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「ジョジョリオン」 コミックス感想
6~10巻






★第10巻★ ロカカカの樹を追え!



<カバーイラスト>
いやぁ~~、美しい……。これは一目惚れしましたわ。これまでの「ジョジョリオン」のカラーイラストで一番好きかも!見ただけで超テンション上がったよ!記念すべき2ケタ代突入の巻に相応しい美麗さですね。
無重力感・浮遊感を感じさせる、互いに天地逆転した定助と康穂のイラスト。定助の左の手足は力強く鋭角的に折られ、握られた右拳は逆さまの康穂を支えています。こちらをキリッと見つめる表情が、いつにも増して端正でカッコイイ。対する康穂は、体の力を抜いて、定助に身を任せているかのよう。定助の康穂へのラブ、康穂の定助への信頼。そんなのも伝わってくる気がします。
カラーリング的には、背景や「しゃぼん玉」のグリーンがとにかく鮮烈で目を引きました。定助の「白」や康穂の「オレンジ」がまた映えますね~。「最高」の一言です。
背表紙は常敏。『ナット・キング・コール』という予想は外れたけど、今巻の内容に合った人選です。11巻はカレラっぽいな。あの黒い物体、カレラの髪の毛でしょ?

<作者コメント>
日本一ならぬ日本二の山「北岳」について。ごめんよ、「北岳」。私もぶっちゃけ知らんかったよ。
ちょい調べたけど、「北岳」だってキレイな山じゃないですか。でも富士山が絵になり過ぎてるからなあ。さすがに相手が悪かったかー(笑)。まぁ、この件で荒木ファン界隈ではバツグンの知名度となる事でしょう!やったね、「北岳」!

<内容>
1巻丸々、愛唱とのバトルです!やっぱこうしてまとめて読むと、勢いが持続して、より面白く感じます。私的ハイライトは、何と言っても愛唱の元カノ!可愛い顔して、悪魔も泣き出す外道っぷり。あの情け容赦ない所業にはドン引きしましたよ。「ビーティー」のそばかす少年一家も少年時代のディオでさえもビビッて逃げ出すんじゃないかって、本気で思うほどのリアルなクズ(笑)。でも、あそこまで振り切るといっそ清々しいな。
ラフ画は1点のみ。イカしたポーズを決める愛唱です。スタイリッシュで超カッコイイっスね。
驚いたのはスタンド紹介でした。なんと、予想外にも常敏のスタンド名が判明ッ!その名も『スピード・キング』!おおっ、『ハイウェイ・スター』とは「Deep Purple」繋がりですね。早く『スピード・キング』のさらなる活躍を読みたいな。『ドゥービー・ワゥ』は、その全体像が描き下ろされていました。想像以上に強そうで、いいデザインじゃん!
ウルジャン掲載時からの修正は、効果線の追加やごく細かいセリフの修正などが多少ありました。特に大きい違いと言えば、鳥のフンを落とされた時の愛唱の表情ですね。ウルジャンでは無表情だったのが、コミックスでは不快感を露わにしています。正直、無表情の方が、直後のブチ切れとのギャップがあって好きなんですけども。あとは、バスの中に「竜巻」が発生した時のつるぎちゃんの表情も微調整されてるし、じっと黙って呼吸を止めながら「竜巻」に巻き込まれる際のつるぎちゃんに鼻血が追加されてたり……と、かなりディテールにもこだわっている模様。それなのに、「ロカカカ」で治ったジイさんの右脚を「左脚」って言ってるのはそのままなんだよなあ(笑)。

(2015年7月18日)




★第9巻★ 長男・東方常敏



<カバーイラスト>
ウルジャン2月号(2015年)の表紙イラストの連作です。ポージングや構図がクリソツで、パッと見だと同じ絵にも間違えられそう。ですが、しっかり見れば、それぞれに個性があります。ウルジャンの方は、定助が微笑んで、指をビシッと指していました。今巻では、険しい表情で拳を握っています。イメージ的には、ウルジャンのポーズをキメる直前の「タメ」の瞬間を切り取ったような感じ?6本指とツッコまれてた右手も、ちゃんと5本でした(笑)。
背景のスケッチは、微調整があるくらいで、ウルジャンの時とほとんど一緒。あえて深読みするならば……、『キング・ナッシング』の隣にあったはずの「クラブ」のマークが消えちゃってます。「クラブ」は即ち、三つ葉。常敏の奥さんであり、つるぎちゃんのお母さんである、密葉さんを意味します。いよいよ彼女が動き出す、というストーリー的な暗示なのかもしれません。
それにしても、今巻のカバーイラストは面白いよなぁ。中央の定助以外はモノクロなんです。まあ、それはウルジャンでも同じだけど、コミックスだとタイトルから作者名から何から、全てモノクロで統一されているんです。タイトルなんて、背景に溶け込んじゃってますよ(汗)。商品としては、本来なら一番目立たせなきゃいけないトコでしょうに、絵の空気を活かしたカバーデザインを優先してくれた事が嬉しい。裏カバーも、カバーを外した本体も、これまた凝ってて最高。
……ちなみに、巻数と同じ人数のキャラが描かれるってジンクスはあっさり覆されました。そもそも1巻がいきなり例外って時点で、ちょいと眉唾ですからね~。たまたまだったか、本当だったとしても「8」部の「8」巻でキリ良くやめたか、どちらかでしょう。このまま増え続けても、描くのめんどそうだし。
背表紙は『ペイズリー・パーク』でした。お行儀の良い姿勢です(笑)。10巻は『ナット・キング・コール』と予想しとくぜ。

<作者コメント>
「最後の晩餐」について。
この世の終わりに食べたい物とは?荒木先生は「トマトソースのスパゲティ」を希望。荒木家のおふくろの味だそうですが、イタリア料理を選ぶのはさすがです。徐倫は「チョコレートケーキ」と言ってましたよね。肝っ玉ガールでも、そういうところは女の子っぽくてカワイかった。
私も考えてみました。う~~む……、カレー?焼き鳥?ステーキ?ココナッツのドーナッツ?チョコミントのアイス?好きな物は色々あるけど、人生の最期となると難しいもんです。で、結論を言うと、私は「おにぎり」にしました。具は焼きタラコ希望。死ぬ前に食いたいのは、やっぱ米だな!

<内容>
常敏との熾烈なクワガタ相撲!私も幼き頃、夏休みにカブトムシやクワガタを捕まえて飼ったりしていたものです。でも、戦わせた記憶はないし、クワガタよりカブト派でした。そんな私ですが、この熱戦を見てクワガタのカッコ良さに気付く事が出来ました。荒木先生、ありがとう!
謎の「フルーツ」という具体的で明確な目的が出来、それゆえに利害が一致した人物同士が協力関係を結び、ストーリー的にも盛り上がって来ていますよ。とりわけつるぎちゃんはイチオシです!自分の感情や欲望に素直に行動する、重い宿命と責任を背負って生まれたキャラ。これが普通に女の子だったら、痛々しくて可哀想になってくるところなんですけど、女装したエロガキってだけでオールOKになる(笑)。多少ツラい目に遭っても、「まあ、がんばれや」と割り切って見れるお得な設定!今後の成長にも大いに期待したい。
ラフ画は3点。ちょっぴり悪ガキ風の定助に、ラッパー風(それともレスラー風?)の常敏、そして誇り高きクワガタ達。どれも味があってイイですね。特に常敏、生き生きしてんな~(笑)。
例によって、細かい修正もけっこうありました。効果線や効果音の追加、セリフの修正など、ウルジャン掲載時よりも説得力や迫力が増しております。個人的に嬉しいのは、「グラディエーター」を「剣闘士」に統一してくれた事。ウルジャンでは「剣闘士」だったり「拳闘士」だったりしてましたからね。あと、定助が賭けに乗った時の常敏、第2局1ラウンド目の「グロ注意」の常秀、家族が定助を手引きしたかもしれない事に「ふざけるなよ…」と怒る常敏など、人物の表情も微妙に描き直されています。荒木先生のこだわりがひしひしと感じられます。

(2015年2月20日)




★第8巻★ 毎日が夏休み



<カバーイラスト>
天に腕を伸ばした『ソフト&ウェット』。その背後上方には、杜王町の人々の姿が描かれています。定助、康穂、憲助さん、常秀、つるぎちゃん、『ペイズリー・パーク』、そして大弥ちゃんの7人。全体がまるで1本の果樹のような構図の絵です。それにしても、だんだん人数が増えていきますね。1巻を除いて、その巻数と同じ人数のキャラが描かれるって傾向は、ちょっとマジっぽい気がしてきたな。
定助の無防備であどけない表情がイイですね。こういう顔は定助だからこそ、って感じ。康穂は美人だし、大弥ちゃんもエロ可愛いけど……、特筆すべきは『ペイズリー・パーク』です。なんと、口がある!髪型もビミョーに変わってるし。まあ、『エコーズ』に比べたら微々たる変化ですが、『ペイズリー・パーク』も康穂の成長と共にヴィジョンや能力も変わっていくんでしょうか?そして、忘れちゃいけないのが我らが常秀ッ!定助顔負けの敬礼ポーズがイカすぜ。
カラーリングももちろん素晴らしい。全体的にシックな色合いの中で、定助のや、枠と大弥ちゃんのオレンジ、折り紙のグリーンが明るく映えてます。
背表紙は『キング・ナッシング』。ピンクでキュートです。9巻は常敏でしょうか?

<作者コメント>
憧れの場所について。
砂漠の古代遺跡や紺碧の海……、なんともロマンに満ちた場所。一度は行ってみたいからこそ作品の舞台にしたりもするけれど、作品に描くからには取材旅行に行く必要が出て来ます。しかし、そうなると逆に行きたくなくなる。そんな矛盾した心理を、荒木先生は「自分は旅行嫌い」と判定したようです(笑)。何年にも渡って旅の物語を描いてるのに、今さら!?
でも、その気持ちはちょっと分かりますね。純粋に「行きたいから」行く旅であれば楽しいでしょうけど、仕事の中であればそうはいきません。「行かなければいけないから」行く、という義務になってしまえば、せっかくの旅行もなんか面倒になっちゃいそう。あるいは、今は1つの町を舞台とした「ジョジョリオン」を執筆しているから、そういうモードになってるのかも?
……ちなみに、ウルジャン11月号(2014年)の「ジョジョリオン」#036にて、康穂がイタリアのアマルフィ海岸の画像を見て憧れていました。その描写は、荒木先生自身の気持ちを反映させたものなんでしょうね。

<内容>
夜露との死闘の決着。そして、常敏との出会い。ストーリーが大きく動き、いよいよ核心に近付きつつある雰囲気が漂う今巻。そんな重大な局面でも、やってる事はチンコ話だったりクワガタ相撲だったりして、杜王町らしい展開が繰り広げられます(笑)。最高に面白い。
今巻はラフ画は無し。その代わり、『アイ・アム・ア・ロック』と『キング・ナッシング』のスタンド紹介、そして岩人間の説明がありました。そんなに目新しい情報もないんですが、岩人間に関する事柄がスッキリまとめられていて良かったです。例のラップについても、あとで何らかのフォローがある事を期待しています。まあ、夜露以外の岩人間も出て来そうだから、その時かな?
最後のページには、「©相田みつを美術館」の文字も。公式に許可が下りたようなので、今後も安心してバシバシみつをネタを繰り出せますねッ!(笑)

(2014年10月18日)




★第7巻★ キング・ナッシング



<カバーイラスト>
なんかの記念写真のように、みんなが集合したイラストです。定助、『ソフト&ウェット』、康穂、大弥ちゃん、つるぎちゃん、そして中央には憲助さん『キング・ナッシング』。中央を陣取るお2人さんは、まさに今巻の主役と呼ぶに相応しいッ!『キング・ナッシング』なんて、1人だけ脚組んで優雅に座ってる風だし(笑)。何度見てもカッコいいスタンドですが、(本体:憲助さんの巻き毛をデザイン化した球体に似た)首周りの球体が無くなってるのが気になります。ディテールにはあんまこだわらない荒木先生らしいけど。
カラーリングは、全体的に柔らかで華やかな雰囲気。大部分を占めると、背景の薄いイエローがスゴくマッチしてます。グリーンもアクセントになってて美しい。よく見ると、女性陣(女装してるつるぎちゃんも含め)は、男性陣に比べてカラフルですね。ピンクで巨乳な大弥ちゃんが実にカワイイぜ。
背表紙は憲助さん。まあ、順当な人選ですよね。8巻は夜露かな~?

<作者コメント>
アメリカ民謡「愛しのクレメンタイン」の歌詞について。
普段は、歌詞が頭に入ってきて気が散るからって理由で、邦楽は聞かずに洋楽ばっか聞いてる荒木先生。そんな先生も、歌詞そのものを読んだりする事もあるようです。シュールな歌詞の曲は数多くありますが、この曲もなかなかのもの(笑)。愛しい恋人を失ったけど、彼女の妹にも手を出して万事オッケーだぜ!的な?とんでもない野郎です。愛情の儚さ、人の心の移ろいやすさ……でも描いてるんでしょうか?はたまた、「死ぬほど辛い事があっても、そのうち何とかなるもんよ」ってメッセージ?謎です。改めて探してみれば、こういった衝撃的ソングもいっぱい隠れてそうですね。
ちなみにこの曲の歌詞、CDドラマ版「ジョジョ」で、ホル・ホースが使ってましたね。その名もズバリ「クレメンタイン」って女の子を口説く時、「オ~マイダ~リン クレメンタ~イン」って。長らく聞いてないけど、なんか懐かしさすら感じちゃいました。

<内容>
今巻はひたすら夜露戦!連載時はじれったくもあったものの、こうして一気にまとめて読むと、怒涛の勢いとテンションに圧倒されます。明確な共闘は「ジョジョリオン」では初めてですし、手を組む相手が家長である憲助さんなのだから、そりゃ盛り上がるってもんです。完全なる殺意を持って、自らの意志と能力で迫って来る敵も、「ジョジョリオン」じゃ珍しい。そういう意味では、非常に分かりやすいシチュエーションで、単純に燃えますよね。
ラフ画は、つるぎちゃんと憲助さんと夜露の3点。どれもイイ味出してますが、やはり何と言っても「元ヤンッ」に尽きます(笑)。土足厳禁のクルマは、やっぱヤンキーの証だった!でも、命と引き換えに母ちゃんが救ってくれたのに、憲助さんはグレちゃったのか。悪ガキ時代の憲助さんも見てみたいなあ。
細かな修正等も見受けられました。一番大きいのは、憲助さんが「病気」になった年でしょうか?ウルジャンでは1971年でしたが、コミックスでは1963年に。当時の年齢は依然、11歳のままだけど。まあ……、長男が「病気」になるのは、ほとんどが10歳の時で、どんなに遅くても11歳の時には発病するって解釈しとくべきですかね。あと、憲助さんの「チラッだぞ」ってセリフも、「チラッとだぞ」に直ってました。うむ、この方が据わりが良い。

(2014年5月20日)




★第6巻★ 東方つるぎの目的 そして建築家



<カバーイラスト>
大きなしゃぼん玉の中の定助と康穂が、ふわふわと宙を漂っているイラスト。運命の流れに翻弄される彼らを象徴しているかのようでもありますね。本編ではなかなか再会できずにいる分、康穂はここぞとばかりにしっかりと定助に抱き付いています。そんな2人を道路上からぼんやり見上げているのは東方ファミリー。憲助さんに常秀、鳩ねーちゃん、そして今巻の最重要人物であるつるぎちゃん。この4人が描かれているため、定助&康穂と地上との間の距離感や遠近感が演出できています。
カラーリング的には、5巻と同様に、全体的に落ち着いたイメージで統一。定助の白、康穂や空の群青、道路の灰色……。そして面白いのは、背景の町並みでしょうか。人物とは異なり、輪郭が明確な主線で描かれず、ほとんど色だけで描写されています。しゃぼん玉で歪んだ感じも表現されていて、不思議な味わいのある絵となりました。
背表紙はつるぎちゃん。うむ、絶妙に可愛くない!折り紙のカエルの方がキュートだぜ(笑)。7巻は誰でしょうかね?憲助さんか、夜露か、この2人が最有力候補です。

<作者コメント>
誰かに言われて嫌なひと言について。いつもながら唐突な話題で、意表を突かれます。最近、嫌なひと言を誰かに言われちゃったんでしょうか?ちょっと荒木先生が心配ではありますが、この文面のテンションからすると杞憂ですかね~。
しかし、栄えある第1位が「話が長い」だとは。と言うか、全般的に庶民チックで面白い。「最新のケータイ使ってる」と自負する先生を見ると、「ケータイなんて持ってないし必要ないもんねー」なんて言ってた頃が懐かしく思え、時代の移り変わりを実感させられます(笑)。

<内容>
つるぎちゃんのせいで、康穂がパニックに陥る。今巻はひたすら、それだけの内容……と言っても過言ではありません。しかも、康穂は自分の能力を駆使して攻略するでもなく、結局はつるぎちゃんに屈してしまったワケです。定助にとっても、知らぬ間に襲われ、知らぬ間に収まったって感じ。あまり例のない展開に驚かされます。それだけに、テンポが悪くてじれったいと思われる人も少なくないのかもしれません。でも個人的には、シチュエーションの不気味さや恐ろしさが濃密に描かれ、ホラー感たっぷりのサスペンスが楽しめました。
コミックスだけの要素としましては、まず巻頭の杜王町マップ。さすがに6巻にもなると、だいぶスポットが充実してきました。少しずつ町が作られていく感覚にワクワクさせられます。でも、まさかの「公衆トイレ」には吹きました(笑)。常秀の活躍により、町の重要スポットとして認定されたようですな。
今巻はラフ画は無し。その代わり、『ペイズリー・パーク』と『ナット・キング・コール』の描き下ろしイラストが掲載されています。どちらもイカしたデザインです。さらに、つるぎちゃんのスタンドの紹介も。ウルジャン掲載時は『ペーパー・ムーン』でしたが、『ペーパー・ムーン・キング』に名称変更。東方家の人々のスタンド名は、「キング」で統一する方針にしたようです。でも、これはちょいと無理矢理すぎやしないかい?(汗) ただまぁ、これで(憲助さん)は名前の頭に、(常秀、大弥ちゃん等)は真ん中に、(つるぎちゃん)はお尻にと、「キング」の文字が入る位置の法則性らしきものも見えてきましたね。きっと常敏と鳩ねーちゃんのスタンド名も『○○・キング・△△』になるんでしょう。

(2014年3月20日)







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