TOP  戻る



岸辺露伴は動かない 短編小説集(3)





2017年は「ジョジョ」連載30周年!その記念企画の一環として、気鋭の作家陣による「岸辺露伴は動かない」の短編小説が書き上げられました。そしてそれらの作品は、月刊「ウルトラジャンプ」付録の小冊子にまとめられたのであります。第1弾(感想はこちら)、第2弾(感想はこちら)に続いて、1月号(2018年)にはこの第3弾が付いて来ました。
収録された物語は全2編。宮本深礼氏の「血栞塗 (ちしおりみどろ)」北國ばらっど氏の「シンメトリー・ルーム」。宮本氏は第2弾で「夕柳台」を、北國氏は第1弾で「幸福の箱」と「くしゃがら」を、それぞれ執筆されています。どれもが面白く奇妙なストーリーだったので、高まるのは期待オンリー。何の不安も心配もなく、楽しませていただきました。
……この2つの短編については、今回も、それぞれ個別にあらすじと感想を書いていきたいと思います。では、どうぞ。








血栞塗



(あらすじ)
「フグ毒で死にかけた奴」の取材のため、露伴はS市の図書館まで足を運んでいた。「河豚食への誘い」という明治時代に刊行された稀覯本を探しに来たのだが、見た目からしてルーズな女司書は露骨に面倒くさそうな対応。他のスタッフが全員休んでいるせいで、彼女が1人で受付を担当しているようだ。しかし、よくよく館内を見渡してみると、来館者の姿もごく僅か。図書館はガラガラであった。
司書が言うには、最近変な噂が立っているらしい。この図書館の本に「真っ赤な栞」が挟まっていて、それを見付けた者は不幸になる……。その噂を気味悪がって、みんな図書館に近付かなくなっているのだ。奇妙な噂話に好奇心を刺激される露伴。司書が本を探しに行っている間、「栞」を探してみる事にしたのだった。

端から順に館内を探し回るが、「栞」は一向に見付からない。児童向けのコーナーも、念のため確認してみる。ラインナップはほとんどが絵本か紙芝居だ。だが……、それらの中に、どういうワケなのか、古い和本が紛れ込んでいた。タイトルは「河豚食への誘い」。露伴が探し求めていた本が、こんな場所に。ちょうどそこへ司書が戻って来た。発見できずにいた本を露伴が手にしている事に、彼女も驚く。
何はともあれ、ようやく見付けた本には期待通りの記録が書かれていた。ところが、ページとページがくっ付いていて開けない部分がある。剥がす事を許可してくれない司書がいなくなった隙に、躊躇なくページを剥がす露伴。すると、なんとそこには「真っ赤な栞」が挟まっていた。これが噂の「栞」である事を直感。本当に不幸が起こるのか?だとしたら、一体どんな不幸なのか?―― そんな事を考えていた矢先、露伴は不運なハプニングの連続に見舞われ、負傷してしまった。さらに、素材を調べるため「栞」の端を千切ってみようとすると、逆に露伴の指の爪が弾け飛んだ。この「栞」は想像以上にヤバイ。生半可な好奇心で触れてはならないものだったのだ。
散らかった館内を掃除し出した司書が、変わらぬ口調で言う。「駄目ですよ。助かろうなんて思っちゃあ」。彼女はさらに続ける。自分は好奇心の赴くままに貪欲に全てを知り尽くしたが、そんな事をしてもロクな事にはならない。露伴にはそうなってほしくないから「栞」について教えたのに。……だが、司書はもう1枚の「真っ赤な栞」を手にし、露伴に歩み寄りながら、こう語り掛けて来た。「好奇心に殺されそうになっている漫画家は、助かるために好奇心を捨てることができるのか」。それが知りたい、と。
『ヘブンズ・ドアー』が発現し、司書を「本」に変える!彼女の記憶を読んでいくと、恐るべき事実が明らかになった。彼女は400年も昔から生きていて、寛永の飢饉を経験している。その飢餓を満たすべく、猫や犬はおろか、木船の床板や唐傘の糊、襖の骨組みまで食べていた。ところが、初めはやむを得ず口にしていたはずが、徐々に変貌していく。やがて彼女は、己の好奇心に取り憑かれて「食人」を犯したのだった。それでも好奇心はとどまる事を知らず、モラルも限度も無い暴走・蛮行は続いていった。


この司書は何者なのか?正体を掴もうとするも、まだ開いていないページから大量の「真っ赤な栞」がこぼれ落ち、溢れた鮮血のように床に広がった。この「栞」は警告。これより先は読んではならないという印なのだ。この先を読めば、「栞」が招く不幸によって必ず殺される。今すぐ記憶を読むのを止め、逃げる事だけを考えれば助かるかもしれない。
しかし、露伴の「答え」は決まっていた。この「栞」が生半可な好奇心で触れてはならないものなら、全身全霊の好奇心で挑む。好奇心によって人は進化し、繁栄したのだ。好奇心を失った時こそ、人は滅びるのだ。「答えは『NO』だ。死ねば漫画を描けなくなるが、好奇心のない漫画家なんて漫画家じゃあない」!そう断言し、ページをめくる!そこには……。
―― 以前と同じ、人で賑わう図書館がそこにあった。司書の姿も、無数の「栞」も、消えている。結局、分からない事だらけだが、1つだけ確信を持って言える。あの司書は好奇心の権化だ。全てを知り尽くして退屈していたようだが、好奇心に果てなど無い。彼女に芽生えた新たな好奇心への「答え」が得られた事で、あるいは、自身の好奇心に伸びしろがある事を知って、彼女は勝手に満足して去って行ったのかもしれない。もしくは、人の好奇心が集まる図書館そのものが、彼女の好奇心に応えられる者を招き入れるためのだったのか。
疑問は尽きないが、いつか司書は再び現れる。「好奇心に殺されそうになっても好奇心を捨てなかった漫画家は、どうすれば好奇心を捨てるのか」。その「答え」を欲して。そうして再び出会った時こそ、読めなかった記憶に目を通してやる。露伴は己の好奇心に従い、そう決意するのだった。



(感想)
好奇心は猫を殺す。子どもをも、漫画家をも、殺す。そして、「好奇心」と言えば露伴。何があろうと己の好奇心に従う露伴の信念や生き様はやはりカッコ良く、スカッとしますね~。とにかく、漫画家:岸辺露伴の「漫画家」たる所以を見せ付けられた話でした。「漫画が描けなくなるから死にたくない!」 「でも、好奇心を捨てるくらいなら死んだ方がマシ!」 そんな確固たる創作意欲がイカしてます。
また、館内で熱心に「ピンクダークの少年」を読んでいた幼い兄弟を見掛けてからの心情も好きです。あの兄弟は何の対価も支払わずして作品を読破しようとしている。こうした状況が進めば、漫画家の収入は途絶え、飢え死にする事となるかもしれない。それでも、漫画は読んでもらうために描くもの。誰かに読んでもらってこそ、漫画は、本は、意味を持つ。誰も訪れなくなった図書館、誰にも読まれる事なく佇む無数の本達……。「栞」を見付け出したいという想いが少しだけ強くなる露伴。本に対する、本を書いた者に対する「敬意」に溢れていました。


ルーズな女司書は、だんだんとカワイく思えてきたっつーのに、なんと全ての元凶でした。言動に僅かな違和感が表れ、それが徐々に膨らんでいく恐怖!その正体は、好奇心に憑かれた者の成れの果て。好奇心を満たす事を求めるあまり、ついには人の理を、人の領域を踏み超えた存在。好奇心が行き着く終着点。
……好奇心は知的生命体にとって、生きるエネルギーそのものとも言えます。好奇心が人間をここまで発展・進化させたのであれば、行き過ぎた究極の好奇心は、人間を人間以上の「何か」にさらに進化・変貌させてしまうのかもしれません。「人魚」の肉でも食べて不老不死になったっぽい可能性も仄めかされてはいますけど、その辺はあえてボカしたんでしょうね。そこを詳細に書いちゃうと、せっかくのこのエピソードが、「別の怪異」の上に成り立つ怪異になり下がってしまいかねないし。私個人としても、明瞭な物理的原因が存在するよりかは、好奇心が限界突破したがゆえの突然変異って方がワケ分からん凄みを感じるので、そっちを採用したいところ(笑)。

そんな彼女が自作自演した、血のように「真っ赤な栞」の噂。あの「栞」は言わば、「人の領域」と「人ならざる者の領域」とを区切る境界なのでしょう。それゆえに、その境界を踏み超えられるかもしれない強い好奇心を持つ者を引き寄せ、彼女が支配する異空間(図書館)に迷い込ませてしまうんです。そうやって囚われた人達に彼女は警告を発しながらも、一方では期待もしていたはず。警告を受け取っても、恐怖で震えるのではなく、逆に好奇心で奮い立つ者を。「栞」の先を読み進めようとする者との出逢いを。だから「栞」を見付けてしまった人は、彼女の期待を満たす事を、彼女の退屈を紛らわし、彼女の好奇心を再び燃え上がらせる事を要求される……というワケです。
「栞」を見付けた者は不幸になる。これはただ単に不運なハプニングの連鎖で痛い目に遭うって意味だけではなく、「好奇心の獣」「好奇心の鬼」と化した司書に死ぬまで纏わり付かれるって意味でもあるのかもしれない。確かに生半可な好奇心じゃ太刀打ちできそうもないし、スゲー厄介でデンジャラスで迷惑千万な話(笑)。ある意味、「栞」は彼女のワガママ・無茶ぶりを叶えんとするスタンドみたいなものなんかな?「くしゃがら」の「袋とじ」同様、この「栞」も、『ヘブンズ・ドアー』の「本」という能力を活かした設定で面白かったです。


今回は珍しく、『ヘブンズ・ドアー』で命令を書き込む事なく終わりましたね。司書に露伴自身の決意や答えを示しただけ。それは正直、かなり意表を突かれた展開。しかし、いつの日にか再び相まみえる時が訪れるはず……という余韻が最高でした。フグ毒に始まり、フグ毒に終わるのも、コミカルで洒落ててグッド。
露伴が司書の好奇心に対して抱いた尊敬の念。そして、司書が露伴に語った、自分のようにはなってほしくないという言葉。2人は根っこの部分で、非常に似た者同士でもあるのかも。「果たして露伴は、好奇心ゆえにやがて彼女と同じ道を歩んでしまうのか」……。そんな好奇心が、私の中にも芽生えました。








シンメトリー・ルーム



(あらすじ)
秋の終わり。編集者との打ち合わせを終えた露伴は、杜王情報通信大学を訪れた。最近、新校舎を建てたのだが、学長が「アジの開き」のような死体となって発見されたらしい。学校側が情報を伏せたのか、ニュースにもなっておらず、露伴も別件の取材でたまたま知った話である。この変死事件、漫画のネタになるかもしれない。だが、いざ大学までやって来ても、特に変わった様子は見られなかった。それに加え、わざわざ新築したという校舎は、小綺麗なだけで何の特徴も個性もないつまらない建物だった。
そんな校舎を眺めて佇んでいる、1人の若い男の姿が視界に入る。彼の名は土山 章平 (つちやま しょうへい)。有名な建築家であり、この新校舎を設計した人物でもあった。彼には、ある大きな特徴があった。彼は全てが「シンメトリー」なのだ。髪型や服装はもちろん左右対称。腕時計も両腕につけており、片方は反転している特注品。なんと、顔も体も全身シンメトリーに整形。それどころか、ケガや痛みに至るまで左右対称にする徹底ぶりであった。
興味本位で土山と接してみた露伴だが、その異常な拘りを知れば知るほど絶句するほかない。さらに話を聞くと、彼がシンメトリー主義に目覚めたキッカケは、数年前のギリシャにあったらしい。観光ルートからも外れた場所を彷徨い、導かれるようにして出逢った古代の「神殿」。その神殿は、朽ちてなお美しいシンメトリー神殿だったのだ。衝撃的な遭遇にそれまでの価値観は洗い流され、かくして彼はシンメトリーに心酔したのである。

しかし、これほどにシンメトリーの美にこだわる彼が何故、こんなにもつまらない校舎を建ててしまったのか?……土山曰く、シンメトリーの素晴らしさを理解しない学長があれこれ注文をつけてきたもんだから、わざと手抜きのデザインにしてやったらしい。その発言に、露伴は強い不快感を示す。これはプロの仕事じゃあない。実力不足の言い訳だ。
怒った土山は、無言で新校舎の5階の部屋へと入っていく。この部屋で学長は「アジの開き」になっていたのだ。露伴も続いて、足を踏み入れた。そこは多目的ホールだったが、驚くべき事に、そのホールは徹底した完全なる「シンメトリー・ルーム」になっていた。かつて見た「神殿」を再現した、まさに土山の理想そのもの。土山は、そんなホール内に露伴1人を閉じ込めてしまった。この部屋にいれば、シンメトリーの美が分かるはず。そう言い残して……。
ホールからの脱出を試みる露伴。ところが突如、謎の「黒い手」が出現し襲い掛かって来た!まるで影のような、まったく厚みのないペラペラの「シンメトリーの手」。どう足掻いても、「手」に触れる事が出来ない。『ヘブンズ・ドアー』で「本」にしてやっても、そこに書かれたシンメトリーの文字は解読不能。命令を書き込もうにも、シンメトリーではない文字は書く事すら出来ない。―― この「手」は、この部屋の完璧なシンメトリーを守るための自浄作用なのだ。シンメトリーでない者を拒む、この部屋の「ドレスコード」
アシンメトリーな物のみならず、部屋のシンメトリーを崩す行為自体をも「手」は攻撃してくる。露伴は服も髪も傷すらもシンメトリーにし、辛くも攻撃から逃れた。あのまま攻撃され続けていれば、露伴も「アジの開き」となって殺され、この部屋のシンメトリーの一部と化しただろう。だが、厄介なのはそれだけではなかった。部屋の左右に配置された非常口から出ようとしても、非常口の扉を開けるという行為自体がシンメトリーを崩す行為に他ならない。その上、徐々にこの部屋は、露伴の身体のアシンメトリーをも排除しようとし始める。土山のように全身整形など出来るはずもない。つまり、異教徒を殺す前提の部屋だったのだ!


部屋の中心線に沿って配置された、天井裏に上るための天井点検口を発見する。しかし、天井が高すぎて、そこまで届かない。確実にタイムリミットは迫っていた。「シンメトリーの手」は今や、「手」だけではなく体の全貌を現していた。その人影には、左右対称の「角」まで存在した。姿形といい、この部屋といい、「神」というより「悪魔」といった方がしっくり来る。土山が出逢った「神殿」は、「神殿」ではなく「伏魔殿 (パンデモニウム)」。土山は悪魔に魅入られていたのだ。
絶体絶命の窮地!しかし、露伴はなおも冷静だった。『ヘブンズ・ドアー』で自分自身を「本」にし、命令を書き込む!「1」と「0」の羅列で構成された、シンメトリーな言語。「機械語 < シフト・ジス > 」を使えば、書き込む事は可能。「ウエヘフットブ」という命令通り、露伴の体は天井へ跳ねた。
―― 露伴の様子を確認しに来た土山は、露伴が脱出している事に驚愕する。そして露伴は、彼に命令を書き込んだ。「シンメトリーを美しいと思えない」、と……。程なくして彼は、スランプに陥り、自分が設計した物件に放火して捕まる事となる。所詮、借り物の力と美学でしかなかったという事だ。
冬が近付き、露伴の掌に舞い降りた一片の雪。その結晶は、自然が作り出したシンメトリー。美を強要する傲慢さは無く、ただ美しく出来て、そこに在った。



(感想)
「シンメトリー」に取り憑かれた男、まずこの設定だけで興味を惹かれました。狂気的なシンメトリーへの愛と理想と信仰をどこまでも追及する土山が、面白くもあり、恐ろしくもあり、おぞましくもあります。ひょっとしたら、名前までシンメトリーな漢字にわざわざ改名してるのかも。他人には決して理解できないルールに殉じている人間は、その存在自体が「田舎に行ったら襲われた」系ホラーみたいなもんですね。
土山は服装や髪型、行動のみならず、肉体や骨格すらもシンメトリーに整形していました。やってる事それ自体は、訓練で手を「黄金長方形」にしてるツェペリ家とそう大差はないだろうに、随分とまた印象が違いますね。「黄金長方形」は自然への敬意だけど、「シンメトリー」は自然への叛逆だからなのか。それとも単に、シンメトリーの方が分かりやすく想像しやすいからなのか。シンメトリーは不自然なものって言ってましたが、あまりにもキレイに整いすぎた生き物の姿は、かえって違和感だらけで気色悪く映るんでしょうかね。「不気味の谷」にも近い感情なのかな?

「シンメトリー・ルーム」という部屋はめっちゃ面白いアイディア。非常にシンプルなルールに則っていて、かつ、部屋の構造がいやらしくも巧妙で、読んでいてワクワクしましたよ。最初は「アシンメトリーな服装や配置」が攻撃対象かと思いきや、「シンメトリーを崩す行為」もNGと発覚。しまいには、「アシンメトリーな外見の肉体」さえも対象になっていく。異常事態がだんだんとエスカレートしていく様が、実に荒木作品チックでした。
そして、「こう来たらこう返す」「こう返されたらこうやり返す」の連続で、攻防もエスカレート!この一筋縄ではいかない裏のかき合いもまた、荒木作品を読んでいる気分にさせられました。とうとう発見した唯一の活路「天井点検口」に辿り着くための最後の秘策がまさかの機械語。これは、冒頭で書かれた編集者:唐沢 徹 (からさわ とおる)くんとの会話が布石になっています。「アプリを作ってみた」「プログラムした」って話がここで活きてきて、機械語を使える事の唐突感が払拭できているワケです。直の取材、生の体験に勝るもの無し!
今度の敵は「悪魔」でしたね。その出どころも、ギリシャの朽ちた神殿という「いかにも」な感じで雰囲気たっぷり。たとえ影のようで平面であっても、『ヘブンズ・ドアー』は効いたし、何故かページもめくれました。だから、あの「悪魔」のページを破るとかして「悪魔」そのもののシンメトリーを破壊し、自分自身を攻撃させて消滅させる……的な想像もしてたんだけど、実際は全然違いました(笑)。


露伴の創作への姿勢や誇りがビンビンに感じられる作品でした。この辺は「血栞塗」とも通じるものがあります。借り物に過ぎぬ美意識を鵜呑みにして陶酔し、それを他人にまで押し付け、強制・矯正しようとする土山。様々なルールや制限の中で、それでも自分の信じる美を表現し続け、理解してもらおうとする露伴。「読ませる」ではなく「読んでもらう」。作品は完成しても、作者は完成してはいけない。……う~ん、露伴はまさしく本当のプロですな。
さて、露伴は今回かなり動いたけど、「シンメトリー・ルーム」はそのまんまでしょうし、「悪魔」をやっつけたワケでもありません。あの「シンメトリー・ルーム」は多目的ホールではありますが、今後も使われる事はなさそう。ずっとずっと誰にも見られる事もなく、ただただシンメトリーであり続けるのでしょう。あの部屋は閉ざされた異界なのです。





―― 期待通り、どちらもサスペンス満載で面白かったッ!勝手な印象ではありますが……、北國氏は原作に忠実というか、原作の方にグイグイ寄って来て書いてくれたって感じ。あざとい程に荒木作品的で、オリジナル・キャラクターもパンチが効いてます。一方の宮本氏は、自分と原作、双方が歩み寄った場所から書いてるような感じ。割かし淡々としたムードが漂い、オリキャラも強烈な個性は無く、名前すら無い者が多い。作家性もアプローチ方法も異なってはいますが、奇しくも2作とも露伴の創作姿勢に関わる話で、原作や荒木先生へのリスペクトを感じました。でも、どれもが荒木先生では描けないであろう作品に仕上がっていて、それぞれのオリジナリティーが発揮されていたと思います。
この企画も第3弾まで来ちゃったら、単行本化して普通に発売してほしいですね!出来ればもう3~5編くらい書き下ろして、もちろん荒木先生の挿し絵も加えて。付録のまま埋もれされておくにはあまりにもったいないよ。もしかすると第4弾があるかもしれんので、とりあえずはそれをワクテカ待機してます。




(2018年1月18日)




TOP  戻る

inserted by FC2 system