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後悔させてやるぞ……………!!
勝利の風は このDioの背後から追って吹いている…


#45 大統領が来る!B





●時間は再び「現在」を刻む。視点も再びディエゴへ。スポンジとスポンジが重なって「2つ」が1つになるように、2人の大統領が1つに重なり合う。そして、2人のディエゴの肉体はスポンジのようになって崩れていく。「同じ世界」「同じ人間」が2人同時に存在する事は出来ない。大統領以外は。それが『D・4・C』の能力ッ!
ディエゴを救出しようとするウェカピポも、『D・4・C』のパワーには敵わず。どんどん肉体が削り取られていく中で、ディエゴは必死に脱出策を考えます。2人いる大統領のうち、1人は必ず「元の世界」へ帰るはず。それは、どこからどんな方法で?……しかし、ついにディエゴは深刻な大ダメージを負っちゃいました。それを見た大統領、事は済んだとばかりに立ち去ろうとします。ところが、大統領の後方のマンホールの蓋がいきなり開き、中から数匹の恐竜が。そして次の瞬間、大統領が見たものは何者かの手!その手から何かが発射され、大統領の首を貫通!そうです。その手は、ジョニィの手ッ!排水溝へ逃げた瀕死のジョニィを、ディエゴの恐竜がこちらへと誘導していたのです。ウェカピポも口をあんぐり開けてビックリしてます。この半年もの間、ひたすら撃たれまくるだけだったジョニィですが、とうとう反撃の時がやって来ました!これぞカタルシス!
ところで、ジョニィの脚について大統領が言及していますが、これってジョニィの脚が動くから排水溝も上って来れた……とかそーゆー事?今までもジョニィは俊敏に動きまくってたから、あんまし実感も湧かないです(笑)。本当に立ち上がって、歩き出したら感動もするんでしょうけど。
ジョニィの放つ爪弾に撃たれまくった大統領は、そのまま倒れ込んで死亡。倒したかに見えた……が、ディエゴは見抜いていました。奪われた「左眼球」がどこにも無くなっている事に。「元の世界」の大統領は「左眼球」を持って向こう側へと帰り、死んだのは「隣りの世界」の大統領だったのです。もう1人の自分すら切り捨てられる。なんてズルくって、えげつない能力。


●ディエゴはこれまでの状況を思い返し、物質と物質の間にはさまる事で大統領が「異なる世界」を行き来していたと気付きます。イスと床の間に、ディエゴと壁の間に、ヴァルキリーとスロー・ダンサーの間に、ドアと壁の間に……。う〜ん……、まあ、確かにそうかも。でも、国旗に溶け込んだ時はどうなんだろう?1つの物質でも、折り畳まれたその間からなら移動できるってトコかな。いや、それならウェカピポの鉄球で顔面に穴が空いた時はどうなんだ?……よく分からんです。
大統領自身は物質と接してさえいればいつでもどこでも移動可能だけど、大統領以外のモノは物質同士の間からじゃないと移動できないのかも。『D・4・C』発動時間中は、2つの「面」が重なり合うポイントが、誰にとっても「異なる世界」を繋ぐ「扉」になると。上半身と下半身とで、2つの世界にまたがっていたディエゴだったからこそ出来たって可能性もありますけど。ディエゴを通して、あの国旗のポイントだけは「扉」が閉じ切っていなかった、とかの理由でね。……で、「左眼球」も同時に移動しなくてはいけないからこそ、大統領も今回はドアと壁の間にはさまって移動せざるを得なかったのでしょう。ディエゴを上半身しか「隣りの世界」に移動させなかったのも、(身動きを取れなくする目的もあるんでしょうが)物質同士の間にはさんでの移動ではないために、そもそも全身を通り抜けさせる事が出来なかったのかもしれません。うん、そういう事にする!
ともかく、『D・4・C』の性質・制約・条件を推理したディエゴは、さっそく行動開始!「隣りの世界」のディエゴは真っ二つに切り裂かれ、死亡!もはや一刻の猶予もない!帰るのは今しかないッ!ディエゴは「元の世界」にある脚を動かし、ブーツの拍車で文字を書きます。「両脚を引っ張れ」とウェカピポに要請。器用な足ですな。自分の生存をウェカピポに知らせ、どこかへ逃げ隠れなどさせないためのメッセージ。逆さまの絵で表現される「元の世界」の描写。2つの世界の切り替えが、見た目にも分かりやすくて良いですね。
「隣りの世界」のウェカピポには、「大統領の能力を教えるから来てくれ」と誘導するディエゴ。しかし、これも全てディエゴの恐るべき計算でした。死んだかに思えた「隣りの世界」のディエゴがウェカピポの脚を掴み、ディエゴの方へと体を倒します。そのままディエゴは、国旗とウェカピポの間にはさまり、ついに脱出に成功ッ!


●思惑通り、「元の世界」に帰還したディエゴ。パラドックスが解消されたため、肉体も元通り。しかし、その代わり、ウェカピポは2人に……。どうやら、物質と物質の間にはさまれた者(=ディエゴ)が引っ張り込んだモノ(=ウェカピポ)も、一緒に世界を移動させられるようですね。『キッス』のシールを剥がした時のように、2人のウェカピポがぶつかり重なり合い、スポンジ状に肉体が千切れ飛んでいく!
「感謝するよ……… ウェカピポ さようなら」
「おまえはこうするためにこの大陸に来たと考えろ」

非情なるディエゴの言葉ッ!自分が助かるためにはこうする以外になかったとは言え、明らかに邪魔者の排除も兼ねてますからね。ディエゴをちょっとでもいいヤツと思った私がアホでした。自分の目的のためならば、ためらいなく他者を利用し、傷付けられるドス黒き精神!でも、これでこそDioです。この爽やかなまでの悪っぷりにシビれます。
ウェカピポの脳裏によぎる走馬灯。自分に何が起こっているのかも理解できぬまま、声の一つも上げられぬまま、死亡・消滅してしまいました……。あまりにも……あっけなさ…すぎる……。やっぱし前回のモノローグは死亡フラグだったか……。妹との再会も果たせなかった彼ですが、清らかな気持ちを抱けた事がせめてもの救いでした。フツーに利用され、フツーに死んじゃったせいか、悲しむ余韻すらねえ!
ちなみに、2人のディエゴはそのままの状態で肉体が削られ、2人のウェカピポは肉体が合体しながら削られてました。この違いは何なんでしょうかね?崩れて死ぬという結果は変わらないから、深い意味はないのかもしれないけど。「隣りの世界」では2人が分かれたまま、「元の世界」では2人が1つに重なり合う、ってトコかな?後に明かされるように、「元の世界」こそが基本の世界であり、たとえ複数の世界に分かれても、たった1つのこの世界に戻る。それを暗に示しているのかも?


●ウェカピポを始末したディエゴは、状況の把握に努めます。蓋が開いたマンホールには誰の姿もありませんが、ディエゴの事だから、ジョニィが一部始終を目撃していた事も理解していそうですね。大統領が逃げて来たであろうドアも確認。点々と続く血痕。まんまと「左眼球」を奪われ、逃げられてしまった事に苛立ちながらも、ディエゴは実にCOOLに分析と推理を重ねます。
大統領の能力は、複数の「隣りの世界」を自由に行き来できる。だから、もし負傷しても、「隣りの世界」の自分と入れ替わる事も可能。恐らく、負傷した大統領と無傷のパラレル大統領が1つに重なり合えば、2つに分かれる時、(意識はそのままに)互いの肉体を入れ替えられるのでしょう。別の世界の「もう1人の自分」さえ切り捨てられる大統領の能力。この「自分を捨てられる」という言葉、アクセル戦でのジョニィを思い出させます。大統領とジョニィ、この2人の共通点相違点。これがそのまま遺体争奪戦の、そして運命の決着の際に、大きな分岐点となるような気がします。きっとそれは「SBR」のテーマにも関わってくるのではないでしょうか。
……で、話を戻します。ディエゴが気付いたのは、「遺体」はこの「元の世界」にしか存在していないという点。「隣りの世界」のディエゴは「左眼球」を持っていなかった。「隣りの世界」の大統領は、「遺体」ではなくダイヤモンドを落としていた。「隣りの世界」のSBRレースは、ダイヤを集めるレースでしかない模様。(不思議な力が宿るダイヤなのかもしれないけど。)
「遺体」は替わりなどない、特別で真に重要なもの。たった1つの奇蹟。この世界こそ「全ての基本」!ここから推測するに、「隣りの世界」はやはり『D・4・C』の能力が創り出したものなんじゃないかと思うんです。何もかもそっくりな世界があるのに「遺体」だけが何故か存在しないというより、パラレル・ワールドを生み出せる『D・4・C』でも「遺体」だけは創れない・再現できないという方が、なんかしっくり来る感じ。結局、世界は1つしか無いんです。「隣りの世界」は所詮、レプリカに過ぎないんです。……たぶん。
今いる「元の世界」が「基本の世界」。つまり、大統領の弱点もそこにあるッ!復讐と野望に燃え滾るディエゴ!一体、何を企むのか?「遺体」が1つしかない事実を駆け引きに利用するんでしょうか?それとも、「隣りの世界」に移動する前に暗殺?あるいは、移動したくても出来なくなるような「何か」を仕掛ける?「遺体」を奪われたのに恐竜を使っていたから、ジョニィ同様、スタンド能力も残っているのかもしれませんしね。大統領も、余裕ぶっこいてられるのも今のうちですよ。
そして、マンホールに残るジョニィの血痕を発見するジャイロ。今、自分が追うべきは大統領でもディエゴでもない!ジョニィだ!ジョニィが何かを見た!大統領との第1ラウンドは終わり、それぞれが自分のすべき事に気付き出しています。動き出し、加速する運命!GO!ジャイロ、GO!!


★2ヶ月ぶりの「SBR」でしたが、今月も47ページ!ルーブル美術館に展示する作品の執筆やら何やら、色々と忙しいのでしょう。それでも、これだけのページと内容で読ませてくれる荒木先生に感謝いたします。今回はディエゴ一色の回でしたね。やっぱこういうキャラがしつこく生き残り、動き回ってくれると、ガゼン面白くなってきます。ただ、ウェカピポにももうちょっとスポットを当ててやってほしかった(涙)。
作者コメントは「今年に入り望月三起也先生、篠山紀信先生と会えた。あんな風に年をとりたいです。」との事。望月三起也先生といえば、かつて週刊少年「」のインタビューにて、「望月先生の描く銃には重さがあるんだよね。それがいい」とかコメントしてましたっけね。どんな事を話されたんでしょうか?こうして近況が書かれるのは嬉しいんですが、それにしてもウルジャンにも作者コメントにも、ルーブル美術館の件にはまるで触れられてませんね。もっと大々的にやっても良さそうなんだけどな。まあ、いいや。次回も楽しみです。




(2009年2月18日)




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