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管理人 大阪へ行く
原画展示中内容変更中 ~





その①


ご存知、「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」!フランス・パリのルーヴル美術館による、漫画やバンドデシネの企画展の名です。国内外のマンガ・アーティスト達の作品が結集し、厳選された原画等を鑑賞できるのです。この夢の企画展に、我らが荒木先生は「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」の原画で参戦ッ!東京を皮切りに、大阪、福岡、名古屋……と日本各地で巡回展示される予定となっており、私も昨年(2016年)9月、東京展を観に行って来ました。(レポートはこちら
だから、他の地域にまでは行く必要は無いとタカをくくっていたんですが……、まさかの事態が勃発。「作品保護のため、大阪展以降、荒木先生の展示内容が一部変更になる」との情報が入ってきたのです。マジかよッ!そうなったら、もはや行かざるを得ないじゃないですか。そんなワケで新年早々、またまた1人で行って参りました。

なお、大阪展は2016年12月1日(木)~2017年1月29日(日)の期間、「グランフロント大阪」のイベント・ラボにて開催されています。
詳細については、例によって@JOJOさんをご覧になってくださいな。




その②


<2017年 1月7日(土)>
朝の飛行機で大阪へ出発。大阪駅前に到着したのは、お昼の12時頃でした。ホテルには3時にチェックインする予定にしてたんで、とりあえずちょっと観光する事に。大阪の代名詞の1つとも言える、大阪城へと赴きます。おお、デカい!白くてキレイ!多くの外国人観光客で賑わう中、私は「ここでキン肉マンチームとフェニックスチームが戦ったのか……」と密かに感じ入ったりもしてました。
あとは、大阪駅に戻って、昼食。時間のあるうちに、おみやげも購入。そして、道すがら偶然やってたタンバリン芸人:ゴンゾー氏のライブをチラリと見つつ、ホテルに向かいます。途中、梅田ロフトの地下にある映画館にも寄りました。荒木先生がコメントを寄稿しているらしい、映画「ヒッチコック/トリュフォー」のパンフレットを入手するためです。これは荒木先生が漫画制作の教科書にしたという「定本 映画術」を映画にしたもの(奇妙な話ですが)。荒木ファンならば押さえておきたい。というワケで、無事にGET。



大阪到着


大阪城


ゴンゾー氏

パンフ



ホテルで少し休憩し、4時頃に再始動。いよいよ本命、「ルーヴルNo.9」の鑑賞に向かいます。会場は「グランフロント大阪」の北館・地下。ぶっちゃけ、あんまり詳しくは調べてなかったため、北館・南館がある事さえ知らず、展示会場の入り口を見付けるのに難儀しちゃいました(汗)。気付かなかっただけかもしれませんけど、広告や案内っぽい物も見掛けなかったしなぁ。
当日券売場の横のエスカレーターで地下に下り、少し進むと、やがて真の入り口が見えてきます。荒木先生の展示作品変更のお知らせも貼ってました。もし今後も会場ごとに内容が変わるようなら、福岡や名古屋にも行かにゃあならんね。



グランフロント

会場の地下へ


入り口


ポスター

お知らせ




その③


この大阪展は東京展とは少々勝手が違い、(行った人なら分かる)暗い別室でのオープニング・セレモニー的な「アレ」がありませんでした。煩わしいって人もいたでしょうけど、私はけっこうサプライズで好きな演出だっただけに寂しい。例の映像はずっと流しっぱなし、ニケ像も普通にそのそばに設置されてるだけです。まあ、会場ごとの違いを楽しむってのも悪くありませんね。
しかし、最大の違いは何と言っても、動線の改善でしょう。「読み進める方向」と「お客さんの動線」、この2つが大阪展ではちゃんと一致させてありました(少なくとも、荒木先生のコーナーは)。本来ならそこは最初から配慮すべきポイントだろとは思いますが、改善してくれたのでOKとします。



作者紹介

プロローグ


ニケ像



ざっと回った感じ、荒木先生のコーナーが最も賑わっていた印象でした。行列が特に密集してる。客層的には老若男女いますが、若い女性の姿が多い。そりゃあ展覧会に来たからには、目的が何であれ、誰でも普通は全部観るでしょうから一概には言えませんけども……、アニメ化とかの影響で「ジョジョ」や荒木先生の新たなファンが増えてくれた結果ならば嬉しい限りです。

展示されている作品は合計23ページ。東京展と同じく、パネルに掲示されているページ数の方で書かせていただきますが……、5、16・17、28・29、38~40、45~49、64~68、100・101、109、122・123ページ目のトータル23ページです。ただし、48・49ページ目の2ページが複製原画になっていました。なんと、よりにもよって今作の象徴的シーンとも言える、ルーヴル美術館をバックにポーズを決める露伴の見開きページ!複製原画と原画では、ガラスとダイヤモンドくらい違うから残念至極。なもんで、原画は21ページの展示って事です。
(スキャナーとか持ってないため、めっさ見にくい画像で申し訳ありませんが、どのページかだけでも分かるように単行本の画像も貼っておきます。)



5ページ


16ページ


17ページ


28ページ


29ページ


38ページ


39ページ


40ページ


45ページ


46ページ


47ページ



48ページ
(複製)


49ページ
(複製)


64ページ



65ページ



66ページ


67ページ


68ページ


100ページ


101ページ


109ページ


122ページ


123ページ



――つまり、東京展では展示されていた以下の7ページの原画が撤去され、



48ページ


49ページ


58ページ


60ページ


61ページ


124ページ


125ページ



大阪展では以下の8ページの原画に差し替えられた、という事ですな。
(ちなみに、5ページ目の原画は、かつてルーヴル美術館でも展示されていた物です。懐かしいぜ。)



5ページ


46ページ


47ページ


100ページ


101ページ


109ページ


122ページ


123ページ



こうして見ると一目瞭然ですが、撤去された原画は全て「ルーヴル編」のページです。テーマ・カラーがピンクのページです。そして、差し替えられたのは、ピンクがほとんど使用されていないページ。
奇しくも、東京展の時のレポートで私は、「原画と単行本を見比べてみると、原画に塗られた色は意外と控えめな印象を受けます。単行本になると、色がえらくハッキリしてる。むしろドギツイくらいかも。経年劣化か何かで色が薄くなったとかじゃないのなら、先生は印刷による発色も計算に入れて色を塗られているのでしょうね。」と書いておりました。個人的に、特に色が薄く感じられたのは、ラスト2ページとなる124・125ページ目のピンクでした。
恐らく、印刷の影響とかではなく、ガチでピンクが薄くなっちゃってたんだろうと思われます。荒木先生が使っていたピンクのインクは、光に弱く、経年劣化しやすい……みたいな性質があったのかもしれませんね。






荒木先生の原画を鑑賞して、感じた事・思った事・発見した事を箇条書きしていきましょう。


壁一面に描かれた、ルーヴル美術館に到着したシーンの露伴の見開きページ。天井からぶら下がっている、そのページの「ドオオオォオオォ」という立体擬音。見る角度によって露伴と「瀕死の奴隷」が入れ替わるパネル。そして、荒木先生が今作を執筆した際のキッカケや取材の様子が収録されたVTR
これらは東京展と同様、しっかり展示されていました。やっぱこういう空間演出も大事ですよね。

5ページ目の露伴のギザギザヘアバンドに貼られているトーンが、だいぶ剥がれてきていました。「ジョジョ展」の時も、カラートーンがかなり剥がれたりズレたりしてたので、ある程度は仕方ない事なんでしょう。

今更気付いたけど、28ページ目の奈々瀬さんのセリフに誤字がありました。「世間話」「世界話」になってる(笑)。1文字違うだけで範囲が凄まじく変わるな。
ちなみに、その字は荒木先生の字っぽくなかったので、たぶんアシスタントさんが書いたんじゃないかと思います。

荒木先生の使用する原稿用紙には、あちこちにが空けられています。以前から気にはなっていたんですが、先日発売された「ジャンプ流!」のDVDを観て、ようやく意味が分かりかけてきました。そして、改めてここで原画を観て、ほぼ確信に至りました。
おおまかに言うと……、原稿には基本、四隅に2つずつ穴が空けられ、それぞれの穴を線で結ぶ事によって、2つのラインが浮かび上がるワケです。「コマ割りライン」「印刷限界ライン」とでも言いましょうか。前者は、タチキリせずに普通にコマを割る時の道標となる線(ライン)。後者は、ウルジャンやコミックスに印刷されるであろう範囲を示す線(ライン)。実際、展示されている原画を観ても、穴と穴を結んだ「コマ割りライン」に沿ってコマが割られていました。「印刷限界ライン」の内側は、汚れて印刷されないように、ホワイト等で白さが保たれていました。
言葉で説明してもイマイチ伝わらなさそうなので、試しに手書きで描いてみた図も乗っけてみます。一番外側に引かれた黒線の四角が原稿用紙。四隅の黒い丸が穴。原稿用紙の内側に引かれた緑線の四角の中が、印刷され得る領域。この領域内に大事な情報をしっかり描くよう、逆に、印刷されない部分なのに無駄に凝り過ぎないよう、注意する必要があります。(ただし、ノド側には普通に描き込んでるっぽい。)そして、そのさらに内側に引かれた青線の四角の内側でコマを割る、と。見づらいでしょうけど、なんとなくでもイメージが伝われば幸いです(汗)。
つーか、市販されてる漫画原稿用紙には、最初っからこーゆー枠が書かれてたりするんですかね?漫画描かないからよく分かりません。



2つのライン図



46ページ目、エッフェル塔の写真を持つ露伴の手のアップのコマ。ピンクがベースのこのコマに、何故かブルーがベタッと塗られていたのが気になりました。試し塗りか何かなのかな?「印刷限界ライン」の外側だったのか、単行本にはまったく写っていませんけど。

100・101ページ目と109ページ目は、ホワイトの吹き付けが楽しめました。この立体感と勢い、実にカッコイイ。

一緒にケースに飾られている2枚のページ同士は、テープでくっ付けられているようです。ただ、そのテープ内部の色が変に滲んじゃってたり、ところによってはテープごと絵自体も微妙に剥がれてしまってる箇所もあったり。先生ご自身が制作の過程でそうしたのなら良いとして、万一、この企画展のために誰かがそうしたのなら、ちと問題だよなぁ。
まあ、インクの劣化やトーンの剥がれなどもそうだけど、そこらへんも含めての「本物」であり「実物」なのかもしれません。もちろん、大切に扱うに越した事はないんですが。

46・47ページ目は、実はけっこう重要なページだった事に気が付かされました。シーンが日本からルーヴルに飛ぶというだけでなく、「セピア」「ブルー」「ピンク」という3つのテーマ・カラーが織り込まれたページになっているからです。ある意味では、この2ページこそが今作の象徴的なページと言えるのかも。遠目で観ても美しさがハンパ無かったですよ。




……こうして荒木先生の原画を堪能した後は、晩メシとシャレ込みます。せっかくなんで、初めて「叙々苑」で食べました(笑)。店員さんも丁寧だし、肉もやわやわで超うまいし、マーベラスな「ジョジョ」ディナーでした。
そして、事前にパンフを買っておいた映画「ヒッチコック/トリュフォー」も鑑賞。荒木先生の漫画家としての原点に触れる想いでした。特に、「影」で人物やシーンを表現しているあたりなんかが。で、これまたせっかくなんで、「定本 映画術」も購入。こうなってくると、ヒッチコック映画もいっぱい観たくなってくるなあ。



叙々苑


やわやわ肉


映画術





<1月8日(日)>
この日はあいにくの雨でしたが、大阪観光がメイン。通天閣に上ってみたり、道頓堀に架かる戎橋から「グリコ」看板を眺めたり、阪急の地下でおみやげを買ったり。ド田舎者丸出しですが、これぞ大阪って感じがするぜ。



通天閣


しない派です


通天閣の裏




天守閣は金ピカ




天守閣より




ビリケンさん


キン肉マンの展示も




グリコ





しかし、 それだけで終わらせる私じゃありません。向かう先は「グランフロント大阪」!そう、今日も「ルーヴルNo.9」です。チケットを2枚買っておいたんで。う~ん、荒木先生の原画は何度観てもイイですね。先生の原画に囲まれた部屋で生活してみたいな~、などと夢想したりもしてました。
――そんなこんなで時間も迫り、伊丹空港へ。無事、帰郷したのでした。今回の旅行では、荒木先生デザインの「和の守り」を装備して行ったおかげもあり、大きなトラブルも無く帰って来る事が出来ました。ありがとうございました。もっとも、普段から運動不足の体には、歩き通しはなかなかキツかったわ……。まさに「地球からの打撃」をモロに食らいました。ゆっくり休んで、また日常に戻りたいと思います(笑)。



「和の守り」




管理人 大阪へ行く

完




(2017年1月9日)




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