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『懐胎』したという事かッ! たった今!!
う… 産まれて完結


#38 真の力(パワー)A





●トビラ絵は大統領の雄々しき背中ッ!星条旗の模様になっている古キズが思いっきり目立っていて、大国・アメリカを背負う事の重圧と矜持が垣間見えるかのようです。イカスぜ、大統領。やはり男は背中で語るものですね!


●悪魔が味方しているかの如き大統領に刃向かった事を、泣いて後悔するルーシー。自分は何を捧げても構わないから、せめて夫の命だけは助けてと神に祈っています。前回の回想があったからこそ、彼女の切なる想いもより伝わってきますね。しかし、当のスティール氏は現在、瀕死の状態……。
大統領は何事もなかったように、ムクリと起き上がります。背後に浮かぶものは彼のスタンド!まさに悪魔を思わせる邪悪でスタイリッシュなデザイン。頭から突き出た2本の大きな角と、顔や角や腕に描かれた三つ編みみたいな模様が特徴的ですね。これはかなりカッコイイですよ。全身像が見たいなあ。
廊下には脱ぎ捨てられたブーツ。ルーシーはすでに逃げてしまったのか?そう思いきや、なんと彼女はまだ部屋の中にいたのです!テーブルの裏側に突き刺したナイフに必死にしがみ付き、大統領を欺いてしまいました。なんて大胆かつ巧妙な手口!心理的盲点を突く、見事な機転!泣きながらとっさにこんな事を思い付くとは、もはや忍びの者の域です。ルーシーはくノ一だったのです


●ルーシーの忍法にまんまと嵌ってしまったかに見えた大統領ですが、ここで再び彼のスタンド能力が発動!あっさりと彼女のトリックを見破ってしまいました。ルーシーのブーツに触れたと思ったら、その影からルーシーの足だけが現れ、廊下を引き返して部屋へ戻って行ったのです。
なるほど。これで大統領の能力はかなり推察できますね。「影」の中から数秒前の「過去」を出現・再生させる能力、とでも表現すべきでしょうか。「影」とは、自分の後ろを付いて来るもう1つの自分の形であり、「過ぎ去ったもの」の象徴(やや強引)。触れた物質の「影」の中から、その物質の数秒前の姿や関係する出来事が「幻影」として現れ、「過去」をリプレイするのです。イメージとしては『アンダー・ワールド』や『ムーディー・ブルース』に近い感じ。今回は、ブーツの「影」から「ルーシーの足」の「過去」を引き出したという事。
そして、影の中から「過去」を引きずり出すのとは逆に、物質を影の中に潜ませる事も可能。前回は大統領自身が影の中に隠れたのです。その時だけは、自分も実体のない「幻影」と化している状態。自分自身が、数秒前の自分の「過去の幻影」になる事により、再び影の外に実体として現れると、肉体も数秒前の状態に戻っているのです。言ってみりゃ、影の中はタイムふろしきなのです。
もしそうだとすれば、大統領の能力は時間系スタンドって事ですね!ラスボスの風格が漂ってきましたよ。


●「遺体」が隠されているであろう部屋へと逃げ込んだルーシー。しかし、窓は完全に塞がれ、「右眼球」もどこにも見当たらず。袋のネズミとなった彼女に、大統領が扉越しに語り掛けます。大統領はルーシーがスタンド使いではない事、H・Pの能力の事などを冷静に見極めつつ、「これから自殺しようとしたら、夫も父親も兄弟も皆殺しにする」とルーシーに警告。あまりに残酷な言葉です。
絶体絶命の彼女に、文字通り光明がッ!追い詰められていた場所には暖炉があり、その煙突の奥から光が漏れていたのです。その時、まばゆいばかりの光がルーシーを包みました!その光は、暖炉に隠されていた「遺体」が発していたものだったのです。光に照らされた場所には最後のパーツ「頭部」のヴィジョンが浮かんでいます。そして、その光の中から天使のような姿の守護精霊(?)が出現し、ルーシーの腕を掴む!悪魔のような大統領のスタンドや、影に関する能力と対照的で面白いですね。
ドアをブチ破って入って来た大統領は、部屋の片隅で震えるルーシーに迫ります。すっかりルーシーに夢中の大統領、まだまだヤル気満々!でも、まずは「右眼球」を発見・回収するため、彼女の服をバリバリ引き裂いて裸にヒン剥いてしまいました。ルーシー、ついにヌード解禁ッ!しかし、そこにあったのは「右眼球」ではなく……、ぽっこりと膨らんだお腹!そのお腹に浮かんでいるのは「頭部」の形!そうです。ルーシーは先程の光に包まれた際、妊娠させられていたのです。「頭部」はどこにも隠されてはおらず、これからルーシーが産むものだったのです。彼女が使ったのは忍法ではなく妊法だったのです。イエス様もエグい事をなさる。大統領と同類じゃん。
聖母マリアを彷彿とさせる処女懐胎。ルーシーの処女設定はこのためのものだったのでしょう。前回の回想での追加設定は今回でほとんど使われたので、「ペンドルトン」姓にも深い意味はないのかも。ルーシーの特殊性や神聖性の演出に過ぎない?最終的には、晴れてスティールと本当の夫婦になってくれる事を期待。いずれにせよ、非常にショッキングでインパクト大な展開でした。これを知ったらスティールも卒倒しちゃうよ。でも、ラストに向けての上手い展開の仕方でもあると思います。正体がバレてしまっても、ルーシーが「頭部」を産むまで大統領も手出しは一切出来ないですからねえ。緊張感を保ったまま、クライマックスへ!


●場面は変わり、ウェカピポVSマジェント!完全防御中のマジェントを前に、拮抗状態が続くかとも思われましたが、さすがに2人ともそんなに甘っちょろくはない様子。実はマジェントはディエゴと手を組んでいて、恐竜が2人の会話を盗み聞きしていました。ディエゴは恐竜と意思疎通が可能なんですね。「マジェントは生き物をカワイがるようなキャラではない…」なんて真面目な顔で考えるウェカピポには笑いましたけど。キャラって。
さらにマジェントは、あらかじめダイナマイトを体に巻き付け、点火させていたのです!完璧に安全な状態での自爆。シンプルながら盲点って感じの、恐るべき攻撃です。ウェカピポが取った行動は……、スティールの肉体を「回転」で硬質化!そして、馬達には「レッキング・ボール」で左半身失調!右側への急激な方向転換により、馬車は転倒&大破!大爆発を喰らっても、スティールはダメージ無し!ウェカピポ自身は負傷したものの、実に的確かつ迅速な判断と対応です。
川に転落したウェカピポとマジェント。最後の攻防です。かつては好意すら持った時もあったけれど、出会った時から自分を小バカにしていたウェカピポに対して、マジェントはドロドロに煮えたぎった憎悪を剥き出し。失うものがない人間が一番恐ろしい、との事。う〜む、彼の今までの人生に何があったんでしょうね?気になります。ウェカピポがまさに撃たれようというその瞬間、マジェントに馬車の車軸のワイヤーが絡まります!さっき投げた鉄球をすでにワイヤーに巻き付けていたのです。本当、ウェカピポは無駄のない行動を取るなあ。スマート過ぎる!自分がそういう人間だから、マジェントのようなスットロくて要領の悪いタイプにイラッと来るのかも。


●ワイヤーが絡まって沈んでいくマジェントは、とっさにスタンドを発動。どうやら『20th Century BOY』の発動中は、彼の肉体の時間だけが止まったかの如き完全無欠な防御状態のようです。呼吸や食事さえ必要とせず、心身共に常にベスト・コンディションに保たれるため、スタンドも意識的に解除しない限りは永遠に持続。この無敵の能力を倒せる者など存在しない。しかし、倒せないなら封じ込めればいい。ウェカピポの狙いはそういう事です。謙虚さや敬意を忘れ、油断と慢心に支配された者など、ウェカピポの敵ではありません。
川底のマジェント。ワイヤーを解きたいけれど、スタンドを解除したら溺れ死ぬ。スタンドを発動している以上は、身動きも取れない。チェック・メイトです。彼が考えるのは、氷の海峡で助けてくれたディエゴの事。ディエゴが「スティールを調べろ」と命じた事も判明しましたよ。ダイナマイトの策もディエゴ発案かも。しかし、マジェントの「運命の糸で結ばれている」「きっと好きになってくれる」「会いたいな」というセリフ……、実に怪しいぜ……ッ!まさか男色の気があるのか?コンビとしての好意や敬意っつーより、もはや恋焦がれてるレベルに見えますが。それとも、ペッシの兄貴に対する純粋な想いと同じよーなもん?マジェントの事、もっと深く知りたかったですね〜。誰にも好かれず必要とされず、傷付けられてばかりの人生を送ってきたからこそ、じっと耐え続けるだけの自己防衛の能力が目醒めたとか。でも、やっぱり誰かに好かれたいから、頑張って明るく振る舞って話し掛けたりしてたとか。……虚しい想像が膨らみます。
マジェントはデラウェア河の川底でディエゴの助けを待ち続け、それでもいつまで経っても助けは来ず、やがて待つ事と考える事をやめたのでした。カーズと同じ末路を人間が辿るなんて!でも、やっぱり「考える事をやめた」ってフレーズは、いつ見ても印象的です。独特の孤独な余韻があって。いつか遠い未来に復活できたら、飛行機に乗ったりして楽しい人生を過ごしてほしいもんですね。


★今月は61ページ!先日のコーラン事件もあったので、ぶっちゃけ今月は掲載さえされていればラッキーくらいに思ってました。20ページでも30ページでも、とにかく読めれば良しと。内容にしても、あんな事があって、荒木先生のモチベーションが下がってしまったとしても不思議じゃないと思ってました。余計な波風を立てぬように、無難な流れになっちゃっても仕方ないと。でも、そんな不安や心配など、全て杞憂だったと痛感しました。くだらないゴタゴタなんて吹っ飛ばしてしまう程のボリュームとクオリティー!いつも以上にブッ飛んだ展開!もちろん絵もド迫力!大満足です。荒木先生、最高です。これぞ尊敬すべきプロフェッショナルの姿
さて、今月でまた一段落ってトコでしょうか。ルーシーは「頭部」を妊娠、大統領はルーシー確保、マジェントは再起不能(リタイア)、ウェカピポはスティール救出、ディエゴはルーシーの正体に到達……。そして、ジャイロとジョニィはディエゴを狙い撃つ!それぞれの思惑と運命が、いよいよ1つの場所で交差しそうです。いざ、決戦の地へ!!




(2008年6月18日)




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