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「ジョジョリオン」 コミックス感想
16~20巻






★第20巻★ 一緒にお願い。ドクター・ウー



<カバーイラスト>
2011年に連載スタートした「ジョジョリオン」も、8年掛かりでついに20巻の大台へ!そんな記念すべき今巻の表紙を飾ったのは、やっぱり全ての始まりの2人。定助&康穂でした。
ウルジャン4月号(2019年)掲載の84話のカラー扉絵と連作になっています。いつもとちょっと違う、マリンボーダーの服を着ている2人がオシャレ。波しぶきっぽいのが見えるし、ここは堤防かどっかかな?海沿いをお散歩デートでしょうか?『ソフト&ウェット』もゴキゲンで、デッカい「ジョジョリオン」フラッグをはためかせて潮風に当たっていますよ。しかし、楽しいデートの割には2人とも真剣な面持ちなので……、震災が起こった3月に発売という事も踏まえると、もっと厳かな意味や想いが込められている絵なのかもしれません。
カラーリングの方は、落ち着いた黄土色の背景の中で、青や水色、ピンクに紫といった生命力溢れる定助達がスゴく鮮やかです。84話のカラー扉絵とは、背景と地面の色が入れ替わっている点も注目。正直、どちらかと問われればカラー扉絵の方がより好みではありますが、こちらも負けず劣らず素晴らしい1枚です。
背表紙は羽先生ではなく、『アウェイキング・Ⅲリーブス』でした。しかし、「破片」が舞っているので、21巻は間違いなく羽先生でしょう。

<作者コメント>
みんなが執拗に荒木先生に座薬を入れたがる件について。何なんでしょうね(笑)。そんなに自分で座薬入れるのって難易度高いもんなのかな?それとも、思わず座薬を入れたくなっちゃうような雰囲気かフェロモンを、荒木先生が放っているんでしょうか?でも、他人に座薬入れられるなんて、やっぱ恥ずかしくって抵抗ありますよねえ。これがいつの話か分かりませんが、そんな抵抗感や恐怖が、羽先生というキャラやスタンド能力に繋がってたりして。
何にせよ、もう座薬を入れられずに済むよう、先生にはずっと健康でいてほしいと願っています。

<内容>
羽先生とのバトル、そしてその決着まで。サブタイ通り、羽先生とずっと一緒の巻でしたね。各話のタイトルも「ドクター・ウーと目醒める3枚の葉っぱ」と、なかなか詩的。ただ、改めて通しで読むと、疑問点もあります。結局、あのペチャンコの車椅子は何だったのか?密葉さんに取り憑いた羽先生が、2人分のパワーで車椅子を潰したんでしょうけど、わざわざあんな事をする必要があったんかな?単に力試しというか、体を馴染ませるための準備運動みたいなもん?
それから、密葉さんの治療の流れもややこしい。最初は「豊胸」のために、歯とアゴを交換。次は、「歯とアゴ」の治療のために、右耳と頭皮を交換。次は、「右耳と頭皮」の治療のために、両脚を交換。そして、「両脚」の治療のために、お腹の中の胎児を交換。最後に、「胎児」を救うために、鼻を交換。……恐らく、こんな感じなはず。都合5回も「等価交換」を行っているワケです。「ロカカカ」のせいか、羽先生に体を乗っ取られた副作用か……、密葉さんはだいぶ記憶が混濁してたので、憶えていないだけで、実は何億円も支払っていた可能性があります。あるいは、羽先生自らが「ロカカカ」の成分を制御する練習・実験も兼ねていたため、治療費はマけてくれていたとか?ついでに言えば、診察中の密葉さんは「アレルギーも酷い」と訴えてましたけど、ずっと羽先生の「破片」が体内に残っているせいで起こったガチのアレルギー症状もあるんでしょうね。

ラフ画は1点。両手を腰に当て、なんかトボケた表情の羽先生です。
スタンド紹介は『ドクター・ウー』と『アウェイキング・Ⅲリーブス』。まぁ、特に目新しい情報は無し。
ウルジャン掲載時からの修正は、今巻は少なめでした。大きい変更も無く、セリフや効果線等の微修正がいくつかあった程度。個人的には、透龍くんが定助を見付けた時の「す… 水平帽」ってセリフが、「お… 水平帽」に修正されていた点が良かったかな。ちょい動揺してる雰囲気から、軽いノリに印象が変わって、より透龍くんらしくなりました。

(2019年3月20日)




★第19巻★ 整形外科医 - 羽伴毅先生



<カバーイラスト>
毎度の如く、ウルジャン11月号(2018年)の表紙イラストと連作になっています。海なのか、はたまた地底湖か、大きな水場を歩く定助・康穂・礼さんの3人。膝下まで水に浸かりながら、先へと進もうとしています。やっぱセーラー服の定助には「水」が良く似合う。傍らには、各々のスタンドの姿も。康穂なんか、『ペイズリー・パーク』と抱き合っててカワイイです。今回の一連の作品は、個人的に色合いがスゴく好みですね。遠くから見ても、色の配置が完璧です。一面のブルーの中で、定助の紫と礼さんの赤が鮮烈ッ!『ソフト&ウェット』のグリーンも美しい。大阪の「ジョジョ展」で原画展示されないかなぁ~?
背表紙はドレミファソラティ・ドではなく、密葉さん。まぁ、この巻の主役とも言うべき人物ですし、順当なところでしたね。次は当然、羽先生が来るでしょう。

<作者コメント>
妹さんの謎について。幼少の頃は兄に「悪魔のシスター」と恐れられた双子の妹さん達も、今や50代の淑女。そんな妹さんですが、骨折の理由も経緯も決して語らず「うふっ」だけ。20代の娘さんに訊いても「うふっ」。このエピソードと、先生の語り口がめっちゃ面白くて、ここ最近の作者コメントの中では個人的に最大のヒットでした(笑)。
こんなありふれた微笑ましい謎でも、先生に掛かれば読切1作のネタに昇華しちゃいそうだな~。ともあれ、妹さんのお怪我が早く治るよう祈っています。

<内容>
プアー・トム戦決着、そして舞台は大学病院へ。「ロカカカ」を巡るストーリーも、いよいよ核心に近付いて来ています。解決しなければならない問題も、活かされるべき設定も、まだまだたくさん残ってはいるんですが、この病院編は1つの大きな節目になりそう。今巻はとにかく、羽先生の得体の知れなさが際立っていました。終わり方もホラー映画的な絶望感。すぐに続きが読みたくなっちゃう仕様。記念すべき20巻は、恐らく来年の2月か3月頃の発売かと思われます。それまで楽しみに待ちましょう。
ラフ画は2点。両腕を広げて風を受けるかのような定助と、うつ伏せになって腕を伸ばす常敏。常敏の姿はちょっと意味深にも見えますね。
スタンド紹介は無し。その代わり、TG大学病院のピンナップが付いてきました(笑)。こういうの3部を思い出すなぁ。
ウルジャン掲載時からの修正に関しては、今巻はいつになくセリフの追加・修正の多い巻でした。特にプアー・トムのセリフなんて、かなり変更箇所が多かった。結果的により分かりやすくなっていたけど、編集部や読者から「全然わかんねっス!」って意見でも来たんでしょうか?別にそんなややこしい話ではないのになぁ。あとは、擬音や効果線の追加、果樹園での炎の追加、「ミルフィーユしゃぼん」にもう1層追加……といったコマが所々にあったくらいです。

(2018年10月20日)




★第18巻★ 東方家の北。果樹園



<カバーイラスト>
ウルジャン8月号(2018年)の表紙や、73話のトビラ絵の連作となっているイラストです。頭の上で両腕を組み、穏やか且つセクシーな笑みを浮かべる定助。そして、彼から湧き上がるかのような無数の「しゃぼん玉」。両腕や潰れた帽子などからは、荒木先生がいつも意識している距離感・立体感・実在感を感じますね。カラーリングも、全身イエローの定助とバックの青空で夏っぽさ満点!抽象的な背景だけど、海と砂浜にも見え、すごくサマーシーズン真っ盛りで眩しい1枚です。こういう、季節を味わえる絵って好きだなぁ。
背表紙はまさかのアーバン・ゲリラ!ニッコリ笑ってるように見えて、なんか憎めないヤツだな(笑)。ならば、次巻は相棒のドレミファソラティ・ドか?

<作者コメント>
歯医者さんとの会話について。確かに、そもそも「虫歯の治療」のために来てるんだから、そんな返答されても困りますよね。その治療の内容を具体的に教えておくれよ、と。相手が知りたい答えを提示できるように、自分も心掛けたいところです。意思の疎通やコミュニケーションって、簡単なようで難しいぜ。

<内容>
今巻は康穂の切ない過去話を経て、後は丸々『オゾン・ベイビー』の能力下での三つ巴バトルでした。康穂の動機の変化・補完に感動し、人物が入り乱れる激しい戦いに燃え、非常に盛り上がりましたね。分かりやすいルールでの危機的状況の中で、それぞれのキャラクターの想いや考え方がぶつかり合ってるんだから、そりゃあ面白くならないはずがない。ただ、プアー・トムの「~ぢゃ」って言葉遣いが完璧に忘れ去られちゃったのは残念です(笑)。
ラフ画は2点。中学生の康穂は、あどけなくってめっちゃ可愛い。礼さんは、隣ページの73話トビラ絵の定助とお揃いポージング!これまた微笑ましい。
スタンド紹介は『オゾン・ベイビー』。まあ、特に目新しい情報は無し。
ウルジャン掲載時からの修正は、今巻もちょこちょことはありました。中学生の康穂のフケや血液の量が増えたり、果樹園の火事ではスミとホワイトの吹き付けや煙の描写が追加されたり。他にも、効果線や擬音の追加、セリフの誤字脱字の修正など。そういった細かな修正1つ1つに、荒木先生の明確な狙いやこだわりが込められているワケです。それをじっくり確認できるのも、ウルジャン読者の特権!……それだけに、PCで取り込んだらやたらと目が粗くなっちゃったタイヤとか、強烈な「加圧」の中でも変形してない背景の容器とかも、ここで手直ししてほしかったな~。
あとは、最初の杜王町マップに「鼻炉山」の位置を追加してほしいところ。杜王町からはけっこう離れた場所だろうから、おおよその方角に「←至 鼻炉山」みたいな感じで。大体でいいから知っておきたいんですよ。

(2018年7月21日)




★第17巻★ 鼻炉山から脱出しろ



<カバーイラスト>
ウルジャン1月号(2018年)の表紙の連作となっているイラストです。大胆な色使いが印象的で、とってもオシャレ。
港に係留された船をバックに、ポーズを決める定助・康穂・礼さん。彼らの足元には、何故かドロミテが巨大しゃぼん玉に乗っかってます。別に出番があるワケでもないのに、マスコットみたく普通に居座ってんな(笑)。そして、そんな4人の姿が縁(ふち)の中に収められている、という構図です。カラーリングは、ほとんど一面が真紅!縁とドロミテ(&しゃぼん玉)がオレンジ色に、そして、定助の足元の空間のみライン状にライムグリーンに塗られています。
背表紙は早くもプアー・トム。本編同様、異様な存在感を醸し出していました。じゃあ、次巻は『オゾン・ベイビー』かな?

<作者コメント>
「良いホラー映画」について。恐いホラー映画が作られるという事は、我々の社会の文化や精神が発展しているという事……だそうです。それゆえ、荒木先生は「良いホラー映画」を観ると安心するらしい。なるほど、荒木先生だからこそ言える深いお言葉。
でも確かに、「恐怖」という感情は「幸福」の裏返しみたいなものでしょうからね。「恐怖」を真っ向から表現する人がいて、それが認められる社会ってのは、つまりは健全って事なんでしょう。怖いもの・醜いものにフタをしてごまかさず、しっかり向き合わなきゃ、本当の意味で「幸福」にはなれないのかも。今後も荒木先生を震え上がらせるようなホラー映画が次々と作られる事を願います。

<内容>
今巻は丸々、アーバン・ゲリラとドレミファソラティ・ドとのバトルです。礼さんとゲリラのキャラが好きだから、見応えあって面白い。バトルメインの展開は、コミックスでまとめて読むとより最高です。でも、みんな思ってるでしょうけど、薄すぎるよ~。12巻並みの薄さ。話の区切り的にも、てっきりもう1話収録してくれるものと思い込んでたんですが。
ラフ画は1点。腰に手を置き、風に吹かれながら、どこか遠い目をして佇む康穂の横姿。シブいな。次巻で明かされる康穂の過去を思うと、なおさらグッと来るものがあります。
スタンド紹介は『ブレイン・ストーム』。やっぱ細胞の破壊・崩壊を引き起こす能力である事が明言されました。さらに、ドレミファソラティ・ドの紹介ページも。まず、ドレミはスタンド使いでは無さそうですね。カンガルーやコアラのような「有袋類」であり、だから乗り込むスペースがあった事も判明。謎多きヤツだけど、少しでも分かって良かった。
ウルジャン掲載時からの修正は、今巻もそんなに大きくありませんでした。擬音や効果線、汗なんかの追加や、セリフの微調整がいくつかあった程度。ただ、礼さんを襲う『ブレイン・ストーム』の数が増やされ、その恐ろしさがより伝わるようになっていました。

(2017年12月20日)




★第16巻★ 母と子



<カバーイラスト>
ウルジャン9月号(2017年)の表紙の連作となっているイラスト。もっとも、構図やポーズは全然違い、頭の後ろに両手を組んでいる定助です。どっかの草原で寝そべってるかのよう。セーラー服には、康穂と『ソフト&ウェット』とロープが描かれていますが、平面にも立体にも見える奇妙な感じ。ロープは「JO」の形になってるのかな?カラーリングの方も素晴らしく、若草色の組み合わせがやっぱ最高。そして何より、塗りの質感光と影の表現がたまりません。両手を上げる事で出来る服のシワや伸び具合もカッコイイし、正直、「ジョジョリオン」で一番好きな絵になっちゃったかも。
背表紙はドロミテや礼さんの残り半分と、『ドギー・スタイル』。さらには「ロカカカ」も描かれています。次の巻は誰かな?ゲリラとドレミ?

<作者コメント>
あこがれの家について。「木の上の家 (ツリー・ハウス)」は、きっと誰しもが一度はあこがれた事があるはず。隠れ家というか、秘密基地っぽい空間は、少年心をくすぐりますからね。私もご多分に漏れず、大いにあこがれを抱いています。
しかし、今の荒木先生のあこがれは「リフトハウス」!まさか本当にそんなのが実在するのかと思って、ちょっと調べてみましたが、やっぱ無いみたいですね(笑)。あくまで先生の想像・理想を描いたのが礼さん宅か。う~ん……、でも「リフトハウス」は面白いけど、個人的には住みたいとは思えないなぁ。落ちそうだし。

<内容>
今巻でいよいよ真の敵の片鱗が見えてきました。金儲けを企むダモカンチーム、何にも属さないドロミテを経て、ついに現れたのが「不死」を産業化しようとする連中。「死」を克服した存在は2部ですでに描かれていますが、今回の敵は「不死」のパワーではなく技術を独占しようとしている模様。つまり、「不死」のパワー自体は世の中に広めるつもりって事。「不死」の存在がそこかしこに溢れている社会とは、一体どんなものになってしまうのか?「死」を克服する事は、生物にとって正しい道なのか?興味深い話です。
ラフ画は2点。あどけなさが残る定助と、勇ましくセクシーに微笑む康穂。どちらもイカしてますね。
スタンド紹介は『ドギー・スタイル』。下半身のデザインがようやく判明。『グレイトフル・デッド』的デザインですね。能力は事実上、『ストーン・フリー』とほぼ同一。ただ、「女の子」と「おっさん」という使い手の違いにより、能力の応用の仕方も変わってきそうです。
ウルジャン掲載時からの修正は、今回はそれほど多くありませんでした。擬音や効果線の追加が少々。ただ、少年時代の常敏の緊急番号、下2ケタが数字じゃなくて「☓☓」になってました。架空の番号とは言え、万一、ガチで通じちゃったりしたらヤバイとの判断でしょうか。面白いのは、初登場時の礼さんが微妙に描き直されていた点。帽子とおでこの辺りのバランスが修正されています。これはなかなか珍しい。先生ってば、よっぽど礼さんが気に入ったのかな?(笑)

(2017年9月20日)







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