TOP  戻る



ここに書いているのは、スタンドの個人的な解釈に過ぎません。
原作の設定・描写をベースに、
勝手に考察・妄想しただけのものです。
正確な公式データが欲しいという方には何の役にも立ちませんので悪しからず。




ペイズリー・パーク / 本体: 広瀬 康穂
< 「縁」を司る能力 >





<特徴>
@本体:広瀬 康穂(ひろせ やすほ)が、幼少の頃よりその片鱗を示し、「壁の目」と呼ばれる場所に踏み入る事で完全に目醒めた能力。
「壁の目」にて、彼女の右足首に謎の歯形が刻まれたようだが、それらとスタンド能力との因果関係は明らかになっていない。ただ、「壁の目」の未知なるエネルギーに影響を受け、眠っていた能力が引き出されたものと推測される。


A全身に地図が描かれた、女性的なボディーラインの人型ヴィジョンを有する。髪の毛もあり、ヘアースタイルは康穂と同じ。一応、口もあるようだ。無意識で操作していた時は、康穂の影と一体化しているかのように発現していた。
射程距離も能力射程もかなり広く、その分、物理的なパワーは非常に弱い。本体:康穂とごく近い距離であっても、発揮できるパワーは康穂と同程度のものである。


B康穂自身、スタンドをハッキリ認識していない時点では、ほとんど無意識でスタンドを使用している状態であった。精密性も低く、スタンドの意識的なコントロールは不得意である。
しかし、やがて自分のスタンドを認識し、強い意志でコントロールし始めた。康穂の柔軟な発想により、様々な手段を駆使して必要な「情報」を収集できるまでに成長を遂げたのだった。




<能力>
「縁」を司る能力



@第1部〜第6部で描かれた「旧世界」は、ある超越的・絶対的な力で満たされており、ありとあらゆる存在がこの力を共通して保有していた。『フー・ファイターズ』(が引用した天文物理学者フレッド・ホイル)の言葉を借りるなら、その力とは「知性」である。全ての物質や生物はこの「知性」に導かれて生まれ、物質や生物に宿る「知性」は自身の「情報」を絶えず記憶し続けている。そして、この「知性」は大なり小なり互いに反応し合い、影響し合い、「物質世界」において1つの巨大な流れを形作る。何者にも抗えぬ「因果の流れ」、なるべくしてなる「必然の連続」。人はそれを「運命」と呼び、「運命」を決定付ける「知性」そのもの(が持つ意志のようなもの)を「神」と呼ぶのである。
「旧世界」において、「予知」した結果は必ず実現されたし、多少なりと「運命」に干渉できる能力を持つスタンドは稀有な存在であった。それほどまでに、「運命」の力とは強固なものだった。ところが、第6部ラストで世界は新生する事となる。エンリコ・プッチが『メイド・イン・ヘブン』を発動し、宇宙を完全に一巡させる前に死んだ事で、プッチが存在しない歴史を歩む世界に根本から生まれ変わったのだ。この時、砕け散った『メイド・イン・ヘブン』から「運命」を変える力が宇宙中に拡散・伝播したのか……、あるいは、人類が「運命」の庇護から独り立ちして「次なるステージ」に突入する事を、「知性」=「神」の意志が認め祝福してくれたのか……、生まれ変わった「新世界」は、「旧世界」よりも「運命」の力が大きく弱まったのである。
第7部以降は、この「新世界」で紡がれる物語。「旧世界」に近い歴史を辿りやすくなる「流れ」こそあれど、絶対的な「運命」への隷属からは解き放たれた世界。「運命」ではなく……、個々の「縁」によって回り、「意志」によって「因果」が導かれる世界。「神」ではなく「人」が道を選べる世界。数多の可能性に満ちた、不安定だが自由な世界。『ペイズリー・パーク』もまた、そんな「新世界」に生まれたスタンドであるがゆえに、「縁」を司る力を得る事が出来た。


A『ペイズリー・パーク』が持つ、「縁 (えん)」を司る能力。ここで言う「縁」とは、生物の魂が発する「引力」「重力」の事を指す。
その「引力」は、生物の「意志」や「感情」が高まるほどに強くなり、互いに想い合う事でより強く引き合う。たとえ死しても生まれ変わろうとも魂に宿り続け、完全に消滅する事は決してない。「旧世界」では「運命」の筋書きに従うほかなかったが、そこから解放された「新世界」においては、人は「運命」さえも超えて、個々に宿る「縁」によって巡り逢えるようになった。第6部ラストで、エンポリオ・アルニーニョがかつての空条徐倫達(アイリンやアナキス達)と再会できたのも、互いの「縁」という絆が引き合ったからこそである。
生命・魂の無い物質にも、生物の「意志」や「感情」が向かったなら、それに「引力」は宿る。見たり触れたりなどして直接関わった物質はもちろん、興味・関心を向けただけの物質に対しても、精神的・霊的な「痕跡」が必ずそこに残る。それもまた、「縁」の一つの形なのである。


B『ペイズリー・パーク』は本質的・潜在的に、概念上の「ラプラスの魔」に極めて近い能力を持っている。
少なくとも町1つ程度の範囲内ならば、そこに存在する「縁」を辿り、「痕跡」を感知・把握し、解読・追跡が出来る。それは即ち、「過去」や「過程」を示す「情報」である。「情報」を把握・掌握しているという事は、必然的に、「未来」や「結果」の予測も可能という事になるのだ。
限られた範囲での「情報」しか収集できないため、また、「新世界」自体が様々な偶然・可能性を許容する世界であるため、実際のところは「ラプラスの魔」ほど超越的な存在には成り得ない。だが、それでもある程度の予測は出来る。不完全ながらも、「因果律」を見通す力を宿したスタンドなのである。


C意志・自我を持つスタンドであり、『ペイズリー・パーク』自身は自ら「情報」を集め、「未来」を予測している。ただし、それは本体:広瀬 康穂にも一切伝わらず、その内容など知る由もない。
本来、「ラプラスの魔」は人間が持ち得る力ではないからなのか、康穂の精神力がまだそこまで成長していないからなのか……、とにかく康穂本体さえも完全にはコントロールできない。制御可能なのは能力のほんの一部分でしかなく、基本的に、康穂の意志とは無関係のところで働いている能力なのである。
とは言え、『ペイズリー・パーク』が康穂のスタンド能力である事に変わりはない。康穂自身を、あるいは康穂が助けたいと願った者を、なるべく良い「未来」や「結果」へ導こうとしてくれる。そのような「道案内(ナビ)」「道標」として、あの手この手で具体的な恩恵を与えてくれるのだ。


Dスタンドを自覚していなかった当初、康穂は無意識的に能力を発動していた。その時点では、【 対象とする人物を「進むべき方向」へと「ナビゲート」する 】という形でのみ使用された。
「ナビ」の詳細設定は、康穂の意志や願望に応じて、その都度変更されていたようである。例えば、彼女が東方定助の身を案じていた時は、定助を「安全な方向」へ「ナビ」していた。また、彼女自身が入手したいモノがあった時には、それをゲットするために「最良の方向」へ誘導してくれていた。
「進むべき方向」へ真っ直ぐ向かう事が出来ない場合には、「迂回路」を指示してくれたりもする。その状況に対応し、「迂回」するために必要な場所へ電話を繋げたり等、親切に手助けまでしてくれた。康穂の優しい性格を反映してか、臨機応変でけっこう融通が効くらしい。
ちなみに、「ナビ」する方向は、前後・左右・上下すべてが含まれた三次元的なものである。


E「ナビ」の一手段として、メールを通じて本体:康穂に質問し、時間制限付きの「選択」を迫り、危機から逃れる方法へ導くという事もしていた。
この「選択」が、実はさりげなくとんでもない能力なのである。八木山夜露も評したように、頭脳で考えて操作するよりも、無意識な操作が一番「潜在能力」を発揮できるスタンドなのだ。
「縁」を司る能力をフルに使い、ほんの数秒間ではあるが、この世界と「縁」が深いパラレル・ワールドを2つも引き寄せてしまう。この世界とは異なる可能性の世界、ファニー・ヴァレンタイン大統領のスタンド『Dirty Deeds Done Dirt Cheap』で行き来可能であった「隣りの世界」と言っても良い。「聖なる遺体」が存在する「基本の世界」と、極めて近い歴史を辿っている「隣りの世界」が2つ……、この3つの世界が限りなく近付き、重なり合ってしまうのである。物理的に重なっているのではなく、存在の次元的なものが重なっている奇妙な状態だ。
この時、3つの世界の境界は消え失せ、混じり合い、「基本の世界」の歩んできた歴史が揺らぐ。そして、歴史が揺らいで不確定でいる間に、本体:康穂に「選択」させ、それに沿った歴史の世界に変えてしまうのである。即ち、この「選択」とは、3つの異なる歴史を歩んだ世界の中からどれを選ぶかという分岐点であり、究極の3択(「選ばない」という選択も含めて)なのだ。その結果、例えば……、康穂が「懐中電燈」を手に入れられる世界、「焼肉弁当」を手に入れられる世界、どちらも手に入れられない世界のどれか1つが「基本の世界」の歴史として確定される事となる。小規模ながらも、世界改変能力とすら言えるだろう。


F『ペイズリー・パーク』が引き寄せる事が出来る「隣りの世界」は、「基本の世界」との「縁」が特に強い世界のみである。「基本の世界」とほとんど変わらず、しょうもない差異くらいしか無い。そのため、いくら世界の歴史を改変するとは言っても、どう選択しようが実際はごくごく局地的で些細な違いしか生じない。世界全体に及ぼす影響はほぼ無いのだ。
しかし、「選択」次第で、どこかの誰かが「ハシゴを立て掛けていた位置」などが少しだけ変化し、それゆえに康穂がハシゴを使えなかったりもした。つまり、康穂に影響する出来事を誘発し得る「過去」が、ささやかながら変化するという事である。世界に影響はなくとも、康穂自身は慎重に「選択」する必要がある。


G「ナビ」の媒体となるモノも、その状況次第で変わった。作中では、携帯電話のナビ機能やネット通信を利用していたが、例えばもし対象が車に乗っていたら、カーナビを通じて「ナビ」する事も出来ただろう。さらに、通信機器に限らずとも、様々な偶然の出来事を利用したり、対象に閃きを与えたりする事によって「ナビ」する事も可能である。
なお、この「ナビ」に強制力は無い。「ナビ」の内容自体に気付かない事もあり得るし、あえて逆らって別の方向へと進む事も簡単。何かしらの「選択」を要求されたとしても、無視する事も可能である。……が、「進むべき方向」に進まないという事は、「進むべきではない方向」「危険な方向」に進むという事。「採るべき選択」を放棄するという事は、より良い「未来」から離れて行ってしまうという事。その分、思いも寄らぬ不運な出来事に見舞われる可能性も高くなってしまう。このように、「ナビ」が実現できなかった時、逆に目的から大きく遠ざかってしまうという「反作用」が起こり得るのだ。


H康穂が自分のスタンド能力を認識してからは、ようやく多少は意識的にコントロールできるようになった。かつては『ペイズリー・パーク』のみが知り得た「情報」を、(そのうちのごく僅かであっても)康穂自身も明確に知るために、能力が使用される事となる。
康穂が必要とする「情報」を収集する事に関しては、万能に近い応用性を誇る。ほんの微かな「痕跡」や「違和」さえも見付け出し、そこから欲する「情報」へと辿り着くのだ。車のドライブレコーダーに侵入するどころか、その記録映像の中に映っていた防犯カメラにまで移動し、その記録をも探る事が出来た。また、それらの映像を康穂が持つスマホやパソコンへ伝達する事も可能である。セキュリティを通り抜けるパスワードを見付け出す事も、都合の悪い「情報」を消去する事も容易い。
東方つるぎのスタンド『ペーパー・ムーン・キング』とのコンビネーションで、康穂のスマホを「折り紙」のカエルにして、ターゲットを追跡させ、その映像を康穂のパソコンに送る……といった偵察・追跡までやってのけた。


I能力を意識的に使う際には、探索したい「情報」の対象について、康穂自身の認識が深い方が精度も高まるようだ。
例えば……、A氏という人物についての「情報」を探索する場合、康穂がA氏の事をより詳しく知れば知る程、より重要でより多くの「情報」を入手し得るという事である。そのため、A氏の事を他人からただ聞いただけの時よりも、A氏の事を実際に見た後の方が能力は強く働く。A氏本人や持ち物に直接触れている時なら、さらに強く働くだろう。つまり、欲する「情報」の対象と康穂の「関係性」や「繋がり」によって、「縁」の深さによって、能力が強弱するのだ。
ただし、康穂は自分のスマホを通して能力を使う事が多く、ネット環境の無い場所では本領を発揮できない。先程の例で言うと……、A氏の居場所を探している場合、A氏がもしネット環境の無い場所にいるか、あるいはネット環境を閉じていたならば、探索・追跡もままならず、A氏の発見に至らない事もあり得る。現代文明・現代社会の中でこそ、能力をフルに役立てられるのだ。


J「情報」を収集するために様々なモノに侵入・潜入していく『ペイズリー・パーク』だが、どうやら侵入している(=リンクしている・繋がっている)時は、そのモノと一体化しているような状態らしい。互いの「縁」が結び付いている状態だからなのだろう。
そのモノが負ったダメージは『ペイズリー・パーク』のダメージとなり、それは当然、本体:康穂のダメージにもなる。実際、『ペイズリー・パーク』を潜ませたスマホが踏み付けられた際には、康穂にも踏み付けられたダメージが返って来ていた。スマホが水没すれば、康穂もまた溺れる。
だが反面、その一体化しているモノ(特に機械)の機能を『ペイズリー・パーク』自体にも写し取り、使用する事が出来る。例えば、病院のMRI室と繋がっている状態であれば、『ペイズリー・パーク』の手で、触れた物質をMRI検査する事も可能である。遠く離れた場所にあるモノの機能をそのまま使える、なんとも便利な能力なのだ。


K携帯電話やスマホなど、「電波」によって情報をやり取りする機器に潜んでいた場合、電波が遮断される事は『ペイズリー・パーク』からすれば致命的になる。その機器にとっては、言わば、外界との「縁」が切られてしまった状態だからだ。一体化している『ペイズリー・パーク』にとっても、影響は大きい。特に、電波が減衰してしまう水中に落ちてしまう事は非常に危険。
有線であればそのコードを伝って移動できるが、無線だとその機器に取り残され、完全に孤立してしまうのである。その上、『ペイズリー・パーク』の存在を保持し切れず、希薄になり、非常に脆くなってしまう。徐々にヴィジョンが崩壊していくのだ。もし取り残された機器から無理に脱出しても、余計に崩壊が進行するだけだろう。
そして、ヴィジョン崩壊の影響は本体の康穂にまで及ぶ。康穂の肉体さえも脆くなり、ちょっとした衝撃で腕が切断されるといった事も起こり得るのである。


L以上のように、『ペイズリー・パーク』は現実の「物質世界」のみならず、デジタルな「情報世界」をも自由に移動できるスタンドなのである。(ちなみに、人が作り出し、人の意志が関わっている以上、「情報世界」にも当然「痕跡」は無数に残る。)
「情報世界」は、康穂には「無数のドアが存在する通路や部屋」というイメージで伝わっているようだ。「痕跡」を辿ってドアを開け、奥へ奥へと進み、やがて必要な「情報」がある部屋へと至る。セキュリティを突破し、何かのデータベースに侵入する際なども、「『ペイズリー・パーク』が錠を破壊してキャビネットや金庫をこじ開ける」といった現実的・物質的イメージが康穂に伝わる。
無限に広がる「情報世界」だが、康穂はどこにどんな「情報」があるのかというデータの位置・座標を、おおまかには感じ取れているらしい。『ペイズリー・パーク』がどこに向かい、何をしようとしているのかは分からないまでも、「そこは町の歯医者の記録がある場所じゃあない」程度の事は分かっていた。


M「情報世界」へは基本、『ペイズリー・パーク』の全身が侵入する形となる。ただし、ごく近い場所であれば、『ペイズリー・パーク』の一部分だけでも侵入・リンクする事が出来る。
同じ病院内の別の部屋の機器とリンクした時には、『ペイズリー・パーク』の腕だけがパソコン内に入り込んでいる状態であった。なお、それでもそのパソコンのディスプレイ上には、「情報世界」を進む『ペイズリー・パーク』の全身像のイメージが映し出されていた。


N以上のように、「縁」を司る力を持つ康穂。第8部「ジョジョリオン」の物語も、彼女が定助と出逢った事で始まった。
また、幼少時に透龍と出逢った事も、透龍と再会し、高校時代に付き合っていた事も、偶然ではないのだろう。彼女は人と人を結び付ける「縁」そのものであり、その「縁」によって物事を回転させる「円」そのものなのかもしれない。




TOP  戻る

inserted by FC2 system