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行っかッ!モニュメントバレー…
そして3rd.STAGE!!


#3 大統領命令 「死体を探せ」B





泣きました。正確に記述するなら、涙腺がゆるみました心で男泣きしました。今回の話は「SBR」中でトップクラスの出来だと思います。ジョニィの気持ちを考えると、もう魂が揺さぶられっぱなしですよ。
前回は「死体なんていらん」と言ってたジョニィですが、チュミーちゃんが足の爪にも能力を開花させた途端、態度は一変。死んでもいいってぐらいに感謝しまくりです。動かないはずの脚が一瞬でも動く。この事実がどれだけジョニィの心に希望をもたらした事か。「こんなとるにたらないこのボク」「ただの負け犬」「ただのクズ」といった自虐的な言葉から察するに…、ジャイロと出会うまでの彼は、自分の小ささを自覚しながらも、そこから立ち上がる術も知らず、自暴自棄になって荒れていたんでしょうね。
せっかく手に入れた「生きる目的」が摘み取られようとしている。絶対に渡したくない。自分の足で立って、歩きたい。しかしそれでもジョニィは、自分の希望よりジャイロの命を選びました。たった1人だけ信頼できる人物、自分に勇気を与えてくれた人物、それがジャイロだからです。自ら「死体」を差し出して涙を流すジョニィの姿は、あまりにも絶望感と悲壮感と喪失感に溢れていて、胸が押し潰されそうでした。思えば、回想以外でのジョニィの大泣きはこれが初めてですしね。
スタンド能力の消滅が、そのままジョニィの希望の消滅にも繋がっていて、ホントに切ない…。しかし、ジャイロが「死体」の爪を回転させて(いつの間に?)、小僧を撃破!あえてジョニィの能力に重ねてるのが、また心憎い演出です。回転は止まらない!希望は消えない!


●さて、ジャイロの「鉄球の回転」(能力名『鉄球No.1』『鉄球No.2』)ですが、扉絵の能力紹介で驚くべき事が書かれていました。「悪魔の手のひら」の影響で、ジャイロの回転も単なる技術の領域を超えてきているというのです!「回転」がジャイロのスタンド能力として進化しつつある…!?
とは言うものの、「え?そうか〜…?」ってのが正直な印象。少なくとも私には、最初からすでにスタンド並みにブッ飛んだ力に見えました。それを普通に技術と断言していたのだから、今更スタンドも何も関係ないんじゃあないの?サンドマンの故郷の山へトレーニングに行ってた時、たまたま「悪魔の手のひら」のテリトリー内に入ってしまい、「回転」がスタンド能力化してるのを気付かずに使ってた…とかなら納得いくかもしれないけど。根拠としては弱すぎですが、アンドレのスタンドも見えていたし。「回転」を本格的に戦闘術として応用するのはジャイロにとって初めてだろうから、「おっ、こんな事も出来んだ!鉄球スゲー!」などと気楽に受け止めてても不思議ではありません。
何にせよ、技術と能力の境界が曖昧だから、どうもピンと来ませんね。自分の未知の力に戸惑うジャイロの描写があればなあ。それとも、回転が無限の力と信じているジャイロにとっては、技術か能力かなんてどーでもいい事なんでしょうか。


●爪を超えた牙、ジョニィのスタンド『タスク』。いくらでも再成可能で、弾丸のように発射する事も出来る。荒木先生もホントにピストル系の能力がお好きですね。爪の弾丸ってのも、奇抜でカッコイイ!
ただ、このスタンドが奇妙なのは「死体」が能力の源となっている点です。説明文の通り、本編で「死体」が奪われたジョニィからは、もうスタンド能力が失われていました。これは明らかに、他のスタンド使い達と一線を画しています。やはり「死体」に選ばれた者だけあって、スタンドも特別なのでしょう。あるいは、新世界のスタンドはウイルスで発現するものではなく、獲得しやすい反面、消滅もしやすい不安定な存在?「SBR」でのスタンドの定義がハッキリしていないので、まだ何とも言えないですね。
チュミーちゃんに関しても、左腕の守護精霊という微妙な表現。スタンドとは別物?「悪魔の手のひら」との関連性は?「死体」の謎のパワーが「悪魔の手のひら」を生み出したのか、「悪魔の手のひら」が「死体」に不思議なパワーを与えたのか、それとも…?つーか、死体から発現してる時点で、今までのスタンドのルールからは逸脱してますけど。


●ポーク・パイ・ハット小僧のスタンド『ワイアード』。あのカギ針もワイアーもウインチも、スタンドのヴィジョンでした。小僧の死(?)によって、あれだけ頑丈だったワイアーもボロボロに朽ち果ててたし。結局、ヴィジョンそのものでの攻撃等もアリみたいですね。まあ、「道具」「武器」「能力の象徴」として使われるだけで、「自分の分身」「もう1人の自分」としてガチンコするワケではなさそうですが。
小僧は自分の強さと賢さを認めてもらいたくて、「死体」を狙って来ていた様子。今までテロ仲間からバカにされてたんでしょうか?なかなかの頭脳派だし、今までの敵の中では一番強く恐ろしく感じたんですが。のし上がってやるという野心ゆえか、その執念深さは狂気すらはらんでいました。やっぱ荒木キャラなら、あれぐらいイッちゃってもらわないと物足りませんよね!
能力のえげつなさもたまりません。「餌」にされた者は獲物を捕らえるために利用されるだけ。生物が「餌」にされると、獲物が引きずり込まれて空間移動する際に「餌」は突き破られる。まさに他人を利用し、殺すための残酷な能力。小僧がまぎれもない悪である証明です。


●小僧を倒し、取り返した「死体」を当然のようにジョニィに渡すジャイロ。彼の目的は「死体」ではなく、あくまでもマルコを救うための恩赦のみ。やっぱ「死体」の事など存在自体知りませんでした。自分の命が狙われてる理由にも繋がるのに、まるで他人事。ロクに興味も無い様子…。我が道を行くってカンジが、いかにもジャイロらしい。ただ、ジョニィの恐るべき推察力でレースに潜む陰謀を知ったジャイロは、これまた見事な予測を我々に提示してくれました。いきなり核心に迫ってます。
死んだ後にも奇跡を起こす「聖人」。その遺体さえ手に入れれば、その国には千年の栄光と権力が約束される。例の「死体」は聖人中の聖人との事なので、千年王国どころじゃ済まなそうです。大統領はこれを求めていると見て良いでしょう。それに付随する形で、不老不死やら奇跡を起こす力やらも欲しているのかもしれません。端的に言えば、永遠の世界の支配者になるべく「死体」を集めようとしているのです(……たぶん)。テロリストと手を組むような危険なヤツが世界を狙っているのだから、これはもう人類の未来の危機。阻止できるのかッ!?
ともかく「季刊エス」でのインタビューで仰っていた通り、謎で読者を引っ張るマネはしない様子。ポンポン話が進んでいきます。直線的なストーリー展開みたいで、ちょっと安心。
そして、ネアポリス王国には「聖人」に関する記録も残っているらしいです。あの「死体」と何かただならぬ因縁がある…?レースやバトルをする一方で、こうして「死体」の正体や王国側に秘められた謎も明かされていきそうですね。国王の使いがジャイロにレース参加を勧めた別の理由なども隠されているのでしょうか?


●ジャイロとジョニィの会話が最高に楽しいです。私が何よりも見たいのは、レースでもバトルでもなくて、その上で演じられる個性的なキャラクター達の織り成す人間ドラマだったんだな〜と思いました。ジャイロの言い回しやジョニィのキレのあるツッコミがまたウケる。
ジャイロはいつも飄々として本心が読みづらい男ですが、そっけなく突き放すようでいて、さりげなくジョニィを「進むべき道」に導いてくれています。それがジャイロの優しさ。ジョニィは過酷な運命に翻弄され、挫折や絶望にまみれても、感情剥き出しで必死に這い上がろうともがきます。それがジョニィの強さ。ジャイロの能天気な金歯笑いとジョニィの力強い笑顔が心に残りました。
完成された主人公・ジャイロ成長する主人公・ジョニィ、この魅力的なコンビの活躍は勇気が湧いてきます。彼らの冒険をずっと見ていたいですね。おもしれえ2人だッ!


●ディエゴとサンドマンが久々に姿を現し、いよいよ(いろんな意味で)長かった2nd.STAGEも大詰め。次回は純粋なるレースが楽しめそうです。せっかくだから、彼らがどのようにしてこのSTAGEを走って来たのかも教えてほしいですね。ディエゴにもスタンドが発現するのか?サンドマンはお姉ちゃんと再会したりしたのか?イケメンは無事なのか?ポコロコは?ジャイロ・ジョニィ組以外の参加者の動向も気になるッ!
なんとな〜く、このSTAGEでもまだジャイロは1位になれない予感がします。テロリストに襲われなけりゃ余裕で1位だったってワケで、その辺を主催者側に抗議して、公平なレースを望むスティールの心が大きく揺れるとか…。各STAGEのスタート&ゴール地点は、参加者と主催者が、レースの表と裏が交わるポイントでもあります。そこで是非、スティールを絡めてほしいですね。
1位はディエゴあたりが有力かな?ディエゴはいくらプライドが高くても性格が悪くても、正々堂々と戦う男であってほしいですね。せっかく因縁から解き放たれた世界なんだから、悪であってほしくない。「自分を育ててくれた貴族への恩返しのために優勝を誓った」とか、かつてのDIOには絶対あり得ない設定を希望。スタンドが目醒めたとしても、『世界』みたいな最強能力じゃあなくて、彼の一流の乗馬テクニックを生かせるデータ収集系能力がいいです。


★今回は燃えるし、泣けるし、笑えるし、文句無しの出来。スタンドバトルもシンプルな能力ゆえの深い駆け引きで、二転三転する緊迫した面白い戦いでした。人物の心情も行動もしっかり描かれてました。死体集めという目的により、ジョニィがレースを続ける動機もより鮮明になりました。読後感も爽やかだし、ゴール間際の熱いレースへの期待も高まります。
そして次号はなんと、またしても表紙&巻頭カラー!その上、付録にコミックスの別バージョンカバーまで!異常なまでの優遇っぷりが逆に怖いです。これは6部スタート直後の時期を思い出しますよ。数週置きにカラーがもらえて、嬉しいんだけど何故か警戒してしまい、素直に喜べなかったあの時期を…(結局、すぐにいつもの位置に落ち着きましたが)。でも、ウルジャンが「SBR」を大々的にプッシュしてくれているのは感激です。
バトルは加熱する!!レースは加速する!!「SBR」は一粒で二度おいしい!!波乱の2nd.STAGEを制するのは果たして誰か!?一瞬たりとも目を離すな!!




(2005年6月21日)




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