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全ては順調だ… いよいよ! 「総取り」の時が来た…
『頭部』を最後に残して この我が国の「遺体総取り」の時がッ!!


#33 追憶の館A





●今月号のオマケとして、「SBR」14巻専用クリアカバーが付いて来ました。ブラックで統一された、ちょっぴり大人なムード漂う逸品です。でも、ゴールドの別バージョン表紙は2巻まででストップしちゃったんですね。残念。
正直言って、オマケもありがたいんですけど、それより巻頭カラーや表紙を期待しています。ここんとこ、すっかり御無沙汰ですからね。


●トビラ絵はジャイロとジョニィとH・P。みんな仲良く並んで記念撮影、とでもいった趣きです。彼らの服にも、普段は貼られていないトーンが貼られたりしていて、そこはかとなくセピア色の想い出って感じ?「追憶」というキーワードにも絡めているのかも。15巻の表紙は、この絵の別バージョンでも良いですね。
つーかジョニィ、普通に立ってないですか?もしや、このエピソードを経て、いよいよジョニィの脚が回復に向かうのでしょうか?


6th.STAGEの着順と、総合順位が発表!やはり総合1位はポコロコ、2位はジャイロ、3位はジョニィ、4位はノリスケさん、そして5位がディエゴ。なんとディエゴは、6th.STAGEで20位でした。だいぶ追い上げて来てますね。なお、H・Pはどうやら正式にリタイヤしているようです。
最初は3500を超えた参加者達も、残りはわずか61名!残りのSTAGEは短距離レースであるため、7th.STAGEを制した者がそのままニューヨークまで独走する可能性も高いとの事!つまり合計300Pを一気に獲得すれば、誰にでも逆転優勝の目が残されているのです!クイズ番組の最終問題みたいなノリですが、これはワクワクしますね〜。とんでもない番狂わせも起こり得るかも!9th.STAGEだけは、ファイナリスト達の同時スタートを期待していたものの、これはこれで燃える展開。
賭けの1番人気は、ここに来てジャイロ!2番人気がジョニィ。「世間の一般ピーポーもやっとこさ見る目が付いてきたみてーだな」なんて、ジャイロも喜びそうです。ただ、こうやって優勝候補として注目されまくる事自体が、優勝を逃してしまう布石になっている予感もして不安。とりあえず、現在の私の予想としましては、優勝者はジョニィと思っておりますが。
熱狂と興奮のるつぼと化すレースの裏で、「遺体」争奪戦も佳境を迎えていました。アリマタヤのヨセフの地図を広げ、思案する大統領。ジャイロ達がゲティスバーグで先頭集団のルートからわずかに外れた事を知り、彼らが「胴体部」や他の「遺体」を見付けたと察した様子。大統領は「全て順調!予定通り!」などと得意気ですが、昼寝中に「遺体」奪われといてよく言うぜ!悔し紛れというか、半分ヤケになってるようにも見え、ちょっと笑えました。


●場面はジャイロ達のいる「追憶の館」へ。てっきり「胴体部」の守護精霊と思っていましたが、あれは大統領サイドの敵スタンドだったようです。スゴい意外!見れば見るほど無駄のない美しいフォルムをしたスタンド。ジャイロの鉄球攻撃も、なんと自らのボディーをバラバラに分解する事で回避しちゃいます。そもそもスタンドに対して、鉄球が通じるのか疑問ですが。「回転」のパワーはスタンドにも効果あり?でも、プラモみたいなスタンドで面白いですね。組み立てたい。
面白いのはスタンドだけでなく、本体のセリフも。本体曰く、自分の弱点をあえて相手に教えるような「公平さ」がスタンドのパワーを最大限に高めてくれるとの事。卑怯さは強さではないのです。スタンド・バトルの新解釈とも言える事実ですけど、これはリンゴォの姿勢なんかにも通じますよね。隠すものや後ろめたい事がない威風堂々とした精神こそ、「男の世界」を突き進む原動力となり、自分の力を引き出す燃料となるんでしょう。この敵も自分の弱点が「水」である事をあえて明かして、その能力をフルに発揮しています。この戦いを経て、ジャイロやジョニィも「公平さ」を身に付け、さらなる生長を遂げるのかな。
そしてこの敵、大統領から「右腕」を預かって来たみたいですね。H・Pをおびき寄せるエサとして利用したのか、総取りするためには1つでも多くの「遺体」の引力が必要なのか、ともかく大統領も大胆な決断をしたもんです。まずH・Pを襲撃して、ジャイロ達をも引き寄せるために一旦ワザト逃がし、あの館へ逃げ込んだ彼女を再び襲って「遺体」を全て奪った……って所でしょうか。「胴体部」まで見付かった理由は不明ですが、あれだけの「遺体」が近くに集まっていたら、自然と引き合うものなのかもしれません。


●敵スタンドの能力によって、己の過去に囚われる一行!ついにH・Pの過去も判明しました。幼い頃、弟と木の実拾いに山へ行った際、グリズリーと遭遇。爪で引っ掻かれたショックと恐怖によるパニックのあまり、思わず弟の体を突き飛ばしてしまい、弟がグリズリーに食い殺されてしまったのです。その罪に耐えられず、彼女は修道院に入り、神の下僕たるシスターに。(グリズリーってアメリカのクマらしいので、彼女はアメリカからヴァチカンへ渡ったのかも?)「遺体」を集めようとしたのも、その罪が許されると信じたから。なるほどねえ、こりゃ辛い過去だ。まだ謎は多い彼女ですが、行動の動機はよく分かりました。「遺体」を手に入れて涙するのも納得です。何よりも自分の心の救いを求めていたんですね。
捨て去ったはずの「過去」は体内へと、心の奥深くへと侵入。呼び起こされる罪の意識が「心の膜」となって自分を縛り付けます。自分自身の心に全身をラッピングされたH・Pは、心が折れて絶望が深まるごとに、肉体も折れて潰れていきました。肉体的なスタンドが増え、肉体と精神の融合が進んでいる「SBR」。この能力もまた、体と心をイコールで結ぶような残酷な能力になっております。
一方、ジャイロにはクマちゃんや祖国で捨てた鉄球が襲来。思い出したくない過去を目の当たりにし、ジャイロも「心の膜」で身動きが取れなくなってしまいました。しかし、ずいぶん大量に鉄球を捨ててますね〜。その数だけイヤな記憶もあるって事?「回転」に失敗したら、鉄球のせいにして捨ててたのかもしれないですね。クマちゃんにも縛られている辺り、けっこうクマちゃんを捨てた罪悪感はあるみたい。
H・Pを救う決意をしたジョニィ!自分のせいで兄弟を死なせてしまった同じ十字架を背負う者として、どこかシンパシーも感じたのでしょうか。そんな彼の前にも忌まわしい「過去」が迫ります!ジョニィは特にヘビーな過去がいっぱいですからね。ダニーや怨念に満ちたニコラス兄さんの姿に、ジョニィはまたまた大泣き。本物ではなく幻覚なんだと思ってはいても、次々と喚起させられる過去からは逃れる事が出来ません。ダニーらしき白ネズミを攻撃するまでも、「あれはダニーじゃない。撃てる。」と自分に言い聞かせてるくらい。自分の心を利用して、決して触れられたくない場所を深くえぐってくるゲスな敵に、殺意を抱いて泣き叫ぶジョニィが切ない。なんか、いつも夢でも見てるようだし……。だいぶ生長したとは言え、まだ乗り超えられてはいないんだなあ。


●ジョニィの猛攻を軽やかなステップで交わすダニー。物理的なダメージを与えられる性質の存在ではなく、トラウマを打ち砕かない限りは逃れられないのかも。ところが、ジョニィが爪弾で狙っていたものはダニーではなく、水筒だったのです!水筒に「穴」を開け、過去を水で流す事に成功。そして、古井戸がある事から地下に水脈があると見抜いたジョニィは、地面にも「穴」を開けて湧き水までGET!ジョニィ、カッコイイぞ。井戸を前回からさりげなく描写していれば、もっと感動したんですけど。
涙ながらにジャイロ救出も誓うジョニィを見て、ダニーの顔が敵スタンドの顔に。バラバラにしたスタンドの一部を「捨てた物」と同化させる事で、離れた場所での出来事なども感じられるようにしているものと推測。観察の結果、「両脚部」を持つのはジョニィの方だとハッキリしたらしいです。これまた理屈が今イチ分かりませんが、手応えのある方が持ってるだろうって事?それとも、本来ならとっくにラッピング完了な状態のはずなのに、「遺体」の聖なる力でスタンドの効果が弱められているとか?
「誰かを助けるためには捨てなくてはいけない」「人は何かを捨てて前へ進む」という言葉から、ラッピングされたジャイロ達を救うためには「遺体」を捨てる必要があるのかもしれません。ジョニィもH・Pの忠告から、なんとなく勘付いてはいるはず。何を引き換えにしてでも仲間を助けようとし、それでいて「遺体」を手に入れようとする決心も固いジョニィ。まあ、トータルで考えれば、ジャイロよりはジョニィが「遺体」を所持している可能性が高いと推理できるんでしょう。


★今月は61ページ!いや〜、良かった良かった。やはりこのボリュームじゃないと寂しいですよ。このエピソードは単純に面白いだけでなく、各キャラの内面を描き出す絶好の機会になってますね。悲しみがモロに伝わります。こんな積極的に過去のエピソードが関わってくるなんて、今までのシリーズでは滅多にありませんでしたよ。これも月刊連載の賜物?前回のクマちゃんや「し・トゥ・れ〜い」のギャグもそうですし、今回は「メメタァ」の擬音まで出て来たワケで(「マヂュウウン」もスゴイけど)、そういう過去ネタ復活的なレベルにおいても「追憶」がテーマになっているようです。
個人的な希望を述べますと、ここらでジョニィがSBRレースを続ける意味を問い直してもらいたい所。今の時点では、H・Pと同じく「遺体」が目当てであって、レースを続ける理由には乏しいですからね。せっかくニコラス兄さんも再登場した事だし、この過去を克服したなら、ジョニィがこのレースで優勝したいと強く思うようになってほしいです。兄さんもディエゴも超えて、自分がナンバー1になってやるんだ!ぐらいの勢いで。自分の気持ちを素直にぶつければ、きっとジャイロも納得して「オレがおめーと協力関係を結んだのはレースが長距離だったからだ。短距離のSTAGEしか残っていない今、もうおまえさんと組む理由もねえ。好きにしな。ただし、お互いフェアに行こうぜ!手加減なんざ絶対しねーからな。」と、ニョホっと笑ってくれるはず。そして、最後の最後にジャイロに立ち塞がる最強最速のライバルがジョニィであってほしいです。
作中世界では、あと数日のうちに全ての決着がつく場所にまで辿り着いてしまいました。この物語の終わりをリアルに想像できる時期になってきました。もっともっとジャイロやジョニィの旅を見ていたい気持ちと、感涙のゴール・シーンを早く見たい気持ちとで揺れておりますよ。



(追記)
次回の予想を少々。大ピンチに陥った時、「両脚部」の力が目醒めてパワー・アップといった展開が真っ先に思い付いてしまいましたが、それとはまた違った予想にしてみます。
湧き出る地下水を水筒に入れて、ジャイロ達を救出すべく、再び館へ突入するジョニィ。そこに出現するのは、下半身不随になったキッカケの出来事や、その後の地獄の日々を喚起させる物ばかり。一方のジャイロは、敵本体の攻撃を受けて地面に倒れ、「過去」の鉄球や医療器具などにまとめて触れてしまい、死刑執行や手術での黒歴史を一気に思い出しまくります。水のおかげで辛うじてジャイロの元へと辿り着いたジョニィの目の前で、ジャイロはラッピング完了!
敵本体はジョニィに、お前が「両脚部」を捨てれば、ジャイロもH・Pもお前も殺さずにおいてやると忠告してきます。「遺体」が揃うまではラッピング状態でいてもらうが、全てが終わったら元に戻してやると。それでもジョニィは屈せず、爪弾を乱射!フェアに『タスク』の能力説明までして、「穴」を駆使した戦いを仕掛けます。しかし、それらは不発に終わり、どんどん襲い来る「過去」の呪縛でジョニィの心も限界に。自ら「両脚部」を敵に差し出した挙句、とうとうラッピングされてしまいます。敵は「両脚部」を回収し、「これで「遺体」は総取りだ!残るは「頭部」のみ!」と勝利宣言。ところが次の瞬間、敵の心臓は何かに貫かれます。それは『タスク』の「穴」。ジョニィは「遺体」を差し出す際、「両脚部」に開いている穴の中に『タスク』の「穴」を潜ませていたのでした。「ぼくの能力はさっき教えてやったろ?公平にな」。「遺体」を武器にするという、ポーク・パイ・ハット戦以来のバチ当たり戦法でジョニィの勝利!改めて「両脚部」を宿したジョニィの脚が、ついに微かに動き始める!
「SBR」は多くの矛盾やジレンマを抱えた物語です。白人から奪われた土地を取り戻すため、白人の価値観を利用したサンドマン。時代の流れによってズレ始めてきた、社会的な価値観と男の価値。夫との平穏な生活を守るため、一国の大統領と戦わねばならないルーシー。「遺体」を手に入れるために「遺体」を手放さなくてはならない、泉での試練。死刑制度と延命治療という、社会の特異点に位置するツェペリ一族。……色々ありました。そして何より、多くの人を救うはずの「遺体」こそが、多くの人の命を奪う争いを引き起こしてしまっている事。そんなワケで、「遺体」そのものを利用して勝つという予想にしてみました。
「Quick Japan」でのインタビューにて、先生は「何でも銃で解決するのは間違っている。銃を撃つのが早いヤツが最終的に勝つってのはおかしい。銃に代わる物は聖なるものの存在。それが「遺体」。物語上では矛盾にも決着は付ける。」と発言されていましたが、果たしてどんな形で描かれるのでしょうか?スゴく気になります。要注目!




(2007年12月18日)
(2007年12月23日:追記)




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