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このあばずれがァァ―――――ッ
その乳房を両方とも弾丸で削りとってやるッ!


#26 政府公邸の攻防A





●トビラ絵はベッドに寝そべるルーシーと大統領。異色の組み合わせです。艶やかなルーシーとは対照的に、大統領の目は彼女に向けられる事なく、鋭くこちらを射抜いています。いつになくカッコイイ。こいつは本編での大活躍も期待できるというものです。


●スカーレットは由花子さん的・グェス的な性格の女だったようです。自分の一方的な理想や信頼を裏切った者に対しては、激昂して口汚く罵り、容赦なく痛めつけようとしてきます。彼女は「遺体」の事はともかく、スタンドの存在は認識していたらしく、「もう1人の自分」がルーシーである事もあっけなく見抜いてましたね。その上でルーシーを心配してくれている風だったので、もしや協力者になってくれるのかと思ったんですが……、やっぱり現実は非情である。優しい態度から一変、完璧にキレちゃいました。ドMからドSにクラスチェンジです。ルーシーを銃で撃ちまくり、脚に突き刺さったクギをグリグリしまくり、残酷な処刑を本気で執行してきます。
でも、グェスもそうでしたけど、スカーレットも愛に飢えていたんでしょうね。必要とし合える人が欲しいのに、その性格や環境ゆえに思うように行かず。そんな寂しさを抱えていた時に現れたルーシーに、さぞや喜んだ事と思います。自分の望みを何でも叶えてくれる、都合の良いペットとして可愛がってあげたかったに違いありません。しかし、ルーシーは自分の心を利用して弄び、自分に変装して夫の寝室へ侵入していた。ルーシーが自分より大統領を選んだであろう事にキレたんでしょう。自分が愛されない事への強い悲しみや恨みが、彼女を豹変させたのです。恐ろしいけど、ちょっと哀れな感じがしました。


●スカーレットの猛攻を受け、指は吹っ飛ばされるわ、太ももは撃ち抜かれるわ、ルーシーも散々です。クギをグリグリされているシーンの彼女の苦悶の表情は、目を背けたくなる程。彼女が肉体的にこんな酷い目に遭うのも初めてなので、スゴく痛々しく感じるのと同時に、いよいよ彼女も「ジョジョ」の登場人物らしくなってきたな〜とも思ってしまいました。
そして、バブル犬の群れも襲い掛かって来たその時、とっさに彼女が取った行動はッ!肉マスクを剥がし、それをスカーレットの顔に被せる!この辺、よく分からなかったのですが……、剥がした時点で「肉」からスカーレットの匂いは消え、それをルーシーがスカーレットに被せた事で、今度は「肉」がルーシーの匂いになったって事なのかな?そんなワケで、なんとバブル犬はスカーレットの顔面に突き刺さり、彼女は憎々しげにルーシーを睨み付けながら死亡。大統領夫人を殺害してしまい、取り返しの付かない窮地に!前回までだったら、あまりにも悲惨な結末に思えたでしょうが、今回のスカーレットの変貌で「まあ、仕方ないか」と納得させられてしまいました。
百合でエロエロな「女の世界」なんて言ってたのが嘘のように、すっかり血みどろで漆黒な「男の世界」しちゃってますよ。老若男女も、スタンド使いも一般人も、身分の差も一切関係なく、「男の世界」において命は平等なのです。


●自分の妻が殺されたっていうこの非常時に、夫の大統領はお昼寝の邪魔をされた事で御機嫌ナナメ。緊張感のない人です。警備の人達も「寝とる場合かーッ!」とツッコミ入れてやりたかった事でしょう。犬のぬいぐるみと一緒にお昼寝するのが大好きなファニー・バレンタインちゃん。途中で起こしたら承知しないぞっ☆これだけ聞くと、メルヘンチックな女の子みたいです。
そんな萌えキャラは置いといて、場面は再び緊迫するバスルーム。窓からは、こちらを覗くマイク・Oがッ!ところが、光の反射のおかげでマイク・O側からは室内はまだ見えていなかった様子。ラッキーです。腕で影を作って、彼が改めて室内を見渡すと、そこにあったのはホット・パンツの姿!排水口から、自分の体をクリーム状にして侵入して来たのです。沈黙の中、対峙する2人……。結局、スタンド使い同士の戦いに落ち着いてしまった点は残念ですが、ついにH・Pも物語に深く関わってくる段階が訪れたようでワクワク。
「遺体」について語るH・Pの言葉から、彼女自身が「遺体」のために喜んで生命を差し出す修道女なのかもしれないと思いました。ヴァチカンの修道女(シスター)が彼女の正体?ヴァチカンの人々ってのは聖職者がほとんどらしいので、むしろそれが自然なんでしょうけど。聖職者であるなら、4th.STAGEでやけに「法」にこだわっていたのも理解可能だし。わざわざ「遺体」の回収のために派遣され、「遺体」を抱いて涙するくらいなので、よっぽど信仰が厚いんでしょうねえ。


●H・Pとマイク・Oの死闘!マイク・Oは窓に口を当て、息を吹き込んで、窓部分のネジや金具を風船化。説明からすると、『チューブラー・ベルズ』は「金属」限定の能力みたいですね。H・Pも腕をクリーム状にして伸ばし、マイク・Oに攻撃を仕掛けますが、すでにブリキのシャッターをバブル鳥に変えていました。ビジュアル的にはバブル犬の方がキュートだと思いますが、バブル鳥は鳥だけに宙を浮かべます。プカプカ浮かんでいる図は、この激闘とはアンバランスで幻想的。しかし、ターゲットの近くで割れてシャッターのギロチンと化し、H・Pの両腕も切断しちゃいました。
このギロチン処刑で部屋も大破。隠れていたルーシーと、スカーレットの死体がマイク・Oに発見されてしまいます。今まで冷静に対処してきた彼も、あまりの衝撃で震えて逆上!崩れ去った大統領護衛警備としての誇りを取り戻すべく、H・Pの始末に命を懸ける世界です。ところが、H・Pの方が一枚上手でした。切断された左手はクリーム化し、マイク・Oの体内へ侵入して一体化。のどや肺を詰まらせてしまったのです。風船を膨らませようとするほど、自分の体が膨らんでいく。H・Pは言動が皮肉っぽくて面白いですね。それでも膨らませる事を止めず、破裂して死んでいったマイク・O。壮絶な死に様、こいつもこいつなりの使命感に燃えていた事が伝わりました。
「SBR」は僅かな時間でカタが付く戦いが多いとは言え、やはりもっとマイク・Oが見たかったな〜。能力も性格ももっと掘り下げても良かったのに、少々もったいない気がします。まあ、ストーリーのテンポを崩さないためには、今ぐらいの描写がベターなのかもしれません。一方のH・Pはいい具合に魅力が出て来て、今になって彼女が好きになれました。リンゴォ戦の頃より能力を使いこなせるように成長したのか、やけに万能・強力すぎるのが不安ではありますけど。


●そして、まさかの急展開!ルーシー、このままスカーレットになりすます事に!H・Pの能力は、自分は問題なく全身をクリーム化できるものの、他者はあまりクリーム化し過ぎると命に関わるとの事。しかも、「遺体」はクリーム化不可能のため、排水口を通せるのは「両耳」「心臓」のみ。「右腕」だけは、止む無く置いて行く結果に。なるほど……、H・Pが自分で潜入したがらなかったのは、「脊椎」と「左腕」を一時手放さなくてはいけないからという理由もあったようです。またも「遺体」があちこちへ移動し、更に読めなくなってきましたよ。あと、スカーレットの死体は「肉」のストックとして再利用できそうですね(グロすぎ)。
そんなこんなの理由で、現時点でのルーシーの脱出は無理。再びルーシーはスカーレットに化け、川尻家の再来です。案外、そこから大統領とスカーレットの過去や人物像が浮き彫りになっていくのかもしれませんね。泣いてるスカーレット(=ルーシー)を慰めもせずに「遺体」を確保して去っていく大統領ですが、やがて彼女にマジボレしてしまうなんて事もあり得ます。
H・Pが犯人と聞かされた大統領と、H・Pから真相を聞かされたスティール、この2人がどう動くのかにも注目です。自力で排水口から脱出できるH・Pが、イケメンの助けを借りていたという矛盾に大統領は気付けるのか?大統領夫人として敵陣の真っ只中に放り出された妻を、スティールは救い出せるのか?ルーシーが唐突に姿を消した事の、大統領や世間への言い訳はどうするのか?こんな展開は予想もしてなかったのでビックリでした。気の抜けない危機的状況は、まだまだ続きます。盛り上がって参りました!


★今月も61ページのボリューム。予想外の事ばかり起こる、実にスペクタクルな世界でした。スカーレットやマイク・Oの死はかなりグロかったけれど、荒木先生がホラー映画について「殺し方にアイディアと才能が詰め込まれてる」と発言していたのを思い出しました。青年誌に移った事で、それまで以上に多彩な殺し方が描けるので、きっと荒木先生も気合い入れて、楽しんで描いているんでしょうね。
結局、凛々しいトビラ絵とは裏腹に、本編ではまるでいいトコなしの大統領さんでしたが、この大失態を反省して生長してくれると嬉しいです。H・Pの素性を徹底的に調べ上げ、ついに合衆国VS王国の構図も確かなものとなるのかな。H・Pもそこまで事を荒げたくはなかったからこそ、内緒で潜入して来たんだろうに、ルーシーのために全ての罪を被って、大統領の怒りを買ってしまって……。「心臓」を奪われちゃった大統領のスタンドにしても、これからは「右腕」の能力になりそうだし。色々と大きな変化や動きが見られそうです。
さて、次回は2ヶ月間に渡ってお休みしてたジャイロ&ジョニィが見られるはず!6th.STAGEゴール前のデッドヒートだと最高。あの雪の中の乾杯から、「次のゴール」はジャイロが制すると思うので、初のジャイロの1位入賞が描かれる事を大いに期待しています。そして、「次の遺体」である「両脚」はジョニィが手に入れるでしょう。「脊椎(の一部)」と「両脚」の力によって、いよいよジョニィの脚も動き出すと思います。徐々に脚の感覚を取り戻せば、それに伴って乗馬テクニックも今まで以上になる事は必至。最後の「遺体」が眠る8th.STAGEゴールを目指し、無我夢中で激走して、このSTAGEでジョニィが初めて1位になると予想しています。7th.STAGEはスループ・ジョン・Bかキャラバン・サライあたりかな?
無論、私の予想など遥かに超えた展開を見せてくれるに違いないでしょうけどね。超楽しみです。




(2007年5月19日)




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