。「Nat King Cole」ならぬ「Nut King Call」です。もじりというか、ダジャレに近いレベル(笑)。
ラフ画は、無数の「しゃぼん玉」と網。これがウルジャン11月号(2013年)の#025のトビラ絵に繋がるワケか!たったこれだけの絵なのに、なんともファンタジックで奇妙な魅力があります。
さて、6巻の発売は来年春との事。連載は今のところ、あと1話で6巻収録分が溜まる計算になります。このペースで順当に考えるなら、3/18の発売になりそうな予感。まあ、楽しみにのんびり待つ事にしましょう。

(2013年10月19日)




★第4巻★ レモンとみかん



<カバーイラスト>
木々が生い茂る林の川岸っぽい場所で佇む、2人の定助&『ソフト&ウェット』。この絵も「レモンとみかん」というサブタイトルも、知らない人が見れば「何のこっちゃ?」でしょうけど、今巻の内容を象徴するものとなっております。捜し求めていた「自分」は「自分」ではなく、「自分」の内には2人の異なる「自分」が存在した。そんな受け入れ難い真実を示すかのように、2人の定助は互いに視線を逸らしてはいますが、『ソフト&ウェット』同士は距離を置きつつもしっかりと向き合っています。しかも、セーラー服のデザインを見れば分かる通り、2人の定助は完全に鏡合わせの関係。(たぶん、左側の定助は、星のアザも右肩にあるはず。)『ソフト&ウェット』なんて、ポーズも鏡合わせですし。これはまさしく、定助の心象風景を描いた絵とも言える事でしょう。
そんな定助の不安定な心は、色にも表れています。空と地面に塗られた薄暗いダークグリーン、川の水(?)に塗られたピンク。この組み合わせは、なんとも不思議な世界を創り出し、言い知れぬ不吉さをも感じさせてくれます。その中で真っ白に塗られた定助。彼の「白さ」が失われない事を祈らずにはいられません。また、定助のパンツが普段とは違い、サイドポケット付きの上、裾も折られている点にも注目。とにかく、この絵はいろんな意味で印象的で、これまでの「ジョジョリオン」の絵の中でも一番好きかもしれません。
背表紙は大弥ちゃん。まだ幼いのに、実にけしからんボディーの持ち主であります。彼女の背後にチラッと見えるのは、『カリフォルニア・キング・ベッド』ちゃんかな?

<作者コメント>
「SBR」12巻でも語られた「怒の季節」が、再び荒木先生に到来ッ!でも、この怒りはごもっとも。天気予報に限らず、CM明けまで引っ張る番組だらけですからねえ。で、引っ張る割に大したオチでもなかったり。もういいから、って感じです。
しかし、さすがはプロフェッショナルをこよなくリスペクトする荒木先生。そのようなどっち付かずの半端者に対しての怒りは、相当なレベルに達している模様。ちょっとおどけた口調なのが逆に怖いです。あいまいな存在を嫌うってトコは、なんか「ジョジョリオン」の吉良にも通じますね。

<内容>
康穂とホリーさんの邂逅、虹村さん戦の決着、僅かに明かされる定助の正体、そして「カツアゲロード」。8ヶ月振りとなる今巻の内容は超濃厚です。
まず注目すべきは、やっぱしスタンド名でしょうか。康穂のスタンドは『ペイズリー・パーク』、虹村さんのスタンドは『ボーン・ディス・ウェイ』で決定です!『ゴーイング・アンダーグラウンド』はミスだったか(笑)。でも、虹村さんの帽子や服には「G U」の文字が残っちゃってます。コミックス派の人に、「GU」で買った服なのかと誤解されていないか心配です。『ペイズリー・パーク』については、謎解き系ストーリーにめっちゃ好都合な能力ですね。こりゃあ、むしろ無意識の能力のままでも良いくらいかも。自由に使いこなせたら、あっという間に全ての謎が解明されちゃいそうだし(汗)。
そして、ホリーさんが康穂につぶやいた「家系図を調べて」の一言。やはりウルジャンには無かったセリフが追加されていたのか。これで#021の内容と繋がりました。このたった一言のアドバイスが、康穂の次の行動の動機になるワケで、さりげなく重要な追加点です。荒木先生もけっこう手探りでストーリーを練り続けているんでしょう。東方家の家系図、まだまだ謎が隠されていそうですね。
巻頭の杜王町マップももちろん更新。「カツアゲロード」の位置も分かりました。新たに追加された「遊歩道(暗きょ)」が、「ジョースター地蔵」の祀られた六壁遊歩道なんでしょう。こういう地図って、ただ眺めてるだけでもワクワクしますよね。ラフ画は康穂と定助の2点。相変わらずたまらんです。

(2013年5月18日)




★第3巻★ その家系図



<カバーイラスト>
海辺にて、オープンカーの後部座席に腰掛ける定助&康穂。すっかり心を許し合っているかのように、2人ともリラックスした穏やかな表情を浮かべています。ただし、「ヤンキー」と診断された事を密かに気に病んでいたのか、今回は車内でも靴は履いています。土禁ではありません。
康穂は完全に定助に体を預け、あられもないお姿を晒してくれています。すらりと伸びた健康的な美脚が眩しい。にしてもちょいと伸びすぎな気もしますが、漫画とは「誇張」するもの。康穂ののびのびした開放的な気持ちと、荒木先生の女体の美しさを描きたい想いが、彼女の脚の長さを「誇張」させたのでしょう。……しかも、もしかしてこれはパンチラ??それとも、太ももとお尻のお肉がそう見せているだけ??ど、どっちなんだ……ッ!?
定助はこんなおいしいシチュエーションにも関わらず、なんかしれっと余裕顔。リア充めッ!一方、そんな彼にまとわり付く『ソフト&ウェット』が愛嬌たっぷりでイイ味出してます。「海辺」「車」って要素は、第7話のトビラ絵とも共通していますが、この絵はむしろ「ジョジョ展 in S市杜王町」用に描き下ろされた作品「松島の定助」の続きに見えてきます。イチャつく定助と康穂に気を遣い、オープンカーに乗って1人寂しく待機していた『ソフト&ウェット』。ようやく2人が車に乗ってきたので、ここぞとばかりに定助にじゃれまくる。そんな風にも見えて、なんとも可愛らしい(笑)。上が見切れちゃってるあたりもドジでキュートです。
ワケの分からん感想になりつつありますが、この絵は本当に大好き。明るいっつーか、楽しい絵で。一目見て、めっちゃテンション上がりましたよ。絵自体もカッコ良すぎだけど、やっぱ色使いが最高です。全体に塗られたイエローグリーンが、フレッシュで爽やか!その中で、海や康穂のファッションにちりばめられた赤・青・紫が、絵を引き締めるアクセントになっています。この絵の複製原画かポスターも欲しいなあ。
背表紙はもちろん康穂。定助のそばに康穂がいる。それだけで「ジョジョリオン」は安泰です。4巻は常秀か、大弥ちゃんか?

<作者コメント>
究極の選択について。「ニワトリが先か?卵が先か?」という問いも、先生はとりあえず自分で「答え」を決めちゃうと。そうすると、スッキリいい気分で、何でもうまく行く感じがするみたいです。荒木先生らしい考えだな、と思います。「運命」というものについても、理論的に説明は出来ないけど、自分の感覚に従って「ある」と決めて、作品を描いているワケですしね。いちいち思い悩んだりしないのが、若々しさの秘訣の1つなのかも?
私も先生を見習い、表紙の康穂は「パンチラしている」と決めました。これで良しッ!

<内容>
大弥ちゃんを打ち破り、東方家の家系図へ。そして、手掛かりとなるホリーさんに会いに行く途中、新たな敵が襲う!……ってトコまで。う〜ん、やっぱ改めてまとめて読んでも面白い。大弥ちゃんは退屈と言ってましたが、家系図だけでこんなに盛り上がれる漫画が他にあるんだろうか?これは1〜6部とは違い、「SBR」の時代から一気に120年も飛んだからこその盛り上がりなのかも。その120年もの空白を埋めるように存在し、その内容がいろんな意味でショッキングで、語られない物語を想像する余地があるからこそ、なのかもしれません。
特筆すべきは、ジョニィの息子であるジョージですかね。ウルジャン掲載時は普通に「2世」でしたが、コミックスではルパンよろしく「3世」になってました。ジョニィの親父が実は「ジョージ2世」だったんかな?で、そのまた親父さんかじいさんが「初代ジョージ」?この微妙な変更は、もしかすると舞城王太郎氏の「JORGE JOESTAR」と関係あるのでしょうか?せっかく主役になれたんだし、せめて「ジョジョ」の長い歴史の中で「ジョージ2世」は1人だけにしてあげよう……的な?ま、真相は闇の中です。ちなみに、つるぎちゃんの生年にミスがありました。つくづく「ジョジョ」は、設定ミスや誤植と縁があるなあ(笑)。
そして、今巻で何よりも驚くべきは、2つのスタンド名が明かされた事です。なんと本編より先にサブタイトルで判明するとは。その名も、『ペイズリー・パーク』『ボーン・ディス・ウェイ』!問題はどっちがどっちなのかって点です。元ネタ的には、定助と同じくプリンス由来の前者が康穂のスタンド名っぽいし、字面や言いやすさ的にもそっちの方がいいなと思うんですけど。でも能力的には、後者の方が合ってる気もするし。でもでも、レディー・ガガのCDジャケを見ると、後者はバイクのスタンド名っぽいし。正直、よく分かりません。
待望のラフ画は、大弥ちゃんとケータイ。大弥ちゃんはやっぱこっちの服の方が好みです。実にフワフワちゃんでコチョコチョしたいです。
なお、4巻の発売はなんと来年の春!えらい長いなあ〜。仮に3月だとしても、もう1回くらいは休載を挟みそうで怖い。荒木先生としても読者に提供したいボリュームやリズムがあるんでしょうけど、減ページでもいいから毎月読みたいと願ってしまうのが読者のサガです。

(2012年9月20日)




★第2巻★ 東方定助という名前



<カバーイラスト>
両手でセーラー服を開き、ムサい胸板を我々に見せ付けんとする定助。彼の後ろで、両腕を天にかざしつつ、おっぱいの谷間で我々を癒してくれる康穂。そんな対照的な2人が表紙を飾ってくれました。定助のセーラー服の肩には、錨マークのアクセサリーが付いています。ただ、帽子の手形マークとか、両肩部分のハートとピースマークのアクセサリーとか、サメのバックルとか……、そういったファッションは本編では一向に着てくれませんね〜。ディテールはだんだん省略されていくのが荒木絵の常ですし、あまり期待は出来ません。カラーイラスト時限定のおめかしファッションなのかな。一方の康穂、よく見れば、靴や靴下までスカートと同じ薔薇の花で彩っています。
カラーリング的には、落ち着いたトーンの背景に、目が覚めるような水色の定助がよく映えますね。ピンクの康穂もキュート。そして、特筆すべきはやはりリボンでしょう。ピンクのリボンが縦横に描かれ、あたかも本当に結ばれているかのよう。ご丁寧に影まで付いてます。たったこれだけのアクセントで、遊び心たっぷりの騙し絵チックなイラストに仕上がりました。このリボン、裏表紙は言うに及ばず、ページをちょっとめくった白黒のトビラにまで描かれている徹底ぶり。ちゃんと文字がリボンで隠れているのも、芸が細かくて面白いです。
背表紙は『ソフト&ウェット』。そして、定助の胴体と康穂の腕も。3巻は康穂で確定のようです。

<作者コメント>
「ジョジョリオン」というタイトルの由来が語られていました。こういう事って、なかなか語られないだろうな〜と思っていたら、意外にもあっさり教えてくれましたね。読者からの質問やツッコミが多かったんでしょうか?
「ジョジョリオン」の意味については、私も感想やコラムの方で色々書きましたが、どうやら大筋では合っていた模様。「〜lion(リオン)」とは、「祝福されるもの」とか「福音」とか「記念の印」とかって意味らしい。本当にそういう言葉があって、そういう意味を持っているのかは分かりませんけど、重要なのは言葉の使い方ではありません。そこに込められた、荒木先生の想いなのです。恐らく「東方定助」という人間は、ひどくうつろな存在のはず。きっと、本来は存在しないはずの存在。存在してはいけない存在。呪わしく、忌まわしく、汚らわしい存在。そんな定助が、自分という存在を知り、受け入れ、康穂達にとって大切な存在になっていく物語……なのかもしれません。いずれにせよ、今はまだまだ遠い最終回にこそ、このタイトルの真意がモロに効いてくるのだと思います。
著者近影は、仮面を被った女性の顔が表紙の雑誌を、自分の顔に当てている荒木先生。これまたトリックアート的な感じ。つーか、「ジョジョリオン」のコミックスでは、未だ荒木先生の顔が出て来ていませんねえ。単なる偶然か、何か意図があるのか?

<内容>
桜二郎への尋問から、大弥ちゃんの誘惑までが収録されています。さすがに1巻よりはボリュームが減りましたが、それでも内容は濃く、目が離せません。
それにしても、サブタイトルやらオビやら作者コメントやら目次やら……、あちこちで「定助」の名が踊ってますね(汗)。本編を読む前に主人公の名や先の展開を知らされてしまうであろうコミックス派の方々が、ちょっとかわいそうな気もします。でもまあ、ウルジャンを読まない事を自ら選んだ人は、ネタバレの危険も当然覚悟の上ってワケですからね。「ウルジャンは読まない」「ネタバレも許さない」……なんてのは都合が良すぎ。(つーか、公式発売日を迎えた時点で、そもそも「ネタバレ」という概念すら存在しないと思ってますが。)ただ、将来「ジョジョ」に興味を持って読み始める人はお気の毒です。
目次ページの下には、「special thanks:瀬藤光利」とありました。瀬藤光利氏は医師であり、科学者でもある方。以前からの荒木ファンならば、荒木先生のイラストがアメリカのサイエンス専門誌『Cell』の表紙を飾るという大事件を憶えていましょう。そう、あの『スクラッパー』のイラストです。その『スクラッパー』なる酵素についての研究論文を発表した人物が、そして『Cell』の表紙をと荒木先生に依頼した人物こそが、この瀬藤氏なのです。そんな縁のある瀬藤氏に、荒木先生がスペシャルなサンクスをする理由とは?……推測するに、康穂が定助と吉良のDNA鑑定を依頼したくだりがありますが、その辺で専門的な意見や情報をもらったのかも。一般人がDNA鑑定するためにはどうすれば良いのか、費用はどのくらいか、結果はどのような形で知らされるのか。プロに訊くのが一番手っ取り早くて正確です。荒木先生もいろんなジャンルの方と接するようになって、随分と顔が広くなったものですな。おかげで、作品にもリアリティーが増しますしね。
今巻最大の収穫は、やっぱ東方家の周辺地図1階見取り図でした。個人的にこういうの大好きで、吉良の部屋の見取り図も自分で書いてみたりしてたんです。毎巻、何かしらやってほしいところ。気になったのは、東方家には別棟もあるという事実です。常敏と密葉さんとつるぎちゃんが住んでいる家なんかな?あるいは、未だまったく触れられない花都さんがいる家?たった1つの家と家族が、なんて広く深いのか……ッ!
あとは、つるぎちゃんの年齢が2歳から9歳に変更。なるほど。ウルジャン5月号(2012年)での記述はミスではなく、設定変更したって事だったんですね。9歳ともなれば、すっかり自我も形成されてますから、彼女も定助を苦しめて追い詰めてくれるに違いない。彼女の活躍が待ち遠しいです。年齢と言えば、定助は推定19歳か。えらく詳細な推定だけど、康穂や常秀と同年齢って事ですね。それと、吉良の死体の手首に刻まれた謎のマークも、死体発見時からちゃんと描かれていました。親父さんの語る大弥ちゃんの視力も、「生まれつき」ではなく「小さい時から」に修正。「ジョジョリオン」はストーリー性も重視しているのか、キッチリ整合性が取られています。
お楽しみのラフ画は、残念ながら今巻は無し。ページは全て、スタンド紹介で使われちゃってました。その分、3巻でいっぱい描いてもらえると嬉しいです。

(2012年4月20日)




★第1巻★ ようこそ 杜王町へ



<カバーイラスト>
何故かヤシの葉みたいな植物に手を掛けて立ち、真っ直ぐな視線を向ける定助がメイン。なんと、初のコミックス表紙なのに、スキっ歯が描かれていません。せっかくのチャームポイントなのに残念。でも、セーラー服はバッチリ決まってるし、色鮮やかな「ORAORA」肌着も似合ってます。その背後には『ソフト&ウェット』も佇んでおり、新たな「ジョジョ」の幕開けとしては、充分なインパクトを与えられたはず。
バックには、舞台である杜王町を象徴するかのような家も描かれています。看板も立ってますけど、書かれてる文字の意味がよく分からんな……。そして、そのさらに奥にはも見えますね。4部ではそれほどフィーチャーされなかった海ですが、「ジョジョリオン」ではどうなるんでしょうか?やはり震災での津波の被害を受けた事もあるし、「壁の目」も海岸線近くに隆起しているし、定助のファッションもマリンルック、しかも定助と吉良は水が湧く穴に埋まっていたって事で……、物語的にも「海」や「水」は無関係ではないものと思われます。
そして何より嬉しいのは、コミックスのサブタイトル。杜王町とさよならしたのは、もう10数年も前。でも、世界こそ違えど、我々は再び杜王町に帰って来たのです。杜王町も我々を歓迎してくれています。これから始まる、杜王町の新しい物語。それを期待させる、ワクワクするサブタイトルでした。感慨深いなあ。……ただ、前々から気にはなってたんですけど、「ジョジョリオン」のタイトルロゴ。書体っていうか、デザインっていうか、もうちょっと凝ってほしかったところですな。
背表紙はと言うと、「壁の目」を背景に駆ける定助って感じ。もはやお約束ではありますが、ちゃんと背表紙も繋がる絵になってて安心しました。2巻は康穂かな?それとも『ソフト&ウェット』か「しゃぼん玉」?……あと、どうでもいいっちゃどうでもいいけど、裏表紙のストーリー紹介文で康穂が高校生と書かれてたのはツッコんでおきます。社会性ゼロの人しかいない社会学部の大学1年生だって。(※ 第2刷以降は「大学生」にちゃんと修正されていました。)

<作者コメント>
荒木先生が「ジョジョリオン」を描くに当たっての、そして読者が「ジョジョリオン」を読むに当たっての諸注意。同じ杜王町を舞台とする物語でも、4部と8部「ジョジョリオン」とは、まったく関係性はないよって話です。4部未読の方でも、記憶喪失の方でも一安心(笑)。まあ、連載を追ってる身としては今更な感もありますが、これから読む方々にとっては重要事項でしょう。ヘタに仗助や億泰、康一くん、露伴達の再登場を心待ちにされても、お互いに困るだけですからね。
著者近影は荒木先生の写真ではなく、「手形」マークのフラワーアート。今年2011年は、荒木先生の執筆30周年という記念すべき年!そんなワケで、このようなめでたいアートが贈られたのでしょうか?

<内容>
定助と康穂の出会い。吉良の部屋で繰り広げられる、初のスタンドバトル。桜二郎との戦いにもケリが付き、キリの良いところで終わっていますね。「SBR」ラスト2巻とは打って変わって、5話収録の230ページ強という大ボリューム!読み応えグンバツでした。でも、コミックス派の方にしてみれば、主人公の名前も2巻発売までお預けですから大変ですね(汗)。もう1話収録されればな……と思いつつも、あまりブ厚くなってもしょうがないし。
特筆すべきは、杜王町マップですね。これは嬉しい。杜王町と言ったら、これがなくっちゃね。おかげで舞台の全体像がより把握しやすくなりました。4部の杜王町とは、やっぱだいぶ違いますね。恋人岬はボヨヨン岬に近い位置関係ですが、東方家や吉良宅は全然違う場所になってます。でも、広瀬家は割と近いか。康穂の家や家族も早く見てみたいもんです。あと、そもそも杜王町が日本のどのあたりなのかが、具体的に分かりましたね。いや、宮城県仙台市近郊ってのは分かってますが、今まで作中では少々ぼかしてましたから。これは震災によって郷土への想いが、荒木先生の中でも大きくなったって事の現れなんでしょうか?
ラフ画ももちろん拝めました。今巻では、康穂が3点に、定助が1点。康穂は可愛いですねえ。特に3話と4話の間の、スマイル康穂がディ・モールト良し。誰もが「帰る場所」や「生きる目的」を、悲痛なまでに追い求め続けた「SBR」とかと比較すると、表情が穏やかで柔らかで。ごく普通の明るい女の子って感じで、なんとも和みますよ。
ウルジャン掲載時からの加筆・修正も、少しはありました。一番顕著なのは、何と言っても『ファン・ファン・ファン』のスタンド・ヴィジョン。人型スタンドではなくなり、6話のトビラ絵で描かれたものと同様のデザインに変更されてます。6話を描く時、急に思い付いて変更したんでしょうかね?

(2011年12月20日)







TOP  戻る  6〜10巻>>

inserted by FC2 system