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岸辺露伴は動かない
エピソード#02 六壁坂 (OVA)





2018年7月19日、「岸辺露伴は動かない」コミックス第2巻が発売されました。実はこれには2種類ありまして、通常版とアニメDVD同梱版です。後者にはなんと、OVAとなった「六壁坂」のDVDが付いてくるのです!「富豪村」に続いて、早くもOVA第2弾ッ!これも当然、ゲットしなくちゃなりますまい。
というワケで、その情報が入り次第、速攻で予約したんですが……、配送されるまでえらい時間が掛かりました(汗)。ここんとこ日本列島を襲っている豪雨や猛暑の影響なんでしょうか、7月24日にようやく到着。待たされた分、じっくりと鑑賞し、感想を書くところであります。



基本、ストーリーは原作通りなので、ここでは深く語りません。省略するところはうまく省略し、違和感なくまとめられていたと思います。
でも、この作品の持つ不気味さ・おどろおどろしさは、なかなかにアニメ映えしますね。どんどん溢れ出し、流れ続ける血液は、色や動き、音があると、尚のこと気色悪い。真っ赤な鮮血がタオルに染み込み、廊下を伝っていく様子は、楠宝子の人生が怪異に侵食されていく様にも見えます。傷口を縫おうと針を頭に刺すシーンなんか、「うえっ」って感じで、思わず目を逸らしたくなっちゃう。画面全体が白っぽくなるシーン特色も、効果的で印象に残っています。
そして同時に、血に染まる楠宝子の色っぽさもしっかり描かれていました。下着姿だからってだけじゃなく、「血」と「美女」という組み合わせは、どこか背徳的なエロスすら漂わせます。婚約者に内緒で会っていた男、殺人を隠す行為……、そんなそもそものシチュエーションが背徳の香りたっぷりなワケですし。視聴者はそれをこっそり覗き見ている立場でもあって、これまた背徳感。極めつけが、大粒の涙を流しながら、心の中で許しを乞いながら、楠宝子が郡平の血を飲むシーンです。食人にも通じる「禁忌」を犯した彼女の姿は、おぞましくもあり、美しくもありました。挙げ句、修一と結婚しといて、死んだはずの郡平の子を妊娠ですからね。「見てはいけないもの」「やってはいけない事」というのは、すごく恐ろしい反面、やっぱり強烈に心惹かれる部分もあるのです。
それにしても……、ただひたすら「血を止めよう」「死体を隠そう」というだけの話なのに、凄まじい攻防。この辺はさすが荒木先生ですよ。あの手この手でトコトン追い詰められ、主人公はそれをさらに超えていく。アニメだと余計、楠宝子の早着替え&早隠しの超絶スピードにビビりますけどね(笑)。


露伴パートの方も見応えバッチリ!冒頭の破産話のあたりは、貝森くんの態度に笑っちゃうし、露伴のプロ精神を尊敬もします。原作よりも貝森くんが今時の若者風になってて、露伴とのギャップがますます引き立ってました。玉美と音石へのドリッピング画法もキマッてましたね~。
大郷家への取材では、バツデラさんとかいう開発業者らしきおっさんも同行。なんとか露伴を説得し、山を売ってもらおうと画策している模様。「コイツ、必要か?」とも思いましたが……、楠宝子の娘が死んだ時、露伴をより窮地に立たせるための装置として役立ってました。あの場に第3者の彼がいる事で、もし目撃されちゃったら、露伴の破滅はより確実なものになりますからね。
しかも、最後は康一くん・億泰・仗助・未起隆まで登場!もはや同窓会みたいだな(笑)。ちょっとファンサービスし過ぎな気もするけど。でも、ラストシーンは原作より好きかもしれない。山を去る露伴の後ろ姿。そして、聞こえる声。「お母さぁーん」「あたし いつかステキな人のお嫁さんになれるかなぁ」「きっとなれるわ」。そんな楠宝子と娘の声。微笑ましい親子の会話のはずなのに、ゾッとさせられます。あえて親子の姿を描かず、息子の存在をも抹消した事で、穏やかなのに不穏な結末。にも関わらず、誰も不幸になっていない奇妙なハッピー・エンド。この物語は「極上のホラー」であると同時に、「歪んだラブ・ストーリー」でもあるのです。


不満点はあんまり無いんだけど、楠宝子の娘が「妖怪」の姿になった時の「ドシャアアアァ―――ッ」って叫び声。本来の女の子ボイスじゃなく、もっとバケモノじみた奇声にしてほしかったです。その方が「えっ?マジに何者なの!?」って思うでしょ?




OPの「岸辺露伴は動かないのテーマ」、EDの「FINDING THE TRUTH」も最高です。7月19日より配信開始されていますが、私ももちろんすでに購入済み。聴けば聴くほど素晴らしいぜ。OPは何かが起こりそうな「予感」が、EDは物静かで清らかな「余韻」が、そっと心を満たして来ます。
ぜひとも、別エピソードもアニメ化してほしいですね。「D・N・A」なんかめっちゃ泣けそうだし、「ザ・ラン」も動きがあると超盛り上がりそう。のんびりと待ってます。




(2018年7月24日)




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