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ジョジョの奇妙な冒険 (TVアニメ)






第24話  JOJOを結ぶ絆



本音を言いますと、珍しくテンポが悪い回だったな〜と感じました。それもそのはず。通常なら原作4話分くらいは消化してるのに、今回は2話分のみ。単純に考えて半分のスピードに落ちちゃっている上、普段はやらない前回のあらすじやアニメオリジナルのシーンも盛り込まれたため、冗長に感じられるのも致し方なし。
もっとも、ここであえてスローペースにする事で、カーズとの最終決戦のジェットコースター展開が引き立つのかもしれません。必要な溜め回だった、と受け取っておきましょう。

印象的だったのは、スピードワゴンとスモーキーのやり取りです。ジョセフ達のために何か力になりたいと願って、こんな危険な場所までやって来たスモーキー。ジョセフ達の過去を知りたいと詰め寄る真剣なスモーキーを見つめ、静かに語り出すスピードワゴン。原作ではあっさりと描かれてたので、そうは思わなかったんですが……、スピードワゴンはスモーキーにかつての自分の姿を重ねたのかもしれません。肩を並べて共に戦えるような力はないけど、どんな小さな事でもいいから役に立ちたい。傍観者でいたくない。そんな共通の想いがあるからこそ、スピードワゴンはスモーキーになら秘密を打ち明けてもいいと思えたのかな。
「石仮面」発動シーンもさすがに良かった。「紫外線増幅装置」なるドデカいオリジナル兵器には思わず笑っちゃいましたが、溜めに溜めてのあのラストッ!取り返しの付かない事が起こってしまった絶望感!それでいて、どこか神々しい美しさすら感じさせるカーズの輝き!生命の究極に到達した肉体の中に生まれる宇宙(イメージ図)!いよいよクライマックスです。ワクワクしますね。

(2013年3月23日)




第23話  風にかえる戦士



ワムウ戦決着から、ジョセフ VS カーズまで。前回の超ハイペースに比べると、さすがに今回は落ち着いたスピードに。でも、相変わらずテンポ良く展開し、まったく飽きさせません。
ワムウの最期は本当に誇り高くてシビれました。まあ、ツッコミどころはありますよ。ワムウがキラキラしすぎだし、ジョセフの出血もハンパないし、解毒剤を飲むシーンももう少しじっくり描いてほしかった。せっかくシーザーの鎮魂歌オペラを流すなら、前半でいきなりじゃなくて、感情の高まったラストの方に持ってきてほしかったですし。そういう意味ではやっぱ、ワムウ戦は1話丸々で一気に畳み込むか、2話丸々でしっかり描き切るか、の方が良かった気がしてます。でも、声優さん達の声のトーンとか含め、なんとも情感たっぷりで心に響きました。
そして、カーズの変貌っぷり。敵が全員気高いヤツらだったら、殺し合う事が悲しく虚しく感じられてしまう事でしょう。この最終局面でのカーズの「悪」化は、戦いに必然性を、物語にカタルシスを与えてくれます。演技も実に素晴らしく、すっかり魅了されました(笑)。特に「ウィンウィン」がギターを奏でる風だったのは衝撃的。変態っぽさを醸し出すためだけの特に意味ない挑発ゼリフか……、はたまた、カーズの手がベルトコンベアー的にリサリサ先生の足を進んで行く機械音を表現したセリフか……くらいにしか想像できてませんでした。正直、エアギターには虚を突かれ、こんな解釈もあったかと驚かされましたね。
またまた現れたシュトロハイムも最高でした(笑)。彼はここから最終回まで出突っ張りとなるので、まだまだ楽しませてもらえそうです。

さて、残るは3話。どういうペース配分になるのかな?ちょっと予想してみます。
次回24話は、カーズが「究極生命体(アルティミット・シイング)」と化し、太陽を克服するシーンまで。25話は、火山に突っ込んだ後、カーズにジョセフの左腕が切断されるところまで。最終回26話は、カーズの過去がアバンタイトル。Aパートが、火山噴火でカーズを宇宙まで吹っ飛ばし、ジョセフが消え去るところまで。Bパートが、ジョセフ帰還、みんなのその後。そして、1・2部の様々なシーンと共に「ROUNDABOUT」をフルで流し、Cパートへ。50年後のジョセフが日本へ旅立つシーンで完結。……って感じかなあ。もしかするとサービスカットとして、海底のDIOの棺とか、牢の中の承太郎のシルエットとか描かれたりもするかもしれませんね。
いずれにせよ、カーズ戦は原作ではかなりハイスピードで進んだけど、アニメでは時間を掛けてやろうとしている印象。アニメ第1期の最終決戦でもあるので、あっさり終わらせては拍子抜けしちゃいそうですしね。生命進化の頂点「究極生命体」の恐怖と脅威を、たっぷりと味わわせてほしいものです。

(2013年3月17日)




第22話  真の格闘者



今回はジョセフ VS ワムウの戦車戦ッ!この戦いは、ジョセフのタフさ、ユニークさ、ズル賢さ、悪運強さ、そして気高さ……、彼の魅力の全てが詰まった戦いだと思っております。シチュエーションやルールによる縛りを設けた事での、独自の駆け引きと展開。二転三転なんてもんじゃ済まない逆転の連続。「ジョジョ」全編通しても最高レベルの名バトルと言えましょう!アニメも、そんな名バトルを描き切ろうと頑張ってくれました。見所満載どころか、見所しか無いッ!
巨大吸血馬や戦車に乗った決闘ならではのスピード感と重圧感は凄まじく、否応なく目を引かれます。声優さんの熱演やBGM、効果音等も、戦場の臨場感と迫力をますます高めてくれていました。また、ただシリアスなだけではなく、武器係の吸血鬼コンビやうつろなワムウ2画面なんかの、思わず笑っちゃうようなシーンも。とにかく、観てて楽しいのがこのアニメの素晴らしいところです。だから何回でも観たくなる。

ただ……、正直言って、こんなに超ハイペースで進むとは予想外。まさかもう「渾楔颯」発動とは……。てっきり今回はワムウの目潰しくらいで終わって、次回丸々でワムウ戦決着かと思ってました。あと4話も残ってるのに大丈夫なのか、と逆に心配になっちゃう(汗)。
しっかり計算されての結果なんでしょうけど、このバトルはじっくり描いてほしかったのが本音ですね。高速すぎて伝わりにくかったシーンや、もったいなくカットされたセリフもけっこうありましたし。まあ、戦車戦の疾走感を演出するためには、このぐらいのペースの方が良かったりするのかも。ワムウがブチ折った柱が、武器を吊るす第1コーナーの柱じゃなかったのも、スピード感やリアリティ重視ゆえ?それでも、スタート直前にワムウに仕掛けた瓦礫は、もうちょい割増しにしてほしかったかな〜(笑)。あれじゃ、妨害するにも量が少ない気が……。

(2013年3月9日)




第21話  100対2のかけひき



号泣者続出の神回・伝説回となった前回から打って変わって、今回はギャグ満載で笑わせてもらいました。ベックも実にSEXYで、声優さんの演技のおかげもあって強烈なインパクトを残してくれましたね。原作でお馴染みの視線矢印も再現されてたし、リサリサ先生のジロリもウケたし、次回予告も前代未聞(笑)。
この落差というか緩急の付け方というか、切り替えの早さがイイですね〜。哀しみを無理矢理押し殺さず、感情のままにちゃんと泣き叫ぶ事が出来たからこそ、ジョセフ達も我々視聴者もシーザーの死を受け入れて先に進めたのでしょう。

内容的にはワムウとの決闘前の繋ぎ回・溜め回ではありますが、ドキワク感がスゴくって本当に面白かった。何より、ジョセフが「仁」を燃やすシーン!これは個人的に、名シーン目白押しの2部の中でも一番好きかもしれないシーンです。言ってみれば、ジョセフの中に宿っていた黄金の精神が発芽した瞬間。彼の心の成長が伝わる、最高にカッコいいシーンなのですよ。今までずっと個人的な感情でのみ戦ってきたジョセフが、シーザーの死をキッカケに、みんなの想いのために戦う決意をしたワケです。ジョナサンやツェペリさん、そしてシーザー、去って行った者達の意志を受け継ぎ……、今を生きる全ての人々の未来を背負う……。その覚悟を決めたジョセフは、この時点で初めて2代目「ジョジョ」として完成したように思います。
シーザーは、ジョセフの命がワムウに握られている状況から救ってやりたかったはず。ジョセフを100%の状態にしてやりたかったはず。しかしジョセフは今、100%どころか120%、200%ってぐらいの勢いになってます。シーザーの死はシーザーとの誓いとなり、それはジョセフを強く成長させてくれました。技術や戦力とかじゃなく、精神や心の在り方を。戦士として、人間としての「格」を大きく高めてくれたのです。ジョセフにとって最大の悲しみだったでしょうけど、その経験を経ていなければ、きっとジョセフはワムウに勝てない。シーザーのバンダナを巻き、決闘に挑むジョセフの姿にはメッチャ燃えましたッ!あのBGMもズルイわ。血が熱く滾るよ。


ところで……、リサリサ先生はスト様から「波紋」を教わり、「赤石」を受け継いでいます。その割にスト様には、「柱の男」についてロクな知識がないとも取れる言動がありました。一方、リサリサ先生は、「波紋使い」と「柱の男」の戦いの歴史まで知っています。なんか変。もしスト様が何も知らなかったのだとしたら、トンペティ老師あたりがスト様の未来を予知し、「あっ、コイツ裏切るっぽい。余計な知識は与えない方がよさげだわ。」って判断したのかも(笑)。スト様にはとりあえず形式的に「赤石」だけ譲り、リサリサ先生が「赤石」を継ぐ段になって「ちょっとワケありでスト様には言ってないんだけど、実はこんな言い伝えがありますよ。」と教えられたのかも。「赤石」が「波紋増幅器」である事実も、そういう変則的な伝承があったせいで正確に伝わらなかった……ってオチだったりして?
あと、細かいツッコミを入れると、「赤石」は裏表両面とも露出してるべきかと。裏面が金属じゃ、光も増幅できんよ(汗)。それと、話の流れ的に、ワムウが古式にのっとった戦いの装束に身を包むのは、吸血馬登場後にするべきだよな〜と。この辺はBlu-ray化の際に修正されるかな?

(2013年3月3日)




第20話  シーザー孤独の青春



あ〜〜、泣いたわ……。やってくれたわ……。このアニメ、やってくれたわ……。やはりスタッフさんも力の入れ所ってヤツを弁えているようで、かつてない程の力の入れっぷりでしたね。ハードル上がり切ったファンの過剰なまでの期待にも、見事応えてくれました!スタッフさん、声優さんを初め、このアニメに携わった全ての方々に感謝と敬意を示したいと思います。ありがとうございましたッ!
まず、が異常に気合い入ってましたよね。第8話を思い出させる、原作に近い絵柄!それもそのはず。アニメ公式サイトで確認してみると、第8話と同じ方が作画監督を担当されていました。ここぞって時の切り札的存在?頼もしい人です。もちろん絵柄だけではなく、動きもイイし、シャボン・レンズとかの演出もキレイ。シーザーの死は、原作の全パートを含めても、間違いなくトップクラスの名シーン。ここだけは絶対にハズせない、という制作陣の執念さえ感じられて嬉しかったです。
1部のツェペリさんの時も、タルカスにちょっと善戦するシーンが追加されてましたけど、今回のシーザーもワムウと善戦するシーンが追加ッ!しかもそれが、崩れ落ちる天井やシャボン・レンズ発動の布石にもなっている。無駄のない構成です。また、ジョセフ達がシーザーの眠る場所に気付くキッカケも、壁面の一部が崩れ、そこから光が差し込んで……って流れになっていて良かった。ラストシーンもそんな差し込む光や荘厳なる鎮魂歌で演出されていて、シーザーへの餞(はなむけ)として美しかったです。

ただ個人的には、原作で描かれた、死の直前のシーザーの表情が好きなんです。自分に出来る全てをやり遂げ、穏やかに微笑んでいるかのように見える満足気な表情が。アニメでは無表情っぽくなっていて、そこだけはちょっと残念ポイントでした。
でも、声優さんの熱演のおかげもあって、後半はずっと本当に心震えてました。一度は押し殺したはずの感情が、それでも堪え切れず、溢れ出してしまう。リサリサ先生の涙と、ジョセフの絶叫。これで泣かないワケがないでしょう。そして、血統から受け継いだ誇りを、友に託して死んでいったシーザー。彼の青春は孤独だったかもしれませんが、自分以外の誰かのために戦って生き抜く事が出来た彼の気高き人生は、決して孤独なんかじゃなかった。ジョセフもまた、シーザーから託されたものを未来へと受け継いでいきます。そんな人と人の繋がりの中に、シーザーの魂は、人間の魂は生き続けるのです。それこそが人間讃歌

(2013年2月23日)




第19話  死の崖へつっ走れ



お久しぶりの「BLOODY STREAM」で、OPから気持ちが盛り上がれた今回。本編の方も、シュトロハイムの活躍から崖底落下の空中戦、そしてジョセフとシーザーの大ゲンカ……と、めまぐるしい展開で大盛り上がりッ!
相変わらずの説明過多なセリフ応酬は、アニメ的には気になるものの、「ジョジョ」の魅力の1つでもあるのでご愛嬌ってとこですね!ツッコミ入れながら観るのもまた楽しい。カーズの「エシディシが死を賭して郵送してくれたのだ!」って、どこかアンバランスなおかしさがあるセリフが好きだったんですが、アニメでは「エシディシが死を賭して齎してくれたのだ!」と普通にカッコいいセリフになっちゃって残念でした。でも、主人公にあるまじき上品ネコのくだりをカットしないでくれたのは予想外で嬉しかったですね。

シュトロはやっぱりいい味出しすぎでした(笑)。声や動きが加わると、ますます面白いヤツだよなあ。サイボーグという、「ジョジョ」世界で唯一無二の地位を確立してるし。生物進化の究極であるカーズに、「科学」という人類の叡智で対抗する点も燃えます。トンデモな設定ではありますが、それでも万能ではなく、しかし無能でもない。ラストの展開も含め、シュトロの行動は裏目に出る事が多く、でも彼のおかげで助かった部分もある。荒木先生の「科学」に対する考え方が投影されているようにも感じられます。人間の幸福にとって無くてはならない反面、頼りすぎてはかえって不幸を招きかねないもの。
もちろんカーズも素晴らしい。渋い声と演技にシビれます。子犬や花にも優しいし。まあ、ラストは別人に変貌してしまう彼ですけどね(笑)。でもカーズは、基本的にはクールで思慮深く仲間想い、小さな生命にも敬意を抱ける男だと思います。ただ、一貫して合理主義者であり、自分も含めた全てを目的達成のための「駒」として見れる男なんでしょう。最も楽に目的を果たすためならば、「個」としての感情すら躊躇なく切り捨て、ド外道のゲスにでもお馬鹿キャラにでも何にでも簡単になってみせる。そんなヤツと受け取ってます。手段を選ばず結果を求める姿勢は、「ジョジョ」ではと定義されていますが、カーズほど堂々とされると逆に清々しい。憎めないキャラです。

そして、いよいよ次回。シーザーに運命の時が訪れてしまいそうです……。見たいけど見たくない、複雑な精神テンションだぜ。アニメで「ジョジョ」を知った方達の純粋な感想とかを読むのも新鮮で楽しいんですけど、彼らの事を考えると胸が痛みます。
とは言え、シーザーの死をどう描くかは、このアニメの真価が問われるであろう重大な問題。ハードルが上がりまくりでスタッフさんもしんどいでしょうが、初見の方々も以前からのファンもボロ泣きできるほどの出来を期待しています。

(2013年2月16日)







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