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このレースは君とずっといっしょだッ!



●表紙イラストはジャイロのドアップ。口元は笑っているけど、目は笑ってません。掴み所がなく、油断ならない男というオーラに満ちていますね。1・2部の頃に近い鼻の描き方。カラーリングも、全体の「赤」と髪や唇などの「青」が互いを引き立て合っています。



#2 大統領命令 「死体を探せ」A





●表紙とは裏腹に、今回はジョニィの独壇場。正式に「ジョジョ」7部となったからか、ジャイロを差し置いて主役張ってます。一方のジャイロはボコボコにやられてました。
とうとうテロリスト達の目的・レースの裏に蠢く陰謀に気付いたジョニィ。勘が鋭いっていうか、なんか凄まじい洞察力です。しかし、どうしてこんな事に巻き込まれなくてはいけないのか、自分はどうすれば良いのか、何もかも分からぬまま困惑&混乱。初期の徐倫なんかもそうでしたけど、自分の置かれた環境に苦悩し、迷いを抱く等身大な姿には感情移入しますね。だからこそ、そんな弱い心を乗り超えて、運命に立ち向かって行こうとする彼らが輝いて見えます。ジャイロの意志と行動で勇気を奮い立たせ、その目に戦う決意を宿すジョニィにもうためらいはありません。
スタンドもだいぶ使いこなせてきて、爪を車輪代わりにしたり、機転を利かせて臨機応変に利用しております。そして、手の爪のみならず、足の爪にも能力発現!恐るべき威力!一見すれば地味な能力なのに、なんかカッコイイ。評判は良くないかもしれないけど、私は好きです。


●敵の能力は「水を媒介に、空間を繋げる能力」とでも言ったものでしょうか。射程内の好きな場所の様子を、水面に映す。その水に浮かべたモノは、2つの空間を繋げる出入口となる。なかなか面白い能力です。 あのワイヤーはスタンドの像ではなく、本物っぽいですね。本体が見事なテクニックで自在に操作しているようです。あくまで「SBR」におけるスタンドってのは、本体自身の特技・特徴の延長線上にある能力なのでしょう。「能力」のみが重要であって、「ヴィジョン」は必要性が無い・どうでもいい、と。
この能力と技術を駆使して、あたかも釣り堀のようなシチュエーションを作り出しているのです。能力的にはまるで違いますが、ペッシの『ビーチ・ボーイ』を彷彿とさせますね。機械的に執拗に迫り来るカギ針が恐ろしい。まさにサスペンスです。
本体は妙なガキでした。ロボットにでも憧れているのか、動く度にいちいち機械音を自分で喋ってます。カギ針ワイヤーを口の中に埋め込んでしまう程の徹底ぶり。誰か、ナチスの世界一の科学力で改造してあげてください。しかし、その割には今イチ知能も低く、野性味に溢れる少年。だからこそ機械に憧れを抱いているとも言えますが。普通にイカした敵が現れるかと思っていただけに、意表を突かれました。彼のファッションは、その能力から「魚」をイメージしてるのかな?魚の骨やウロコっぽく見えるパーツもあるし。
どういった経緯でテロリストになったのか、スタンド使いになったのか、コイツの過去も気になるところですね。案外、ジャイロ達の仲間になったりして。


●謎のミイラの腕から唐突にマスコットキャラ誕生!あまりにファンシーな風貌とつぶらな瞳…、出て来るマンガを間違えたんじゃあないかと心配したくらいです。そのうち、コイツのぬいぐるみが読者プレゼントのリストに入ってそうです。シャイなのか大胆なのか良く分からない行動もまたプリティー。まだ赤ん坊だからか、「チュミィィ〜〜〜ン」としか喋れないようです。
体中の星の模様からジョニィのスタンドかとも思いましたが、どうやらあのミイラから現れた存在のようです。十字架のようなフォルムと両手の穴から、キリスト関連の何かである事が窺えますね。スタンドなのか、実物なのか、それは不明。ただ、「モヴェーレ・クルース」(ラテン語で「脚よ、動け」的な意味らしい)という言葉でジョニィの力を引き出してスタンドを急成長させた事は確か(発射時だけ足が動くのは、爪の狙いを定めるための能力的なものであって、肉体的に機能が回復したってワケではなさそう)。これはキリストの奇跡の力の一端…?死体が集まっていくにつれ、このチュミーちゃんも成長していくのでしょうか?謎が謎を呼びます。


●謎と言えば、ジャイロにもまだまだ謎が隠されています。彼は祖国・ネアポリス王国から、何か極秘の命令を受けているのか?受けているとすれば、それはどんな命令なのか?
少なくともジャイロは、自分の命を狙って来る敵の存在をまったく知らなかったので、「死体を集めろ」とか核心を突いた事は命令されていないのでしょう。王国側だけが全てを知っていて、「ヨセフの地図」の印が付いた地点を一番で通過するように、遠回しに指令を出しているのかも。ジャイロと王国は、互いの目的と利益のために利用し合っているような印象があります。だから「ゾンビ馬」なんて不思議アイテムを託してまで、ジャイロをサポートしているのでは?
聖遺体や聖遺物を巡る、合衆国と王国の国家間戦争という側面もあるのならば、本当にスケールのデカい話です。聖遺物と「死体」は引き合う性質があり、ジャイロに国の秘宝である聖遺物(「ゾンビ馬」もその1つ)を贈っているとか。ジャイロの鉄球も単なる鉄ではなくて、「聖槍・ロンギヌスの槍」から作られた特別な鉄球だった(キリストを処刑した武器をツェペリ一族も処刑に使用してた)とか。だから、遠くに投げても削られても、自然と持ち主の元に帰って来るとか。…そんな妄想も広がります。


★正直なところ、今回は展開が遅く感じてしまいました。大ゴマ連発で迫力はあるんですが、ページ数の割には内容が薄いっていうか。1st.STAGEでは白熱する一進一退のレース模様を描くためにページやコマが必要だったと理解できますけど、戦闘オンパレードの2nd.STAGEだと逆に冗長に思えてしまいます。増してや、今はもう月刊なワケですし。
いくら死体集めが裏の目的とは言え、大陸横断レースが本来の舞台ですからね。レースという「前へ進み続ける戦い」の上で、更に「立ち止まってバトル」されると、どうしても本筋から離れたイベントのように見え、じれったく感じられてしまうんです。作品の方向性が変わってきた以上、あまりこだわってても仕方ないんですが。バトルは引っ張らずに簡潔に済ませて、レースを先に進めてもらいたいものです。この調子だと、完結まで何年掛かるやら。でも、こーゆー部分ってコミックスでまとめて読むとメチャクチャ面白く感じたりするんですよね…。
ジャイロとジョニィの絆が確かなものとなった所で、是非ともこの敵はジョニィによる「鉄球の回転」で倒してほしいと思います。つーか、そろそろレースに戻ってゴールしてほしいです。




(2005年5月29日)




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