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人には「使命」がある…………
肉体的な小さな「命」なぞ超越した 大いなる「使命」が!!


#15 緑色の小さな墓標B





●今回の扉絵は、嵐の中で小休止のジャイロ&ジョニィ。梅雨に突入した今の時期にはピッタリのイラストです。降りしきる雨の中に佇む男ってのはサマになりますね!
でもジョニィ、こんな大雨の時にのんきに飲み物を飲んでる場合なのかと。カッコつけてる間に雨水が入っていって、味もすっかり薄くなってそうです。それとも、雨水をコップに溜めて飲む算段なんでしょうか?


VSディエゴ in 4th.STAGE決着ッ!前回のレース的展開から一変、今回は思いっきりバトル展開です。ジャイロ・ジョニィ・ディエゴ、それぞれの思考や性質が絡み合って見応え抜群でした。
自分だけの「光」を求めて駆ける事で、「ベスト・ライン」を無意識に魂で選び抜いてゆくジャイロ。焦るディエゴが取った奇策は、愛馬にたかるノミを恐竜に変えてヴァルキリーを襲うというものでした。刺された痒さで走るどころじゃあありません。あれはホント痒い。地味ながら強烈です。ディエゴのスタンド『スケアリー・モンスター』も本家『スケアリー・モンスターズ』同様、他者を恐竜化して支配する能力を有しているようですね。しかも、傷付ける事なく、ただ触れているだけで恐竜化させてるみたい。それも半恐竜化というか、元の生物の性質をも強化している風です。ノミ恐竜のデザインが「デッドマンズ・Q」の掃除屋みたいでカッコイイ!本家以上に悪質な能力になってますね。
不穏なディエゴに、とうとう我慢も限界に達したジョニィは『タスク』発射!でもディエゴは難無くかわし、逆にジョニィの「左腕」を引きずり出します。「無駄ァァァッ」と、嬉しいセリフも放ってくれました。しかし、このマンガで「勝ったッ!!」なんてセリフを軽率に吐いてはいけません。敗北を意味するのだから。馬と同スピードで投げられ、ディエゴにとって相対的に停止している見えない鉄球。マトモに食らって、ついに走行不能にッ!
いくら恐竜と化しても、ディエゴ・ブランドーは「勇気」を知らん!ノミと同類よォーッ!!


●憎悪と屈辱の雄叫びを上げるディエゴ。スカッと爽快!完全勝利ッ!……と思いきやジャイロ、いきなりジョニィをブン殴る。唐突すぎて笑っちゃいました。突然の出来事にジョニィも理解不能。
どうやら自分が目指す「真の勝利」を邪魔された事に激怒しているようです。あくまでレースでディエゴを打ち負かしてやりたかったのだから、ジャイロとしては納得できないし不愉快の極み。でも、それだけ勝利にハングリーになっているって事。良い兆候です。文句を言い返すジョニィが何故か新鮮でもありました。最近のジョニィはちょっと人間味が薄れてきてた印象があったので、少年らしさが戻ってきた感じ。こういう仲間同士の争いシーンは見てて面白いな。
ディエゴはもうリタイアかと一瞬ヒヤヒヤしましたが、更に飢えて復活してきそうで一安心。いくら生長したとは言え、今のジャイロはまだ「真の勝利」を得られるだけの器ではないのです。ディエゴにも、自分にも、宿命にも、他の「何か」にも、まだ勝てていない。「男の世界」を突き進む事の厳しさ…、それを身をもって思い知らされたジャイロでした。


●ジャイロとジョニィ、ルーシーと遭遇。「女」は「禍い」を運ぶ、とジャイロの言葉。不意にホット・パンツを思い浮かべるジョニィ。「偏見的だね」と自分の事は棚に上げて、ジャイロにツッコミ入れてます。今になって思えば、ジャイロはホット・パンツが女性である事を知ってて嫌っていたのかも。女死刑囚のせいでこっぴどく父上に怒られた事もあるし。女性関係ではあまり良い思い出がなさそうです。……ええ、私もです。切ない青春です。
魔性の年上キラー・ルーシーの色香も、身持ちの固いジャイロには通用せず。露骨に警戒され、えらい罵られております。しかし、「脊椎」と大統領とイケメンの話題で2人の気を引く事に成功。ところが、そこに彼女を尾行して来たブラックモアが参上ッ!雨の音が変わり、ページをめくると見上げる構図でブラックモア接近。「ほれ見ろ、やっぱ運んで来やがった…」とでも言わんばかりの、ジャイロの「やれやれだぜ」。この一連のシーン、最高の昂揚感です。


VSブラックモアも短いながら、魂の放熱を感じずにはいられない一戦でした。ブラックモアの死すら超えた使命感真っ直ぐに歪んだ執念は必見です。やはり主人公側が「邪悪」とされて蔑まれ、大統領側が「正義」を貫こうとしており、善悪の不透明さが強調されてる感じ。
完全に固定された雨に包囲されるジャイロ達。なんともファンタジックな光景です。攻撃のモーションだけで雨粒に腕を貫かれ、動く事すら出来ません。雨と同化できるブラックモアだけが自由に動ける状況。ルーシーが始末されそうになり、ジョニィまで手も足も出ず。絶体絶命の危機を打ち破ったのはジャイロ!完璧に固定されているが故に、まったく同じ軌道ならいくらでも動けるのです。理屈ではその通りだけど、実際にやってのけてしまうのがスゴイ。さすが達人!「光の道」を走る今のジャイロにとっては、進むべきラインを見付け、寸分の狂いもなく進む事など容易いのかも。
そして、ジャイロの最後の一撃ッ!雨粒で止められても、回転の摩擦熱によって雨粒を蒸発させて、強引に道を切り拓く!「位置」の固定は出来ても、「状態」の固定は不可能だったみたいですね。顔面に鉄球がクリティカル・ヒット!仮面は割れ砕け、黒雲のスキ間からは眩い光が射し込む。ダイナミックで幻想的な絵が、全ての決着がついた余韻に浸らせてくれます。ブラックモアはついに死亡。演説してるヒマがあるなら避ければ良かったのにとも思いますが、ルーシーの処刑だけは自分の命以上に最優先事項だったのでしょう。
雨粒のスキ間を狙おうとしたジョニィと、雨粒も関係なく一直線に狙ったジャイロ。ディエゴとのライン取りでの2人の性格の差が、ここにも表れていたと感じます。ディエゴ戦とは違い、ジャイロは正に納得の快勝でした。「真の勝利」にまた一歩近付けたのかもしれません。リンゴォが追い求めた「聖なる領域」にまで己を高め、その身に神聖さを宿す事が、果たしてジャイロは出来るのでしょうか?


●ジャイロも気になったようですが、ブラックモアの語った「あの方」情報は要チェックです。「あの方」が自らの意思でアメリカ大陸を選び、復活を遂げようとしているかのような発言。この「復活」という言葉、そのまんま受け取っていいのかどうか謎です。「あの方」=キリストと仮定して、キリスト自身が蘇るのか?「遺体」を揃えた者が第2のキリストとして認められ、人々の尊敬を集める力を得るのか?
そして、キリストが何故、復活の地にアメリカ大陸を選んだのか?「悪魔の手のひら」の隕石とは関連があるのか?アリマタヤのヨセフが、キリストの意志を知った上で、バラバラにしてアメリカに「遺体」を隠したのか?カンザスに着けば、王国からの情報が色々入って来るはず。そこでいくつかの疑問が解消される事を願います。


●嵐がやみ、空には鮮やかな虹が。それが意味する事実は……、「脊椎」が然るべき者を選んだという事。いつの間にやら「脊椎」はジョニィの元へ。これでジョニィの脚が治る可能性がガゼン高まってきました。かすかに脚の感覚が蘇り、ほんの少しだけ動くようなシーンが描かれるかも。今となっては半身不随である事を忘れてしまいかねない程に動き回ってるから、別に治らなくてもいい気もしますが。でも、治れば治ったで感動的だし、ジョースターの血統を遺す事も出来るようになるワケで。
倒れたジョニィの周囲には、次なる「遺体」を示すメッセージ。砂が集まって「Dexter Brachium」という文字を形作っています。ラテン語で「Dexter」は「右」、「Brachium」は「腕」を意味するらしいので、次のパーツは「右腕」って事になりそうです。これだけでは位置も何も分かりませんが、次回になれば、更に別の文字か図が描かれるのかもしれませんね。あるいは、「砂」の文字だから「サンドマンが右腕を持ってるよ」という意味だったりして……?
さて、いよいよ複数のパーツをゲットしたジョニィですが、能力の方はどうなるのでしょうか?個人的には『タスク』のパワーアップとかじゃあなく、2つの異なる能力を使えるようになってほしいと思ってます。1人1能力の原則から脱却して、新しいスタンド設定を作っていってほしいところ。ただ、「同時に複数の能力は使用できない」くらいの縛りはあった方が良さそうですが。
注目すべき点が目白押しです。近頃は活躍の場をジャイロに奪われっぱなしで、今ひとつパッとしてなかったけれど、ようやくジョニィも負けじと生長してくれそうですね!「脊椎」の守護精霊も登場するかな?


★今回も燃えたんですが、なんとなく絵的に線が弱くて薄い部分があったっつーか…。ひょっとしてアメリカ取材旅行で今月のスケジュールがキツくなったのかな〜とか、余計な事まで考えてしまいました。意図的に狙った効果なのかもしれないけど。それでも、絵にしても演出にしてもセリフにしても、相変わらずの荒木節。大いに魅了してくれました。
ストーリーもテンポ良く展開し、前半の山場を迎えてきてますしね。カンザスにゴールしても次の刺客達が襲って来るでしょうし、黒幕と分かった大統領と初顔合わせしたりして。そこで「脊椎」を大統領に奪い返されるなんてのも面白いかも。やっぱり敵にも強くなってもらわないと。
次回はまたまた表紙を飾ります。そろそろ巻頭の見開きカラーも見たいけど、それは贅沢か……。




(2006年6月18日)




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