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あなた方が泉に落としたのは こっちの「ウサギの耳」ですか?
それとも…………
こっちの人間の「耳」?


#21 湖畔のルール





●トビラ絵は夕陽をバックにしたジャイロとジョニィ。アオリ文も相まって、新章突入!ってカンジです。次にジャイロ達を待ち受ける冒険は、一体どんなものなのでしょうか!?


●またもやジャイロの過去が。少し後で描かれる、ジャイロの音への敏感さの前フリになっています。それはいいけど、若かりし頃の彼はジョニィ並みに女グセが悪かった模様。病院内で褐色の肌の美人人妻とイチャついてやがります。まことにうらやまけしからんヤツです。鉄球で人妻をシワシワにしたり、ピチピチにしたり、挙句の果てには脱毛にまで一役買っている始末。自分のモミヒゲも鉄球で剃ったんでしょうか?死刑執行人よりエステティシャンになった方が良さそうです。御先祖様がジャイロを見たら、きっと泣きますね。
これを見る限り、ジャイロは一族の使命の重さというものを本当に真剣には考えていないし、受け止めてもいなかったのでしょう。尊敬しているはずの父上さえも騙しているくらいです。父上も全てを見抜いた上で、あえて何も言わなかったのかもしれません。死刑執行人としても、医者としても、人間としても、心に欲望や甘えが満ちているジャイロは叱るにも値しない……?そういう意味でも、マルコの事件やスティール・ボール・ラン・レースは自分の宿命と真摯に向き合う最高のキッカケとなりそうです。
それにしても、女嫌いと思われたジャイロにもこんな時代があったんですね。えらい楽しそうなスマイルです。彼が女性に禍を運ばれて、ひねくれた見方をするようになってしまった理由が知りたい所。


●遠くから聞こえる馬の足音で目覚めるジャイロ。辺りは一面の銀世界。雪がもっさり積もっております。寝てる間に降ったらしいですが、凍死しかねない程に積もっててもジャイロを放置してるジョニィはさりげに恐ろしい男です。そんなジョニィはハンティングに夢中。ウサギをゲット。野生的になってきました。でもその割に、パスタにハーブティーとなかなか優雅な朝食メニュー。ハーブ(特にカモミール)を飲むと爪の再生が早いとか、料理・食事や歯磨きにも爪を利用できるとか、しょうもない情報もゲット。生活臭漂いまくりで笑えます。ジャイロとジョニィのポジションがいつもと逆ですね。
で、気になったのは、やはり2人のファッション。雪も降った事だし、ついに冬服にチェンジ。長袖になり、ファーも暖かそうです。物語中で雪が積もったのは、2部のサンモリッツ以来?描かれただけなら、4部の仗助の回想以来?何にせよ、「ジョジョ」シリーズでは極めて珍しい雪のステージです。今までカラー表紙に冬服バージョンが描かれてたので、密かにこの瞬間を心待ちにしていましたよ。雪原ならではのバトルやレース展開が読みたいですね!


●いつの間にやら5th.STAGEは決着ッ!5th.と6th.が合わせて紹介されていたので、これはある程度予測していましたけど、せっかく初の1着ゴールを果たしたポコロコが哀れです。しかし、これでポコロコが総合1位。やはりサンドマンのリタイアが響いております。2位はノリスケさん。サンドマンに刺殺されかけたというのに見事。3位はホット・パンツ。ジャイロとジョニィは、それぞれ4位と5位。思うように挽回できないジャイロ。1位になるのはいつの日か?
そんな幕開けの6th.STAGE。さっそく何者かが近付いて来ているとジャイロの言。それはディエゴではない。もしやホット・パンツ?どうやら彼女は「遺体」の破片をジョニィの中に残しておいたようで、そのおかげでスタンド能力が失われずに済んでいた様子。意外と気前がいいヤツです。でも、合衆国の他に王国も「遺体」を狙っている事実。ジャイロもさすがに「遺体」の正体に気付いてきているみたいですけど、彼も言う通り、それ自体は大して重要な事でもありません。ジョニィにとっては「生きる目的」、ジャイロにとっては「生長の糧」。それこそが大切な事なのですから。正体なんぞ、集めていけば自ずと知る時は来るのです。


●鉄球の「回転」で周囲の音を集め、聴き取りやすくしているのか。足音から、近付いて来る者はなんと11人もいる事が判明。線路の鉄から作ったばかりのザ・ニュー鉄球だったから、気付くのが遅れたようです。11人が馬の足音も歩幅もリズムもまったく同じにして、1人しかいないと思わせようとしている。11人12脚でもやれば最強じゃね?ってくらいの素晴らしきチームワーク。とっととズラからねば。
……と、そこに現れたのはカワイイ謎のロリ娘。ジャイロが泉に落としたはずの鉄球を持ってトンズラこきました。「遺体」を狙っているかもと思ったのか、ロリ娘を迷わず狙撃しようとするジョニィ。ジャイロに止められたものの、リンゴォにも認められた「漆黒の意志」は尚も進化中。実に恐ろしい男です。ロリ娘を追跡する2人は、樹齢2000年って程の大樹に辿り着きました。およそ2000年……。この樹もキリストと何らかの関係があるのでしょうか?


●「遺体」の位置もかなり近いようで、2人は樹の中へと突入。そこにいるのはロリ娘ただ1人。彼女の名はシュガー・マウンテン。……マウンテン?本気で「イケメンの娘か!?」と思ったのは私だけですか?シュガーは人形のキャンディちゃんと一緒に、ママゴトをしながら暮らしている様子。すっかり彼女のペースに飲まれるジャイロがウケる。やっぱ女性はニガテなのか?
シュガーの奇行はますますエスカレート。杖が必要な程に視力が悪いらしいのですが、それどころではありません。イソップ寓話「金の斧 銀の斧」に出て来る泉の女神の如く、ジャイロ達が泉に落とした物を訊ねてきます。正直に答えると、もれなく宝石やら松茸やらゴージャスな特典が!でも、もしウソをついたら、植物のツタで内臓引っこ抜かれて死ぬから気を付けろ!そんな異様なやり取りの中で、ジャイロは謎の核心に迫ります。バシバシ叩かれ、変態呼ばわりされながらも。久々のニョホホ笑いと共に、欲望丸出しでカネ目の物までせしめ、ついにはウサギの耳を使って「遺体」の「両耳」をGET!あっさりジョニィに宿っちゃいました。
面白いネタだけど、そんなあっけなくていいの?そう思っていた私が甘かった。これには更なるルールが存在していたのです。泉で手に入れた物は全て、日が沈むまでに使い切らなくてはならない。それが出来なかったら、大樹の一部として取り込まれ、「木の実」にされてしまう。シュガーは今、「守り神」=守護精霊の役となって、泉に来た者を誘い込んでいたのです。ジャイロ達が「木の実」になれば、シュガーの両親が順番的に外に出られる。これこそシュガーの甘い罠であり、真に「両耳」を得るための試練。早くも「木の実」化が始まる!欲をかきまくったジャイロのツケはデカイぞ!


●「遺体」の試練に加え、11人もの敵が近付いて来ている危機的状況。謎の11人は皆、まったく同じ格好をしたチーム。後頭部に人の顔が描かれ、髪の毛も新聞紙みたいです(髪と紙のシャレ?)。チームのユニフォームのデザインがまたイカシてます。彼らの武器も拳銃らしく、それを活かした恐怖のチームプレイを見せ付けてくれる事を希望。
ブンブーン一家のように、11人が共通したスタンドを持っているのか?いっその事、その巧みなチームワークが最大の能力で、スタンド使いですらないってのも面白いかも。彼らの馬の模様からして、前のカラー表紙のジョニィみたいに、保護色で景色に溶け込む戦法を使ってくるのでは?これまで11人もの敵が一度に襲って来るなんて無かったので、どう描かれるのか興味が尽きません。
この11人、ネアポリス王国サイドの刺客って可能性もあるかな?「脊椎」を奪ったホット・パンツもあの場所を探しているでしょうけど、彼女から情報を受け取った王国サイドもいよいよ本気で「遺体」を集めに掛かり、ホット・パンツとは別に新たな刺客を送り込んだとしても不思議ではありません。そうなれば、3つ巴の構図がますますクッキリ浮かび上がり、ジャイロの苦悩も増し、物語もより重厚になるはず。


★今月は奇妙なエピソードでしたね。雰囲気としては、リンゴォ編の最初みたいな。メルヘンチックだけど、怪談っぽくもあって怖い。『スーパーフライ』とDIOの骨の植物化を彷彿させる展開です。形の上では不老不死になれる「木の実」化は、聖書の「生命の樹の実」がモチーフ?なんとなくだけど、今回のエピソードは「欲」がテーマになっていそうな気がしました。
物を使い切るというルールですが、11人の敵とのバトルにも密接に関わってくるのでしょうか?食べ物は食べればいいとして、宝石や金塊・札束・時計などをうまく利用したバトルになる?それより、11人チームにも泉に何かを落とさせたらどうだろう?ただ、「両耳」も使い切らねばならないなんていうなら、けっこう意地悪な謎解きですね。「右腕」の在り処も気になります。案外、あの大樹そのものが「右腕」の変化したものだったりするかも。「両耳」を手に入れたままルールを守り、無事に日没を迎えられた時、大樹は「右腕」の姿に戻る……とか。それなら、2つの「遺体」が同じ場所にあるのも必然です。囚われの人々も一度に解放できるし。
新章の導入部の回は、劇的な盛り上がりこそないものの、その先への疑問や期待に溢れていますね。でも、ちゃんと読者にも納得できる方法で勝利してほしいものです。ルールが重要なのだから、力業で強引に解決ってのはなるべく無しの方向で。回想で披露していたシワシワ化とかも応用しそうな予感。来月も楽しみです。




(2006年12月19日)




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