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ここに書いているのは、スタンドの個人的な解釈に過ぎません。
原作の設定・描写をベースに、
勝手に考察・妄想しただけのものです。
正確な公式データが欲しいという方には何の役にも立ちませんので悪しからず。




マリリン・マンソン (取り立て人) / 本体: ミラション
< 金品を「取り立て」る能力 >





<特徴>
2012年頃、囚人:ミラションの「他人を欺く才能」にエンリコ・プッチ神父は目を付けた。そんなミラションの才能と相性の良い能力として、プッチのスタンド『ホワイトスネイク』「DISC」によって授けたのがこのスタンド『マリリン・マンソン』である。
そのため、元々のオリジナルの能力から多少なりとも変化している可能性もある。


人型のヴィジョンを持つ、遠隔操作型スタンド。だが、独立した意志があり、ミラションが意識的に操作しているワケではない。
パワーそのものは弱く、直接的な攻撃は一切しない。ただし、後述する能力ゆえに、非常にスピーディーで精密な動作が可能。


全身がモコモコの毛で覆われており、肩や股間、ヒザなどの各所にはプロテクターのような物を纏っている。
口や鼻は無く、目に当たる部分はレジスターのように金額が表示されるカウンターとなっている。額には、貯金箱のような細長い穴が空いている。手は3本のフックの形をしている。
(恐らく、元ネタの「マリリン・マンソン」のアルバム「メカニカル・アニマルズ」からイメージされたデザインなのだろう。)




<能力>
金品を「取り立て」る能力



本体:ミラションと何らかの「約束」「契約」を交わしておきながら、そのルールを破って支払いの義務を負った者(以下「債務者」)から金品をトコトン取り立てる。それが『マリリン・マンソン』の能力である。
賭けをしていたなら、負けた金額分を。賭けでなければ、債務者が違約金として支払うべき金額分を。確実に容赦なく回収していく「取り立て人」なのだ。


「自分はルールを破った」という意識・認識は、その者の心に負い目・引け目・罪悪感という「影」を色濃く生み出す。その「心の影」に取り憑き、一体化したのが、この『マリリン・マンソン』である。
スタンド・ヴィジョンも、その者の影から出現する。消える時も影の中へと消えていく。
スタンドの原理的には『ザ・ロック (錠前)』とほぼ同一である。


『マリリン・マンソン』は、債務者の「心の影」と一体化しているため、その者が思い浮かべた金品在り処が即座に分かる。
債務者の所有物であるなら、それはもはや『マリリン・マンソン』の物。どこに隠した物であっても、その金品を引っ張り出す「引力」のような力が働き、隠し場所から露わにしてしまう。どんなに離れた場所であっても、たとえ債務者本人が在り処を知らなくても、影から影へ空間を超えて移動し、その金品の場所へ瞬時に到着する。そして、それを取り立てて奪い取っていくのだ。
なお、『マリリン・マンソン』は、取り立てた物の価値・価格をすぐさま正確に鑑定する。もし盗んだ金品で支払おうとしても、どれだけ「自分の物」と言葉で主張したとしても、本人に「盗んだ」という意識・認識がある限りは債務者本人の所有物として認められない。


「ジョジョ世界」におけるというものには、その者の魂がごくごく僅かながら投影されているらしい。
とは言え……、それは通常、たとえ影に何をされようと、その者には何の影響も無い程に微弱でか細い繋がりに過ぎない。しかし、逆に言えば完全に無警戒・無防備な箇所であり、その隠れた急所を突ける能力を持つスタンドも稀に存在する。(例:『セト神』『ブラック・サバス』『カリフォルニア・キング・ベッド』等)
『マリリン・マンソン』も、そのか細い繋がりに侵入し、取り立てる金品との「縁」を辿って行けるからこそ、影を通り道としてどこにでも移動できるのだろう。


取り立てた金品は、『マリリン・マンソン』の手から体内に吸収・収納され、そのままの状態で保管される。傷付いたり腐敗したり劣化したりする事はない。
そのため、もし債務者がすでに取り立てられた金品を「別の金品」と交換してほしいという希望を訴えれば、それは簡単に叶う。仮に臓器を取り立てられていたとしても、元通りの形で体内に再び戻せる。


債務者自身の「心の影」そのものなので、たとえスタンド使いであろうと、他人であれば『マリリン・マンソン』に触れる事すら出来ない
債務者本人だけは触れる事が出来るが、負い目や引け目という「心の影」である以上、『マリリン・マンソン』に対して発揮できる力は著しく弱くなる


この『マリリン・マンソン』との戦いは、テクニックの勝負でもなければ、駆け引きや騙し合いのギャンブルでもない。文字通りの「心理戦」、あくまで「心の在り様」の問題なのである。
作中においては……、ミラションはいかに空条徐倫達の心に負い目を作れるか、徐倫達はいかに自分の行動の正当性を心から信じられるか。これが、勝負における最も重要な分かれ目となった。



以下、作中の戦いについて、順を追って要点をまとめてみた。

まずミラションは、徐倫が賭けに乗るかどうかを確認した。賭けの話をし出す直前に、あえて徐倫に肘打ちしてイラつかせ、勝負に乗ってこさせようともしている。
賭けに乗ってきた時点で、ミラションはルールの詳細を設定。そして、あらかじめ買収していた囚人連中に、徐倫達のキャッチボールの邪魔をさせる。
徐倫は『ストーン・フリー』の「糸」で危機を回避。「糸」は紛れもない彼女自身の肉体の一部であるためか、徐倫には「イカサマをした」という意識は芽生えなかった。(ちなみに、これは当然、スタンド自体が肉体であるF・Fも同じ。)


続いて、エルメェスとの賭け。改めてルールを再確認する。あらかじめ買収していた看守に、エルメェス達のキャッチボールの邪魔をさせる。
慌てて、賭けを無効にしようと提案するエルメェス達。だが、ミラションは「あんた達がゆっくりと投げすぎたせいで時間が来たのでは?」と問い掛け、罪の意識を喚起させる。
勝負続行。エルメェスは『キッス』の「シール」で危機を回避。しかし、「シール」の能力は自然法則を超えた力を持っている。自分の肉体でもないし、本来の重力に逆らう力である。さらに、先ほどのミラションからの問い掛けで、心に負い目が生まれていた。それゆえ、「イカサマをした」という意識を抱いてしまった。『マリリン・マンソン』出現。「取り立て」開始。


エルメェスを取り立てる時の、「他に大切なモノは思い浮かばないか?」という『マリリン・マンソン』の言葉。すでに負け分の金額を取り立て終わったにも関わらず、わざわざ別の物と交換しても良いとする不自然な態度。そこから徐倫は、ミラションの最終目的が、承太郎の「スタンドDISC」である事を確信する。
このままではエルメェスを通じて、「DISC」を奪われかねないと感じた徐倫。そうなる前に『マリリン・マンソン』の「取り立て」を打ち切るべく、次なる賭けを持ち掛ける。


徐倫は賭けをマトモにやり切るつもりは無く、ミラションを叩いて終わらせようと考える。ミラションは自分の目的を話さなかった。説明すべき事を説明せず、隠して騙していた。それは公正・公平ではない。「ルール違反」だ。ルール違反の本体ならブチのめせる。ブチのめしても許される正当性が、こちらにはある。……厳密にはそんな細かいルールなど存在しないのだが、この戦いが「心の在り様」の勝負である以上、徐倫がそう思ってそう信じた事が全てなのだ。
もしミラションが、最初から素性や目的を全て明かした上で賭けをし、それで勝てたのならば、もはや徐倫達はミラションに太刀打ちする術も無くなる。自分達だけがルール違反し、ミラションが正々堂々と勝ったのならば、もはや付け入る隙は一切ない。ミラションをブチのめし、自分を納得させられるだけのロジックが無い。やけっぱちになってミラションを殴ろうとしても、「自分がルール違反をした」という負い目がますます強くなるだけだ。ミラションを攻撃する事は出来ず、『マリリン・マンソン』の「取り立て」はさらに激しくなるだけであろう。
だが現実的には、全て明かしたところで、徐倫達はそもそも賭けになど乗らないに違いない。それどころか、勝負以前に、即座に問答無用でボコられて終わりだろう。だからミラションは、徐倫達を賭けに乗らせるために回りくどく立ち回ったのである。それゆえに、自分が徐倫達に「ルール違反」と見なされる可能性・危険性も重々承知していた。速やかに徐倫達から離れ、逃げたのはそのためだ。


エレベーター内にて、ピンチを迎えた徐倫。だが、『ストーン・フリー』でボールを分解。そして、皮も中身もキャッチする。
ミラションはイカサマを訴えるも、徐倫は野球のルールを盾に自身の正当性を主張。自分が「イカサマではない」と心から思えている限りは、それは決してイカサマにはならないのだ。
ところが、ミラションは全てを仕組んだ上で勝負に挑んでおり、看守を使って、思いっ切り露骨にボールを奪い取らせた。賭けを真っ向からやらずに「ルール違反の本体をブチのめして終わり」と考えた事自体、徐倫自身ですら気付いていなくても、もはや無意識レベルではイカサマを認めた事になる。本体を倒すという行動自体、「賭け」や「ゲーム」から大きく逸脱した、明確なるイカサマ行為なのだから。イカサマにはイカサマを、ルール違反にはルール違反を、という無法者の考え方に過ぎないのだから。つまり、ミラションがいくらイカサマを重ねようがお互い様。受け入れざるを得ないし、心の奥底ではすでに受け入れていたのである。


心が敗北を認め、ついに取り立てられる徐倫。だが、徐倫が「ルール違反のミラションをブチのめせる」と考えた時点で、賭けはとっくにルール無用の場外乱闘と化している。
その上、ミラションが「このゲームでのイカサマ有り」を明言してしまった事により、徐倫の中であらゆる前提条件が崩れ去ってしまった。ルールそのものが取っ払われ、完全に何でも有りになった。即ち、「取り立て」の真っ最中に本体をブチのめして、勝負をうやむやにする事さえも有り。それゆえ、ミラションはあっさり逆転を許し、敗北してしまった。お互いに堂々とイカサマが可能な状況になっている事を徐倫に自覚させてしまったため、彼女の心から、イカサマに対する負い目や引け目が完全に無くなってしまったのである。こうなってしまえば、「心の影」など消え失せ、『マリリン・マンソン』もまったくの無力となる。
『マリリン・マンソン』の強さとは、ルールを守っているからこその強さ、ルールに守られているからこその強さなのだ。真実はどうあれ、公正・公平な勝負と信じ込ませ、「相手はルールを守っているのに自分は破ってしまった」と思わせなければならなかったのである。ルールという枠・枷が無くなってしまえば、『マリリン・マンソン』も無敵ではいられなくなるのである。その辺の認識や詰めの甘さが、結局はミラションの敗因になったと言えるだろう。




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