TOP  <<#31 戻る #33>>



『人ハ何カヲ捨テテ前ヘ進ム』
ソレトモ 『拾ッテ帰ルカ』?


#32 追憶の館





●トビラは前回のジャイロとまったく同じ構図・ポーズのジョニィ!空に向けて腕を伸ばし、ニヤリと微笑み、その背後にはチュミーちゃん(改)が。前回はジャイロの影に隠れてしまっていましたが、やっと目立てて満足気です。今回のエピソードではジョニィが活躍するという暗示でもあるんでしょうか?


●4週間前の事。シカゴ郊外のミシガン湖畔にて、ルーシーの遺体が発見されます。死因は川に転落した際の頭部への挫傷。変わり果てた妻の姿にスティールは慟哭します。若かりし日の恋人に続き、またも愛する女性を失ってしまった悲しみが伝わります。
ところが、不意にスティールはこの遺体はルーシーではない事に気付きました!これはスカーレットの遺体をH・Pが変身させたものだったのです。確かにこうすればルーシーの存在も怪しまれませんね。でも、ジャイロ達がこの事件を知ったら「ゲッ!ルーシー死んじゃった!ヤベーよ!」なんて勘違いする危険もあるし、ウェカピポやマジェントもルーシーに辿り着けるのか心配ではありますが。死亡した事が世間に公表されたら、ルーシーは今まで通りの生活には二度と戻れなさそうだなあ。
「あれはルーシーと違う」……。愛し合う者にだけ分かる真実。5部・エピローグでの、花屋の親父の「家族にだけ分かる事がある」って言葉を思い出しました。さすがはスティールです。いつもルーシーが孤独に戦っていて、守られてばかりのスティールですが、この出来事は彼も大統領の陰謀に立ち向かっていく大きなキッカケになりそうな予感。窓辺で読書にふけるスカーレット(=ルーシー)は何を思う?


●7th.STAGEは早くも12日目。ゴール地点・フィラデルフィアから約145kmの地点、ゲティスバーグまでやって来たジャイロ達。もうこんな所まで来ちゃいました。ニューヨークも間近だなあ〜……。ストーリーはまだまだ続きそうですが、レースの終着点が見えてきたせいか、ちょっと寂しい気分です。
ジャイロ達は夜のキャンプ中。すでに寒さのピークも過ぎたのか、服も再び半袖に戻ってました。のんびりポーカーをしながら、商品カタログをチェックしてます。ジャイロはクマちゃんのヌイグルミ(女の子)を購入。こういう生活感溢れるくだらないやり取りは楽しいですね!このシーンが描かれたのも、「ユリイカ」での金田淳子女史との対談のおかげかもしれません。いろいろ非難も受けているようですが、これだけでも充分に価値ある対談だったように思います。
そんなまったりとしたキャンプ・タイムを一変させたのは、なんとH・P!ジャイロ達とは随分と差があったはずなのに、えらい早く追い付いて来ましたね。これならディエゴが迫って来たとしても不思議じゃないです。まるで何かから逃げるかのように急いで走っているH・P。奪われた「遺体」を取り戻し、目的を話させるべく、H・Pを追跡する事にしたジャイロ達。そして、町の建物の中へ突入開始!なんかジョニィ、高い位置にある窓にフツーに飛び乗ってますね。下半身不随とは思えぬ身のこなし!自分が気付いている以上に、彼の足は回復してきているのか?単にスローダンサーに手伝ってもらったか、『タスク』を利用したって可能性もありますが。


●建物内へ入ると、そこにいたのは1人の美しきシスター。周囲にはたくさんのゴミの山。久々に「し・トゥ・れ〜い」のギャグをさりげなくかましつつ、シスターに礼儀正しく質問をするジャイロが笑えます。シスター曰く、ここは町のゴミ捨て場であるとの事で、もしかするとここはH・Pの「遺体」の隠し場所か、次の「胴体部」がある場所かもしれないと推測。シスターの見張りをジョニィに任せ、ジャイロは単独で奥へ向かいます。
2人っきりになったジョニィとシスター。多くの読者と同じく、ジョニィもシスターの正体には気付いていました。そう、シスターがH・Pなのです。目的を問い詰めるも、H・Pは質問に質問で答えるもんだからジョニィもプンプン怒ります。でも、キスしちゃいそうなほど接近すると、ジョニィの質問は「遺体」より彼女への興味に変わってますね。心のどこかでは、彼女に惹かれている部分もあるのかも。これは是非、ジョニィとH・Pが結婚し、ジョースターの新たな血統を未来へと繋いでいってほしいものです。
しかし、当のH・Pはそれどころではない模様。涙を流して、何事かジョニィに警告します。シスターの格好になったからか、窮地に追い込まれているせいなのか、言葉使いも女性らしくなってますよ。H・Pが言うには、なんと彼女が持つ「遺体」は全て奪われたとの事!ジャイロを呼び戻せば2人とも死ぬとまで言っています。見れば、謎の少年が彼女の肉体と一体化し、纏わり付いている!「お姉ちゃああ――ん」と泣き叫ぶ少年は、もしや彼女の弟!?


●すでに敵に襲われていたH・P!布のような物で包まれ、「水で清めろ」とヒントらしき言葉を言い残して倒れてしまいました。H・Pに警告されているのに、思わずジャイロを呼ぶジョニィ。ところが、2人の前には捨てて来たはずのヌイグルミやナイフが姿を現します。そして、今までの「遺体」の全パーツと「胴体部」までもがッ!何故か「右腕」もあるんですけど、これって描き間違い?それとも、いつの間にやらH・Pが大統領から奪い返して来たんでしょうか?だから逃げまくってた?でも、それじゃあルーシーの立場が……。う〜む、謎だ……。
「遺体」の傍らには未知のスタンドが佇んでいました。細長いマスクやボサボサに裂かれた脚が特徴的な、奇妙なデザイン。そいつがジャイロに語り掛けたと同時に、ヌイグルミやナイフがそれぞれジャイロとジョニィの肉体と同化しちゃいました!何かわからんがヤバイッ!
それにしても、H・Pはどうしてここに「胴体部」があると分かったんでしょうかね?「両脚部」ですら大したヒントもくれなかったみたいなのに。中心のパーツ「脊椎」を持っている上、他の多くのパーツも揃っていたから、それとなくH・Pに在り処を教えてあげていたのかな?


●あのスタンドは「胴体部」の守護精霊なのでしょう。あの建物は言わば「悪魔の手のひら」であり、この謎の現象は「遺体」を得るための試練。そして、その内容とは……?守護精霊(?)とH・Pを見ての予想ですが、自分の「過去」を受け入れて「未来」へ進める者を選別しているのではないでしょうか?捨てた物は「過去」の象徴。しかし、「捨てた」と一言で言っても、全てが「いらないから捨てた」とは限りません。手放したくないのに、どうしようもない理由で泣く泣く捨てた物だってあるはずです。捨てた事をずっと後悔し続ける物だってあるでしょう。もう二度と取り戻せないと思っていた「過去」が次々と目の前に現れ、心を激しく揺さぶります。
H・Pは恐らく、過去に何らかの事情で弟を手放した事があったのでしょう。そして、その事を悔やんでいたのでしょう。それがH・Pがシスターになった理由なのかもしれません。だからこそ、弟が現れた時、彼女は全てを投げ出して懺悔したのです。シスター服に身を包み、神に祈りを捧げ、「遺体」をも差し出して……。後悔や罪悪感で完全に心が折れてしまった者は、拾い上げてしまった「過去」に永遠に囚われ続けるのでしょう。それが、この「追憶の館」なのです。
きっとジャイロやジョニィにも、あのヌイグルミやナイフだけでなく、過去に捨て去ってしまった大切な物が襲って来ると思います。後悔や罪悪感が強くなる程、捨てた「過去」はどんどん肉体を這い上がって来る。水を掛けると、その進行を少し遅らせる事が出来るのかも。過去は水に流しちゃいましょう!でも、なんとなくジャイロもやられてしまうけれど、ジョニィが切り抜けるという展開になりそう。ジョニィは過去に捨ててしまった物が多くてドラマ性があるし、それを乗り超えて「両脚部」の力が発現し、彼の両脚も微かに動くようになると見ました。


★今月は33ページ。相変わらず減ページが続きますね。まあ、「露伴」も61ページあるって話だし、残念だけど我慢しよう……。内容もスゲー面白かったですからね!新しいキャラは出て来ていないけど、既存のキャラ達が新しい環境で動いているだけで心躍ります。やはりそれぞれのキャラ達が生きているからなんでしょうね。
4部小説発売記念の荒木先生と乙一氏の対談も良かったです。たった3ページだけど、「早く読みてえええ――ッ!」って気持ちになりました。「テュルプ博士」とはまったくの別の作品になったようですが、早く本を開いて、1999年・冬の杜王町へと旅立ちたいです。そして、さりげに「Quick Japan」でも「ジョジョ」特集号が発売されるらしい!「ダ・ヴィンチ」の特集もあるし、「SBR」14巻も発売するし、20周年は最後の最後まで大盛り上がりです!



(追記)
●あのクマちゃんが「ジャイロォォォ〜〜…… ドウシテ僕ヲ捨テタノ……?」などと言い出したら怖そうですね。これまでの人生の中で捨ててきた物が肉体に取り憑いて、捨てられた怨恨と悲痛の言葉を発するんです。罪の意識を煽るように。それらの言葉を耳にしても、心が折れなければクマちゃんは消えていきます。しかし、また別の「捨てた物」が現れ、同じ事がしばらく繰り返されるんです。まさに、自分の過去との対峙。目を背けたいものと正面から向き合い、それでも前へ進む事を選ばねばなりません。
で、なんとか試練を突破し、「遺体」をまとめてゲット!……と思った時、なんとディエゴが現れて、全部奪って行ったりすると面白いかも。ジャイロ達の匂いや「遺体」の共鳴であの場所をつき止め、密かに横取りのチャンスを窺っていたとか。ここらでそろそろディエゴにも頑張ってほしいトコです。「左目」だけで終わってもらっては困るぜ。ジャイロやジョニィに一泡吹かせてやれ!
今回のエピソードでH・Pの過去も目的も判明し、正式にジャイロ達の仲間になると思っています。ディエゴは「遺体」を奪って逃走し、ゴールのフィラデルフィアへ!そのまま「右目」をも奪い取るべく、マジェントと組んでルーシーの元へ向かう!H・Pは「遺体」を取り返すため、ウェカピポと共にルーシーを守り、ディエゴ&マジェントを迎え撃つ!ジャイロ達は、最後の「遺体」・「頭部」を求めてレースを急ぐ!そして、大統領もスティールも動き出す!
こんな感じで、それぞれの思惑が絡み合う怒涛の展開になったりしたら燃えますね。



(もうちょっと追記)
●某所で見掛けて「なるほどね〜」と思った意見なのですが。ジョニィに取り憑いたナイフや肉は、H・Pを追う直前、火の始末のために水を掛けられています。これがさりげにジョニィが助かる伏線になっているのかもしれません。さっきのH・Pの警告とも合わせて、この能力のルールを推理し、試練に立ち向かうのでしょうか?
でも、水なんてどこにでもあるワケじゃありませんからねえ。手持ちの水が無くなってしまい、スクアーロとティッツァーノのように、自分の血を水の代わりにする!なんて事もあったりして?




(2007年11月18日)
(2007年11月19日:追記)
(2007年11月26日:もうちょっと追記)




TOP  <<#31 戻る #33>>

inserted by FC2 system