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そこちょっと 失礼(し・トゥ・れい)ィィイイイ〜〜


#12 ルーシー・スティール





●ロックなファッション&SEXYポーズで鉄球に舌を這わせる、エロカッコ良くて妖艶なジャイロの扉絵。これで8巻収録分は全部、扉絵があるって事になりますね。1枚のイラストとして魅力的で、想像を駆り立てられるものがあるので、このまま毎回のように扉絵を描いてもらってもOK!


●大方の予想通り、ジョニィ達は『クリーム・スターター』で傷を治したようです。本体であるホット・パンツが気絶してるのに、ジャイロが勝手に使用できてるのが少し不思議ではありますが。でも一応、ホット・パンツの手じゃないと発動は出来ないみたい。もしくは、ジャイロでも発動できるけど、自分の肉が削られるのがイヤだからホット・パンツの手で使ったとか…?
あの死闘の直後だというのに、ジャイロは早くもアホモード全開。大爆笑・大流行間違いなしのオリジナルギャグをかましてくれました。ジャイロの切なげな表情と、ジョニィの白けたリアクションがウケる!一度しかやらないはずなのに、またやってるし。「勇気がわいて来てる」とか「遺体の正体」とかシリアスな会話もほんの一瞬。ホット・パンツのサンドイッチを発見して、セコいイヤガラセを目論むジャイロのヤバイ顔が笑えます。どんな事があっても自分らしさを見失わないのがジャイロの強さなのかもしれません。


●ホット・パンツはなんと女性でしたッ!家出少女に対する承太郎の如く、彼女のたわわな胸をもみしだくジョニィ!なんてうらやましこれは驚きの事実です。確かに初登場時は性別も判別しきれなかったし、コマによっては女性っぽかったりもしましたが、まさかマジでそんなオチが待っていようとは……。荒木絵は男女関係なく色っぽいから、まんまと騙されたッ!
ジョニィは「関係ない」と言って放置してますけど、ここまでおいしいネタフリをしてきた以上、彼女がこの後の展開に大きく関わってくる事はほぼ確実。彼女の生い立ちやレースの参加目的、男を装う理由が気になって仕方ないです。どっかの貴族の娘で、没落した一族を優勝賞金で復興させるために参加とか…?正直なところ、今いちパッとしなくて好きになりきれずにいたホット・パンツですが、実は女性だったってだけでドラマ性が秘められていて、さっそく注目株になりつつあります。イケメンともキャラや役割が被ったりしなさそうで胸を撫で下ろしました。
意外とエリナのパラレル・キャラだったりしないでしょうかね?「ジョジョ」が今後も8部・9部と続いていくとして、やはりジョニィの生涯の伴侶は必要。ジョナサン→ジョニィ、ディオ→ディエゴ、ツェペリさん→ジャイロ……となれば、エリナのポジションも欲しいところ。ホット・パンツの「H・P」も、「ヘリナ・ペンドルトン」とか「ヘレン・ペンドルトン」とかのイニシャルで。


●4th.STAGEももう20日目。ゴールは間近です。雄大なる草原を駆けるジャイロ達の絵が無条件でカッコイイ。主催者側をも警戒して走らねばならない状況も、周りは敵だらけという緊迫感を生んでいます。そんな中、ポコロコとサンドマン登場。ここでサンドマンが久々に(1st.STAGE以来?)セリフを発しました。つーか、思えばサンドマンとジャイロ達がマトモに会話してるシーンは初めてです。
以前より顔付きがゴッツく…もとい、逞しくなってはいますが、誠実な人柄は変わりません。ジャイロの質問に答えるだけでなく、嵐が来る事も教えてくれます。どうやら1st.STAGEでの借りを返したつもりのようですけど、そもそもあれを借りだと思える所が彼らしい。自分への走行妨害が原因だったのに(ジャイロの意思はともかく)、器のデカい男です。自分の力で掴み取った勝利ではなく、たまたまジャイロから譲り受けただけの勝利だった事が、サンドマン自身で納得できていなかったのかも。
策謀渦巻くレースの中において、異常なまでに真っ直ぐな精神を持つ彼は、用心深いジャイロをして「信用できる」人物であるようです。もっともっと活躍してほしいキャラの1人ですね、やっぱ。でも今の時点では、「遺体」と関わらないとストーリーの中心にいられない状態なので厳しいか。


●サンドマンの情報からジョニィは、ディエゴがゴールより先に「遺体」を入手しようとしている事を推理。同時に、リンゴォが伝書鳩で「遺体」のポイントを黒幕に伝えている事にも気付きます。相変わらず妙にカンが冴えまくってるジョニィ。あれって伝書鳩だったのか!気付けなかった自分が悔しいです……。
ともかく、これでジョニィもディエゴを追い、ゴール前に遺体争奪戦を繰り広げる事に。ジャイロがレースと「遺体」のどちらを優先させるか分かりませんが、気高く飢えるためにも、あえてジョニィと共に「遺体」を目指しそう。「遺体」をGETできても、すぐにレースに戻らなきゃいけない。レースが終わったら、ネアポリス王国からの「遺体」の情報も待っている。この次々と畳み掛けて来る怒涛の展開!4th.STAGEは激動のSTAGEとなりそうですね!


●場面は一転。これまたお久し振りの大統領の御登場です。大統領一派が出ると空気が引き締まるし、ストーリーも動くので面白い。大統領はスティールの裏切りを予感しているようで、ジャイロ達を発見できずにいるのもそのためと推測しています。実際のところはどうか謎ですが、スティールの生き様が「SBR」の行方を左右すると言っても過言ではないはず。
そして、カンザスに眠る「遺体」の部位は「脊椎」と判明!…あれ?6巻の巻末を見て、「頭部」だと思い込んでたのでビックリ。あの数字はSTAGEとは無関係なのかな?その「脊椎」は人体の中心であり、「遺体」の中でも最も重要な部分。これだけは絶対に手に入れようと、大統領もいよいよ大マジ。キリッとした真剣な表情からは、支配者の貫禄すら漂わせています。大統領が集めた複数のスタンド使いがジャイロやディエゴを襲い、大混戦へと発展するのでしょうか?
この「脊椎」、ジョニィにとっても大きな意味を持つ部位と言えるかもしれません。脊椎は大切な中枢神経<脊髄>を守る骨であり、ジョニィは脊髄損傷のために下半身不随となってしまっています。もしジョニィが「脊椎」を手に入れられたら、下半身の麻痺も治る可能性が出て来るでしょう。


●大した意味もないものに絶対の価値を見出し、ハタから見たら馬鹿らしい事に純粋に命を懸けられるスティールは、男のロマンそのものです。大統領も言っていますが、まるで少年のような情熱を持つ男。損得や善悪よりも、ただ夢を追い求めて生きて行きたいだけなのです。彼のそんな青臭さが最高にステキですね。きっと夫人もそこにホレ込んだんだと思います。彼の夢であるレースが「遺体」探しなんて野暮な事に利用されるなど、そりゃあ納得できませんよ!
そんなワケで、スティールの妻・ルーシーが今回のキーパーソン。愛する夫を守るため、大統領達に孤独な戦いを挑みます。おなじみのレース係員(何人目?)から読唇術を学び、大統領達の会話を読み取って、果敢にもリンゴォからのメッセージを奪い取りました。何の力も持たない少女がたった1人で敵のアジトに侵入するワケで、いつもとはまるで別種の危機感。「うわっ、ヤバイよ!」「見付かるよ!」「殺されちゃうよ!」とヒヤヒヤさせられ、こっちもエキサイトしました。涙を流しながらも、知恵と勇気を振り絞ってスティールを助けようとする健気な彼女。刑務所での徐倫ばりにピンチですが、どうにか無事に脱出してほしいです。
ホット・パンツといい、ルーシーといい、カワイくって萌えッ!さんざん「男の世界」が語られた後での女性の参戦。なんか荒木先生なりの意図があっての事なんでしょうかね?男とは一味違う「女の世界」「女の強さ」を見せ付けてくれる事を期待せずにはいられません。


●大統領と共に現れた謎の男・ブラックモア。レインコートのようなファッションと、外国人がしゃべるカタコトの日本語みたいな話し方が特徴。気弱でマヌケそうな見た目とは裏腹に、なかなか鋭い洞察力です。
そして、こいつもスタンド使い!ジェイソンか何かを彷彿とさせる仮面型のスタンドです。こういうヴィジョンは初なので新鮮でした。雨粒を固定して足場にし、自分の肉体も雨のように降らせています。6部の頃から傾向はありましたが、改めて「SBR」のスタンドは肉体派ですね。「精神の具現」というより、「精神と肉体の融合」。1・2部の肉体賛歌と、3部以降の精神賛歌が1つになり、スタンドは次なる領域に到達しました。どいつもこいつも清らかな生命の力に溢れています。
嵐の中の戦いでは脅威となり得る、ブラックモアの能力。「雨」を司る能力とでも表現すべきでしょうか?雨の中を縦横無尽に移動するアクロバットなアクションや、あちこちに分裂させた肉体からの奇想天外な攻撃が描かれそうです。雨水を操って武器にしたり、自分も水と化して潜んだり、なんて事も可能かも。スタンド名は『レインボー』かな?床にしたたり落ちている水滴に触れると、水滴から水滴へ次々に小さな虹が架かっていき、その水滴を落としたルーシーへと虹が辿り着き、発見される……などと予想。
ブラックモアが傘をさして雨降る町を軽やかに飛び回る姿は、マスクとも相まって幻想的かつ悪魔的で、強く心に焼き付きました。見てるだけで奇妙な浮遊感を味わえる絵です。やっぱ荒木先生の描写力はスゲーや!
「SBR」では初めて天気がストーリーに絡んできたので、どう描かれるのかが楽しみでしょうがないです。きっとこの嵐は、レースにもバトルにも大きな影響を及ぼすのでしょう。いかにもこのイベントのために作られたようなブラックモア、雨を利用してジャイロ達をガンガン追い詰めてくれそう。あの傘も巧〜く使って、我々をアッと驚かせてくれるはず。ひょっとしたら、あの傘に触れた雨水じゃあないと操作できないのかもしれない。


★とにかくキャラが良く動いた回で、読み応えバツグンでした。ただキャラが動いているだけで楽しい。各人物がそれぞれの考えで行動し、自然と「脊椎」の眠る場所へと1つに繋がっていこうとしています。モーツァルトの楽曲のように美しく流れる展開に、一気に惹き込まれました。レース参加者の優勝を巡る争いだけでなく、同時に主催者サイドでも思想や信念がぶつかり合って、奥行きのある物語になってきましたね。
次回はルーシーとブラックモアの間で何かが起こります。果たしてルーシーは捕まらずにいられるのでしょうか?もし襲われたとしたら、一般人の彼女は勝つ事が出来るのでしょうか?脱出できたとしたら、彼女は「遺体」を捜しに行く気なのでしょうか?でも、いずれにせよストーリー的には、大統領サイドも「脊椎」の場所を知る事になりそうだし、危険な予感……!ブラックモアがルーシーを発見してしまうものの、メモがすでに処分された事が分かり、あえて「遺体」の場所まで彼女を泳がせておくってのもあり得ますね。で、そこでブラックモアはジャイロ達に敗れ去り、大統領にはバレずに済んで、ジャイロ達もいよいよ黒幕の正体を彼女から知らされるとか。
スティールが二度も愛しい女性を失ってしまっては可哀想すぎる。2人とも幸せに生きてほしいですよ。展開も天候も、カンザス・シティはただいま大嵐ッ!




(2006年3月18日)




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