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アキバ上陸作戦
〜 ジョジョファンは静かに鑑賞したい 〜




その@


サマーシーズン到来!2012年の夏、宮城県仙台市はM県S市杜王町となるッ!そう……、今の仙台は、ジョジョファンにとってお楽しみがいっぱい。
そういったワケで、今年は「ジョジョ」連載25周年というメモリアル・イヤーです。そこで企画されたのが、「ジョジョ展」なる一大イベント!荒木飛呂彦先生にとっても初となる、国内での原画展です。仙台、東京、そしてイタリア・フィレンツェでの開催が予定されており、他の2ヶ所に先駆けて、荒木先生の故郷である仙台で開催される運びとなりました。7月28日(土)〜8月14日(火)の期間、せんだいメディアテークにて催されます。わずか半月程度の短い期間ではありますが、荒木先生の原画に宿る凄まじい引力・重力は、世界中から大勢のファンを引き寄せる事間違いありません。名実共に、多くのスタンド使いが潜む町と化したのです。
昨年3月に起きた大震災の被災地ともなった仙台。何もかもが大きく変わってしまった故郷。そんな仙台の復興への熱意に、荒木先生や集英社が応えたからこそ実現したのがこの企画「ジョジョ展 in S市杜王町」です。私も親戚が仙台にもいるし、壊滅的被害を受けた石巻にもいます。昔から親しんできた場所が、一瞬で変わり果てた姿になる悲しさや憤りは、自分も少しは分かるつもりです。この企画を通じて、微力ながら、復興の後押しが出来たら幸い。あらゆる意味で、私には行かない理由など何一つないッ!
当然の如く、チケットは販売初日に速攻でゲットしました。準備は万端です。一緒に来てくれる程のジョジョファンの友人もいないんで、毎度毎度の事ながら一人旅。なお、この企画の詳細については、公式HP@JOJOさんをご覧になってください。




そのA


<2012年 7月30日(月)>
仕事を終えて、すぐさま帰宅。最寄りの駅へと急ぎ、電車に乗って、いざM県S市こと宮城県仙台市へ!車中では、主に寝てました。数時間後、何事もなく仙台駅に到着!駅にはすでに、色鮮やかな七夕飾りの吹流しが所狭しと飾られています。仙台七夕まつりは、8月6日(月)〜8日(水)に開催予定。街全体がお祭りムードです。




しかし、今の私にとって、真のお祭りは「ジョジョ展」ッ!……となれば、前夜祭が行われるのは必定ッ!実は以前から情報収集していた場所があったんですよね。その名は「和喰和喰亭(わくわくてい)」。宮城県庁にも程近い、ホルモン焼肉のお店です。なんでこのお店に行くのかと言うと、なんと店のオヤジさんが荒木先生の同級生だった方なのです。今でも毎年、年賀状を交換し、その荒木先生からの年賀状が店内に飾られているらしいのです。ここに行かずしてどこに行く!?
タクシーで近辺に降り立ち、ちょっと探すとお店発見。お店の前にも「ジョジョ展」のチラシが貼られていました。さすが、抜かりはないようです。店内には、女性2人組とお若いカップルさんの姿。ざっと見回してみると……、やはりありました!壁には、荒木先生からの年賀状!はやる気持ちを抑えつつ、まずは普通にホルモンやお酒を注文。うむ、美味!特に、B級グルメグランプリを受賞したとかの「シロコロ」なるホルモンは、とろけるような食感と濃厚なお味で絶品です。
私の計画では、しっぽりと飲み食いし、お店が落ち着いた頃合いを見計らって、オヤジさんにそっと話し掛けるつもりだったんですが……。オヤジさんはディ・モールト気さくな方で、むしろ向こうから話を振って来てくれました。私が大のジョジョファン・荒木ファンである事を知ると、さらに饒舌に。年賀状も写真に撮らせていただき、荒木先生にまつわる話も聞かせていただきました。中学校当時の荒木先生は、みんなによくイジられるキャラだったとか……、今でも同窓会には必ず来てくれる、義理堅くフットワークの軽い人だとか……、まあ、色々ね(笑)。




このような感じで、仙台の貴重な夜を黄金体験できました。オヤジさんも人と人の縁を大切にされている熱い方でした。なお、こうやってお店での出来事をサイトに書く事も許可をいただいておりますので。もうすぐ「ジョジョ展」に行くって予定の方や、これから仙台に行く機会がある方は、一度足を運んでみてはいかがでしょうか?お店に置いてもいいよっていうジョジョグッズがあれば、持って来てくれると嬉しいとの事でした。
ちなみに、荒木先生からの年賀状、とりあえず2004年の分から飾られています。その2004年の絵、これだけは初見なので、私的にはスゲー有り難かったです。「SBR」連載スタート直前に描かれたジャイロと、その年の干支であった申(さる)のイラスト。しかし、よく見ると、2004年から一気に2008年に飛んじゃってる。なんと、無造作にトイレに飾っていたら、数枚盗まれてしまったとの事。欲しい気持ちは痛いほど分かるけど、盗みを働くなどとは不届き千万。空白の3年分も見てみたかったなあ。




そのB


<7月31日(火)>
翌朝、ホテルを出て、待ちに待った「ジョジョ展」の時間です!会場となるせんだいメディアテークへ!現在の時刻は8時頃。初日と2日目の混み様はハンパなかったようですが、平日はそれほどではない模様。私が到着した時点では、まだ行列は作られておらず、30〜40人程の人々が日陰で待機している状態でした。とりあえずは一安心。よく見れば、お手製の擬音タイツを履いたレディーもいらっしゃいました。
徐々に人が増え出し、列になって待つ事に。どっかにアラビア・ファッツでも潜んでるんじゃねーかってくらい、朝も早よから猛烈な日射しと暑さが我々を襲います。運営サイドも気を効かせてくれて、ちょっと早めに会場入りが許可されました。メディアテーク内の涼しさたるや、まさしくオアシスです。エレベーターで6階まで移動すると、そこはついに「ジョジョ展」会場!集英社やローソン、バンナム、バンプレスト……等々、荒木先生との縁深い方々から花も贈られています。そして、「ジョジョ展」の看板も見えました。否が応にも期待と緊張が高まります。




9時45分頃、いよいよ開場!ちなみに写真撮影は、原則的に禁止。せめて、どこに何の絵が飾られているかメモりながら観ようかと思ってたんですが、土壇場でメモも禁止とのアナウンス。ショック!こうなれば、絵を観る事だけに100%集中しよう。
この「ジョジョ展 in S市杜王町」は、東京展とはまた異なったコンセプトとなっています。黒を基調とする東京展の会場とは対照的に、杜王町展の会場は白ベース。夏らしい爽やかさも感じます。開催地が開催地だけに、展示内容も4部と「ジョジョリオン」が中心。とは言え、導入部では「ビーティー」「バオー」「アイリン」といった、「ジョジョ」以前の作品の原画も展示されていました。さすがに30年も前に描かれた物だけあって、かなりシワとかも多いのですが、やはり原画だけが持つパワーに溢れています。

もちろん、お目当ての「ジョジョ」の原画も堪能させていただきました。カラーの表紙絵やトビラ絵のみならず、巻頭カラー時の本編原稿、さらには通常のモノクロ原稿までも展示されており、これぞ眼福の極み。第1部第1話での族長(オサ)の雄姿も、ブラフォードとの戦いも、ディオとの最終決戦も、まさか生で見られるなんて!当然、カラーイラストなんてヤバすぎですよ。これまで幾度も原画を観てきましたが、観るたびに息を飲みます。印刷では決して現れない鮮烈な輝き立体感、そして脈動感。荒木先生が直に描いた「本物」の絵が、自分の目の前にあるという非現実感
青鉛筆での下描きは、原画の見所の1つでしょう。用紙の端っこには、「コピーとること!」とか、アシスタントさんへの指示らしき文字も散見できました。また、何度も試行錯誤して色や線を決めたであろう痕跡も見受けられたし、1枚絵かと思いきや、実は別々の絵が切り貼りされていたって作品もありました。4部くらいまでは、背景にカラートーン(?)を使うケースが多かった事も分かります。ちょっとトーンがシワになってたり剥がれたりしているところも、これまた味があって良し。荒木先生の言う「ライブ感」って表現は、まさに言い得て妙ですね。見慣れているはずの絵も、原画だとまったく違う表情を覗かせ、こんなにも鮮やかだったのかと驚かされます。特に、コミックス27巻「DIOの世界 そのF」の見開きトビラ絵なんか、あまりのビビッドさに超オッタマゲました。
「グッチへ行く」も全ページ、原画を鑑賞できました。グッチ新宿展では、マンガ部分は複製原画でしたから。いざ原画を観ると、やはり複製とは全然違うんですよ。美しすぎます!この作品だけは、グッチ新宿展の再現とでも言うように、黒い壁に飾られた絵に照明が当てられる形となっています。そんな展示方法の違いからなのか、とりわけキラキラと絵が輝いて見えました。セリフ1つにしても、言い回しとかを何度か修正してるっぽい事も分かります。面白いなあ。


展示物は原画だけに留まりません。「石仮面」や「ブラフォードの剣」、「弓と矢」が原作そっくりに作られ、ムーディーに安置されていました。ファンにはもはやお馴染みとなった露伴の等身大フィギュアはもちろん、今回は仗助もいます。AR技術を使った「杜王町MAP」に、もうじき発売されるジョジョケータイなんかもありました。
特筆すべきは、なんと言っても、荒木先生の仕事場!インタビュー番組でよく見る、荒木先生の机が見事に再現されています。机の上には、執筆道具の他に、ファッション系の本や水木しげる先生の妖怪図鑑、大友克洋先生の「AKIRA」、恐竜のフィギュアなども置かれ、なんともリアリティたっぷり。露伴のラフ画も2点、さりげなく置かれています。荒木先生と椛島さんの対談VTRも放映されていました。荒木先生の初代担当編集者である椛島さんは、荒木先生に大きな影響を与えた方。めちゃんこダンディーで、さすがの貫禄と迫力が滲み出ています。これは若き日の荒木先生もビビるわ。でも、30年もの年月を経ての対談、実に感慨深そうでした。


いやはや、大変素晴らしい展覧会でした。誇張でなく、本当に老若男女が全国から集って来ていたワケですが、それだけの引力がここには確かにありますよ。
ただ……、常にスタッフさんから「立ち止まらずに観てくださーい」と急かされ続けたのは残念。そりゃ無茶な要求ですぜ。そうしないと人が捌けないのはもっともですけど、ファンとしてはやっぱじっくり鑑賞したいところ。1つの絵に最低2〜3分はかけたいですよ。まあ、168点も展示されてるらしいので、マジにそんな事したら見終わるのに8時間以上かかっちゃうか(汗)。展示物が多いってのも、逆に悩ましいものですね。何回でも行ければいいんだけど。




そのC


物販会場は、メディアテークから少し歩いた場所にあります。この2〜3日でほぼ売り切れという惨状ですが、受注生産の「七夕の仗助」「松島の定助」の複製原画は注文しときました。ポストカード全種類セットも購入。ハガキ用イラストである、ジャイロとジョニィの切手風の絵は持っていないので、それをゲットするためです。東京展キービジュアルに似た、承太郎とイギーのラフ画入りメッセージカードも付いてきますしね。あとは、残っている物を適当に買いました。
「杜王新報」「ごま蜜団子」は、メディアテークでゲット済み。近くの書店で「ジョジョ」関連のコミックスを買えば、露伴の「ジョジョ展」メッセージカードももらえるらしく、それも問題なくゲット!着々と揃っているぜ。










続いて、靴の「むかでや」の前も通りつつ「藤崎」へ。「GUCCI×ジョジョ展 チャリティオークション」での出品商品が、グッチショップに展示されているのです。フィレンツェ展キービジュアルのサイン入り複製原画に、ラフ画とサインの描かれたグッチ商品という、ゴージャスなラインナップ!欲しいな〜。でも、オークションを制するだけの財力は無さそうだ。
コンビニ「オーソン」にも行きました。数人のジョジョファンが、店の前で楽しげに写真撮影しています。店の名前が1文字2文字変わったってだけで喜べるんだから、つくづくファン心理ってのは不思議なものです。私も楽しく撮影しました。「オーソン」限定商品は瞬殺で売り切れていたものの、6部の「キャラヒーローズ」を2つ購入。「オーソン」のレジ袋はどうにか入手成功!ちなみに、「キャラヒーローズ」はF・Fとラング・ラングラーでした。










時間もお昼になり、お腹も空いてきました。ランチは仙台駅地下にある「すてーきはうす 伊勢屋」にて。「ジョジョ展」期間中のみの限定メニュー「ジョジョ特別膳」を食べました。牛たん味噌漬焼、仙台名物長なす漬、仙台味噌の味噌汁、仙台名産蒲鉾、ひとめぼれのごはん……という豪勢なセットです。文句なしに美味しかった!特に味噌汁が超ヤバイ。まさしく「杜王に名品あり」。もっと食いたかったです。








そのD


やがて、時刻は午後6時。最後を飾るは勝山館。イタリアンリストランテ「パドリーノ・デル・ショーザン」と「ジョジョ展」がコラボし、今だけトニオさん風料理をいただけてしまうのです!
普段からこんな立派でオシャレなお店に来る事はないんですが、たまには良いもんですね。スタッフさんも親切で、写真撮影も快諾してくれました。「料理と一緒に撮って差し上げましょうか?」なんて提案までしてくれる程です。つーか、私以外にもジョジョファンのお客が数人おり、みんなしてカシャカシャ撮ってました。




まずはお約束のミネラルウォーター。果たしてこれがキリマンジャロの5万年前の雪解け水かどうかは不明ですが、その冷たさと清らかさは火照った体をクールダウンさせてくれました。いくらでも飲めそうです。
アンティパストは、ナポリ産水牛のモッツァレッラチーズとフルーツトマトのカプレーゼ ニイクラファーム直送無農薬バジルのジェノベーゼ。さっぱりしたチーズに、フルーツトマトのジューシーな酸味と甘味が絶妙にマッチし、食欲を駆り立てます。食べ終わったら、スタッフさんが「肩は大丈夫ですか?かゆくありませんか?」と聞いてきました(笑)。ノリノリです。
プリモピアットは、魚介類の娼婦風スパゲッティーニ。タコとイカの豊かな海の風味がパスタに絡み付いて、病みつきになる美味しさ。辛さはそんなでもないので、億泰でも難なく食べられます。
セコンドピアットは、骨付き仔羊のソテー リンゴヴィネガー風味のマスタードソース。これが私的に最大のヒット。美味すぎ。柔らかな肉と一緒に、小さくスライスされたリンゴも口に運ぶと、まさしく桃源郷の味わい。たっぷりと脂がのっているのに、決してくどくなく、濃厚かつ爽やかな旨味が楽しめます。
他にも、自家製のパンが食べられるんですが、これもまたうめえ。もっちりしっとりとした食感と香ばしい匂いがたまりません。




ドルチェは、カボチャのプリン ラム酒風味のジェラート添え。プリンの上には、ひんやり甘いアイスと、カボチャの種や豆のサブレ的なサクサクお菓子が乗ってます。金箔も散りばめられ、見た目にも楽しいデザートです。それらを同時に食べると、口中に奏でられるは味と食感のアンサンブル。実にまろやかです。
そしてラストは、サプライズのJOJOマカロン。心憎いサービスです。ストロベリーとピスタチオのマカロンで、それぞれの美味しさが存分に生かされてました。



――こうして、杜王町を心ゆくまで満喫し、家路に就いたのでした。
「ジョジョ」という作品が、荒木飛呂彦先生という人物が、いかに愛されているか……、改めて心で理解できた日でしたね。正直、幼少の頃より幾度も訪れている場所なのに、今回ほど楽しめた事はなかったと思います。この「ジョジョ展」が1つのキッカケとなり、仙台を好きになってくれる人が1人でも増える事で、被災地の復旧・復興にさらなる弾みが付いてくれる事を祈ってます。




アキバ上陸作戦

完






(追記)
「ジョジョ展 in S市杜王町」より帰還して早2ヶ月。10月2日(火)、ついに待望の複製原画が届きました!思ってた以上にデカいダンボール箱に梱包されています。丁寧に箱を開け、いよいよ複製原画とご対面ッ!
おおおお……ッ!こりゃスゲー……。さすがに本物の原画は別格ではありますが、お値段に見合うだけの見事な再現度ですよ。普通の印刷では決して味わえないであろう荒木先生の微妙な筆使いや色使いまでもがしっかりコピーされ、雑誌やポスターで見る時とは印象がだいぶ違います。複製原画というだけあって、原画にかなり近い印象。「ジョジョ展」でじっくり鑑賞できなかった分、目を皿のようにしてガン見させていただきました。誰にも急かされる事なく、思うがままに荒木先生の絵を楽しめる。ハッピーよのう。
複製原画は白い額縁に入れられ、すぐにでも飾る事が出来る体勢となっています。でも、展示するより先に、まず部屋の片付けと大改造をしなくては……(汗)。
さあ、「ジョジョ展 in TOKYO」も開催間近。複製原画を買おうかどうか迷い中の方もいらっしゃるかもしれません。そんな方に、あえて言いましょう。

買っとけ!!後悔はしないッ!!………たぶん



置き場所に困るデカさ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ドドドドドドドドドド

「七夕の仗助」

Wジョースケ揃い踏み



「松島の定助」

「ジョジョ展」の刻印も



裏はこんな感じ

※アクリル板が反射しまくってますが気にしない方向で




(2012年8月3日)
(2012年10月2日:追記)




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