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ベッドの上で死ぬなんて期待してなかったさ
オレはカウボーイだからな
帰る所が欲しかっただけさ…………
旅に出たら帰る場所がな…………


#13 緑色の小さな墓標





●今月の表紙をカラーで飾るは、ジャイロ・ジョニィ・ルーシーのSEXYトライアングル!それぞれ青・赤・白を纏った色使いも荒木先生には珍しく、新しい表現への意欲や挑戦が感じられますね。
扉絵はこのカラー表紙と同じ構図ですが、ジャイロとジョニィの位置が入れ替わってたりして、微妙な違いが楽しめました。


●依然、窮地に立たされるルーシー。大粒の涙をこぼしまくっていますが、彼女が後悔して泣く理由は「自分が危険だから」ではなく「スティールに危険が及ぶから」。自分が殺されるかもしれない状況なのに、夫の身だけを案じている彼女は地上に舞い降りたエンジェルですか?
一方の大統領サイド。大統領は小物っぽく焦ったり大声張り上げたりしてますが、ブラックモアはドえらい執念燃やして追跡してきます。雨の日にふと窓に目をやると、あんなのがこっち覗いてたら超ビックリですね。と言うか、ブラックモアがフツーに非能力者達と一緒にいるのが面白い。みんなスタンドの存在を知っているのでしょうか?大統領の部下達は、スタンド使いと一般人が仲良く共存しているのかも。


●ポルナレフのようにトイレに追い詰められたルーシーを救ったのは、なんとまさかのマウンテン・ティム!イケメン復・活ッ!今、彼こそが最もSEXY!惚れ惚れする程のイケメンぶりは健在!そんな彼にアプローチされても、スティールへの愛だけを貫き通すルーシーは誰よりも気高い女神様です。髪が雨に濡れてペタッとなって、カワイさも色気もアップしてらっしゃいます。そんな麗しの女神様にフラれたイケメンは、彼女の態度からすべてを見抜き、「ジャイロとジョニィに会え」と助言。なるほど。彼がジャイロ達とルーシーを結び付ける役目なんですね。確かにスティール側とジャイロ側の両者と関わりがあったのは彼だけだから適役です。
イケメンはルーシーを追って来たブラックモアと激突!大切な女を守るため、人知れず孤独に戦う男…。これ以上ないくらいイケメンにピッタリのおいしいシチュエーションです。バラバラ対バラバラ。似たような能力同士の引力で出会ってしまったのか。ブラックモアのスタンド『キャッチ・ザ・レインボー』の能力で作られた宙に浮かぶ雨水の刃によって、イケメンは倒されてしまいます。(それとも、ブチ破ったガラスの破片を雨で固定しただけ?)この能力、やはり相当厄介。一体、どうやってコイツを始末すればいいんでしょうか?
ついにイケメンは、ブラックモアの凶弾によって命を絶たれます。ずっと応援してきただけに大ショックです。マジメにヘコみました。ここで死ぬには、あまりに惜しいキャラですよ。彼の最期の言葉が涙を誘いますね……。荒木先生が描きたいという「生きる事の悲しさ」をまざまざと見せ付けられてしまいました。もっとイケメンの活躍を読みたかったのに……。


●倉庫らしき場所での最後のシーン。ガダンと物音がし、開いた窓が描かれた2つのコマ。これは一体、どんな意味があるコマなのでしょうか?地図を見るために開けた引き出しを閉じた時の音かと思いつつも、外から聞こえているようでもあり……。何者かが倉庫に近付いていた?それとも、ひょっとすると嵐が強まってきたという事の描写?あの窓も、イケメンと一緒に倉庫に入った時に開いたものだと思いましたが、強風でガダンと開いたのか?
あるいは、倉庫で地図を調べるルーシーと、イケメン VS ブラックモアは実は同時刻に展開されていた?あのガダンって音は銃声だったとか?イケメンが死ぬ時の銃の音だったりしたら切なすぎ……。果たして、このシーンの真意が明かされる事はあるのか?それ以前に、真意ってもんがあるのでしょうか?なんか気になっちゃいました。


●ジャイロ達とルーシーの敵が同じである事をイケメンは認識していた様子。連邦保安官とは大統領から任命されるものであるらしく、互いにカンザス・シティにいた事も含めて、彼も大統領と面識があったと考えるべきでしょう。伝説のカウボーイであり、スタンドの第一人者とも呼べるイケメン程の男を手元に置かない手はありません。イケメンが命名した「スタンド」という名称が広まっていたのも自然な事ですね。そこで彼は大統領の目的や、ジャイロの国のテロリストとの関係などを知っていったのかも。まあ、ルーシーを救出した状況を見れば、誰が彼女の敵なのかは一目瞭然ですが。
連邦保安官という自らの立場をも省みず、ルーシーへの愛のため、大統領の部下に立ち向かったイケメン。この行動はまさしく「男の世界」。UJ編#11の感想にも書きましたが、私は「漆黒の意志」とは、正しいと信じるもののためなら「悪」にでもなれる覚悟を意味していると解釈しています。絶対的な「正義」を主張する大統領が、そして大統領が治める国そのものが敵という設定も、そこに繋がってくるのでしょう。巨大な「歪んだ正義」とちっぽけな「気高い悪」の争いが、この物語のコンセプトなのかもしれません。祖国の法に納得できずにいるジャイロの姿もまた、そのコンセプトゆえ。大統領こそ真の敵と知らされた時、ジャイロ達が何を思い、この国にどうケンカを売るのかが今から楽しみです。


●前回からそうでしたが、ブラックモアはホントに洞察力が鋭い男です。ほんの些細な事から推理して、どんどん真実に近付いていきます。イケメンが命を賭して守り続けた秘密も、瞬時に解き明かしてしまいました。その名探偵っぷりは金田一少年やコナン君にも引けを取りませんね。大統領が一目置くだけの事はあります。
その喋り方といい、ビジュアルといい、能力といい、リンゴォとはまた別の恐ろしさを持った敵。降り注ぐ雨に混じるように、スゴイ勢いで跳び回る姿も鬼気迫るものがあります。イケメンの命を奪った怨敵ではあるけれど、1人のキャラクターとしては個性的で魅力的。


●ジャイロ&ジョニィはいよいよディエゴを射程に捕えました。思った通り、ジャイロもジョニィと共に「遺体」を目指すようです。嵐が強まってきたので「今日はもう無理だ」と言うジョニィに対し、「今がチャンス」と逆に突っ走るジャイロ。ジャイロも3rd.STAGEゴールやリンゴォ戦を経て、ようやくイイ感じに飢えてきてます。ただジョニィと違い、「遺体」を手に入れる事は二の次で、ディエゴを打ちのめす事の方が重要みたい。ジョニィにとってディエゴは「遺体争奪戦の宿敵」ですが、ジャイロにとってはあくまで「レースの強敵」なんでしょう。
ルーシーは「緑色の墓標」という、原住民の小さくてキュートな遺跡から「脊椎」を掘り起こしてGET!随分とあっけなく発見しちゃいました。よく1900年もの間、誰にも見付からずにいられたもんです。「広い広い大草原の小さな墓標」とはダブル・ミーニングで、リンゴォ戦の暗示であり、この遺跡の事でもあったんですね。いや、イケメンの墓標でもあるならトリプル・ミーニングか。
ジャイロ達の先を走るディエゴは、「左目」を通して「脊椎」の移動を感じ取っている様子。レースに勝つために「遺体」を捜すジャイロや「遺体」を入手するためにレースを続けるジョニィに対し、ひたすら力を欲するディエゴはレースも「遺体」も同じぐらい重要。その尋常ならざる飢えに突き動かされるように、嵐の先にある「脊椎」めがけて全力疾走です。さすがは最大のライバル!自分自身のスタンドで戦う彼の姿も早く見たい!
イケメンの導きにより、ルーシー・ディエゴ・ジャイロ・ジョニィの4人の運命が間もなく交差しようとしています。そんな時、とうとうブラックモアに捕われるルーシー!一体どうなってしまうのでしょうか?


★今回は何はなくとも、とにかくイケメンです。突然の復活と退場に、全世界のイケメンファンが喜びと悲しみの涙で頬を濡らした事でしょう。そんなワケで、こちらもどうぞ。イケメンに捧げる鎮魂歌(レクイエム)です。
ジャイロ達の地点まであと6時間あまりという、絶望的に厳しい状況の中、ルーシーはブラックモアから「脊椎」を守り抜けるのか?いくらディエゴが恐竜化して走って来たって、到底間に合う距離じゃないだろうし。ここはギリギリで「脊椎」がルーシーに入って、彼女がスタンド使いになるとかか……!?でも、それだけじゃ終わりそうもない展開だし、この5人がどう絡み合うのか必見ですね。嵐の中という環境もあって、いつも以上にドラマティックでドキドキ。7人の表情が描かれた黒塗りのラスト・ページも、予測不能なかつてない波乱を予感させます。
ジャイロ達には早くイケメンの仇を討ってほしいものです。彼の死を知らされた時の反応も気になるところ。……あっさり流しそうだけど。




(2006年4月19日)




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