TOP  <<#15 戻る #17>>



大統領に近づき… その『心臓部』をヤツから盗み取れッ!
おまえがそれをやるんだ…
ミセス・スティール


#16 ルーシーの決意





●表紙を飾るカラーイラストは、雪が積もる白樺林でのジャイロ&ジョニィ。夏真っ盛りの8月号に冬のイラストを持って来るのは荒木先生だけ!一面の白の中で、カラフルなジャイロが必要以上に目立っております。そして逆に、冬服ジョニィとスロー・ダンサーが林に溶け込んで同化しているかのような、一種の騙し絵になっている点が見所。遊び心たっぷりの楽しいイラストです。


●扉絵は草原に佇み、どこかを見据えている2人。サンフランシスコへもニューヨークへも1,561マイルの地点。北米大陸の中心という事ですね。長い長いレースもついに折り返し。そう考えて見ると、2人の視線も深読みしたくなります。これまでの道程を思い返して感慨に耽るジョニィと、そんな事には無関心でゴールのニューヨークしか見えていないジャイロって感じ。


4th.STAGE決着ッ!著しい生長を遂げたジャイロは1位確実と思っていたんですが、荒木先生はまだまだ彼に試練を与える腹積もりのようです。結果は3位!総合順位も7位で、優勝は未だに遥か彼方。ジョニィは「勝ったのは君だ」と言ってはいますが、本人はやはり納得できないみたいです。
このSTAGEで驚いたのはリタイヤ者数ですね。なんと1,477名も嵐のためにリタイヤしてしまいました。まるで「脊椎」が遺体争奪戦に参加する資格のない者をふるいに掛けているかのよう。残る選手はわずか441名。当然、これまでメインで絡んで来た連中はしっかりランク・イン。初めて見る名前は「ロッターズ・クラブ」くらい。6位のサンドマンもディエゴと並び、総合1位タイ。2位のポコロコはいつの間にやらヒゲを剃ってます。ホット・パンツも再登場して7位入賞。
そんな混戦模様の4th.STAGEを制した王者はノリスケ・ヒガシカタ!銃を背負ったジイさんキャラでした!陽気で表面上は礼儀正しい性格だけど、けっこうイヤミだわ、ヘソも2つあるわ、ホット・パンツの性別にも勘付くわ、なかなか油断できない男。多くの読者が期待していた人物像ではありませんでしたが、これまた一癖も二癖もありそうですよ。仗助よりも良平じいさんに近いイメージ。このノリスケさんの秘められた過去やレース参加目的も気になる所ですし、どうストーリーに関わってくるのか楽しみであります。彼もスタンド使いなのでしょうか?
そして、ディエゴは54位でフィニッシュ。馬を駆るどころか、馬の荷物まで自分で持って、トボトボと力なく歩いてのゴール。「帝王Dio」の名にあまりに似つかわしくない姿からは、哀れささえ漂わせています。そんな惨めなるディエゴを見たジャイロ達が、冷や汗を流しながら「嫌な野郎」と恐れている。その奇妙な構図が、ディエゴの底知れぬ闇を物語っています。


●さて、時間は前後し、ジョニィに「脊椎」が入った直後の時点へ。凄まじい事に、なんと「脊椎」1つ手に入れただけで「右腕」「両耳」「両脚」の3部位の位置があっさり判明ッ!暗号も何もなく、ものスゴイ直球なメッセージです。さすがは「脊椎」といった所ですが、このあまりの急展開にはビックリしました。打ち切りはないとは思うけど、ストーリー進行が急激に速度アップした印象。最終STAGE直前に「遺体」関連の決着が付いて、スタンド使い達も能力を失い、ただの人間同士の純粋なるガチンコレースでフィナーレを飾る予定なのかも。
この3つの「遺体」は、5th.STAGE「イリノイ・スカイライン」&6th.STAGE「ミシガン・レイクライン」のコース上に。これまで明示されていたものとは、STAGEが微妙に変わっているのが気になるけど。「右腕」と「両耳」がミシガン湖畔、「両脚」はマッキーノ・シティ付近にある模様。どちらも両STAGEのゴール地点に程近いポイントです。まさかこんなに「遺体」が密集しているなんて……。「遺体」をアメリカ大陸中に散らばらせた人物も、ここら辺でめんどくさくなってきたのか、ちょっと手抜きしちゃったのかもしれません。
それはともかく、この五大湖での遺体争奪戦は今まで以上にヒート・アップする事間違いなしですね。そろそろサンドマン達にも加わってほしいものです。ポコロコもいい加減に出て来ないと、ラッキー期間の2ヶ月が過ぎちゃうよ。


●ルーシーに尋問し、いよいよ黒幕の真相を知ったジャイロ達。彼女をスロー・ダンサーに乗せ、隠蔽工作を図ります。うまい事を考えるもんです。そして、「自分と夫を遠くの国へ逃がしてほしい」と懇願するルーシーに、ジャイロは厳しい言葉で「道」を示しました。「大統領から心臓部を盗み取れ」、と。このページのジャイロが、今月で一番インパクトが強かったシーンでした。背景が真っ白なのが、余計にドーンと来るものがあります。確かにジャイロの言う通り、いくら逃げたって安息は得られない。立ち向かわなければ。
女性に偏見的なジャイロも何だかんだ言って、結局は優しいヤツです。ルーシーの根性と愛情は気に入ったらしく、彼女に「右目」をレンタル。スタンド能力は無くとも、「遺体」同士に働く引力を使えば「心臓」を奪う事は可能なのです。こうやって「遺体」の持ち主が移ったり、スタンド能力を着脱したり出来る点が、今更ながら「SBR」の面白い設定ですね。6部のスタンドDISCを発展させた感じで。でも、スタンドという強力な能力を、当然のように自ら手放せるジャイロはイカシてる。
「遺体」欲しさとルーシーへの気遣いの間に揺れ、ジョニィはジャイロを中途半端にののしる事しか出来ず。ジャイロの態度も変わらず。しかし、ルーシーは涙ながらに決意を固め、陰謀に満ちたレースの渦中へと飛び込んでいきました。こんなに泣きまくりなキャラも初めてですけど、ただのかよわい女の子だから仕方ありませんね。そんなルーシーが今後はレース裏の主人公となるのでしょうか。殺されないか心配……。ホント、幸運を祈ります。


●時間は4th.STAGEゴール直後へ戻り……、場所はカンザスの荒れた路地裏へ。ディエゴと大統領達の取り引きです。「遺体」と引き換えにマンハッタン島を!スケールのデカい取り引きですが、もちろん、お互い本気ではありません。ディエゴは大統領すら見下して、「遺体」もレース優勝の栄光もカネも権力も、全てを手に入れる気マンマンでしょう。大統領サイドとて同じ事。ディエゴなんぞ利用するだけしたら、迷わず始末するはず。そんな腹黒同士のやり取りは、緊張感と共にどこかコミカルさも感じます。
マトモに取り合おうとしない大統領達も、ディエゴが「裏切り者」の話をした途端に食い付いてきました。実際、ディエゴがよくそこまで知り得たもんです。ブラックモアの名前まで。その観察力と推理力には脱帽。民衆の前では笑顔を絶やさない大統領ですが、悪鬼のような表情を浮かべています。自分のプライドと威信を傷付ける輩は断じて許せない御様子。
……で、ディエゴの復讐が済んでから、「裏切り者」の情報と「遺体」を渡すという事で取り引き成立。そのためにディエゴが要求したのは忠実なる「部下」。「仲間」でなく、あくまで「部下」と強調する辺りがディエゴです。5th.と6th.はあえてレースを捨て、ジャイロ達をその部下と挟み撃ちにする計画なのか?こうして敵と敵が手を組み、ジャイロ達はますますピンチ!
個人的な希望としては、遺体争奪戦のラスボスはやっぱ大統領であってほしい。最終的にディエゴはジャイロ達と手を組む事になって、3対3のバトルを繰り広げたりすれば燃えそうです。ジャイロ・ジョニィ・ディエゴVS大統領・喋る側近・喋らない側近。


新手のスタンド使い登場ッ!ディエゴにさえ気配を悟られずに潜める程の凄腕です。ディエゴの反応からして、どうやらコイツはレース参加者の1人。ノリスケさんと思わせといて、実は違うってオチでしょうか?次回はジャイロ達にいかにも怪しげな選手が数人近付いて来て、異常な事態が起こり、「本体は誰だ?」展開になるのでは?ここはシゲチーが本体と予想してみます。矢安宮重千代とかいう本名で、ノリスケさんとカネ絡みで浅からぬ因縁があったり。
能力はパッと見、『エコーズ ACT2』みたいですね。要は「エネルギーの移動・伝達」って能力かな。『ダイバー・ダウン』初期の能力に近そう。ザグッザグッと蜂の巣を突き刺してやったエネルギーが、「文字」や「人間」のような形を取って、ディエゴの腕へと襲い掛かったのです。例えば、炎に包まれた物質を「メラメラ」と書かれた鳥の形にでも変えて、それに触れた者を燃やすとか。しかし、赤ん坊のようになった蜂の巣が実に厄い。キモすぎます。それをためらいなくメッタ打ちに出来るディエゴも怖いもの知らずですね。
それと、筆ペンで一発書きしたような本体のシルエットが新鮮でした。黒塗りくらい大した手間ではないだろうから、これも新しい表現と受け取るべきでしょうね。手抜きとかではない、はず。


★今回はいろんなキャラが出て来て、互いに関わりを持っていって、かなり読み応えのある回だったと思います。いつもそうだけど、それぞれの個性がよく表れた行動なので自然と引き込まれてしまいますね。ただ、レースでも遺体探しでも、こんなに怒涛の展開が待っていようとは予想外でした。荒木先生も今、ノリにノッていて、その勢いで一気に畳み込もうって事かな?ワクワクして次号を待ちましょう。
ところで、ジャイロの決めゴマでこっそり書かれていた「“SCREEN TONE” by SHINNOSUKE 「SOUL’D OUT」」って文字。「SCREEN TONE」って曲があるの?「このシーンのBGMにしてね」って意味?それとも、このコマのトーンを貼ったのがSHINNOSUKE氏って事?もしくはSHINNOSUKE氏デザインのスクリーン・トーンを貼る予定だとか?詳細は不明ですが、先生にしては極めて稀有な行いですよ。驚きました。「赤○ジャンプ」では大亜門先生と奇跡のコラボもやっちゃうって話ですし、近頃の先生は妙に俗っぽいですよね。それもまた良し。



(ちょびっと追記)
「右腕」はジャイロが手に入れると予想してみます。鉄球の回転数や飛投距離が飛躍的にアップする能力が身に付くのです。「両脚」はサンドマンに。彼の脚が限界に達した時、「遺体」の力で奇跡の復活ッ!怒涛の追い上げを見せてくれるかも。
「両耳」は密かにディエゴがGETし、表面上の取り引きとして「左目」を大統領へ。ルーシーも大統領から「心臓」を奪おうとするも、逆に「右目」を取られてしまい、「両目」が大統領のモノに!……といった具合に、「遺体」があっちこっちに移って行ったら面白いと思います。




(2006年7月20日)
(2006年7月31日:ちょびっと追記)




TOP  <<#15 戻る #17>>

inserted by FC2 system