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ツェペリ一族………… あの一族の「鉄球」の長所…は……
『黄金長方形による力(パワー)』……… 我らはその上を行く!


#27 鉄球VS鉄球





●トビラ絵はザ・ニュー冬服バージョンのジャイロ&ジョニィ。環境や気候の変化に伴い、彼らのファッションも変わっていくのが楽しいですね。最初はこのトビラ絵だけのバージョンかと思ってたんですが、本編でもこの服になっていました。正直、デザイン的には今までの服の方が好きではありますけど、これも新鮮で良いです。


●荒涼と広がる、マイナス35℃の極寒の世界。そこに佇み、誰かを待ち構える者が2人。その名はウェカピポマジェント・マジェント。ついに出ました!SOUL'd OUTの曲名!彼らもスタンド使いだったとしたら、スタンド名もそうなのでしょうか?邦楽から由来する名はほとんど初と言ってもいい程に珍しい(せいぜい貞夫さんくらい?)のですが、奇妙な響きが意外としっくり来てます。
ウェカピポは格子柄の髪とモミヒゲが特徴。強い決意を感じさせる、引き締まった表情と鋭い眼差し。マジェント・マジェントは全身黒づくめで、一癖も二癖もありそうな胡散臭い顔付きです。タイプはまるで異なるけど、2人ともカッコイイ。


●ウェカピポはなんとネアポリス王国の出身者(モミヒゲにこだわる国なのか?)。最重要警備王族護衛官という立派な役職に就いていた人物です。彼は妹を裕福な友人と結婚させたけれど、大切な妹が夫からのドメスティック・バイオレンスに苦しめられている事を知り、怒りと悲しみと後悔に暮れました。なんとか2人を離婚させようとするも、それが夫の逆鱗に触れ、決闘する事に。この夫、妻を殴りながらヤリまくるのが楽しいなどとのたまう、実にゲスな野郎です。ウェカピポじゃなくてもキレますね。まあ、わざわざ正々堂々と決闘を申し込んで来るだけの自信とプライドはあるようですが。
そして、幕を開ける2人の決闘。驚くべき事に、2人が使う武器は剣ではなく「鉄球」ッ!彼らもまた鉄球の技術を祖先から受け継いでいる様子。しかし、彼らが操る鉄球の形状はツェペリ一族の物とは違い、「IQサプリ」のモヤッとボールみたいにイガイガデコボコしています。それは小さな無数の「衛星鉄球」で、「本体鉄球」から射出されて相手を攻撃するようです。実用的で面白いアイディアですね。ツェペリ一族の鉄球は相手に安らぎを与えるための技術ですが、彼らの鉄球は相手を殺すための技術なのかも。国王を守るため、敵を確実に始末するための技術。王国の要職には、それぞれオリジナルの鉄球の技術を受け継ぐ一族が多いのでしょうか?謎だらけの国です。
決闘に勝ったのはウェカピポでした。ところが、この決闘の付き添い人の中にはグレゴリオ父上の姿が。今さっき殺した友人の父親は国の重要人物。どのみち、このままでは済まされない。グレゴリオはウェカピポも死んだ事にして、永久に国外追放にするつもりだったのです。ウェカピポは憤慨するものの、グレゴリオの性格から考えれば優しい心遣い。「人の幸福は家族の中にこそある」と語っていた彼ですから、家族を守るために行動するウェカピポを殺すには忍びなかったのでしょう。
かくして、彼はアメリカへと渡り、大統領のために働く事となったのです。ジャイロ&ジョニィの抹殺と「遺体」の回収。この任務を果たして、アメリカの市民権と永住権、そして重要職の地位を手に入れる。愛する妹は昨年、病死してしまった。何もかも失った彼の望みは、ただ普通に生活する事のみ。あまりに悲しい人生です。早くも感情移入しちゃいました。任務とか関係なく、ジャイロを殺してツェペリ一族への恨みと憎しみを晴らし、自分の過去に決着を付けたいという想いにも満ちているのでしょう。もしかすると、ウェカピポこそがジャイロの首に賞金を懸けた人物なのかも。オエコモバ達、王国のテロリストと裏で繋がっていた可能性は高いと思います。


●悲壮感漂うウェカピポとは対照的に、相棒のマジェント・マジェントは独特の空気を持った変なヤツ。セキこんだせいで凍った自分の指をベロベロ舐め回したり、唐突に新作ギャグをかましたり、飛行機の話でウェカピポの気を引こうと頑張ったり……、ちょっとジャイロに近いタイプなのかな。クールでネガティブな御意見のウェカピポへのリアクションも笑えます。こいつらもいいコンビですね。きっと能力的な相性もいいんでしょう。ちゃんとしたコンビで襲って来る敵も初めてですし、これは見ものですよ。
そんなこんなで、彼らもジャイロ達の始末に向かいます。ツェペリ一族の「鉄球」の謎を知った上で、その上を行くと豪語しながらも「敬意」も払う。決して甘く見たりはせず、相手への敬意を忘れない。確かにこれは「鉄球」だけに限らず、人生においても大切な事なのかもしれません。ウェカピポの「鉄球」の技術は一体、どんな原理なんだろう?「黄金長方形」とはまた別の秘密が隠されていそうで、興味は尽きません。つーか、思いっきし「黄金長方形」がバレちゃってますけど、理論自体は知られても特に問題ないのかな?
それはともかく、荒木先生はどれだけ「回転」というものを追求していくつもりなのでしょうか?以前から言ってましたが、「回転」が技術である事を深く描いてほしかったので、この展開はスゴい私好みです。鉄球VS鉄球、最高です。


●凍て付くマキナック海峡。ジャイロとジョニィ、久々に本編登場です。ウェカピポの鉄球トークから、ジャイロの鉄球へとシーンが移る所が巧い。鉄球で氷の厚さを測るジャイロ。渡れるかもしれないし、割れるかもしれない。ここの氷上を馬で渡るか、それとももっと先へ行って船で行くか、いかにして湖を越えるかが問題です。大切なトコはいつもビミョオー
ポコロコやノリスケ、バーバ・ヤーガが迫る!しかも、彼らは氷を渡る方を選択!ジャイロは自分も探していた「原住民のルート」を見付けたのではと推理してますけど、ポコロコがそんな細かい計算してるとは考えにくいですね。ポコロコならラッキーで渡れるでしょうが、なんとなくここでノリスケとバーバ・ヤーガはリタイアしそうな予感がします……。ゴールも「両脚部」の位置も近付き、もはや一刻の猶予もない2人。氷を渡る道を決断!でも、いきなり氷がピシピシいってるのが恐ろしい。この湖越えは、かわいそうでジョニィが餌をあげたという子狼が鍵を握ってたりして。戦いの後で、感謝した子狼がジョニィに渡れそうな道を示して、案内してくれるなんてベタな展開で。思えば、初めは荒んでたジョニィも随分と優しくなったもんです(たまに黒いけど)。


●そして、いよいよ現れたウェカピポ&マジェント・マジェント。早速、ウェカピポは鉄球を放ちます。この攻撃で彼の事を思い出したジャイロ。死んだと聞かされていた彼が生きて、自分達を襲って来る事に動揺を隠せません。「遺体」よりもジャイロの始末を優先するあたり、ウェカピポの熱い憎悪が伝わって来るようです。彼の鉄球は交わしたはずなのに、ここで異常な現象が発生!ジャイロとジョニィの体が削り取られていく!?「落ち着け。あわてるな」と言う冷静なジャイロですが、そりゃあ誰だってビックリしますよ。ジャイロは彼の鉄球の秘密を少しは知っているって事なのかな。
それにしても、この現象は何なのか?周囲の光や空気が回転して、ワムウみたいに透明っぽく見えてるだけ?もしくは、空間ごと回転させているとか?ウェカピポの「鉄球」の技術?ウェカピポのスタンド能力を鉄球に使った?マジェント・マジェントのスタンド能力とのコンビネーション?疑問は尽きません。個人的にはやっぱ技術のみで勝負してくれた方が燃えますけども。どんなタネ明かしが待っているのでしょうかね。この氷の世界の激闘、行方が楽しみです。


★今月も61ページのボリューム。完全にウェカピポに持って行かれた回ですね。初登場キャラとは思えないくらいの存在感を醸し出し、もう1人の鉄球使いとしてのインパクトも強烈。彼はヘタすりゃ、リンゴォ並の超重要な敵キャラとなるかもしれませんね。雰囲気も似てるし。
王国に裏切られ、ツェペリ家に裏切られ、全てを失ったウェカピポとの戦いを通じて、ジャイロは何を感じるのでしょうか?国や一族の任務に対する気持ちに、何かの変化が訪れるのでしょうか?その辺、注目です。実は、残された妹はグレゴリオが面倒を見てて、病気になってしまった際も自分の病院に入院させていた……的な事実があって、それを最期にジャイロから聞かされるなんて事もあるのかも。
それだけじゃなく、「回転」の更なる領域が解き明かされそうで、これまた期待大。ジャイロ先生のLESSON5も開講されるか?敵を倒すために氷をブチ割ったら、「原住民のルート」から「遺体」が出て来て、ジョニィの能力もチューン・アップとか。ジャイロ自身もこの戦いをヒントに、「回転」をパワーアップさせる可能性もありますし。ホット・パンツやウェカピポと、どんどん王国サイドの人間が出て来て盛り上がっております。



(追記)
●ウェカピポの「回転」の原理について予想。彼の場合は、この地球と寸分違わぬ回転を加えているのではないでしょうか?地球の自転とまったく同じ軸・同じ角度・同じ方向・同じ軌道で、鉄球を回転させているのです。その時、鉄球は言わばもう1つの地球としての壮大なエネルギーを秘め、想像を超える物理現象をも引き起こします。
「衛星」を飛ばす構造の鉄球や、自然界に溢れる「黄金長方形」さえも上回るという言葉から、なんとなく「地球」そのものをイメージしたため、こんな説を唱えてみました。鉄球=星っていう見方。「太陽」か「月」の自転って線もありそうですが、ガスの塊である太陽は緯度によって自転速度も異なるらしいので、これと同じ回転ってのはさすがに無茶っぽいか。




(2007年6月17日)
(2007年6月19日:追記)




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